マレーシア国内大手不動会社は日本の企業と合同事業に取り組み住宅開発に着手しています。今後の不動産仲介業界の展望とは?
今回は、そんなマレーシアの不動産仲介業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
読了時間の目安:5分
2020
マレーシア、売れ残り物件は高止まり〜不動産仲介業界事情〜
財務省傘下の国立不動産情報センターは、2019年における国内不動産市場に関する報告書を発表した。まず、不動産取引量については、2019年は前年比4.8%増となる32万8,647件、金額は同0.3%増となる1,414億300万リンギットを記録した。
住宅セクターは不動産取引量全体の63.7%を占め、前年比で6.0%増となる20万9,295戸であった。売れ残り物件は前年から5.1%減少して3万6,664戸であったものの、依然として高い水準にある。
州別では、ジョホール州が全体の18.4%を占め最多、以降ペラ州(16.4%)、セランゴール州(15.3%)が続いた。物件別では、コンドミニアムなどの高層住宅が48.8%、テラスハウスが32.2%であった。さらに、テラスハウスでは30万~50万リンギットの物件が多く売れ残った。
マレーシアの2019年の不動産市場分析〜不動産仲介業界事情〜
不動産コンサルティング会社のラヒム&カンパニーは、マレーシアの不動産市場は過去数年間鈍化していたが、2019年上半期は住宅、商業、工業セクターを含む様々なセクターで5%以上のプラス成長を示し、改善傾向にあると分析した。
2017年と2018年の不動産取引量は減少傾向だったが、2019年上期は有望な数字を示しており、市場は上昇サイクルに向かっていると見られる。ただ、2019年上半期においても売れ残り物件数は5万戸を超えており、2018年末から6ヵ月間で約7,000戸も増加するなど依然として問題となっている。
2020年は2019年に続いて更なる改善を予測しているが、まだ不安定な状況にあり、内部・外部要因によって様々な調整が行われる可能性が高いとしている。
出典:https://www.rahim-co.com/zata_da/src/doc/pmr_2019:2020.20201211417602.pdf#

イスカンダルマレーシア、供給過剰も好調〜不動産仲介業界事情〜
イギリス系不動産コンサルティング大手のナイトフランクは、イスカンダル・マレーシアにおける2006年から2019年上半期までの累積投資額が3,020.9億リンギットを記録しており、2025年までに目標投資額である3,830億リンギットを達成すると予想した。
2019年上半期時点で投資総額の59%が実行されており、その内39%は中国とシンガポールからの海外直接投資となっている。中国人は不動産開発に多額の投資を行い、シンガポール人は製造業・物流部門に目を向けている。
同社ジョホール支店のデビー・チョイ支店長は、高層住宅など供給過剰に陥っているセクターもあり、不動産市場環境は厳しい状況だが、医療・産業セクターは投資家にとって魅力的な機会であるとしている。
出典:https://www.knightfrank.com.my/news/iskandar-malaysia-remains-in-the-radar-of-investors-013307.aspx
マレーシア・サバ州不動産情報サイト開設!レガシー不動産〜不動産仲介業界事情〜
サバ州を拠点とするレガシー不動産は、不動産ウェブサイトをソフトローンチしたことを発表した。ウェブサイトは、2020年5月1日より一般公開。
本ウェブサイトでは、不動産所有者が無料で物件情報を掲載することができ、買い手と直接取引ができる。また、不動産所有者はオプションとして代理店の支援サービスを受けることもできる。
買い手のメリットとしては、重複掲載がなく、ウェブサイト掲載前に所有権の有効性をスクリーニングされていること、フィルターやキーワード検索機能が利用可能な使いやすいプラットフォームである他に、プロパティハンターとのコラボレーションで3Dバーチャルツアーを利用できる。
出典:https://legacyre.com.my/press-released-soft-launching-of-legacyre-website/
今後のマレーシアの不動産業界、優位性を持てる企業とは?
不動産テクノロジー企業のプロパティグルは、COVID-19の影響で不動産取引量が短期間に最大30%減少する可能性があると分析し、同社のテックケアーによって不動産業界を支援すると発表した。同社は、2020年下半期を通じて消費者心理の低下が続くと予測している。
発表されたのは『1対1キャンペーン』、『市場継続オファー』、『リスティング救済パッケージ』の3つのイニシアチブで、デジタルキャンペーン1ヶ月延長やマーターポートを使ったバーチャルツアーなどが含まれている。
同社カントリーマネージャーのフェルナンデス氏は、活動制限令によってデジタル化の必要性が高まっており、オンラインで存在感を持つ企業は有利な立場になるとしている。
2019
2019年のマレーシア不動産仲介業界見通し
マレーシア政府の2019年度予算案で消費者心理改善と積極的な政策を打ち出したが、プロパティ・グルは2019年前半まで不動産市場は下落が続くと予測している。
プロパティ・グル市場指標では、全国の不動産仲介者や個人所有者による提示価格が前期比で2%下落、前年比では価格は2.3%下落した。特に、2016年第4四半期以降はKLとセランゴール、ペナンの価格は下落傾向で、ジョホールは大幅な下落が始まっている。一方、賃貸価格指数では、KLは横ばい、セランゴールは急落、ペナンは上昇、ジョホールは下落傾向にある。
住宅に対する需要は依然として高く、2019年も引き続き増加を続けると予想される。ただ、住宅需要の高まりが、価格上昇に直結するとは言えない。
マレーシアで不動産仲介業界大手のプロパティ・グル、不動産ローン事前承認をローンチ
プロパティ・グルは、『プロパティ・グル住宅ローン事前承認』を開始したと発表した。同社によると、92%のマレーシア人が不動産購入を希望しているが、住宅ローンの棄却率は高止まりしている。
そこで、同社は事前承認を受けられるソリューションを開発した。システムでは、まずマレーシア信用機関から住宅購入者の信用度スコアと格付けを取得する。次に、住宅購入者が銀行によって承認することができるローンの金額を示すため、正確な債務返済率を計算する。これは99.9%の精度で5分以内に行われる。
その後、住宅購入者は同社の45万超の物件から融資額に一致する物件を選ぶ。住宅購入者は物件選択後、自信を持って提携銀行へ申請できる。

2019年度予算案、マレーシアの不動産仲介業界への影響は?
大手不動産仲介のヘンリーブッチャーマレーシアは、マレーシア政府の発表した2019年度予算案についての見解を発表した。
予算案において、現在の低迷している不動産市場を刺激するのに役立つ政策はあまり示されなかった。ただ、税負担軽減などいくつか評価できる点もあった。また、手頃な価格の住宅セクターが再び注目を集めたため、予算は低所得層と中間所得層向けが重視された。
全体的にも、2019年度予算案は不動産セクターに多くの恩恵をもたらすことはないが、2019年と2020年の堅調な経済成長率は、安定した不動産市場を後押しできる。また、前政権の不正行為を一掃する現政権の決意は、より秩序ある不動産市場の回復につながると期待している。
マレーシアの不動産仲介業界は緩やかに改善の兆し
不動産仲介のナイトフランクマレーシアは、2018年下期の不動産市場調査報告書を発表した。まず工業不動産については、より規模が大きく高い仕様が求められている。また、政府は航空宇宙セクターなどの主要産業開発に焦点を当て、戦略的地域での工業不動産開発を奨励している。
オフィス市場は賃料に大きな変化はなかったが、特定市場においては僅かに稼働率が低下した。また、国内では古いオフィスが入居者のニーズを満たすため、改修検討が増加している。
また、総選挙以降は住宅セクターの信頼水準は回復傾向にあり、デベロッパーは楽観視している。同社は、2019年はより意欲的な売り手や見識の高い買い手が住宅市場に参入すると予想している。
【無料ebook】マレーシアでビジネスをするなら知っておきたい10のこと
2018
マレーシアで不動産仲介業界大手のIREKA、阪急阪神不動産とニライ地区の共同開発で合意
Ireka は、1967年に設立されたマレーシアの大手不動産デベロッパー。クアラルンプール市内のモントキアラ地区を中心に住宅開発を行っている。他に、インフラ開発やITソリューション業も手掛けている。
同社は、ヌグリスンビラン州ニライ地区の「RIMBUN KASIA プロジェクト」を阪急阪神不動産と共同開発することで合意。両社は本プロジェクトにおいて、総戸数382戸 (9階建て) と同465戸 (29階と19階建ての2棟)のコンドミニアムを開発する。総開発価値 (GDV) はRM4億超となる。
この発表に先立ち、阪急阪神不動産はIrekaの子会社であるMeadowfield Sdn Bhdの株式45%を取得、残り55%は Ireka が引き続き保有する予定。
マレーシアのUEM Sunrise、2018年第1四半期の売上高が大幅増〜不動産仲介業界事情〜
UEM Sunrise は、マレーシアの政府系ファンド「Khazanah Nasional」が100%出資する UEM Group の不動産開発部門。住宅開発、商業施設開発、賃貸事業を手掛けている。
2018年第1四半期の業績は、不動産開発事業の売上高が4億3,430万リンギットで前年同期の1億6,940万リンギットから156%もの増加。売上高の39%はマレーシア中部であり、37%がオーストラリアのメルボルンでの国際プロジェクト、残り24%がマレーシア南部となっている。プロジェクト総額 (GDV) は3億5,680万リンギット、税引後利益は 2,530万リンギットで、前年同期の2,330万リンギットから約9%改善している。
マレーシア中部で開発した Kondominium Kiara Kasih は連邦領省と進める初めての「RUMAWIP (手頃な価格設定の住宅) 」であり30万リンギットで建物面積850平方フィート、719戸のプロジェクトをローンチした。

世界基準の高齢者向け施設、3社合同でマレーシアに〜不動産仲介業界事情〜
UEMグループ、政府系投資会社 PNB社 傘下の Pelaburan Hartanah社、そしてメディカル・ケア・サービスの3社は、マレーシア初のユニークかつハイクラスな高齢者ケアサービスプロジェクト「Rei Seraya Residence」を発表した。このコンソーシアムは、先進諸国にも劣らない世界クラスの高齢者向け施設をクアラルンプールで提供する。
同施設は高齢者施設を専門とするオーストラリア人建築家によって設計され、運営は業界で15年以上の実績を持つメディカル・ケア・サービス社が行う。認知症のケアやデイケア・療養サービスを提供するアシストリビング (300平方フィート) と、2ベッドのアパート形式となるインデペンデントリビング (900平方フィート) の2種類から選ぶことができる。
マレーシアで不動産仲介業界大手のSime Darby Property、Serenia Cityの住宅開発へ
Sime Darby Property は、2017年末時点で行政都市プトラジャヤ、IT都市サイバージャヤ等に20,743エーカーの開発可能地を保有する大手不動産デベロッパー。2017年2月にコングロマリット企業 Sime Darby から分社化され、不動産開発に特化している。
同社は、クアラルンプール国際空港近くの Serenia City で初となる住宅開発を行うと発表。Serenia City は2018年10月にエリート・ハイウェイと接続され、Salak Tinggi ERL駅近くの好立地にある。
25.14エーカーの土地に302戸の2階建てリンクハウスが建設され、建物面積は1,830~2,055平方フィート。最初のフェーズで126戸を販売、ブミプトラ(※マレー人優遇政策)引前の価格は536,888リンギットからとなっている。なお、完成予定は2020年4月である。
まとめ:マレーシアの不動産仲介業界
不動産仲介業界の売上は好調であり、合同事業を行うことにより今後も新たな事業を開拓することが可能になります。政府系の投資会社と共同することで世界基準の施設建設も可能になり今後不動産仲介業界はさらに発展を遂げそうです。