シンガポールの証券取引所は主要な国際株式市場の一つであり、ASEAN地域最大の証券取引所として大きな役割を担っています。
今回は、そんなシンガポールの証券業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
読了時間の目安:5分
2020年 シンガポールの証券(金融・法人サービス)業界
シンガポールのMASがフィンテック企業を支援!600万SGDの助成金計画〜証券業界事情〜
シンガポール金融庁(MAS)、シンガポールフィンテック協会(SFA)、AMTDファウンデーションは共同で、COVID-19によって影響を受けたフィンテック企業を救うため、600万SGDのフィンテック連帯助成金制度を開始すると発表した。
これは、FinTech企業が業務を維持し、革新と成長を続けることができるようにサポートするためのもの。助成金は、金融サービスおよびFinTechセクターの機能を維持および強化するために、2020年4月8日にMASが発表した1億2500万SGDのサポートパッケージを補完している。
AMTDは、FinTechのエコシステムをサポートするために、最初に200万SGDを提供。MASは金融セクター開発基金からさらに400万SGDを提供し、総額600万SGDを助成する。助成金の申請は2020年5月18日に開始され、2021年12月31日まで利用可能になる。
出典:https://www.mas.gov.sg/news/media-releases/2020/new-grant-scheme-to-support-singapore-fintech-firms
シンガポールで証券業界大手のUOB KayHian、Catalyst rule204を放棄
取締役会は、子会社の1つであるUOB Kay Hian Private Limitedが、Catalyst rule 204への準拠の放棄について、2019年10月14日および2020年2月11日の免除申請をSGX-STに提出したことを発表した。
Catalyst rule 204では、企業財務諮問業務または関連する助言業務でそれぞれ最低5年の経験を持つ2人以上の登録専門家(RP)がいることを要求していた。そして、これらの登録された専門家の1人は、申請の5年前に少なくとも3つのリスティングについて助言している必要があった。
権利放棄により、同社はコーポレートファイナンスのアドバイザリー業務またはそれに関連するアドバイザリー業務で少なくとも10年の経験があり、申請前の10年間で少なくとも5つのリスティングについて助言をしていた2人のRPを雇用することにしている。
出典:https://www.uobkayhian.com/investor-relations-announcements.html

SBI Securitiesシンガポールが証券免許を取得〜証券業界事情〜
株式会社SBI証券の子会社であるSBI Securities (Singapore) Pte. Ltd.は、シンガポール金融庁より、証券先物法に基づく資本市場サービス免許(Capital Markets Services Licence under the Securities andFutures Act (CAP. 289) (THE SFA))を取得したことを発表。
同社はホールセールビジネスの強化を図るべく、これまでも人員・組織の体制整備を図ってきた。国内のみならず海外機関投資家へ顧客基盤を拡げるため、2018年7月より香港現地法人において日本株ビジネスのサービスを提供している。
今回、SBIS-SGが資本市場サービス免許を取得したことで、同社にとって2社目の海外現地法人が営業を開始することになる。さらに欧州と北米への海外拠点展開も視野に、今後もプライマリー及びセカンダリーマーケットにおけるホールセールビジネスを強化し、総合証券として一層の事業基盤拡大していく見込み。
出典:https://www.sbigroup.co.jp/news/2019/1002_11683.html
シンガポールで証券業界牽引ののiSTOX、東海東京FHから500万USDを資金調達
シンガポールの証券マーケットプラットフォーム「iSTOX」は、日本の金融サービス会社である東海東京フィナンシャル・ホールディングスから、シンガポール現法の東海東京グローバル・インベストメンツを通じて500万米ドルを調達したことを明らかにした。
この取引を受けて、iSTOXは東海東京のネットワークを通じ、日本国内の機関投資家と証券発行者を繋ぐことが可能になるとしている。この他の主要株主には、マルチアセット市場インフラのオペレータでもあるシンガポール証券取引所、Temasek傘下のHeliconia CapitalManagementなどがある。
iSTOXはブロークチェーンベースのデジタルインフラ企業IchxTechにより設立・運営されている。あらゆる主要金融センターの中で、デジタル証券の発行と取引を一貫で提供する、初のキャピタルマーケットプラットフォームとして話題を呼んでいる。
2019年 シンガポールの証券(金融・法人サービス)業界
シンガポールで証券業界大手のUOB-Kay Hian、税引後利益前年度比1.9%減
証券大手UOB-Kay Hianは「2018年は厳しいビジネス環境であったものの、2017年度から大きく利益を減らすこともなく、比較的経済環境の良好であった2017年度とほぼ同じレベルである1.9%減の税引後利益を達成した」ことを報告した。2018年におけるグループ営業収益は、2017年度の376.2百万シンガポールドル(SGD)からわずかに減少し、営業総利益は0.3%減の375.0百万SGDとなった。税引後利益では2017年度76.2百万SGDから1.9%減の74.8百万SGDとなった。
純利益が微減にとどまった要因として、資産管理におけるサービス品質の向上、外国為替取引の拡大が挙げられる。また、コーポレートアドバイザリーサービスが収益に大きく貢献した。香港、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイで幅広いコーポレートアドバイザリーサービスを提供できるようになり、エクイティ取引業務を支援した。
UOB-Kay Hianは、地政学的および市場の不確実性が2019年の特徴であり、それらが株式市場に影響を与えると予想しており、事業見通しに関して引き続き慎重な姿勢である。
出典:https://ir.chartnexus.com/uobkh/doc/AR/ar2018.pdf
シンガポールのNUSが運営!アジア金融政策フォーラム、今年のアジェンダは?〜証券業界事情〜
2019年5月、アジア金融政策フォーラム(AMPF)が6年連続で開催された。フォーラムにおけるアジェンダは、米ドルの主要な役割と、それが金融政策に与える影響に関する議論、およびデジタル通貨がもたらす課題であった。
今回の議論では、ドルの優位性に関するものや、デジタル通貨の破壊的な性質、国際通貨システムが直面している課題、そして将来の雇用について、さまざまな議論が行われた。
AMPFはAsian Bureau of Finance and Economic Research(ABFER)の年次会議と併せて開催された。シカゴ大学ビジネススクール、NUSビジネススクール、およびMonetary Authority of Singapore(MAS)の共催で運営されている。特に、AMPFは、アジアの政策立案者が直面している経済的および金融的な課題に関する知識レベルを高めることを目的として、参加者が専門分野で意見を交換し、洞察を共有するための貴重な機会となっている。
出典:http://abfer.org/events/abfer-events/annual-conference/annual-conference/147:investment-finance-2019

シンガポール金融研究機関、121の職業に関する予測〜証券業界事情〜
2019年4月23日、Institute of Banking and Finance Singapore(IBF)とシンガポール金融管理局 (MAS)は委託研究結果を公開し、データ分析と自動化と、今後3年から5年の間にシンガポールの金融部門における121の職務に関する中期的観測を示した。
調査によると、121のうち約半分の職種においてテクノロジーを利用することによりパフォーマンスを向上させることができ、また3分の1の職種においてはテクノロジーが職務を代用することになる。残りの職種に関しては、テクノロジーとの協働により職務が変化するという調査結果となった。
過去9か月間にErnst&Youngが実施し、シンガポール労働省が発表したこの調査では、データ分析と自動化によって必要なスキルも明らかにされた。IBFとシンガポール労働力開発庁 (WSG)は体系的なトレーニングを通じて金融専門家がテクノロジーに精通したキャリアを開始できるようにするための「Technology in Finance Immersion Program」(TFIP)を開始した。
出典: https://www.ibf.org.sg/programmes/Pages/Future%20of%20Finance%20Jobs%20Study.aspx
シンガポールのMAS、株式金融市場へ。75百万SGDを投資〜証券業界事情〜
シンガポール金融管理局(MAS)は、新たに7,500万SGDのGrant for Equity Market Singapore(GEMS:株式市場への助成金)を開始する。
GEMSは3つのテーマにおける助成金であり、一つ目は、 Listing Grantつまり、新規上場(IPO)費用の一部を負担することにより、シンガポール証券取引所(SGX)への上場を企業へ促進する。二つ目は、Research Talent Development Grantであり、株式研究の人材を育成することにより、シンガポール企業を研究対象とする範囲を広げることである。最後に、Research Initiatives Grant、つまりシンガポールの株式システム開発を推進するためのクラウドソーシングを率先して開発するグループを支援する。
MASは「GEMSは、成長資金を求めている企業にとって、シンガポールを起点としてアジアでの地位を強化するのに役立つだろう」とコメントしている。
2018年 シンガポールの証券(金融・法人サービス)業界
シンガポールで証券業界大手のUOB-Kay Hian、安定成長を維持するも国際関係に憂慮
2018年3月31日、UOB-Kay Hian Holdingsの第1四半期における決算が発表された。手数料収入および利息収入が売上に大きく貢献しており、収益は前年比28.1%増となる80.5百万シンガポールドルを計上、純利益は前年比30.3%増となる25.7百万シンガポールドルに達した。
内訳では、手数料収入が80.5百万シンガポールドル(28.1%増)し、受取利息も、証拠金貸付の増加により、23.2百万シンガポールドル(10.7%増)となった。純資産価値は、14.3億シンガポールドルで健全な状態を維持している。貸借対照表項目の構成において、重要な変動はなかった。
「2017年の強い市場は2018年2月も続いた。しかし、米国ー中国間や、ロシアーNATOメンバー間の地政学的緊張が続いたこと、マレーシアの政治環境に大きな変化が起こったことなどの要因が株式評価のリスクプレミアムを高めている。我々は今後の市場変動を懸念している」と関係者はコメントしている。
出典:https://ir.chartnexus.com/s/force_download.php?file=uobkh/website_HTML/attachments/attachment_85794_1526439886.pdf
ロボットアドバイザーをローンチ、シンガポールで証券業界牽引のCGS-CIMB Securities
中国資本China Galaxy Securitiesと、マレーシア第2の金融グループCIMBによるジョイントベンチャーCGS-CIMB Securities(Singapore)は、CGS-CIMB eWealthを立ち上げた。
CGS-CIMB eWealthにおけるロボット・アドバイザリー・プラットフォームは、その強力なリサーチ能力を活用し、投資家のリスク志向と投資目的にあったポートフォリオを構築することで、多様なテーマにそった提案をすることが可能となる。
投資家はまた、投資・取引に関する判断を自ら下すことにより、投資したポートフォリオでの透明性は保たれる。実際に売買しているため、キャピタルゲインとは別に、投資先からの配当支払などの受け取りも可能である。
出典:https://www.itradecimb.com.sg/app/research.common.public.content.z?cat=04&subcat=04_04

シンガポールのPhillipCapitalがモバイルアプリを発表、MyWealthとは?〜証券業界事情〜
シンガポール総合金融企業Phillip Capital GroupのPhillip Securitiesは、投資家の資産保護システムを強化するためのモバイルアプリMyWealthを発表した。
近年投資家たちの間で、従来の証券会社における資産管理から、新たな資産管理手法へ移行する動きが活発化している。モバイルアプリMyWealthは、資産クラスの種類、顧客と企業の関係、アカウントの種類などに依存せずポートフォリオの保有状況をアプリひとつで把握することができるようになる。
MyWealthを使うことで、いつでも・どこでも投資家と代理店との間でシームレスなつながりを確立することが可能となる。
出典:https://www.phillip.com.sg/newsroom-item/phillipcapital-launches-intuitive-one-wealth-management-mobile-app-mywealth-built-connect-tailored-empower/
みずほ証券シンガポール、Lombard Odierと業務提携〜証券業界事情〜
みずほセキュリティーズシンガポール(MHSS)は、ロンバー・オディエグループ(スイス)のシンガポール現地法人、ロンバー・オディエシンガポール(LO SIN)との間で、資産運用業務に関する提携契約を締結した。日本の証券会社がLO SINと業務提携契約を締結するのは初めてとなる。
今回の提携によりMHSSは従来の投資商品に加え、ロンバー・オディエグループによる海外有数の金融商品および高度な資産運用システムを、日本およびアジアの富裕層の顧客に提供することで、本格的な資産運用サービスを展開する。
みずほ証券は、日本およびアジアの富裕層をターゲットに、多様化・高度化する資産管理・運用ニーズに答えるべく業務の拡大を図っている。ロンバー・オディエグループは、資産管理・運用サービスに強みをもつスイスの老舗プライベートバンクであり、みずほ証券が持つ顧客ネットワークに投資機会と資産管理システムを提供することで、両者のビジネス機会を拡大させる契機となる。
出典:https://www.mizuho-sc.com/english/newsrelease/2018/pdf/20180820_01en.pdf
まとめ:シンガポールの証券業界
シンガポール行政機関は、近年の中国やインド、東南アジア諸国における急速な経済成長と、それに伴うアジア全体の発展という環境変化を、国際金融センターとして発展するチャンスであると明確に位置付けています。資産運用業や資本市場の発展を後押しする政策を積極的に展開しているシンガポールには、大きなビジネスチャンスが眠っているのではないでしょうか?