国内での薬剤価格上昇を抑制するため、製薬業界全般に対して大幅な価格引き下げを要請しているフィリピン政府。
今回は、そんなフィリピンの製薬・バイオテクノロジー業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2020年 フィリピンの製薬・バイオテクノロジー業界
Zuellig Pharma、フィリピンで遠隔医療に関するサービス提供へ〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
スイスの大手製薬会社であるZuellig Pharmaは、今年3月のCOVID-19パンデミック以来、フィリピン国内で対面診察が減少したと報告した。
調査対象は遠隔医療ウェビナーに参加した660人の医師。その半数以上(54%)は、COVID-19以降、患者の診療所への訪問と診察が大幅に減少したと回答し、35%は患者と直接会うのを躊躇っていると答えた。さらに、44%が診療の一部として遠隔医療を取り入れていると回答した。
同社は遠隔医療においてシンプルで安全なアクセスを可能にするため、独自の仮想ケアネットワークeZConsultを立ち上げた。これは医師と患者に、データの安全性、料金と支払いオプション、薬局との相互接続性、患者の記録の保持、使いやすさを提供することを追求している。
フィリピン政府、ワクチン試験のために36カ国と調整へ〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
フィリピン政府は、外務省(DFA)を通じて、Covid-19のワクチン開発に関する国際的なパートナー約36か国との調整を開始した。
ワクチン開発と潜在的な国際的パートナーに関する情報は、DFAによって、Covid-19ワクチン臨床試験に関するサブテクニカルワーキンググループ(sTWG)の議長として科学技術省(DOST)に承認された。
感染者数の拡大が止まらないフィリピンにおいて、国全体が一体となって治癒に努めるため、DFAはCOVID-19へのフィリピン政府機関の取り組みを全面的に支援し、最終的にはフィリピン人向けのCovid-19の実行可能なワクチンを可能な限り迅速に確保する準備を進める。
出典:https://www.pna.gov.ph/articles/1108616

フィリピンで製薬・バイオテクノロジー業界大手のPfizerの重度のアトピー性皮膚炎の製品、承認へ
現地Interphil Laboratoriesに製造委託しており、多国籍な大手製薬会社であるPfizerは、同社が開発を進める中等度から重度のアトピー性皮膚炎の経口薬の新薬承認申請を、米国食品医薬品局(FDA)より承認されたと発表した。
製品名はABROCITINIB(アブロシチニブ)で、12歳以上の中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)の治療のための経口のヤヌスキナーゼ1(JAK1)阻害剤である。臨床結果では、皮膚の状態改善、疾患の程度、およびかゆみの改善などが確認された。
欧州医薬品庁(EMA)は、同じ患者集団におけるアブロシチニブの販売承認申請(MAA)も承認し、2021年後半に決定されれば効果の高い新製品が市場に出回ることとなる。
SanofiとGSK、ワクチンに関する意向表明書に署名〜フィリピンの製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
フランスの大手製薬会社Sanofiとイギリスに本社を置くグローバル製薬企業GlaxoSmith Klineは、最終的なCOVID-19ワクチンのプール調達と公平な配布のためのグローバルなリスク共有メカニズムであるCOVAXファシリティの意向表明書に署名した。
COVAXファシリティはGavi(ゲイツ財団)が主導する、COVID-19ワクチンの開発、生産、および公平なアクセスを加速するために取り組んでいる政府、グローバルヘルス組織、企業、慈善団体のグローバルコラボレーション。世界中でCOVID-19ワクチンの公平なアクセスを確保することを目的としている。
SanofiとGSKは規制当局によって承認され、契約の対象となる場合、2億回分の組換えタンパク質ベースのCOVID-19ワクチンをCOVAX施設に提供する予定である。
アステラス製薬とピッツバーグ大学、共同研究を開始〜フィリピンの製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
1923年に日本で設立し、医薬品の製造・販売および輸出入を行うアステラス製薬は、後眼部疾患の一つである萎縮型加齢黄斑変性の治療に対する開発候補品創出を目的としてピッツバーグ大学と共同研究を開始した。
加齢黄斑変性は高齢者における中途失明の主要原因の一つであり、特に萎縮型加齢黄斑変性は、重症化すると視力が著しく低下する疾患。病変に至るメカニズムはいまだ十分に解明されておらず、臨床的に明確な有効性を示す治療法は確立されていない状況。
本共同研究では、後眼部疾患研究における世界的権威であるピッツバーグ大学医学部と、創薬ケイパビリティを持つアステラス製薬が協働して、萎縮型加齢黄斑変性に苦しむ患者へ視力の維持や回復をもたらす新たな治療選択肢の提供を目指す。なお、同社は本共同研究で見いだされた開発候補品に対する開発・商業化に関する独占交渉権を有する。
出典:https://www.astellas.com/jp/ja/news/16036
2019年 フィリピンの製薬・バイオテクノロジー業界
フィリピンで製薬・バイオテクノロジー業界大手のPfizer、GSKと国内の市販薬の業務を統合
世界的な大手製薬会社であるPfizerと、 大手海外メーカーでは唯一自社の最終製品の製造拠点を持つ GlaxoSmithKline(GSK)は、国内の市販薬の業務を統合することをフィリピン競争委員会(PCC)によって許可された。
PCCは、Pfizerの所有する同等の医薬品ブランドを買収するというGSKの提案を承認したと述べた。最終決定は、競争機関が取引の詳細なレビューを行い、コスト上昇により合併が現地市場や消費者にとって問題ないかどうかを確認した後に行われる。
この統合は主に2つの製薬会社の消費者事業セグメントを対象としており、医師の処方箋なしで購入できるシロップと錠剤であるビタミン剤、咳止め薬、小児および成人向けの鎮痛剤において適用される。
Zuellig Pharma、 フィリピンのMölnlycke社と提携〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
2019年7月5日の発表によると、スイスのズエリググループ傘下にあり、 大手医薬品卸企業であるZuellig Pharmaは、東南アジアの患者と医療従事者に、より高度な創傷ケア製品とソリューションを提供するためMölnlycke社とパートナーシップを締結した。
新しいパートナーシップは、 Mölnlyckeの高度な創傷ケアポートフォリオのマーケティング、医療、販売管理における豊富な経験と、Zuellig Pharmaの広範なネットワークを活用して製品がアジア全体のコミュニティによりアクセスしやすくする。今後東南アジアの各国で展開され、拡大予定。
同社の上級副社長は「Zuellig Pharmaは東南アジアで増大する医療ニーズをサポートする強力な立場にあり、この新しい戦略的パートナーシップではネットワークを活用して、よりアクセスしやすいヘルスケアを実現させる」と述べた。

大塚製薬がフィリピンで開催!東南アジア競技大会協賛の目的とは?〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
大塚製薬株式会社は、2019年11月30日から12月11日にフィリピン(マニラ、スービック、クラーク)で開催される第30回 東南アジア競技大会/30th Southeast Asian Games 2019 (Philippines)に協賛する。
東南アジア競技大会は、2年に一度開催される東南アジアで注目度の高い大会となっている。同社はポカリスエット(Isotonic Partner/Brand: POCARI SWEAT) で、東南アジア各国から集うアスリートおよび関係者のパフォーマンスやコンディショニングをサポートする。このサポートにより、開催国フィリピンのみならず東南アジアにおけるポカリスエットのプレゼンスのさらなる飛躍を目指している。
このたびの締結にあたり、フィリピン東南アジア大会組織委員会(PHISGOC)のアラン・ピーター・カエタノ会長は、「多国籍企業からの支援が増えることで、あらゆる挑戦が可能となり、過去最高の大会となることを確信しています」とコメントした。
Sanofi、フィリピンでも流行のデング熱ワクチンのCPR永久取消を控訴〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
2019年10月10日の発表によると、フランスの大手製薬会社であるSanofiは、デング熱の予防ワクチンであるデンバクシアワクチンの製品登録証明書(CPR)の永久取消しについて大統領事務所に控訴した。
これは、8月に同社がデンバクシアの市販後の要件を遵守しなかったため、食品医薬品局(FDA)によって本ワクチンのCPRの取り消しを支持することが決定されたもの。
フィリピンではデング熱が猛威を振るっており、1月1日から9月21日までに、約32万人のデング熱患者が保健省(DOH)によって記録された。ドゥテルテ大統領は8月に、1月以来全国で600人以上の命を奪っていたデング熱の全国流行を回避するために、政府のデンバクシアワクチン接種プログラムの再開を受け入れていると語っていた。
2018年 フィリピンの製薬・バイオテクノロジー業界
フィリピンのZuellig Pharma、 MedAdvisorとJVパートナーシップを開始〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
Zuellig Pharmaは、オーストラリア最大の製薬会社MedAdvisor Limitedと50:50の合弁会社を設立し、アジアでMedAdvisor の製薬をを展開するためのプラットフォームを設立することを明らかにした。
ジョイントベンチャーの設立により、 Zuellig Pharmaはまずフィリピンや韓国への進出を足がかりに、アジアのより広範囲な薬局や医療クリニックなどへマーケットを展開していく予定。
JVが対象とするマーケット人口は560百万人を超え、製薬費は69億USドルと推測される。
フィリピンで製薬・バイオテクノロジー業界大手のファイザー社、 ABBVIEとのグローバル契約を締結
2018年11月30日、ファイザーは製薬「アダリムバブ」のバイオシミラー(バイオ後続品)においてAbbVie社とライセンス契約を締結したことを発表した。
欧州医薬品庁(European Medicines Agency)の承認を得て、アダリムマブのバイオシミラーを発売する可能性がある。
アメリカでのライセンス期間は2023年11月20日から開始予定。

フィリピンのGSK、協和発酵キリンとの戦略的商業化契約に署名〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
2018年11月22日の発表によると、GSKは、協和発酵キリンとの慢性腎疾患に伴う貧血治療薬「ダプロシュタット」に関する日本での戦略的商業化契約に署名した。
契約条件に基づき、GSKは進行中の第3相臨床プログラムの完了と、日本における販売許可のための規制条件の提案を行う。
「ダプロシュタット」の販売は、協和発酵キリンが独占的に日本市場で行っている。
フィリピンのベーリンガーインゲルハイム、 獣医学のためのグローバルセンターを開設〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
ベーリンガーインゲルハイムは、フランスのリヨンに獣医学(狂犬病や鳥インフルエンザ など)のワクチン研究開発のためのグローバルセンターを開設した。
施設の開設にあたって70百万ユーロを投資する予定で、獣医学用ワクチン市場におけるリーディングカンパニーとしての地位を強化する方針を固めている。
14,500平方メートルの敷地を誇るセンターでは200人以上の従業員を雇用し、最新鋭のテクノロジーを完備する。
まとめ:フィリピンの製薬・バイオテクノロジー業界
国民健康保険制度(PhilHealth)の拡大により、貧困層でもアクセスできる手頃な医薬品の需要が高まると考えられています。政府の政策に注目することで、フィリピンの製薬・バイオテクノロジー業界は今後、大きなビジネスチャンスを見つけられるのではないでしょうか。