【医療の幅を広げる】タイの病院業界

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医療産業の成長の余地が多く残されている一方、政府のイニシアチブにより私立病院を中心に医療ツーリズムの需要も伸びているタイ。

今回は、そんなタイの病院業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!

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2019

前年比10%の成長、SAMITIVEJ病院の成長戦略

医療機関の品質水準に関する国際的な認定機関JCI(Joint Commission International・国際病院評価機構)の発表によると、タイ国内で認定されている主要病院の一つ、SAMITIVEJ病院は2018年収益が約118億バーツであり、前年比約10%の増加を果たしているとのこと。

タイ政府が進める医療観光ハブとしての事業を推進する形で、海外で研修を受けた専門医による医療サービスを病院内で行い、外国人患者の受け入れをより積極的に果たすことで大きな成長を遂げている。

ICU・CCU機能を有する救急搬送ヘリは30ヶ所の空港に対応しているなど、国を超えての医療搬送も果たし、近隣国からの外国人患者も受け入れている。これは、数年にわたる収益の年間成長率約10%の継続に寄与している。

投資対象としての医療ビジネスの成長

2019年5月17日のタイ証券取引所(SET)の発表によると、タイの医療ビジネスは継続的な成長を見せている。過去6年の平均成長率は5.1%前後で、その要因としてタイ社会の高齢化と、定年後にタイに移住する外国人が増加していることを挙げた。

2014年から5年間で医療サービスを利用するタイ人の増加率は5.3%、外国人は5.1%、全体として5.3%の増加となり、いずれも5%前後増加しており、今後も高齢化や外国人誘致が進むことによって医療ビジネス業界も成長すると見られている。

SETに上場している医療ビジネス企業23社の成長は大きく、投資対象としてもMSCI World Health Care Net Total Return Indexの参照標準よりも優れている。

5G 社会に適応した医療へ、BDMSの展望

Bangkok Dusit Medical Service Public Company Limited(BDMS)社は約900億バーツを誇るタイ最大の医療系財閥と呼ばれ、2019年3月時点で47病院にベッド数約8,000床を展開し、グループ全体で10,000人以上の医師を有している。

2019年3月11日のAnnual Reportの中では、デジタル医療に関する今後の展望を述べており、医学研究所、薬局、救急ヘリ、保険業など医療、ヘルスケア関連のグループ会社とのコミュニケーションツールを充実させると述べている。

さらに、診療予約管理などを行える患者向けモバイルアプリを充実させ、今後のインターネット5G社会に適応した手術動画のライブ配信を通して医師間の双方向コミュニケーションなどのイノベーション開発のためにスタートアップ企業に積極的な投資を続けていくとも述べた。

THAMMASAT大学の高齢者センター設立計画

2019年7月26日の発表によると、THAMMASAT大学と日本のNOGEZAKA-GLOCALは共同で高齢者センター設立協力の調印式を行い、タイの今後の高齢者福祉の基本モデルとなるセンターの設立を目ざす。

タイ政府の政策としては高齢者ケアを地方自治体主体による訪問介護、通所介護(デイケア)事業と位置付けているが、いまだにモデルとなる事業者や自治体は生まれていない。

福祉事業のコンサルタントなどを行っているNOGEZAKA-GLOCALとの開発によって、国家医療保険庁を活用した在宅要介護者向け訪問介護システムの構築、高齢者の介護予防や健康増進を目的とした高齢者センターの設立などのモデル作成を計画する。

2018

大手病院BDMS、年初来高値を更新

タイ国内の各地で病院を運営する医療関連企業バンコク・ドゥシット・メディカル・サービスズ(BDMS)は、年初来の株価急伸により、2018年10月30日の発表によると、時価総額が5000億バーツ(約1兆4500億円)と新興国市場で医療業界最大手となっている。

BDMSは近年のメディカル・ツーリズム市場の拡大に伴い、新たに子会社となるホテル、BDMSウェルネス・リゾートを設立・運営することを発表した。BDMSは収益のおよそ3分の1を外国人利用者が占めると報告しており、ホテルの新規設立はその需要取り込みを狙った試みとなる。

BDMSは全6ブランド、45の病院をタイ全国に展開しており、ベッドの総数は約8000床となっている。地域医療の拠点となる基幹病院であるバンコク病院では、アラビア語や日本語話者のための病棟も設置されている。

サミティヴェート・スクムウィット病院、オンライン医療サービスを開始

外国人労働者が多く居住するバンコクで医療サービスを提供するサミティヴェート・スクムウィット国際病院は、サイアム・コマーシャル・バンク(SCB銀行)と共同で、オンライン医療サービスであるサミティベート PLUSを開始した。

また、富裕層の利用者に向けて病院内に投資サービスを利用できるファーストクラス・ラウンジ及びSCB投資センターを設置する。医療と金融サービスを融合させた試みに業界全体の注目が集まっている。

タイでは医療機関におけるクレジットカードなどの決済手段の普及率が依然低いことが以前より指摘されており、今回のサミティベート病院とSCB銀行の提携を通じてスマホアプリ上のオンライン決済や、処方の受け取りなどが拡大することが期待されている。

thai-hospital(タイ 病院)

タイ医療ツーリズム市場の概況を報告

タイ政府は医療ツーリズムを国家政策〈Thailand4.0〉の一端を担う重要分野として位置づけており、特に美容整形や再生医療等の分野において積極的なプロモーション活動を行っている。2018年10月にはタイ政府観光庁(Tourism Authority of Thailand:TAT)より、医療ツーリズム業界を網羅した統計が発表された。

タイを訪れる外国人のうち半数以上が何らかの医療行為を目的としていることを報告し、そのうち治療目的が全体の5%、マッサージやアロマ療法などの健康増進を目的とする訪問が残りの95%を締めていた。

医療ツーリズムを目的とする渡航は、①自国の医療費が高額であるために海外を利用するコスト志向型、②自国の医療水準が低いために渡航する医療水準志向型、③先進的な特定分野の医療を求める特定需要志向型などの類型に分類されるとされている。

桜十字グループ、タイ国内に病院新設

医療福祉や高齢者向け介護サービスなどを手掛ける桜十字グループは、2018年9月6日、タイへ進出することを明らかにした。工業団地事業などを運営するロジャナ・グループとの合弁会社を設立し、2018年12月に首都バンコクのエンポリアム・タワー内に「サクラ・クロス・クリニック」を開業する予定。

本格的な高齢化を迎えるタイで、老人ホームや高齢者住宅などの介護事業の需要があると見込み現地進出を計画する一方、タイでは介護保険が整備されていないために、まずは日系の信頼できる医療機関としてのブランドの確立を目指す。

アジアでの病院事業や介護事業、医療メディア事業への進出を目指し、シンガポール、台湾への進出に続き、経験やデータを活用してタイでの医療産業への進出を目指す。

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