インドネシア国内の大手冷凍食品流通会社が新たなビジネス分野へ積極的に動き出しています。多方面に渡るビジネス展界は国外への動きも活発になっています。
今回は、そんなインドネシアの食品卸業界に焦点を当てて、最新の業界情報をお届けします。
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2020年 インドネシアの食品卸業界
インドネシアのEstika Tata Tiara、2020年大幅設備増強計画〜食品卸業界事情〜
2019年1月10日にIPOが行われ、インドネシア証券取引所に上場した食肉会社PT Estika Tata Tiara Tbkは2019年12月11日にパブリック・エクスポーズを行った。
2018年の売上高8,959億ルピアに対し、2019年は第3四半期ですでに9,033億ルピアを達成、2019年の見通しを1兆2,043億ルピア(前年比:134%)と発表した。一方、純利益の見通しは、1,489億ルピアで前年比160%と大幅な増収増益見込み。
PT Estika Tata Tiara Tbkでは牛肉市場が2018年の71.7百万トンから2025年には77.4百万トンへ増加すると予測しており、2020年の売上高を1兆8,230億ルピア(前年比:151%)に設定し、牛肉生産量とコールドストレージ設備を大幅に増強する計画を発表した。
ネット販売で拡大! インドネシアのTigaraksa Satria〜食品卸業界事情〜
インドネシアの日用品卸PT Tigaraksa Satria Tbk(TGKA)は2019年4月23日にパブリック・エクスポーズを行った。
TGKAは4つの事業①コンシューマー(食品、パーソナルケア商品など)②マニュファクチャリング③LPG充填④教育商品からなる。現在の物流・販売網は、支店数:35、拠点倉庫:4つ、アウトレット数:175千店。2018年の売上高は12兆9,401億ルピア(約1,033億円)で前年比129%。純利益は3,186億ルピアで前年比125%と増収増益の結果であった。
売上高の構成は、コンシューマー事業が94.1%で大半を占め、うち18.2 %はデジタルプラットフォームを通して販売されたもので、今後の成長が期待される。パートナーはGrabKiosとBukalapak。

飲料とパーソナルケア事業で増収! インドネシアのKino〜食品卸業界事情〜
2019年5月29日、インドネシアの日用品卸PT Kino Indonesia Tbkがパブリック・エクスポーズを行った。
2018年の売上高は3兆6,120億ルピア(約288億円)で前年比114%。純利益は、1,500億ルピアで前年比136%となり、増収増益の結果であった。売上高の内訳は、パーソナルケア商品(シャンプー、スキンケアなど)が1兆8,010億ルピア(構成比:50%、前年比123%)、飲料が1兆5,280億ルピア(構成比:42%、前年比:125%)、食品・飼料が2,550億ルピア(構成比:7%、前年比:55%)であった。
2019年3月にパーソナルケア商品を作るPT Ristra Laboratoris IndonesiaとPT Ristra Klinik Indonesiaを買収し、戦略的にパーソナルケア事業を強化した。
Mars、DKSHとインドネシアでもコラボ〜食品卸業界事情〜
インドネシアの食品卸PT Wicaksana Overseas International Tbk(WICO)は2019年7月18日にMarsとパートナーシップを結んだことを発表した。
WICOの親会社であるアジアを中心にマーケットエクスパンジョンサービスを行うDKSHグループと米国を拠点としてグローバルに展開する菓子メーカーMarsとは、1987年にマレーシアでパートナーシップを結んで以来、東南アジア8か国に展開している。
今回、WICOがインドネシアで持つ流通チャネル(卸売、小売、映画館、学校の売店など)にSnickersやSugusからWrigley’sチューイングガムに至るまでのMarsの商品を供給することでインドネシア市場への普及を一気に進めようという取り組みである。
2019年 インドネシアの食品卸業界
インドネシアの国有企業Sarinah、ジョグジャカルタにコーヒーショップ開店〜食品卸業界事情〜
1962年にインドネシアで初めての百貨店としてスタートした国有企業のSarinahは、酒類や食料品の輸入卸販売やインドネシアの特産品であるコーヒーの販売も行っている。
2018年5月10日、Sarinahは同社ホームページ上で、S-kopi(コーヒーショップ)とSK Mart(インドネシア特産品ショップ)をジョグジャカルタで開店したことを報じた。オープニングはジョグジャカルタの政府関係者や一般市民200名が参加し、盛大に行われた。
店舗のロケーションは、ジョグジャカルタの中心部の宮殿群に近い場所で外国人観光客も多く訪れる。コーヒーと高品質のヌサンタラ料理が提供されるなど、インドネシア料理の多様性を示し、地域経済の発展に積極的に貢献することを目指している。
インドネシアの大手ビールメーカーBintang、CO2排出量を大幅に削減〜食品卸業界事情〜
2018年11月8日、ビールメーカーのビンタン(PT Multi Bintang Indonesisa Tbk)は、消費財製造メーカーとして初めてバイオマス施設を東ジャワ州、モジョクルトのサンパンガグン醸造所に導入したことを明らかにした。
設備のプロバイダーPT Tasma Bio Energyとビンタンが共同で開発したこのバイオマス施設は、80%の籾殻廃棄物と20%の木材加工廃棄物を発酵させて発生する熱エネルギーを利用し、従来の天然ガスを燃焼して熱エネルギーを発生させる方法と置き替えられる。
これにより、サンパンガグン醸造所のCO2排出量は年間5千トン削減できる。従来のCO2排出量の90%に相当する量である。

インドネシアの食品・消費財卸業者Kino、統合管理システムポリシーを導入〜食品卸業界事情〜
飲料・食品・医薬品・化粧品を生産販売するPT.Kino Indonesia Tbkは2018年7月2日、同社ホームページ上で「ISO9001・14001・22000・27001・22716に基づく統合管理システムポリシー」を運営するという社長名義の宣言文を掲載した。
Kino Indonesiaでは、継続的な改善を行ない、品質・食品安全・環境・K3・情報セキュリティー・化粧品GMP(優良製造規範)・ハラールとその他システムにこの統合管理システムを適用する。製品の品質を維持し、顧客満足を充足するための規制を遵守することを明記した。
Kino Indonesiaは2016年より、日系大手メーカー森永製菓と合弁会社を立ち上げ、インドネシアで人気なハイチュウを生産していることでも知られている。
インドネシアの食品卸企業Tigaraksa Satria、コンシューマープロダクトに力を入れる〜食品卸業界事情〜
2018年4月30日、食品卸企業PT Tigaraksa Satria Tbkの株主総会が開催され、2017年度の決算が株主に承認された。
2017年の販売は10兆470億ルピア(約770億円)前年比104%。純利益は2,550億ルピア(約20億円)前年比121%。販売構成は、コンシューマープロダクトが94%、教育関連商品が2%、プロパンガス(Blue Gas)が4%を占める。
主力のコンシューマープロダクトの83%は粉ミルクを主成分とするベビーフードで、Sarihusada、NutriciaとWyethの3社の商品で構成されている。残りの17%はその他コンシューマー製品である。近年、インドネシアにおいてベビーフード市場が伸び悩む中、その他のコンシューマープロダクト(前年比132%)に力を入れている。
2018年 インドネシアの食品卸業界
インドネシアのSukanda Djaya、バリに新支店をオープン〜食品卸業界事情〜
Sukanda Djaya は、インドネシア最大の冷凍食品流通企業の一つ。同社は昨年12月、バリ島で飲食店ビジネス向けの機器を提供する支店をオープンした。ジャカルタにも既に同様の機能を備えたオフィスを構えており、バリ島は2番目の支店となる。取扱い機器は、コーヒーマシンなど。
インドネシア全土に18の支店をもち、将来的にはスラバヤ・バンドン・マカッサのような大都市で独自の流通ネットワークを構築することが目標。また、設備のアフターサービスも行なっており、流通と保守の両面からインドネシアの飲料・食品ビジネスをサポートしている。
インドネシア政府、肉類の需要増に応じた流通の改善を啓蒙〜食品卸業界事情〜
人口増加や経済成長などを背景に、インドネシアでは肉類の消費が増加しつつある。この状況を受け、インドネシア政府は肉類の供給および流通の安定を目的に、政府・企業・関係団体によるセミナーを開催した。
その中では、肉類の安定的供給のためにはコールドチェーンシステム(産地から消費地まで一貫した冷蔵・冷凍での流通の仕組み)の実装が重要であることが確認された。政府は、ジャカルタにおける冷凍肉類の現状を分析し、解体された食肉が迅速に冷凍処理される必要があることを強調した。
政府は、安全な冷凍肉類の供給と流通システム確立に向け、各企業が消費者への情報提供を行なうとともに、政府と企業間の連携も必要であると述べた。 2017年の第1~3四半期の輸出総額は7,646万米ドルに達した。
インドネシアのKINO、トップブランド賞を複数の商品で受賞〜食品卸業界事情〜
KINO はインドネシア国内で20年以上にわたり、食品・飲料・医薬品などの販売事業を手掛けている。日本の森永製菓と協力関係にあり、2013年には Morinaga Kino Indonesia を設立している。
同社は、2017年にインドネシアのトップブランド賞を、複数の部門で受賞した。今後もキャンディ・チョコレートのようなスナック製品をはじめ、優れたブランドの製品を開発していく。
マレーシア・シンガポール・フィリピンといった近隣諸国への展開を続けており、今後も消費者のニーズにこたえる業界のリーダーとして、ビジネス展開されることが期待される。

Sukanda Djaya、インドネシア国内初となるガルバニチーズの販売代理店に〜食品卸業界事情〜
Sukanda Djaya は、インドネシアで初となるイタリアのチーズ、ガルバニの販売代理店として、バリ島でガルバニチーズの販売を開始した。ガルバニチーズは白く柔らかい質感で、デザートの材料などに適したチーズである。
Sukanda Djaya Bali のゼネラルマネージャーによれば、「バリ島では高品質なチーズの流通は非常に限られている。こうした状況の中で、我々はガルバニチーズの販売を、著名なホテルだけではなく一般消費者に向けても行なっていく」とコメントした。
Sukanda Djayaは、今後はバリ島だけでなく、17のディストリビューターを通してインドネシア全土でのガルバニチーズ提供を目指すとしている。
まとめ:インドネシアの食品卸業界
インドネシア国内で新たなビジネス展開をする大手流通会社。その動きはインドネシア国内に留まらず、海外の会社の販売代理店を行ったりと積極的な動きを示しています。その動きによって今後インドネシアの食生活がどのように移り変わっていくのでしょうか。