インドネシアの銀行業界は、国有4大銀行が金融システムを支えながら、フィンテックとデジタルバンキングが急速に普及しています。金融包摂政策の推進が主要企業の地方展開と無担保融資の拡充を促しています。
今回は、そんなインドネシアの銀行業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて12社の最新情報をお届けしていきます!
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インドネシアの主要銀行企業7選〜ローカル編〜
Bank Rakyat Indonesia / BRI(ビーアールアイ)
PT Bank Rakyat Indonesia(Persero)Tbk(IDXコード:BBRI)は、1895年にオランダ植民地時代のプルウォクルトで創設されたインドネシア最古の国営銀行である。農業・農村金融を起源とし、現在は中小零細企業(MSME)向け金融の最大手として知られる。全国8,600超の拠点網を通じて約3,000万人の顧客にサービスを提供している。
2025年12月末の連結総資産は約2,135兆ルピアで前年比7.2%増と堅調に推移した。MSMEセグメントが融資ポートフォリオの77.5%を占め、CASA比率は70.6%に改善した。
デジタルバンキング「BRImo」が取引量・顧客数双方で大幅拡大し、農村部へのファイナンシャル・インクルージョン推進が長期成長の柱となっている。Q4 2025の決算では継続的な増益が報告された。
国営企業としてインドネシア政府が筆頭株主を維持しており、農村金融・中小企業支援という政策的役割も担う。IDX上場(BBRI)として充実した情報開示を行い、時価総額はインドネシア証券取引所の最大級銘柄の一つに位置する。
出典:https://bri.co.id/
Bank Mandiri(バンクマンディリ)
PT Bank Mandiri(Persero)Tbkは、1998年にアジア通貨危機後の金融再建策として4行の国営銀行を合併して設立したインドネシア最大の国営商業銀行である(IDXコード:BMRI)。個人・法人・MSME・政府機関向けに幅広い金融サービスを提供し、インドネシア全土に広範な支店・ATMネットワークを有する。
2025年12月末の連結総資産は約2,830兆ルピアで前年比16.6%増と大幅に拡大し業界首位の地位を強固にした。2025年度通期の純利益は約56兆ルピアで過去最高水準を更新し、ROEは20.3%、NIMは4.89%を維持した。
デジタルバンキングへの転換が顕著であり、2025年度は全取引の80%がデジタルチャネル経由で処理された。スーパーアプリ「Livin’ by Mandiri」と法人向け「Kopra by Mandiri」が主要デジタル基盤として定着している。
IDX上場(BMRI)として充実した情報開示を行い、時価総額はインドネシア証券取引所で最大級の銘柄に位置する。国営企業としてインフラ融資・中小企業育成など政府の経済政策とも密接に連携する。
出典:https://www.bankmandiri.co.id/
Bank Central Asia / BCA(ビーシーエー)
PT Bank Central Asia Tbk(IDXコード:BBCA)は、1957年に設立されたインドネシア最大の民間銀行である。ハルトノ兄弟(Djarumグループ)が実質支配株主であり、国内民間銀行の中で最大規模を誇る。決済・トランザクションバンキングを強みとし、「信頼と利便性のある銀行」として国民的ブランドを確立している。
2025年12月末の連結総資産は約1,587兆ルピアで前年比9.5%増と堅調に成長した。2025年1〜9月の純利益は43.4兆ルピア(前年同期比5.7%増)を記録し、ROEはセクター最高水準の24.1%に達した。
「myBCA」アプリを中心としたデジタル戦略が奏功し、デジタルトランザクション数・金額はいずれも大幅増加した。法人向けKlikBCA BisniやATM・EDCネットワークの充実も強固なトランザクション基盤の維持に貢献している。
IDX上場(BBCA)として充実した情報開示を行い、インドネシア証券取引所で最大の時価総額を誇る銘柄の一つである。民間銀行のリーダーとして国内企業・富裕層・中間所得層まで幅広い顧客基盤を有する。
出典:https://www.bca.co.id/
Bank Negara Indonesia / BNI(ビーエヌアイ)
PT Bank Negara Indonesia(Persero)Tbk(IDXコード:BBNI)は、1946年にインドネシアの独立を背景に設立された国営銀行であり、インドネシア初の国家銀行として歴史的・象徴的な地位を有する。政府が支配株主を務め、個人・法人・政府機関・MSME向けに幅広い金融サービスを展開する。
2025年12月末の連結総資産は約1,362兆ルピアで前年比20.5%増と業界トップクラスの成長率を記録した。2025年Q1の純利益は5.4兆ルピアで二桁増を達成し、通期でも堅調な増益が継続した。
デジタルバンキング「wondr by BNI」の大規模展開が奏功し、2025年にデジタルユーザー数が2,000万人を超えた。法人向けプラットフォーム「BNIdirect」の機能強化も進み、CASA比率の継続的改善が報告されている。
IDX上場(BBNI)として充実した情報開示を行い、2025年度アニュアルレポートのテーマは「Growing with Indonesia」であった。国際業務・貿易金融においても強みを持ち、インドネシア企業の海外展開支援でも重要な役割を果たしている。
出典:https://www.bni.co.id/
Bank Tabungan Negara / BTN(ビーティーエヌ)
PT Bank Tabungan Negara(Persero)Tbk(IDXコード:BBTN)は、1897年に創設されたインドネシア唯一の住宅ローン専門国営銀行である。政府が支配株主を務め、低・中所得者層向け補助付住宅ローン(KPR Subsidi)の主要供給者として、政府の住宅普及政策において中心的役割を担う。
2025年12月末の連結総資産は約528兆ルピアで前年比12.4%増となり、目標の500兆ルピアの大台を突破した。住宅ローン全体のシェアは39%、補助付住宅ローンは83%を誇り、住宅金融市場において独占的ポジションを保持する。
2025年度は政府の百万戸住宅プログラムとの連携で融資実行が安定し、「BTN Mobile」のリニューアルによりデジタル完結型の申込・契約機能が拡充された。BTN Syariah(シャリア事業部)の分離上場に向けた動きも報じられている。
IDX上場(BBTN)として情報開示を行い、低価格帯・補助付住宅セグメントでの政策的ポジションは他行が追随しにくい独自の参入障壁を形成している。インドネシア住宅金融の中核機関としての地位は不変である。
出典:https://www.btn.co.id/
Bank Syariah Indonesia / BSI(ビーエスアイ)
PT Bank Syariah Indonesia Tbk(IDXコード:BRIS)は、2021年2月に国営3行のシャリア部門が合併して誕生したインドネシア最大のイスラム銀行である。政府が支配株主を務め、シャリア金融をインドネシア全土で展開する。
2025年9月末(Q3 2025)の総資産は前年同期比12%増の416兆ルピアに達し、IDX上場銀行ランキングで第6位に位置する。2025年上半期の純利益は3.74兆ルピアと堅調な増益を記録した。5,000億ルピア規模のサステナビリティ・スクーク第2フェーズを発行し、グリーンファイナンス残高は58.26兆ルピアに達した。
デジタルバンキング「BSI Mobile」が急速に利用者を拡大し、金地金と銀行サービスを融合した「BSI Emas」など革新的プロダクトでも注目を集める。2025年度アニュアルレポートでは「LEADING THE NEW ERA OF BULLION BANK」を掲げた。
IDX上場(BRIS)として充実した情報開示を行い、インドネシアをグローバルなイスラム金融ハブとする国家戦略の中核的担い手として存在感が高まっている。
出典:https://www.bankbsi.co.id/
Bank Jago(バンクジャゴ)
PT Bank Jago Tbk(IDXコード:ARTO)は、インドネシア最大級のテクノロジーグループGoTo(Gojek・Tokopediaの親会社)が主要株主の一つとして参画するデジタルバンクである。Gojekアプリとのシームレスな連携により、配車・フードデリバリー・Eコマースなど日常生活に根ざした金融エコシステムを提供することを事業コンセプトとする。
2025年12月末の連結総資産は約35兆ルピアで前年末比20%超の増加を記録した。KYC完了ベースの顧客数は1,820万人に達し、2025年度通期の純利益は276億ルピアで前年比115%増と本格的な黒字水準に到達した。
顧客預金は前年比38%増の259兆ルピアに拡大した。GoToグループとの連携によるライドヘイリング・Eコマース利用者への埋め込み型金融サービス(BaaS)が差別化戦略の核を成す。
IDX上場(ARTO)として定期的な情報開示を行い、インドネシアのデジタルバンキング革命を象徴する存在として注目されている。支店を持たないスマートフォン完結型モデルは、銀行口座未保有者(アンバンクド層)の取り込みという社会的インパクトも持つ。
出典:https://www.jago.com/
インドネシアの主要銀行企業5選〜外資編〜
CIMB Niaga(シーアイエムビー・ニアガ)
PT Bank CIMB Niaga Tbkは、1955年に創設されたインドネシアを代表する民間銀行であり、マレーシアを本拠とするCIMBグループが約91%の株式を保有する外資系銀行である(IDXコード:BNGA)。1987年にインドネシア初のATMを導入した歴史を持ち、個人・法人・プライベートバンキングまで幅広いサービスを提供する。
2025年12月末の連結総資産は372.7兆ルピアで、インドネシア民間銀行の最大規模を維持した。2025年度通期の税引前利益は8.8兆ルピアを記録し、預金残高は270.5兆ルピア(前年比3.8%増)、貸出残高は238.3兆ルピア(同4.5%増)と堅調に推移した。
CIMBグループの東南アジア展開における主要拠点として、コルレス業務・貿易金融でグループシナジーを発揮する。デジタルバンキング「OCTO Mobile」の機能拡充が進み、若年層を中心にユーザー数が伸長している。
CIMBグループのASEAN戦略のもとインドネシア市場での成長と東南アジア域内のシームレスな金融サービス提供を両立させており、グローバル格付け機関からも高格付けを維持している。
出典:https://www.cimbniaga.co.id/
Bank OCBC Indonesia(バンクOCBCインドネシア)
PT Bank OCBC Indonesia Tbk(IDXコード:NISP)は、1941年にバンドンで創設された銀行を源流とし、シンガポールを本拠とするOCBC Bankが76%超の株式を保有する外資系商業銀行である。2023年11月に「OCBC NISP」から「OCBC」へブランドを刷新し、2024年9月にBank Commonwealthを吸収合併した。
2025年6月末(H1 2025)の連結総資産は約296兆ルピアで前年比11%増を達成し、IDX上場銀行ランキングで第8位に位置する。2025年度通期の純利益は5.1兆ルピアで前年比4%増を記録した。第三者資金(DPK)は約244兆ルピア(前年比18%増)と資金調達面の拡充が顕著である。
Bank Commonwealthの統合完了により顧客基盤が拡大し、OCBCグループのクロスボーダー金融サービスの強化が進む。ウェルスマネジメントとデジタルバンキング「OCBC mobile」を融合した戦略を推進中である。
OJKの監督下で健全な自己資本比率を維持しており、OCBCグループによる技術投資がインドネシア事業の競争優位性を高めている。
出典:https://www.ocbc.id/
Bank Permata / PermataBank(バンクプルマタ)
PT Bank Permata Tbk(IDXコード:BNLI)は、2002年にインドネシア政府主導の銀行再編によりBank Baliなど5行が合併して誕生した銀行である。2020年5月にタイ最大の民間銀行Bangkok Bankが旧筆頭株主から約89.12%の株式を取得し、Bangkok Bank傘下として新成長フェーズに入った。IDX上場を維持し独立した商業銀行として運営を継続している。
2025年9月末(9M25)の総資産は約269兆ルピアで、IDX上場銀行の第9位に位置する。2025年度はBangkok BankのASEAN戦略の一翼を担い、法人・リテール両セグメントで業容を拡大した。
2024年9月のロゴリブランディングを経て新ブランドイメージを確立中であり、「Permata ME」アプリのリニューアルとともに2024年12月〜2025年3月に17拠点を新設した。
OJKの監督下で健全な財務体制を維持し、Bangkok Bankのネットワークを活かした貿易金融・クロスボーダーサービスにおいて独自の強みを発揮している。タイ系企業の対インドネシア投資対応でも存在感を持つ。
出典:https://www.permatabank.com/
Bank Danamon Indonesia(バンクダナモン)
PT Bank Danamon Indonesia Tbk(IDXコード:BDMN)は、1956年に設立されたインドネシアの大手民間銀行であり、2019年に三菱UFJ銀行(MUFG Bank)が支配株主となり連結子会社として運営されている。個人向けローン・SME金融・法人向けビジネスを主軸とし、子会社PT Adira Dinamika Multi Finance Tbk(自動車ファイナンス大手)とのシナジーが強みである。
2025年12月末の連結総資産は275.7兆ルピアで前年比11.2%増を記録し、IDX上場銀行ランキングで第10位に位置する。2025年度通期の純利益は4.0兆ルピアで前年比14%増と着実な増益を達成した。
2026年5月、DanamonとMUFG Bankはインドネシアにおける事業統合に向けた覚書(MOU)を締結したことを公表した。統合が実現すれば合算総資産は480兆ルピアを超え、業界内の存在感が大幅に増す。
IDX上場(BDMN)として充実した情報開示を行い、MUFGグループのネットワークを活用した日系企業向け法人サービス・貿易金融においても重要な役割を担っている。
出典:https://www.danamon.co.id/
Maybank Indonesia(メイバンクインドネシア)
PT Bank Maybank Indonesia Tbk(IDXコード:BNII)は、1959年に設立されたインドネシアの外資系商業銀行で、マレーシアを本拠とするMaybankグループが約80%の株式を保有する。個人・法人・中小企業向けに幅広い金融サービスを提供し、シャリア事業部も擁する。ASEAN22拠点ネットワークとの連携が際立つ強みである。
2025年9月末(9M25)の総資産は約197.96兆ルピアで増加基調を維持した。9M25の税引前利益は1.30兆ルピアで前年比53.9%増という大幅改善を達成し、コーポレートレンディングのリバランスが資産の質向上に寄与した。
2025年度の重点戦略としてデジタルバンキング「M2U ID」の機能強化、富裕層向けウェルスマネジメントの拡充、グリーンファイナンスへの注力が掲げられ、リテール・SME融資の拡大が優先課題となっている。
IDX上場(BNII)として定期的な情報開示を行い、ASEAN域内クロスボーダー取引・貿易金融でも重要な役割を担う。マレーシア・シンガポール系企業にとっても利便性の高い金融機関として認知されている。
出典:https://www.maybank.co.id/
FAQ
インドネシアの銀行業界はどのような変革期にありますか?
インドネシアの銀行業界は、急速なデジタル化と経済成長を背景に、大きな変革期を迎えています。主要企業が市場を牽引し、デジタルサービスの拡充と新たな経済政策への対応が進んでいます。
インドネシアの主要銀行にはどのような企業がありますか?
インドネシアの主要銀行には、国内の大手銀行としてBRI、マンディリ銀行、BCA、BNI、国有銀行のBNI、BTN、パンイン銀行、および外資系企業のCIMBニアガ銀行、OCBC NISP銀行、メイバンク、パータマ銀行があります。
BRI銀行の特徴と今後の展望は何ですか?
BRI銀行は、インドネシア最古の政府系銀行で、全国に広がる支店網と支援プログラムを持ち、デジタル化やESGに積極的に取り組んでいます。2024年には資産が約13.8兆円に達し、地方経済の安定に重要な役割を果たしています。
マンディリ銀行の規模と戦略について教えてください。
マンディリ銀行は、インドネシア第2位の規模を誇り、国内外に広範な支店網を持ち、デジタルトランスフォーメーションと持続可能な債券の発行に積極的に取り組んでいます。2024年の資産は約11.8兆円です。
外資系銀行の中でCIMBニアガ銀行とOCBC NISP銀行の特徴は何ですか?
CIMBニアガ銀行は、マレーシアのCIMBグループの一員で、アジア基盤のデジタル戦略やリスク管理に優れ、安定した成長を示しています。OCBC NISP銀行はシンガポールのOCBCオーバーシーズ投資会社が所有し、デジタルバンキングと企業向けサービスに強みを持ち、COVID-19パンデミック下でも成長しています。

