【東南アジアの医療ハブ】シンガポールの最新医療事情に迫る

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東南アジアの医療ハブであるシンガポールは、近隣諸国から積極的に医療ツーリストを受け入れ、医療ビジネスが目下発展中です。また、高齢化が加速している同国では住民の医療支出が増大。今後も医療産業の成長が予想されています。

今回は、そんなシンガポールの医療・病院事情に関する最新情報をお伝えしていきます。

発展しているシンガポールのヘルスケアについて知りたい
東南アジアに進出してみたいけど、詳しい業界事情がわからない

そんなあなたに役立つ最新情報をお届け!シンガポールで今話題となっている最新医療サービスとは。

読了時間の目安:5分

私立医療機関による低所得層へのサポート

アジア各国で大規模な医療施設を展開・経営するパークウェイグループ(Parkway Holdings Ltd.)が、2017年3月より低所得層向けの無料がん検診を開始した。検診には、大腸内視鏡、乳房X線写真、PAPなどの検査も含まれる。早期スクリーニングによるがんの予防や治療の効果増大が期待できるため、がんスクリーニング(無料)への登録を市民に奨励している。

「がんスクリーニングと早期発見は、がんと闘うための重要な鍵となる。特に、 高齢者や資金面で困難のある患者の問題を解決したい」と語るのは、グループの最高経営責任者 Phua Tien Beng氏。

がんはシンガポールにおける死因の29.4%を占める。そんなシンガポールで無料のがん検診が行われる今回の取り組みに注目が集まっている。

未熟児を守るサービス

パークウェイグループ (Parkway Holdings Ltd.) 傘下のParkway Pantai病院は、妊婦に嬉しい新サービスの提供を開始した。
先天性疾患がある新生児に対し、集中治療室(ICU)の使用料を1年間無料とするものだ。

保険会社AIAとの提携で実現したこのサービスは、Parkway Pantai病院のみで利用可能。追加費用なしで、妊娠 38週以内に先天性疾患があると判断された場合に適用される。

Parkway Pantai 病院の2016年統計によると、同院では新生児の約15%が、未熟児出産等の理由でICUの使用を必要とした。

シンガポール全体でみると、未熟児出産の割合は7.2%から9.5%に上昇。医療傾向の変化、高齢出産、体外受精などが原因に挙げられている。早産や低体重、未熟児出産は、合併症を発症するリスクが高いため、ICUでのケアが必要だ。今回の取り組みは、未熟児出産率の増加という現代の問題に対応したものといえる。

快適な出産をサポートする革新的アプリ

妊娠中の女性をサポートするための自己管理型モバイルアプリ HABITS-GDMが開発された。2017年10月よりシンガポール国立大学病院 (National University Hospital)が中心となって、アプリの使用を開始している。

シンガポールの妊婦は、世界基準からみて糖尿病にかかる傾向が高い。妊婦の 20〜30%が妊娠中に何らかの症状を抱えている。

糖尿病患者にとって悩みの種なのが、食べ物の選択だ。特定の品種、 量、調理方法、食品の組み合わせ等によって血糖値は変化する。このアプリは、そんな面倒な血糖値の管理を担ってくれる。母親が摂取した食べ物がどのくらいの血糖値に結び付くのかを視覚的に確認できるようになったため、糖尿病予防や改善に役立つことが期待されている。

40万人の患者を抱えるシンガポールの糖尿病対策

シンガポールでは40万人以上が糖尿病を患っている。さらに、国民の3分の1が生涯に糖尿病を発症するリスクを抱え、2050年までに患者数は100万人に達すると予測されている。

そんな中、保健省(MOH: Ministry of Health)は糖尿病対策に力を入れ、以下のような取り組みを行っている。

① F&Bの外食産業への取り組み

健康志向食品や品目の推薦、表示の掲載を各店舗に指導。現時点で1,600店舗が参加し、健康志向品目の売上は2014年から3倍に増加。

② F&Bの食品製造者やスーパーなど卸業者への取り組み

商品ラベルに健康志向の表示や栄養価の高い材料を使用した食品の開発を促進。これにより消費者の選択肢が充実。

③ 市民への取り組み

保健省主導で体を動かす機会を設定。アプリを使用して個人が運動レベルを確認。定期的な健康診断受診の促進。

④ 医療機関への取り組み

地域のクリニックなど市民に身近な場所で糖尿病のサポートを行う。医師・看護婦・設備 などチーム一体のサポートを構築。

2040年までに世界全体で6億人以上が疾患するといわれている糖尿病。糖尿病大国シンガポールの取り組みがどのような実を結ぶのか、期待が高まる。

“病院”という枠組みを超えたケアを目指して

シンガポールの病院業界では、高齢化と慢性疾患の増加に伴い治療の複雑さが目立っている。資金と人材を使って持続可能な医療制度を確立していくことがシンガポール医療界の大きな課題だ。

そんな中、保健省はHealthcare Industry Transformation Map(ITM)を提唱した。 医療業界、労働力、スキルの三位一体で戦略を策定し、国民のために質の高いケアを提供する事を目的としている。

主な内容として、市民の健康促進と効果的な疾患予防を通じた健康管理を目指すことや、適切で費用対効果の高いケアを可能にすることが挙げられる。また、最終ケアを病院に依存するのではなく、プライマリーケアをコミュニティや家庭が主導で行うことで、ケアの中心を地域社会に移すことも目指されている。

まとめ

自国の医療問題に対応した新たな取り組みが行われているシンガポール。デジタル技術の利用や意識改革によって、健康管理に対する市民の自発性が高まりました。

がん予防や高齢化など、日本とも共通の問題を抱えている点で、日系企業にとってもビジネスチャンスは大きいのではないでしょうか。

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