【最新版!】フィリピンの主要銀行15選〜金融・法人サービス業界〜

フィリピンには数々の現地銀行のほか、日本の大手銀行も進出しています。

今回は、フィリピンの銀行業界に焦点を当て、主要銀行についてご紹介します!

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フィリピンの主要銀行11選〜ローカル企業編〜

BDO Unibank(ビーディーオー ユニバンク)

1976年に設立された、全国に1,400の営業支店と4,400以上のATMを有する国内最大のユニバーサルバンクBanco De Oro Bank。一般的にBDOと呼ばれる。国内最大のコングロマリットであるSMグループが主要株主であり、銀行および財務、会計、法律のさまざまな分野で豊富な経験を持つ専門家によって取締役会が構成されている。

2020年の年次報告書では、3兆PHPを超える総資産と、282億PHPの総収入を報告している。FinanceAsia 2020をはじめとする数々の賞を受賞しており、国内外からの評価が高い。

Covid-19によるパンデミックの影響で2020年の総収入こそ減額したものの、総資産のCAGRは10.7%、総融資額のCAGRは12.1%と成長しており、銀行としての地位は堅い。

企業の社会的責任(CSR)も積極的に推進しており、Covid-19のフロントライナーへの物資提供だけではなく、震災・災害時に多くの支援を行っている。

出典: https://www.bdo.com.ph/sites/default/files/pdf/BDO%20Unibank%202020%20Annual%20Report.pdf

Metropolitan Bank&Trust(メトロポリタンバンクアンドトラスト)

1962年に設立された、2019年時点で全国に957の営業支店と2,345のATMを有する国内大手の銀行。一般的にメトロバンクと呼ばれる。テイ財閥とGP Capitalが主要株主であり、中華系に強みがある。日本にも支店を持ち、大垣共立銀行等の複数の日本の地銀とも提携している。

2019年の年次報告書では、総資産が2,45兆PHP、総収入は769億PHPであった。2019年にはBest Managed Funds of the Yearをはじめとする数々の賞を受賞している。

連結売上高の伸びは15.5%を記録しており、そのほか市場シェアでは総資産は13%、総資本は15%、総預金は12%、総融資は12%を占める。

近年は持続可能な開発(SDGs)のための取組を積極的に推進しており、6050億PHPを国連に融資するほか、ダイバーシティにのっとった人材の採用、非財務情報の公開などを行っている。

出典:https://metrobank.com.ph/img/2019-annual-report.pdf

Bank of the Philippine Islands(バンクオブザフィリピンアイランズ)

1851年にフィリピンで最初に設立された、2019年時点で全国に1,167の営業支店と2,822のATMを有する国内大手の銀行。一般的にBPIと呼ばれる。筆頭株主は国内大手でスペイン系コングロマリット企業であるアヤラ・グループ。みずほ銀行や静岡銀行と業務提携をしている。

2019年の年次報告書では、連結での総資産が2,2兆PHP、純収入は943億PHPであった。前年度からの増加率は総資産は5.7%、純収入は20.1%となっており、その堅調な成長がうかがえる。

2019年にはCorporate TreasurerにおいてBest Bank in the Philippinesをはじめとする、国内外の数々の賞を受賞している。

近年は特にSMEs(零細中小企業)への融資を積極的に行っており、2016年以降に行われたマイクロファイナンスローンの総額は111億PHPを超えている。

出典: https://www.bpi.com.ph/content/atom/33f50d91-c898-4666-8a69-e09d571c5dcc/content/About%20BPI/Investor%20Relations/Integrated%20Reports/IR%20Report%20Files/file_2019_integrated_report.pdf?id=deca4840-d2b3-4c65-a7b8-779f3cd8ef3d

Land Bank of the Philippines(ランドバンクオブザフィリピン)

1963年に設立された、2019年時点で全国に409の営業支店と2,195のATMを有する政府系の銀行。一般的にランドバンクと呼ばれる。農業を含む小規模農家や漁民への融資サービスを通じた農業分野の支援を主なサービスとしている。

2019年の年次報告書では、総資源が2兆PHPを超え、純収入は185億PHPであった。農業分野への融資額は7,771億PHPであり、前年度と比較して5.8%の増加となっている。これは同銀行の総融資額8317億PHPの93.4%にあたり、その優先度の高さを物語っている。

2019年には第54回Anvil Awardsをはじめとする、国内外の数々の賞を受賞している。

政府系の銀行ということもあり、最近では社会福祉開発省(DSWD)の推進する低収入家計を支援する条件付き現金給付プログラムである「Pantawid Pamilyang Pilipino Program(4Ps)」で有用な役割を果たしており、2019年には合計739.4億PHPを440万人の受益者に支出した。

出典:https://www.landbank.com/images/inner_template/1608600287_LANDBANK%20ANNUAL%20REPORT%202019.pdf

Philippine National Bank(フィリピンナショナルバンク)

1916年に設立された、2020年時点で全国に716の営業支店と1,710のATMを有する元政府系の銀行。一般的にPNBと呼ばれる。1989年に民営化されたものの、政府系企業等との関係が深い。

2020年の年次報告書では、総資産が1,2兆PHP、当期純利益は26億PHPであった。Covid-19によるパンデミックの影響で、当期純利益においては前年度の97億PHPからの大幅な減収となっているが、総資産は増加している。

2020年には、経済協力開発機構(OECD)のコーポレートガバナンス原則に従って作成されたACGSで97.5ポイント以上のスコアを獲得したことに対するASEAN資産クラス賞を受賞している。

近年は特にデジタルバンキングに注力しており、デジタルバンキングの登録者数は2桁の伸びを示した。2021年には新しいモバイルバンキングアプリをリリースし、QRコードを介して他のPNBアカウントに資金を送金できるようになった。

出典: https://www.pnb.com.ph/wp-content/uploads/docs/2020-AnnualReport.pdf

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Security Bank(セキュリティバンク)

1951年に設立された、2020年時点で全国に313の営業支店と804のATMを有する銀行。第二次世界大戦後の、最初の民間かつフィリピン人が経営する銀行でもあり、1995年にフィリピン証券取引所に上場している。三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)とのパートナーシップ提携をしている。

2020年の年次報告書では、総資産が6,520億PHP、当期純利益は74億PHPであった。Covid-19によるパンデミックの影響で、総資産は前年度の7,930億PHP、当期純利益においては前年度の101億PHPからの減収となっている。

2020年には、The Asian BankerによるThe Strongest Bank in the Philippines in 2020をはじめとする、数多くの賞を受賞している。

最近ではMUFGとともに、COVID-19パンデミックで経済的困難に直面している日本の東南アジアの学生を支援するために約4億円を寄付した。寄付金は日本タイ学生協会、フィリピン協会など4つの受益者に分配された。

出典:https://www.securitybank.com/about-us/investor-relations/financial-information/annual-reports/

Development Bank of the Philippines(デベロップメントバンクオブザフィリピン)

1947年に設立された、2019年時点で全国に140の営業支店と836のATMを有する国営開発銀行。一般的にDBPと呼ばれる。国内で二番目に大きい国有銀行であり、フィリピンで最大の政府所有の統制企業(GOCC)の1つでもある。

2019年の年次報告書では、総資産が7,635億PHP、当期純利益は55億PHPであった。総資産は前年度の6,715億PHP、当期純利益においては前年度の54億PHPからの増収となっている。

2019年には、Sustainable Business Awards(SBA)National Advisory Panelから、「BestWorkforce」を実現した企業として表彰されている。

開発銀行ということもあり、最近ではインフラ開発、起業家育成、効率的な社会サービス、環境保護、中小企業を対象としたさまざまな融資プログラムを開始した。また銀行のない地域と銀行の少ない地域でのアクセスを改善し、より革新的な商品やサービスを導入することで、金融包摂の目標に向かって前進した。

出典: https://www.dbp.ph/publication/2019-annual-report/

EastWest Banking Corporation(イーストウェストバンキングコーポレーション)

1994年に設立された、2019年時点で全国に228の営業支店を有する銀行。銀行、不動産、ホスピタリティと観光、発電と砂糖に関連する企業を有する、国内有数のコングロマリットの1つであるFilinvest Development Corporation(FDC)の子会社である。

2019年の年次報告書では、総資産が4,063億PHP、当期純利益は214億PHPであった。総資産は前年度の3,673億PHP、当期純利益においては前年度の192億PHPからの増収となっている。

2019年には、オートローン事業でアジアバンキングおよびファイナンスリテールバンキングアワードで2つの賞を受賞した。

最近では国内初の独占デジタルバンキングサービスである「Komo」を通じてデジタルバンキングへの参入を発表した。完全子会社であるEastWest Rural Bankを通じて、電子決済および金融サービスのライセンスに基づいてKomoのBSP承認を取得した。

出典: https://www.eastwestbanker.com/CMS%20Content/Investor%20Relations/Annual%20Reports/PDF/EastWest%202019%20Annual%20and%20Sustainability%20Report%20-%20Financial%20Statements.pdf

Chinabank(チャイナバンク)

1920年に設立され100周年を迎えた、2019年時点で全国に631の営業支店と1,002のATMを有する銀行。多世代のフィリピン人と中国人のコミュニティと緊密な関係を維持し、フィリピン系華僑との取引に強みをもつ。フィリピン最大のコングロマリット企業の1つであるSMグループのメンバーである。

2019年の年次報告書では、総資産が2018年より11%多い9,620億PHPに達し、当期純利益は前年比24%増の101億PHPであった。

同行はASEANコーポレートガバナンススコアカード(ACGS)の130点満点中110〜119点を獲得したことで、4つ星の表彰を授与した。ACGSでこのスコアを持つ6つの上場企業(PLC)の中で唯一の銀行であった。

最近ではデジタルバンキングを推進しており、チャイナバンクは現在、100%デジタル化された信託業務を行うアジア太平洋地域の数少ない金融機関となっている。Intellect社のWealthQubeスイートを導入し、顧客にリアルタイムで財務諸表を提供するなど、サービスの向上を目指している。

出典:https://www.chinabank.ph/pdf/2019_Annual_Report.pdf

Union Bank of the Philippines(ユニオンバンクオブザフィリピン)

1968年に設立された、2020年時点で全国に393の営業支店と478のATMを有する世界的に有名なデジタル銀行。政府サービス保険システム(SSS)のEカード口座の受入銀行でもある。

2020年の年次報告書では、総資産が7,745億PHP、当期純利益は116億PHPであった。Covid-19によるパンデミックの影響で、純利益は2019年度の140億PHPから減収となったが、資産は2019年の7,708億PHPから増加している。

同行は長年にわたり、アセットトリプルAによる4回の「デジタルバンクオブザイヤー」を含む、国内外からの数々の賞と表彰を獲得してきた。

デジタルバンキングの先駆的銀行として、最近ではフィリピン中央銀行(BSP)にデジタル銀行免許の申請書を提出した。BSPは5銀行のみにライセンスを制限していたが、国内の強い需要に後押しされより多くのデジタル銀行の運営を許可する方向である。

出典: https://www.unionbankph.com/about-us/disclosures/annual-reports/1164/2021/13864

Rizal Commercial Banking Corp.(リサールコマーシャルバンキングコープ)

1960年に開発銀行として設立された、2019年時点で全国に507の営業支店と1,537のATMを有する銀行。一般的にRCBCと呼ばれる。

2009年にはマイクロファイナンスビジネスに進出し話題を呼んだ。

2019年の年次報告書では、総資産が前年度の6,446億ペソから19%増加し7,671億PHP、当期純利益は前年の43億PHPから25%増加して54億PHPであった。

同行はWorldFinanceの「Best Banking Group in the Philippines」や、AI Global Awardsの「Bestin Private Banking」などの数々の賞を受賞している。

近年では持続可能な開発(SDGs)に関連する取り組みを積極的に推進しており、グリーンボンドとサステナビリティボンドからの純収入は390億PHPに達し、調達による経済的影響は2019年時点で96.88%を達成している。

出典:https://www.rcbc.com/uploads/media/RCBC-2019-Annual-and-Sustainability-Report-V2.pdf

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フィリピンの主要銀行3選〜日系企業編〜

三井住友銀行(SMBC)

2001年に三井住友フィナンシャルグループ傘下の都市銀行として設立。3大メガバンクの一角を占める。2014年の外資規制の緩和に伴い、マニラにて支店開設。

2020年の統合報告書では、親会社株主に帰属する当期純利益は7,039億円

であった。これは新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う減益影響があり2018年から減収となっているが、海外金利の低下局面を捉えた債券売却益の計上や第3四半期までの与信関係費用の低位推移、税コスト負担の減少等から、目標の7,000億円を上回っている。

同行は、フィリピンの銀行であるバンク・オブ・ザ・フィリピン・アイランズ(BPI)に保険契約システムを4月から開放すると発表した。海外の保険販売のデジタル化を進め、契約や保険料の決済を非対面でできるようにし、BPIの顧客が個人情報を再入力せずに、傷害保険や医療保険を契約できるようにする。

出典: https://www.smfg.co.jp/gr2020/

みずほ銀行

2002年にみずほフィナンシャルグループ傘下の都市銀行として設立。3大メガバンクの一角を占める。フィリピンには1995年6月に統合前の富士銀行がマニラ支店として開設、事業拡大を図っている。

2020年の統合報告書では、親会社株主に帰属する当期純利益は1,717億円であった。これは、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を反映して貸倒引当金804億円をフォワード・ルッキングに計上したこと等により、前年度比で1,521億円増加した。

2019年度、トレードファイナンスの分野において、業界専門誌であるGlobal Trade Review誌が選定する「Leaders in Trade」の「Best trade finance bank in East Asia & the Pacific」を受賞し、4年連続受賞となった。

同行は、2017年にはフィリピン投資委員会(BOI)および貿易産業省(DTI)と同国への投資の促進に関する事業協力について覚書に署名した。

出典:https://www.mizuho-fg.co.jp/investors/financial/disclosure/pdf/data20d_all.pdf

三菱UFJ銀行(MUFG)

2006年に三菱UFJフィナンシャル・グループとして設立。3大メガバンクの一角を占める。フィリピンでは地場系のSecurity Bank Corporationの株式を20%所有している。

2020年の統合報告書では、2019年度の親会社株主に帰属する当期純利益は5,281億円であった。これは、ASEANのパートナーバンクののれん一括償却を主因に、前年度比3,445億円減益となっている。

また同年、LGBTに関する取り組みが評価され、「PRIDE指標」においてシルバーを受賞している。

最近ではセキュリティバンクとともに、COVID-19パンデミックで経済的困難に直面している日本の東南アジアの学生を支援するために約4億円を寄付した。寄付金は日本タイ学生協会、フィリピン協会など4つの受益者に分配された。

出典: https://www.mufg.jp/ja/ir2020/pdf/all.pdf

フィリピンの主要銀行〜外資企業編〜

Maybank(メイバンク)

1960年に設立された、マレーシアのクアラルンプールに本社を置くマレーシア最大の銀行。マレーシア国内に361支店と、海外に88支店を持つ。ブルネイ、シンガポール、フィリピン国内でも主要銀行である。

2020年の統合報告書では、総資本は8,568億RM(リンギット)、 株主に帰属する純利益は2019年度からRM17億1690万減少し、64.8億RMであった。 収益性の低下は主に、貸付金、前払金および資金調達の減損損失に対する正味引当金の増加に起因している。

同行はAlpha Southeast Asia 14th Annual Best FI Awards 2020においてフィリピン国内でBest Retail Broker賞など数多くの賞を受賞している。

最近ではマレーシアとインドネシアの非政府組織(NGO)の連合から、環境、社会、ガバナンス(ESG)に取り組んでいるにもかかわらず、石炭火力発電所に資金を提供しているとの批判を受け、持続可能な資金調達では新しい石炭活動に資金を提供しないと発表した。

出典: https://www.maybank.com/en/investor-relations/reporting-events/reports/annual-reports.page

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