【米輸入自由化の影響は?】フィリピンの食品卸業界

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フィリピンの農業生産は、主に国内消費者向けのコメ、トウモロコシ等の食糧作物と、外国輸出向けのさとうきびやバナナの輸出用換金作物に大別することができ、前者は小規模経営者が、後者は大規模農園が主体となっています。

今回は、そんなフィリピンの食品卸業界に焦点を当てて、最新の業界情報をお届けします。

読了時間の目安:5分

2020

米の輸入自由化による農家の減収が懸念

2019年6月22日の発表によると、米の倉庫保管、輸送、梱包、卸売から小売まで幅広く行うVJ Ricemillは、他国からの安価な米の流入が米の価格を引き下げたため、米の関税法はこれまでに950億ペソの農家の収入を下げたとするフィリピン農業商工会議所(PCAFI)の発表をホームページに掲載した。

中央ルソン島の一部の地域のパレー(脱穀前の米)の1キロあたりの価格は、以前のP17~P20からP11からP13に既に下がっている。同社を含む民間部門は、市場に参入する米の品質に対する懸念を表明した。

PCAFIによれば、以前の輸入は不足時のストック用であったため、外国産の米は長い間倉庫に貯蔵された後出荷され、地元の倉庫に再び貯蔵されていた。害虫駆除のために農薬が噴霧され、古い香りがするために人工香料が噴霧されるなど品質の悪化が懸念されている。

フィリピンへの日本産食品の輸入規制の撤廃

2020年1月9日、日本の農林水産省は、フィリピン政府が東日本大震災以降に実施していた、福島・茨城・栃木・群馬県から輸入される牛肉、野菜・果実、水産物の放射性物質検査報告書や産地証明書の提出規制を撤廃したと発表した。

以前フィリピン政府は福島産の水産物の輸入停止を一部撤廃していたが、今回の発表で全面的な規制の撤廃となる。フィリピンは日本にとって輸出大国であり、平成30年のフィリピン向け食品・農林水産物の輸出額は165億円。

今回のフィリピンの輸入停止措置の解除により、福島第一原子力発電所事故に伴い輸入停止の規制を設けている国・地域の数は7に減少した。輸入規制措置を継続している国・地域の総数は23のままである。

食品卸の「Kadiwa」、復活なるか?

上院議員志望でマルコス元大統領の娘であるMa. Imelda Josefa “Imee” Marcosは、パンパンガ州で開催された政党の集会において、マルコス元大統領の行ったプロジェクトである食品卸売業者のKadiwaを復活させると有権者に訴えた。

イロコスノルテの知事として、彼女は同州のさまざまな場所でKadiwaセンターを設立し、一般的な市場レートよりもはるかに低い商品や食品を販売した実績がある。Kadiwaでは、地元の農家や貧しい家族のために価格の上昇に対処できる。

州政府の中小企業庁によると、Kadiwaは生産者から直接供給された野菜や鶏肉だけでなく、米、麺、砂糖、イワシ、コーヒーも販売しているため、多くの人々から購入されている。上院議員に選出された場合、これを全国区に広めたい方針。

持続可能なプラスチック材料、今後の可能性とは?

2019年12月13日の発表によると、加工食品の原材料の卸売を行い、食品以外の製品も取り扱っているD&L Industriesは、今後の使い捨てプラスチックの使用禁止の可能性を考慮して、自社の製品を通して企業にビジネスソリューションを提供する。

同社は国際的に認証された生分解性プラスチックと添加剤を製造するフィリピンで唯一の会社である。地元のプラスチック産業にサービスを提供するだけでなく、輸出市場においても生分解性の包装材料に切り替える企業に向けた販売を視野に入れている。

同社のチームは長年にわたり、環境に優しく持続可能なプラスチック材料の分野で積極的に研究開発を行ってきた。現在までに国内の使い捨てプラスチック汚染を軽減するための製品として、Biomate™とBiorez™の2つの独自製品ラインの開発に成功している。

2019

業務用食品卸業者D&L Industries、研究開発への投資実る

主に加工食品や洗剤などを取扱う卸企業のD&L Industriesは、2018年度の9ヶ月間において経常利益が前年同期比13.3%増の24億ペソ、1株当たり利益0.34ペソを計上したことを公表した。利息および税金控除前利益は12%増加し、30億ペソとなった。

ハイマージンスペシャリティプロダクツ(HMSP)の売上数量が牽引となり、前年同期比で8%増、前四半期比で4%増となった。HMSPの収益貢献度は、2017年通年の58%に対して63%であった。高利益率の事業成長は研究開発への投資を反映しており、市場浸透率を高めた結果である。

食品部門の純利益は支払利息の増加により、前年同期比2%減少した。食品部門は同社の輸出総売上高の36%を占めており、今後は輸出総売上高を50%まで引き上げる目標を掲げている。

国内大手卸業者AgriNurture、官民パートナーシップ提案

生鮮食品を主に取扱う卸企業、AgriNurtureInc.(ANI)は、貧困層でも健康的な食へアクセスできるよう、フィリピン政府(National Food Authority :NFA)が価格維持を務めるNFA米供給の官民パートナーシップ(PPP)プロジェクトの最初の提案者となったことを報告した。

この合意に基づき、ANIは四半期あたり50万トンのコメの調達資金の調達を担当することになった。これは補助金付きNFA米の全国在庫の約2週間分に相当する。ANIと比政府は共同で、原産地、供給業者、配達および到着期間、積載、および港の搬出を決定するものとする、と述べている。

プロジェクトは、国家経済開発庁(NEDA)の「政府機関と民間企業との間の合弁事業(JV)契約のガイドラインおよび手続き」に基づく、技術的および法的プロセスの両方に従って進められる。

米系食品卸会社Cargill、事業拡大のため追加投資

家畜飼料を主に取扱う卸企業、Cargill Philippines Inc.は、鶏肉と豚肉の国内需要が高まる中、今後2年間で125億ペソ(2億3500万ドル)を事業拡大に充てると発表した。この資金は、動物飼料および栄養事業、ならびに農業サプライチェーン事業の拡大に使用される。

農業への投資は強く必要とされており、投資を行うことは会社にとっても理にかなっているため、同社はこの分野へのさらなる投資の必要性に対応するつもりであると強調した。これは東南アジアと中国への拡大計画の一環だと同社は位置付けている。

同社はフィリピンで1948年に設立され、創立70周年を迎えた。現在、国内27か所に2200人の従業員を擁している。また、フィリピンのファーストフード大手、Jollibee Foods Corporationとの合弁事業であるC-Joyも設立一周年を迎える。C-Joyは鶏肉を国内消費用に加工する施設である。

双日、小麦流通のバリューチェーン構築へ

主に製粉商品を取扱うMabuhay Interflour Mill Inc. (MI)は、日本の大手商社、双日が発行済み株式の25%を取得したことで、フィリピンにて同社と協同し、小麦粉の製粉事業、小麦粉を中心とした食料原料卸事業、パンの製造・販売と小麦流通のバリューチェーンを構築する。

双日はまた、小麦粉を中心に砂糖、油脂等の製菓・製パン材料を取り扱う原料卸、Sojitz Asia-Pacific Trading Inc.(SAPTI)を国内大手卸売企業と共同で設立。SAPTIは、双日の顧客ネットワークを生かして、フィリピン最大の総合食料原料卸を目指す。

フィリピンでは、経済成長に伴い小麦食の増加など食文化が変化している。小麦製粉事業、原料卸事業、製パン事業という小麦流通のバリューチェーンを実現することで嗜好の変化に対応し、食の安心・安全に対するニーズに応え、同国の食文化の発展に寄与する考え。

2018

フィリピン全土でサプライチェーンが発達

ここ数年の食品卸・小売業界における近代化によって、サプライチェーンの重要性が増加。各企業やスーパーマーケットが流通チャネルとして機能することで、フィリピン全土での鮮度の良い食品流通がを実現している。こういった流通システムが整備されることは、2025年に向けた経済成長政策に大きく貢献すると言われている。

下記グラフの通り、2012年から2017年にかけて食品卸業界の売上が増加していることがわかる。外的な要因としては、人口が1億人を突破したこと、中間所得層人口が2,000万人に増加したこと、スーパーマーケットやコンビニエンスストアの店舗数が増加したことが挙げられる。

国内最大の食品関連グループSan Miguel

フィリピンシェアNo.1のビールを製造・販売する一大企業グループ、サン・ミゲル。2000年以降はビール等の飲料に留まらず、経営拡大のために様々なグループ企業を興した。その中で San Miguel Pure Food を中心とした食品卸グループ企業を展開、10の企業で構成されている。

2017年のサン・ミゲルグループ企業の連結売上高は、8,260億ペソを達成。前年比で21%増加した。

また、San Miguel Pure Foods の連結売上高は1,174億ペソで前年比で5%増。その背景としては肉類および付加価値の高い肉がともに好調であったことが挙げられる。

多角化戦略で躍進するSan Miguel Pure Foods

San Miguel Pure Foods は、2001年に San Miguel Food Group とPure Food が経営統合したことにより設立した企業。現在では、フィリピン国内の食品卸売業界を牽引する企業の1つに成長。

10のグループ企業で構成されており、各企業の取り扱い食品を分けることで多角化戦略を採り入れている。

  Magnolia:乳製品 San Miguel Super Coffeemix Company:コーヒー

  Great Food:肉、コーヒー、ドレッシング、缶詰

San Miguel Pure Foods は、2019年に20,000平方メートルの巨大な食品工場をラグナ・サンタローサに建設することを発表。大量生産、安定供給、食品の安全性向上、高栄養食品の開発といった恩恵が期待されている。

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海外食品取り扱いの食品卸会社 NEXTRADE

NEXTRADE は2,400種類もの食品を取り扱っており、中でも辛ラーメンなどの韓国ブランドが多い。主な納品先として SM super market、Robinsons、Rustants、Metro supermarket、Walter Mart、セブンイレブン、そしてミニストップが挙げられる。

同社の強みは国内全土に配送できる流通システムと、莫大な量の在庫を保管できる国内4ヶ所の巨大倉庫が挙げられる。またマーケティングにも力を入れており、商品陳列へのこだわりや、店頭販売・サンプルの提供、あるいは韓国系の食品博覧会に積極的に参加するなどしている。

セブンイレブンで最も売上が大きいのは辛ラーメンであり、ブランド戦略に成功。今後も新たな韓国ブランド食品の参入が予想される。

設立70年、老舗の国内食品卸企業 Suy Sing

Suy Sing は食品卸売企業として1946年に設立し、70年の歴史を持つフィリピンで最も古い国内企業の1つである。独自の流通システムで約15,000店舗のスーパーマーケットに食品類を卸している。同社は185カテゴリー・4,000種類の食品類を取り扱っており、その運送には250以上のサプライヤーが携わっている。

オペレーションセンターを設けたことで的確なデリバリーサービスの提供が可能に。また、各店舗ごとの需給分析により適正な納品数のコントロールを実現、コストを抑えて低価格で消費者に提供している。

2018年2月には、パンガシアン州で独自の流通網を有効活用、いくつかの商品をパッケージにして消費者に直接届ける「Break case」サービスを開始した。このサービスにより、更なる利益の拡大を図る。

まとめ

サプライチェーンの充実というのは食品卸業界において重要な基盤となっていきます。基盤が整ったことにより食品卸業界だけでなく様々な業界の動きが活発になり、フィリピン経済の発展につながるといいですね。また伝統のある会社が革新を繰り返し、伝統を守りながらも新しい分野に積極的に取り組んでいく姿勢が楽しみです。

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