【医療技術の最先端】シンガポールの医療機器業界に注目!

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政府が積極的にグローバル企業を誘致し、世界中から人材と技術が集積しているシンガポール。近年は医療機器の輸出が拡大し、日本における医療機器輸入額のシェアも増加しています。

今回は、そんな医療機器業界に関する最新情報をお届け!最先端を行くシンガポールの医療技術業界に迫ります!

読了時間の目安:5分

2020年 シンガポールの医療機器業界

Genesis MedTech、シンガポールのDCBの買収完了〜医療機器業界事情〜

Genesis MedTech Internationalは、シンガポールに上場しているQT VascularLtdの完全子会社であるTriRemeMedical LLCから、薬剤デバイス技術資産であるChocolateTouch薬剤コーティングバルーン(DCB)の買収を完了した。

これには、末梢血管疾患の治療、予防、診断、または管理に使用するための世界的な設計、エンジニアリング、製造、権利、請求、使用、マーケティング、販売、および流通に関するIPライセンスが含まれている。

ChocolateTouch薬剤コーティングバルーンは、末梢血管疾患の治療のために、治療薬の送達と次世代の制御された拡張血管形成術技術を組み合わせた世界初のバルーンカテーテルである。これは、末梢血管疾患に苦しむ患者に、従来のバルーン血管形成術よりも安全で効果的な治療を提供することを目的として設計されている。

シンガポールにおけるBluetooth対応医療機器に対する最新情報〜医療機器業界事情〜

Health Sciences Authority(HSA)は、特定のBluetooth対応医療機器に影響を与えるサイバーセキュリティの脆弱性に関する最新情報を発表した。

今年3月、シンガポール工科大学(SUTD)の研究チームは、「SWEYNTOOTH」と呼ばれる12のサイバーセキュリティの脆弱性を発見した。これらの脆弱性は、少なくとも7つの主要企業のBluetooth Low Energy(BLE)チップに影響を及ぼした。SUTDの研究チームは今回新たに、より多くの医療機器に影響を与える可能性のある4つの新しいSWEYNTOOTHの脆弱性を発見した。

新たな脆弱性に対処するには、それぞれのBLE半導体チップベンダーがソフトウェアパッチを開発する必要がある。 HSAは引き続き医療機器メーカーや地元のベンダーと協力して、必要なパッチや修正の実装の進捗状況を綿密に監視していく。製造業者、医療機関、およびエンドユーザーは、以前の安全通信で提示された推奨事項に従う必要がある。

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シンガポール国内初の高度な製造能力センター、AMTCとは?〜医療機器業界事情〜

外資系大手医療機器メーカーのSiemensは、Advance Manufacturing Transformation Center(AMTC)を正式に立ち上げた。シンガポールで初の高度な製造能力を持つセンターとなる。東南アジアの企業が高度な製造に向けて採用、移行、変革する過程でガイダンス、サポート、トレーニングを提供する。

AMTCは、Digital Enterprise Experience Center(DEX)、Additive Manufacturing Experience Center(AMEC)、およびRental Labsを組み合わせた、初めてのスリーインワンコンピテンシーセンターであり、ワンストップの高度な製造エコシステムを構築する。

DEXは、高度な製造工場のデジタルツインを作成できるデジタルエンタープライズソリューションを提供する。AMECは、企業がAMTCのテクノロジーパートナーのエコシステムによってサポートされている高度なエンドツーエンドの生産ラインに実際に触れることができる場所となる。

JMS、シンガポールの医療機器投資ファンドに参画〜医療機器業界事情〜

日系医療機器メーカーのJMSは、ベンチャーキャピタルのMedVenture Partners株式会社のファンド「MPI-2号投資事業有限責任組合」に5億円を投資することを決定した。

本ファンドは医療機器に特化したライフサイエンス分野の国内・海外のスタートアップ企業を投資対象としている。医療機器の開発・事業運営に豊富な経験とノウハウを有する専門チームが、スタートアップ企業に対して資金援助や製品開発、事業化を支援する。

同社は本ファンドへの参画を通じて、先進技術及び新しいビジネスモデルの発掘や、スタートアップ企業との協業に向けた取り組みに加え、スタートアップへの直接投資や事業買収の検討を進めるほか、そこで得られた運営ノウハウを自社の研究開発や新規事業開発に活用し、中期経営計画 《GAIN 2020》 に掲げる次世代事業の創出を推進していく。

Hitachiがシンガポールに拠点を持つAI・データ分析のSaaS事業を取得〜医療機器業界事情〜

株式会社日立製作所は、マレーシアに主な拠点を持ち、AI・ビッグデータのマーケットリーダーとしてアジア地域を中心にAIやデータアナリティクスのSaaS型サービスを提供するFusionex International Plc と契約を締結し、Fusionex社の事業を承継した新会社を2020年4月1日付で完全子会社とした。

日立は2021中期経営計画において社会イノベーション事業のグローバルリーダーをめざしており、ITセクターでは北米とアジアを重点地域として積極的な成長投資を行う計画である。

今回の投資はその一環であり、Fusionex社のデータサイエンティストやAI開発・構築のエンジニアなどのデジタル人財を獲得し、グローバル市場でLumada(お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーのこと)事業拡大の中核を担う日立ヴァンタラ社をはじめとした日立グループ各社と連携させることで、フロント機能とデリバリー機能を強化していく。

2019年 シンガポールの医療機器業界

海外初の製造工場を建設、 シンガポールの医療機器業界大手Syntellix

2019年9月10日、生体に吸収される骨インプラントの実用化を実現したドイツの企業Syntellixは、アジア地域におけるニーズの高まりを期待して、海外で初となる生産ラインをシンガポールに開設することを発表した。

インプラントが生体で吸収される利点として、インプラントの除去手術を施工する必要がなくなるため、不必要な手術を減らすことによって感染症や合併症のリスクを軽減させ、死亡リスクを低下させることが可能となることが挙げられる。

Syntellixは40億人を超える人口を抱えるASEAN地域を今後も拡大する医療技術市場として捉えており、その中でもシンガポールは医療技術のハブとして位置づけている。

EU、シンガポールとのFTAを最終承認へ。医療機器業界にも影響

2019年11月8日の発表によると、欧州連合(EU)は11月21日から2つの管轄区域間のほぼすべての関税を撤廃するEU-シンガポール自由貿易協定(FTA)を承認した。これは世界最大の単一市場であるEUとASEAN諸国との間では最初の協定となる。

EU-シンガポールFTAでは、食料品や電子機器を含むシンガポールの輸出品の84%を免税でEUに持ち込むことが可能となり、残りの製品は今後3〜5年に免税となる予定である。

このFTAにおいては、4つの主要セクターにおいて関税の撤廃が明記されており、この中に医薬品や医療機器も含まれている。EUにおいて、医療品は600万ユーロの貿易黒字および百万人以上の雇用を創出している。一方でシンガポールでは、170万シンガポールドルの売上と7,000人の雇用を創出している。EU企業はシンガポールでの研究開発や高い製造技術を評価している。

クラウドベースのIoTシステムを提供、医療機器業界リードのSiemensシンガポール

2019年10月22日の発表によると、ドイツに本拠地を置くSiemensは、クラウドベースの「モノのインターネット(IoT)」オペレーティングシステムであるMindSphereをシンガポールの顧客向けに導入を開始した。MindSphereはMicrosoftのクラウドプラットフォームであるAzureとAzure Stackで利用できるようになった。

MicrosoftとSiemensは長年にわたって強力なパートナーシップを築いており、デジタル化と産業用IoTをサポートする革新的な技術を顧客に提供している。

MindSphereは製品、システム、工作機械のほか、工場全体を管理でき、顧客が高度な分析を用いてIoTデータを活用できるようになる。

シンガポールの医療機器業界大手Aardvark Labs、医療技術に特化したコワーキングスペースとは?

2019年8月19日の発表によると、シンガポールに本拠を置く医療技術スタートアップ企業であるAardvark Labsとビジネスマッチングなどを手掛けるPadang&CoはコワーキングスペースCatalystを立ち上げた。

Catalystでは、ヘルスケア業界において健康に対する真摯な取り組みを目指し、ビジネスインパクトを創造できるパートナーシップ企業を見つけ出すことを目的としている。

Catalystは医療業界において臨床家であり、かつ起業家である人や医療系スタートアップ企業にイベントなどを提供する予定である。すでに、10を超えるグローバルおよび国内企業がCatalystにおいて活動を始めている。

2018年 シンガポールの医療機器業界

シンガポール医療機器業界の世界的な位置づけ

シンガポールの医療技術産業は世界的にも高い評価を受けており、アジア全域を牽引する存在だ。多くのトップ企業が本社や研究所をシンガポールに構えている。その中でも中心的な企業は、

  • バイオセンサーズ (Biosensors)
  • ベクトン・ディキンソン (Becton Dickinon)
  • アルコン (Alcon)
  • ヒル・ロム (Hill-Rom)

の4社。また、地元の新興企業であるヘルススタッツ(HealthSTATS)やベレダス(Veredus)研究所の存在も大きい。

シンガポールに拠点を置くメリットは以下の通り。

  1.  業界リーダーが研究者・臨床医と容易にパートナーシップを組める
  2.  きちんと整備され、めぐまれた環境で研究ができる
  3.  精密工学・ロジスティクス産業など、他産業からのサポートが期待できる

シンガポールの医療技術産業は43億シンガポールドル(約3467億円)相当の生産額に達し、16,000人以上の雇用を創出している。Medtech Hub、Biopolis、Tuas Biomedical Parkをはじめとする医学研究エリアもあり、産学官一体の研究開発が行われている。

世界のトップ企業が集まるシンガポール〜医療機器業界事情〜

世界トップクラスの医療技術を持つ企業10社全てがシンガポールに拠点を構え、アジアの統括本部と位置付けている。また、製造設備と本社機能を備えた独自の研究機関をシンガポールに持っている企業も多い。

世界最大の独立系医療機器メーカーであるメドトロニック (Medtronic)も、シンガポールに製造拠点を置く企業のひとつだ。ペースメーカーやコンタクトレンズなど、さまざまな医療製品をシンガポールから輸出している。

また、イオントレントラ社のパーソナルゲノム機器製造もシンガポールを拠点とする予定。これは米国以外で唯一の内部装置製造施設となる。

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6000人以上の研究者を呼び込むシンガポール政府〜医療機器業界事情〜

シンガポール政府は、医療技術分野の研究開発のために世界中から6,000人以上の研究者を呼び寄せ、大規模なフィールドワークを行っている。

Yoh-Chie Lu(バイオセンサーズ会長)やEitan Konstantino博士(TriReme Medical創業者)らは、同国の研究牽引役としてシンガポールに移り住んだ。この地で継続性のある企業体制の構築を目指す。このように、シンガポール政府はインフラや研究設備のみならず人材育成にも力を入れている

シンガポール人による医療分野の技術革新の成功例として、シンガポール・スタンフォード・バイオデザイン (SSB)チームによる、緑内障視野検査における視線追跡の研究が挙げられる。

50万シンガポールドル相当の賞金を獲得した同チームは、シンガポール国立眼科医療センターやシンガポール国立大学 (NUS) のコンピュータ部門と協力し、さらなる研究を続けている。

医療機器業界に50億SGDを投資、シンガポール政府の狙いは?

アジアでは、高齢者の数が現在の2億700万人から2050年には8億5,700万人へと激増するといわれている。慢性疾患患者の増加と中間層の富裕化に伴い、医療技術製品の需要はますます高まると予測されている。

世界の医療技術企業は、アジア各国の規制や臨床ニーズの多様性を克服し、さらなる成長を模索中だ。こういった状況の中で、シンガポールはアジア市場への窓口として重要な役割を果たしていく。

たとえば、シンガポールはビジネス促進の一環として、以下のような政策を採っている。

  • 会社登記:オンラインで可能、所要時間約15分
  • 臨床試験:3〜6週間で認可
  • 製造設備:24カ月〜36カ月で操業可能

シンガポールは、アジアのバイオ医療ハブとして世界を牽引するバイオ医療科学センターとなることを目指してきた。そのために、産業・人的・知的資本に50億シンガポールドル以上を投資している。しかし、アジア全域でみると依然として医療ニーズは満たされておらず、さらなる発展及び拡大のためにサポートを継続していく予定だ。

まとめ:シンガポールの医療機器業界

多くのトップ企業が拠点を構え、研究開発・製品製造が行われているシンガポール。

政府の手厚い経済的支援と優秀な人材の登用により、医療機器業界はますます大きく成長しています。波に乗るシンガポールの医療機器製造・技術開発分野に進出するなら今なのではないでしょうか。

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