【世界の一大研究拠点】シンガポールの製薬・バイオテクノロジー業界

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シンガポール政府は製薬・バイオ産業育成のため、研究者への補助金プログラムや研究開発費の優遇税制を整備するなど、さまざまな支援に取り組んできました。その甲斐あって、現在シンガポールは世界の一大研究拠点となっています。

今回は、そんな製薬・バイオテクノロジー業界に関する最新情報をお届けします!バイオ医療分野で世界をリードするシンガポールの秘訣とは?

読了時間の目安:5分

目次

シンガポールの製薬・バイオテクノロジー業界 業界地図はこちら!

2020年 シンガポールの製薬・バイオテクノロジー(医療・介護)業界

中外製薬とシンガポールのA*STAR、共同研究を開始〜製薬・バイオテクノロジー業界事情〜

中外製薬株式会社は、中外製薬グループの在シンガポール研究拠点である中外ファーマボディ・リサーチ(CPR)が、シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)とともに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する抗体医薬品の共同研究を開始したことを発表。

共同研究は、A*STARの関連機関であるシンガポール免疫学ネットワーク(SIgN)において、シニア主席研究員Cheng-I Wang博士の率いる研究チームにより見出された、COVID-19の治療薬候補となりうる抗体に関するものである。

リード抗体は多様性の高い人工ヒト抗体ライブラリから取得されており、COVID-19を引き起こすコロナウイルスに対する中和能を示している。CPRは、抗体研究における世界トップクラスの技術力を活かし、抗体の最適化を進め、独自の抗体エンジニアリング技術を適用することで、開発候補抗体を作製する。

出典:https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20200508150000_975.html

Santen、シンガポールのPlano社と戦略的パートナーシップを締結〜製薬・バイオテクノロジー業界事情〜

参天製薬株式会社と Plano Pte. Ltd.は、世界の近視患者が抱える負担に対処するため、戦略的提携を締結したことを発表。この提携により、Plano社は参天製薬から資金を調達することとなる。

Plano社は、2017年に設立された眼科領域のヘルステックのスタートアップ企業。眼科研究開発プロジェクトの商業化と医療展開への加速を目指す、Singapore Eye Research Institute- Singapore National Eye Centre「眼科技術インキュベータープログラム」から初めて独立した企業である。

今回の提携により、Plano社を通じて、シンガポールにおいて日常生活における近視の予防や抑制に対する意識向上やサポートを開始するとともに、他の地域において、この革新的なソリューションの普及を図っていく。同社は、世界での近視の急速な拡大を社会的課題と認識し、眼科領域のグローバルリーダーとして、Plano社と連携し、近視に関する課題の解決と世界中の患者のQOL向上に貢献していく。

出典:https://ssl4.eir-parts.net/doc/4536/tdnet/1856285/00.pdf

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HFAの結成で、シンガポールのヘルスケアイノベーションが加速〜製薬・バイオテクノロジー業界事情〜

Alibaba Cloud, Fintech Academy, Pfizerは、アジア太平洋地域のヘルステックおよびフィンテックセクター全体の変革を促進するヘルスケアフィンテックアライアンス(HFA)の結成につながる覚書の署名を発表した。

この提携は、シンガポール、インドネシア、ベトナムがこのイニシアチブを試験的に実施し、マレーシアとフィリピンに拡大する前に、これらの地域での技術主導のイノベーション開発を促進するように設定されている。

このパートナーシップの下で、Alibaba Cloudは、ヘルスケアとフィンテックの新興企業にクラウドクレジットとメンターシップを提供し、AI、クラウド、その他のデジタルテクノロジーの力を活用して現在および将来のビジネスニーズを満たすことをサポートする。 Fintech Academyは、ベンチャー構築プログラムを通じてスタートアップの特定とトレーニングを支援し、アカデミックな事業運営とプロジェクト実行のためのタレントマネジメントサポートを提供する。

出典:https://www.pfizer.com.sg/alibaba-cloud-fintech-academy-and-pfizer-partner-accelerate-healthcare-innovations-across-asia

シンガポールで製薬・バイオテクノロジー業界大手のiX Biopharma、TGAGMPライセンスを取得

ローカル大手製薬会社のiX Biopharmaは、研究所のTGAGMPライセンスを取得したと発表。新しいGMPテストライセンスにより、製品テストを社内に持ち込み、改善することができる。また市場投入までの時間を短縮し、テストコストを節約できる可能性もある。

新たに確保されたGMPライセンスにより、グループは研究所内で商用および開発製品用に化学物質テストと分析テストを実施することができる。これらは現在第三者の研究所で行われている作業である。新しいライセンスにより、グループはテストとして市場投入までのスピードを上げることができる。

また、品質管理プロセスは、サードパーティのテストラボのスケジュールに依存することもなくなる。さらに、社内の製品テストにより、潜在的なコスト削減も可能となる見込み。

出典:https://links.sgx.com/FileOpen/Press%20Release%20-%20TGA%20GMP%20Licence%20for%20Testing%2028092020.ashx?App=Announcement&FileID=632939

武田製薬、シンガポールでデジタルトランスフォーメーションを加速〜製薬・バイオテクノロジー業界事情〜

武田薬品工業株式会社とアクセンチュアおよびAmazonの関連会社である Amazon Web Services(AWS)は、このたび、武田薬品のデジタル変革を加速するため、5年間の戦略的提携契約を締結した。

今回の提携を通じ、武田薬品はIT基盤の刷新やデータサービスの加速、イノベーション創出に向けた社内組織の変革を推進する。また、従業員に新たなスキルの習得や働き方を許容する体制が整い、クラウド活用を前提とした事業変革を推進する方針である。

同社は今後3年間でデータおよびデジタル領域の専門人材を新たに数百人採用する計画である。かつてない人材層へのアプローチを行うほか、数千人にのぼる従業員のスキル向上を図り、データのさらなる活用力とデジタル化を推進していく。

出典:https://www.takeda.com/newsroom/newsreleases/2020/takeda-accelerates-digital-transformation-with-accenture-and-aws/

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2019年 シンガポールの製薬・バイオテクノロジー(医療・介護)業界

シンガポールのスマホアプリとインセンティブで糖尿病改善へ 〜製薬・バイオテクノロジー業界事情〜

Duke-NUS Medical Schoolはスマートフォンとヘルステクノロジーを活用したモバイルベースのライフスタイル管理プログラムを模索している。特に、2型糖尿病(T2DM)の人が自己管理し健康を改善することを目指しており、1,000シンガポールドル(SGD)相当の金銭的インセンティブも患者に与えられている。

その結果、いままでのように医療施設などのインフラストラクチャーを活用することなく、スマートフォンで簡単に健康管理するので財政面や効率化面において優位であること、そして金銭的なインセンティブを患者に与えることによりT2DM患者のアウトカムが改善しつつあることが示されている。

引き続き治験者を募集し、さらなるデータを蓄積することを行っている。

出典: https://www.duke-nus.edu.sg/allnews/media-releases/mobile-health-programme-simplifies-t2dm-self-management

シンガポールの早期乳がんへの治療に期待、 Novartis〜製薬・バイオテクノロジー業界事情〜

2019年6月20日、スイスに本拠地を置く大手製薬メーカーNovartis International AG(Novartis)は、シンガポールにおいて進行乳癌や転移した乳癌に有効とされる薬剤「Kisqali」(一般名Ribociclib)が承認されたと発表した。

Kisqaliの作用機序はCDK4/6阻害を基礎としているものであり、上記乳癌および薬剤耐性をもつ腫瘍に有効性が示されている。シンガポールのHealth Sciences Authority(HAS)は複数の薬剤治験において効能を示し、今回の承認となった。

シンガポールにおいて、悪性新生物による女性の死因の1位は乳癌である。2015年の統計によると約9,600人が乳癌と診断されており、女性の悪性新生物疾患の3分の1を占めている。本薬剤の承認によって早期乳癌への治療に期待が寄せられている。

出典: https://www.novartis.com.sg/news/media-releases/health-sciences-authority-approves-novartis-kisqali-first-and-only-cdk46

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シンガポールのEko.ai、コンペで優勝した技術とは? 〜製薬・バイオテクノロジー業界事情〜

2019年11月15日の発表によると、世界中の臨床研究家によって構成され、シンガポールとオランダに本拠地を置くスタートアップ企業Eko.aiがEnterprise Singaporeによって主催されたコンペStartup SGにおいて優勝した。

コンペにおいてEko.aiは、心疾患の早期発見と治療のための機械学習ベースのソフトウェアでトップの座を獲得した。Eko.aiが示した技術は、費用と30分の時間を要する臨床技術をクリック後2分で診断する技術であった。

現在、世界では3人に1人が心疾患により死亡している。これを予防するには早期発見と予防が必要となっているにもかかわらず、超音波エコーは技術、費用、診断のいずれも難しく高価となっている。Eko.aiは簡便な方法によりすべての人に心疾患の早期発見と予防できる技術を提供しようと試みている。

出典: https://www.enterprisesg.gov.sg/media-centre/media-releases/2019/november/medtech-startup-clinches-top-prize-at-slingshot-2019

シンガポールのBC Platforms、APACへの業務拡大のため拠点設立〜製薬・バイオテクノロジー業界事情〜

1997年にフィンランドで設立され、ゲノムデータ管理および分析ソリューションを提供するBC Platformsは、2019年11月7日、中国を含むアジア太平洋地域(APAC)での活動を拡大するためのシンガポールにて新たなエンティティを設立したと発表した。

当社による投資計画は、シンガポールに拠点を置く専門家チームの設立やAPACでの販売、顧客サービス、およびR&D機能である。また、事業戦略におけるアジア戦略には、実際の医療およびゲノミクス関連の研究の両方に重点を置いた医療ビジネスを目指している。これはゲノミクスが臨床意思決定のためのメインストリームとなりつつあることを反映している。

一方で当社は、様々な機関とパートナーシップを組みながら、アジアの豊かな多民族性を表すコホート研究を構築することも目指している。

出典: https://www.bcplatforms.com/news/bc-platforms-opens-new-entity-in-singapore-to-spearhead-its-asia-pacific-strategy-and-hosts-launch-event-in-precision-medicine/

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2018年 シンガポールの製薬・バイオテクノロジー(医療・介護)業界

シンガポール初の事業を行う企業、ロシュ社〜製薬・バイオテクノロジー業界事情〜

シンガポールはグローバル展開を図る企業にとって要となる地域であり、バイオ医療分野で今後さらなる成長が見込める

たとえば、科学技術研究庁(A * STAR) は世界トップレベルの大学や地元大学の学生へ奨学金を提供するなど人材育成に注力している。また、シンガポールでは研究機関、研究所、公立病院の相互連携も容易であり、世界の企業を魅了する要因となっている

そのひとつ、スイスのロシュ・グループは、100以上の国々で事業展開している世界的な製薬・ヘルスケア企業だ。特にがん治療や移植治療に使用される医薬品の分野で世界を牽引。神経科学や自己免疫疾患、ウイルス学などの分野でも活躍している。

2009年11月、研究開発地域トアスバイオメディカルパーク (Tuas Biomedical Park)にアジア太平洋生物製剤製造拠点を開設。シンガポールでは初となる高付加価値のバイオ医薬品の製造に取り組んでいる

ロシュ社のシンガポール拠点では、組換DNA技術を使用した生物学的製剤を生産するという、シンガポール初の事業が行われている。世界中から結集された専門知識とロシュ社の臨床開発における知識が組み合わさり、アジア地域で病気や生物学の研究を進展させる拠点となっている

出典:https://www.edb.gov.sg/content/edb/ja/case-studies/roche.html

シンガポールの地元企業を支援する官民連携プロジェクト〜製薬・バイオテクノロジー業界事情〜

シンガポール政府は、積極的に世界中の有力企業や研究者を誘致しているが、もちろん地元のバイオテクノロジー企業の育成にも取り組んでいる。

そんな中、バイオメディカルサイエンス研究開発地域のひとつ、バイオポリス (Biopolis)に官民パートナーシップが誕生した

シンガポール科学技術研究庁 (A * STAR)に含まれるシンガポールゲノム研究所は、地元企業と提携しゲノム配列解読のための新しい研究施設を設立すると発表した。連携した地元企業はゲノムサービスの有力企業、Novogeneとバイオテクノロジー企業のAITbiotechだ。

両企業は、がん治療に利用する次世代シークエンシングの新たな活用法を開発するため、ゲノム配列の解読に努める。「人類に大きな利益をもたらす研究を行っていきたい」と関係者は語る。

出典:https://www.a-star.edu.sg/News-and-Events/A-STAR-INNOVATE/Index/Giving-Local-Biotech-Firms-A-Boost

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製薬・バイオテクノロジー業界でシンガポールがするまでの経緯

ノーベル賞受賞者でシンガポール科学技術研究庁(A * STAR)の元主任研究官Dr. Sydney Brenner教授は、1983年にシンガポールを訪問。当時のリー・クアン・ユー首相とDr. Sydneyの2人が、シンガポールの生存をかけてバイオテクノロジーの開発拠点を構築すると決意したのだった。

それから30年。シンガポールは世界の名だたる企業が拠点を構えるまでに発展し、地元企業も大きく成長した。免疫療法の開発に特化したシンガポールのバイオテクノロジー企業ASLANファーマシューティカルズは、台北証券取引所の公開株式にて募集の29倍を上回る応募があった。

ASLAN Pharmaceuticalsの株式公開(IPO)公募価格は、NT$68.92で公開株式数は2,602,000株。同社は、IPOによって約US$3,300万を調達することに成功した。

これらの実績は国を挙げた努力が実を結んだ証であり、今後のさらなる成長に期待がかかる。

出典:http://aslanpharma.com/app/uploads/2017/05/170524-Press-Release-ASLAN-public-lottery-outcome.pdf

まとめ:シンガポールの製薬・バイオテクノロジー業界

積極的な政府の取り組みにより、大きな発展を遂げたシンガポールの製薬・バイオテクノロジー産業。

研究開発・事業展開しやすい環境が整っていることが、世界中の企業にとって大きな魅力になっています。日本企業にとっても理想的な進出先なのではないでしょうか。

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