キャラクターや映画をコンセプトにしたテーマカフェは、SNSを通じて一躍人気となりましたが、熱しやすく冷めやすいシンガポール人の性格からいくつかのカフェは既に撤退しています。
今回はそんなシンガポールのカフェ・スイーツ業界について、最新情報をお届けしていきます。気になるシンガポールの最新カフェ・スイーツ事情とは?
読了時間の目安:5分
2020
シンガポールでカフェ・スイーツ業界牽引のP.S. Café、中国と韓国に進出
2019年1月17日にシンガポール屈指のお洒落カフェ、P.S.カフェの初の海外店舗となる新天地広場店が上海の高感度エリアである新天地にオープンした。シンガポールのP.S.カフェ同様、「アーバン・ジャングル」をテーマに、開放的で観葉植物や生花を多く配置したレイアウトになっている。
その後、2019年12月20日には上海2店舗目となる、徐家匯にある商業施設Grand Gatewayにも出店した。上海限定のメニュー「lobster and shrimp mac and cheese」と「chicken cacio e pepe」の他、シンガポール名物の海南チキンライス、チリクラブなども提供している。
2019年9月25日には韓国にも進出した。ソウルの高級ショッピングエリア、江南区チョンダムドンにP.S.カフェ チョンダンをオープンさせた。シンガポールの飲食チェーンが韓国に出店するのはJumbo Seafoodに続いて2社目となる。
シンガポールでカフェ・スイーツ業界大手のBread Talk、業績不振により上場廃止
2020年2月24日の発表によると、シンガポールのパン菓子大手でカフェも展開する、Bread Talkは上場を廃止する。創業者会長のジョージ・クエック氏が所有する親会社のBread Talk Group Holdingsは、残余株を1株77セントで公開買い付けに付すと発表した。同社が発行済み株式数の90%超を買い付けた時点で、上場廃止が成立する。
Bread Talkは2月24日に第4四半期決算を公表。その中で同期は810万SGD(約6億円)の赤字となり、通期では520万SGD(約4億円)の赤字を計上した。
上場廃止の背景として、シンガポール国内、ならびに主力市場の中国、香港を含めた経営環境が引き続き厳しいと決算書で記されている。香港では長期にわたる反政府デモで経営が悪化、今年に入ってからはコロナウイルスの感染拡大による影響が出ているとしている。

シンガポールでカフェ・スイーツ業界大手のYa Kun、E50 Awardsにノミネート
2019年11月27日の発表によると、ストール(屋台)から一大飲食チェーンへと発展した、カヤトースト販売のYa Kunが75周年を迎え、記念となる年にEnterprise 50 Awardsを受賞した。Ya Kunが同賞を受賞するのは2回目となる。
Enterprise 50 Awardsは、KPMGとThe Business Timesが主催している。日本で言う商工会議所に当たる、 Singapore Business Federation(シンガポール事業連盟)、Singapore Exchange(シンガポール証券取引所)が共催、OCBC銀行が後援しており、各セクター毎の発展に寄与した国内外の個人企業を選出・表彰する権威ある賞である。
Ya Kunは現在シンガポール国内に60店舗を展開する他、東南アジアを中心に海外にも進出している。75周年を記念してグリコとコラボし、Ya Kun店舗のみで販売するポッキー(コピ味、カヤ味)も販売中だ。
シンガポールのカフェ・スイーツ業界をアピール!Cafe Asia 2019の内容とは?
2019年3月23日の発表によると、シンガポールならびに東南アジアのカフェ、コーヒー、紅茶文化やトレンドを世界に向けて紹介するエキスポ、Cafe Asia2019と、同時開催のInternational Coffee and Tea Industry Expoが開催され、1万5千人が来場した。
このエキスポはBtoB向けで、カフェのオーナー、マネージャー、コーヒーや紅茶の輸入業者や卸、カフェ関連設備の機器や用品の販売業者を一同に介し、双方を結びつけ、新たなビジネスや既存事業の更なる発展も支援すべく、開催されている。また、Restaurant AsiaとSweets & Bakes Asiaという、同業種向けのエキスポも同時期に開催されている。
2019年は各メーカーや事業主のブース出展、展示以外に「Café Clinic」と題し、ステージ上でデモンストレーションやプレゼンテーションなども行われた。日系では四季インターナショナルが抹茶と紫芋パウダーの使用方法のデモンストレーションを行った。
【無料ebook】シンガポールでビジネスをするなら知っておきたい10のこと
2019
アジアからイギリスへ展開、シンガポールのTWG〜カフェ・スイーツ業界事情〜
シンガポールを拠点とするTWG Tea(TWG)は、イギリス国内で2店舗をオープンする計画を公開した。イギリス・ロンドンの中心地であり、劇場やレストランが立ち並ぶレスタースクエアにおいて、653平方メートルの旗艦店をオープンする。
売り場に加え、隣接したティーサロンを併設する予定となっている。同社は2010年に日本に進出し、続いて中国と東南アジアに進出している。2018年10月現在は、アジアを中心に19の国と地域で70のティーサロンとブティックを所有している。
創業から10年が経ち、同社は海外市場、特にヨーロッパと北米市場において、今後さらなる飛躍を遂げることを目指している。2009年以来、英国の高級デパートハロッズで小売店を経営してきたTWGは、ロンドンに2つの独立した店舗をオープンする時期が来たと判断した。また、フランスとオランダにも3年以内に進出することを明かしている。
2020年までにプラスチックストロー廃止!?カフェ・スイーツ業界大手のStarbucksシンガポール
Starbucksは、世界中の店舗において、使い捨てプラスチックストローの使用を廃止すると発表した。これは、世界規模の環境問題に対する抗議の影響を受けたもので、同社は今回の施策により、Starbucksの全ての店舗から年間10億本以上のプラスチック製ストローを無くすことができると予想している。
またStarbucksは、ストローなしで飲むことができる蓋を設計・開発・製造した。現在は、米国およびカナダの8,000ヶ所以上の店舗において、特定のドリンク商品にのみ使用されている。なお、ストローのいらない蓋は、中国や日本、シンガポール、タイ、ベトナムなどの市場でも試験運用が開始されている。
同社はさらに、フラペチーノなど冷たい飲料用に紙や堆肥化が可能な素材でできたストローを、希望する顧客向けにプラスチックの代替素材として提供する。

カフェ・スイーツ業界大手のCosta Coffee、シンガポールから撤退
2018年9月日の発表によると、コーヒーチェーンCosta Coffeeは、シンガポールの全店舗を閉鎖する。8店舗のうち6店舗はすでに閉店しており、Holland VillageとVivoCityの最後の2店舗も閉店予定である。Costa Coffeeの広報担当者は、この決定に関して「2018年の初めにされたものである」とコメントしているが、詳細については明かされていない。
シンガポール市場の撤退が発表された一方で、Costa Coffeeは東南アジアの地域戦略について、フランチャイズ事業の成長に重点を置いてブランドを成長させる計画を進めていると語っている。
2018年4月、Costa Coffeeを所有していた英国の慈善事業会社Whitbreadは投資家からの圧力を受け、Costa Coffeeを独立した上場企業として分離し、Premier Inn Hotelホテルの事業に焦点を合わせると述べていた。
シンガポールで世界初のPusheenカフェがオープン!〜カフェ・スイーツ業界事情〜
ぬいぐるみや絵文字などで親しまれている、ぽっちゃりした灰色のぶち猫のキャラクター、Pusheenをテーマにしたコンセプトカフェが、シンガポールでオープンすることが、2018年12月24日に明らかになった。
Pusheenは、アメリカのアーティスト兼イラストレーターであるクレア・ベルトンが、2010年にオンライン漫画においてデザインしたキャラクター。Pusheenは、彼女の飼い猫をモデルにしたキャラクターであるといわれる。
ベルトンはカフェのインテリアやメインの料理、お菓子などPusheenをテーマにしたメニューの作成に協力している。また、Pusheenブランドを取り扱ったショップも併設される予定。
2018
シンガポール、カフェ・スイーツ業界の最新統計
シンガポール飲食業界に関する最新統計によると、2018年2月のカフェ分野売上は前月比で1.9%、前年比では5.2%の減少となった。
一方、レストラン、ファストフード、フードデリバリーの各分野では総じて売上が増加。飲食業界全体としても前月比・前年比ともにプラスである中、カフェ業界のみブレーキがかかった形だ。
2011年に新しく設立されたカフェビジネスは369。2017年時点でそのおよそ半分が閉鎖を余儀なくされ、店舗運営の継続が難しくなっていることがわかる。
そんな逆風の中、ITやAIの技術を有効活用することで販売データ分析やレシピ開発の時間短縮に繋げ、効率的な経営を目指す店も台頭している。
環境問題・社会問題に取り組む!シンガポールのバリスタアカデミー〜カフェ・スイーツ業界事情〜
Bettr Barista Coffee Academyは、2011年にシンガポールで設立されたバリスタ育成機関。これまでに1,000回を超えるコースやワークショップを開催し、世界30ヶ国から4,000人以上の参加者を受け入れてきた。
同アカデミーのコースは、政府が支援する個人能力開発プログラム「Skill Futures」にも登録されており、シンガポール人とPR(永住権)を所持する外国人は費用の一部援助を申請することができる。
同アカデミーは、環境保護を目的とした生分解性ネスプレッソカップの導入や、低所得層の女性支援活動などにも注力している。このような取り組みが認められ、2015年には環境問題・社会問題に対して積極的に取り組む企業に送られる世界的な賞「B Corporation」の認定を受けた。

シンガポールの大学が支援する学内カフェ起業とは?〜カフェ・スイーツ業界事情〜
シンガポールの食文化は近年大きく進化しており、それは若者が集う学校でも例外ではない。大学のキャンパスにある食堂は、かつての面影がないほどモダンな雰囲気に姿を変えている。
欧米と比較して起業家が少ないと言われるシンガポールだが、シンガポール国立大学や南洋工科大学では学生支援の一環として、キャンパスの一画で学生や卒業生がカフェを運営することが認められている。
カフェの運営許可は、大学へのメリットがあると評価されることが条件だ。2012年には2件だった学内カフェ認可は、2017年に6件に増加。学生にとって実戦的な経営スキル、コミュニケーションスキルなどを習得する貴重な機会となっている。
まとめ:シンガポールのカフェ・スイーツ業界
市場の成長は続く一方で、競争の激しさからカフェ店舗の経営が厳しくなっているシンガポール。効率化や社会活動などといった取り組みがポイントになりそうです。小さな都市国家シンガポールで今後どのようなカフェ業態が登場するのか、注目に値します。