【政治的背景の影響とは】マレーシア食品卸業界の最新動向

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多民族国家マレーシアで日本企業が進出するためにはどのような策略を立てる必要があるのでしょうか?また政治的に大きく変化したマレーシアと海外企業はどのように付き合っていくのでしょうか?

今回は、そんなマレーシアの食品卸業界に焦点を当てて、最新の業界情報をお届けします。

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2020

加藤産業がマレーシア半島全域へ事業展開

2019年12月12日、総合食品卸売業の加藤産業は、マラッカ州を拠点とする地場加工食品卸業であるメリソン社の株式を取得したと発表した。

加藤産業は、高い経済成長に伴って消費市場が拡大するアジア地域において食品流通事業の展開と構築を進めており、国内ではクアラルンプール及び北部で事業を行っている。メリソン社はマラッカやジョホールバルといったマレーシア半島中南部を営業拠点とした有力な卸売企業であり、今回の買収によってマレーシア半島全域を営業拠点とする国内最大級の卸売業グループとなる。

また、同社グループは隣接するシンガポールでも事業を行っていることから、シナジー効果が期待されている。

オリンピックに向けたハラルバリューチェーン

2019年8月15日、マレーシア貿易開発公社は、マレーシアが東京オリンピック2020においてグローバルハラル経済イネーブラーとなることを目指していると発表した。

マレーシア政府と民間部門は『東京オリンピック向けデジタルトレードハラルバリューチェーン』を展開しており、輸出や物流、データ分析、小売り、認証、食料流通、観光など様々な領域を内包している。

2018年のマレーシアのハラル製品輸出額は400億リンギットであり、日本向けは3番目に多い25億リンギットであった。また、マレーシア政府は東方政策2.0において、日本及び韓国でハラル製品・サービスを促進することを重点分野の一つとしている。

デリマ・オイルとDKSHが提携

2019年9月17日、FGV傘下で調理油を製造・販売するデリマ・オイルは、消費財のマーケットエクスパンションサービスを提供するDKSHとディストリビューション契約を締結したことを発表した。これにより、FGV社の川下製品をホテルやレストラン、カフェといったチャンネルに流通することができる。

共同声明において、合意内容にはマレーシア半島の外食産業を対象としてサジの調理油とクリーマー、アデラのマーガリンとショートニング、生地脂肪などの製品流通が含まれていることが示された。

FGVグループのダトー・ハリス最高経営責任者は「本提携は下流事業を拡大するグループ戦略の一部であり、これまで未開拓となっていた食品サービス市場に参入する。」としている。

ココアランド、国内外でスナック高需要

スナックや飲料の製造と卸売販売を手掛けるココアランドは、2019年度第3四半期の収益が前年同期比で1.9%増となる6,557万リンギットを記録したと発表。

卸売業においては、国内及び海外市場においてグミやスナック、パイ製品の需要が高まったことによって収益が増加した。ただ、受託製造している飲料分野の業績が低迷したため、全体の収益は大きく伸びていない。また、製品の展示会及び販売促進費用が増加したことにより、税引き前利益も減少している。

国内事業環境については、業界プレーヤー間の競争激化、為替通貨による原材料価格高騰など、引き続き厳しいことが予想されている。

2019

大手食品卸業者DBEガーニー・リソーシーズ、市場縮小により売り上げ減少

DBEガーニー・リソーシーズは、2001年1月に養鶏、鶏肉加工・卸売を手掛ける会社として設立された。

同社の2018年第4四半期の収益は3,093万リンギットであり、前年同期の2,687万リンギットから15%増加となった。また、売上総利益は401万リンギットで前年同期のマイナス631万リンギットから回復した一方で、2018年度通年の収益は1億823万リンギットで、前年度の1億1,172万リンギットから3.1%の減少となった。

2018年第4四半期の収益増加は主に不動産開発によるもので、家禽・加工部門の収益は減少となっている。特に、同期間中はセランゴール州のKFC販売店への供給量が減少したこと、さらに市場縮小に伴うブロイラーの売り上げ減少も収益減少の要因となった。

FGVと三養食品、ハラールラーメン製造で提携

パーム開発を行う連邦土地開発局(FELDA)の商業部門として2007年に設立されたFGV社は、韓国系食品会社である三養食品とマレーシアにハラルラーメン製造施設を設立する覚書(MoU)を締結した。

本事業提携によって、FGV社は製品の多様化と新市場への進出を計画している。同社の物流及びサポート事業セクターなどの川下事業に関する分野においても総合物流サプライチェーンソリューションを構築・提供することで、売上高の改善を図る。

また、FGVの完全子会社で川下事業を展開するデリマ・オイル・プロダクツは、三養食品が誇る優れた研究開発力と世界幅広い地域にわたる流通ネットワークを活用することで、同社ブランドのサジ製品の販売を世界的に拡大していくとしている。

DKSH、ナバティフードとスナック卸売で提携

DKSHの消費財事業部は、インドネシアの食品メーカーであるナバティフードと、マレーシアにおける市場拡大サービス提供で契約を締結した。

DKSHは、全国のスーパー及びコンビニエンスストアにナバティフードのリッチーズ・チーズ・ウエハースやリチョコ・チョコレート・ウエハース、またナバティ・マイン・バーといった商品の流通と物流、受注処理、売掛金管理サービスを提供している。

DKSHマレーシアのチュア副社長は、DKSHはマレーシアで95年間の実績を重ねており、国内全土に優れた流通ネットワークを確立していることから、ナバティフードの成長を促進するための専門知識と経験を有していると判断したと説明している。

DKSH、冷蔵・冷凍食品卸売のオーリック・パシフィックを買収

DKSHは、冷蔵・冷凍食品卸売のオーリック・パシフィック・マレーシアの買収契約(M&A)を締結した。今回の買収により、DKSHはより利益率の高い食品サービス事業を拡大し、マレーシアの急速に変化する消費財業界における主導的地位を強化する狙いがある。

オーリック・パシフィック・マレーシアの純売上(2018年9月30日までの9ヵ月間)は約2億5,310万リンギットであり、DKSHは同社の株式100%を4億8,090万5,700リンギットで取得することを検討している。同社の既存の経営陣と従業員はDKSHに加わり、業務を継続する。

2019年第1四半期末までに取引は完了予定であり、規制当局の承認を受ける必要がある。また、DKSHは臨時株主総会を開催し、この買収について株主の承認を要請している。

2018

Texchem傘下 日本食レストランで展開「Focal Marketing」

1985年創設。日本食品を中心に、1,000品目以上の食品(冷凍食品含む)をマレーシア国内で提供している。

昨年11月に日系企業である Kokubu Food Logistics Malaysia Sdn Bhd (以下 Kokubu ) の子会社となった。Kokubu という大手企業の後ろ盾を得て、既存販路から幅を広げて売上拡大を目指す。

Kokubu は2016年に Texchem と提携。これにより、マレーシア最大のレストラングループであり、2017年の数値で2.64億リンギットの売り上げを誇る Texchem 傘下のレストランに日本食品を提供することが可能となった。

マレーシアの砂糖王率いる「Kuok Brothers」

1949年創設、砂糖・米・小麦の取引からそのビジネスをスタートした、CEO の Robert Kuok 率いる大企業。香港の不動産会社 Kerry holdings limited も傘下にある。

1968年に PPB Group を設立し、砂糖の生産と製糖工場の運営を開始した。 栽培のみならず加工・精製・流通も自社で手掛け、Robert Kuok は「砂糖王」と呼ばれるまでに。以後、同社は傘下に Wilmar International Limited を収め、食用油の製造やパーム油の先物取引も開始した。同社の2017年収益は、前年比3%増の4.3億リンギット。

マレーシアで生活に欠かせない食品(小麦・米・砂糖)を取り扱う一大企業として君臨している。

一部事業売却で経営改善「IOI Corp」

マレーシア最大規模のコングロマリット。パームプランテーション/パームオイル精製・生産部門内に卸売部門がある。

2017年の年間収益は1.56億リンギットで、昨年の1.45億リンギットからの増益。昨年9月、同社は パーム油精製部門である Loders Croklaan の Bunge 社への事業売却を発表。2018年3月に売却が完了した。

2018年第1四半期は、Loders Croklaan の株式売却費用で、米ドル建借入金の返済が可能となったことで財政状態が改善。パーム油の価格変動はあるが、2018年度の収益は期待ができる見通し。

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ハラール製品展開で市場拡大なるか?「JFC Malaysia」

キッコーマンの海外事業部として、マレーシアで事業を展開。日本食品の輸入を手掛け、2014年からはサントリーモルツの代理店としても展開。

看板商品であるキッコーマン醤油はハラールではなく「Port Free 商品」としての扱いになる。日本では2017年8月に「キッコーマン ハラールしょうゆ 」が開発され、国際的なハラール認証機関である HFFIA (マレーシアの JAKIM とも相互認証) の承認を得た。しかしながら、日本国内のみ販売でまだマレーシアをはじめとしたイスラム圏での海外展開はしていない。

同社の取扱製品はノン・ハラール製品が主であるが、今後は HFFIA の認証を得た上記醤油の他、ハラール対応製品の展開に注目。

マレーシア市場に日本米と日本酒を「DOKA SDN BHD」

日本酒の流通量が少なかったマレーシアで、「鈴木商店」はマレーシアの特に富裕層からの人気を勝ち取った。日本米の取扱数も豊富で、同国での「あきたこまち」はほぼ同社の取り扱い。伊勢丹や一部スーパーマーケット内のみでの店舗展開だが、日本食レストランにも直接卸売を行なうことでシェアを拡大している。

また2017年9月には、オンラインショッピングにも進出し日本米を自宅まで配送するサービスを開始した。ネット限定の日本米もあり、今後のさらなる展開に期待。

政権交代による国内市場への今後の影響は?

2018年5月9日に行われた総選挙で、マハティール前首相が率いる野党(PAKATAN HARAPAN) が勝利をおさめ、歴史的な政権交代とともに同国史上最高齢 (92歳) の首相が誕生した。

翌週、新政府は現在6%のGST (消費税) を2018年6月1日から0%とし、GST 導入以前の S&S (セールス&サービス税) を復活させることを示唆。マニフェストを実現する形とはなったが、詳細はまだ不明であり企業は対応に追われることになる。

また、同じくマニフェストに謳った国内農家の保護についても、輸入頼りの現状から国内生産率向上を支援する方針だ。輸入規制こそ明記されてはいないが、GST0%化と並び、食品卸業界 (特に米や畜産輸入を取り扱う業者) への影響に注目が集まる。

まとめ

政治的変化というのは経済面において大きな影響を及ぼします。その変化による付き合い方も多様性に富んできます。日本の食品卸業界に今後どのような影響を及ぼすのでしょうか?またマレーシア国内の新たな事業はこれからいかに発展していくのでしょうか?

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