【2025年最新版!】フィリピン金融業界の主要企業と市場動向

フィリピンの金融業界は、デジタル化や経済成長を背景に急速な変化を遂げています。本記事では、主要銀行や市場動向を詳しく解説し、日本企業が現地で成功するためのヒントを提供します。続きで具体的な事例をご覧ください。

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目次

フィリピンの主要銀行11選〜ローカル企業編〜

BDO Unibank(ビーディーオー ユニバンク)

BDO Unibank(以下、BDO)は、1976年に設立されたフィリピン国内最大のユニバーサルバンクであり、現在では全国に1,400以上の営業支店と4,400を超えるATMを有している。一般的に「BDO」と呼ばれ、国内最大のコングロマリットであるSMグループが主要株主を務めている。さらに、同銀行の取締役会は、銀行業務や財務、会計、法律分野において豊富な経験を持つ専門家で構成されており、その強固な経営基盤が支持されている。

2020年の年次報告書では、BDOは総資産が3兆PHPを超え、総収入は282億PHPに達したことを報告している。特に、総資産の年平均成長率(CAGR)は10.7%、総融資額のCAGRは12.1%と安定した成長を見せており、COVID-19パンデミックの影響を受けながらも、銀行としての地位を堅持している。この成長は、強力な地域ネットワークと多様化した金融サービスに支えられている。

パンデミックの影響により、2020年の総収入は減少したものの、BDOは迅速な対応を行い、デジタルバンキングサービスやリモートサービスの提供を強化。これにより、顧客との接点を維持し、オンライン取引の利便性を向上させた。また、フィリピン全土でフロントライナーへの物資提供や支援を行うなど、企業の社会的責任(CSR)活動にも積極的に取り組んでいる。

BDOは、FinanceAsia 2020をはじめ、数々の国内外の賞を受賞しており、その金融機関としての信頼性と影響力は高く評価されている。これらの賞は、同銀行の優れた業績や顧客サービスの質を反映しており、今後の成長にも大きな期待がかかる。

出典: https://www.bdo.com.ph/sites/default/files/pdf/BDO%20Unibank%202020%20Annual%20Report.pdf

Metropolitan Bank&Trust(メトロポリタンバンクアンドトラスト)

Metropolitan Bank & Trust(以下、メトロバンク)は、1962年に設立されたフィリピンの大手銀行で、2019年時点で全国に957の営業支店と2,345のATMを有している。一般的に「メトロバンク」と呼ばれ、テイ財閥とGP Capitalが主要株主を務めており、特に中華系コミュニティとの強い繋がりがある。日本にも支店を展開しており、大垣共立銀行などの複数の日本の地方銀行と提携している点も特徴的である。

2019年の年次報告書によると、メトロバンクの総資産は2.45兆PHPに達し、総収入は769億PHPとなった。これにより、同銀行は安定した財務基盤を維持しており、業績の伸びも顕著である。特に、連結売上高は前年比で15.5%の増加を記録し、非常に好調な成長を遂げた。また、市場シェアにおいても、総資産の13%、総資本の15%、総預金の12%、総融資の12%を占めており、フィリピン国内の銀行業界で重要な地位を占めている。

メトロバンクは、2019年に「Best Managed Funds of the Year」など、数々の賞を受賞しており、金融機関としての評価は国内外で高い。この評価は、優れた資産運用管理や効率的な経営によるもので、今後の成長に向けたポテンシャルを示している。

メトロバンクは、近年の経済・社会的なニーズに応じて、持続可能な開発(SDGs)の推進に積極的に取り組んでいる。特に、国連への6050億PHPの融資を通じて、グローバルな発展に寄与している。また、ダイバーシティに基づく人材採用や、非財務情報の公開を行うなど、企業の社会的責任(CSR)活動にも注力している。これらの活動は、今後の成長を支える重要な要素となるだろう。

メトロバンクは、持続可能な経済成長を支える金融機関として、今後も国内外での事業展開を加速する計画である。また、デジタルバンキングや環境・社会・ガバナンス(ESG)に関連した取り組みを強化し、より包括的で多様性のあるサービスを提供することで、顧客層の拡大を目指している。

出典:https://metrobank.com.ph/img/2019-annual-report.pdf

Bank of the Philippine Islands(バンクオブザフィリピンアイランズ)

Bank of the Philippine Islands(以下、BPI)は、1851年にフィリピンで最初に設立された歴史ある銀行で、2019年時点で全国に1,167の営業支店と2,822のATMを有する国内大手の金融機関である。一般的に「BPI」と呼ばれ、スペイン系コングロマリット企業であるアヤラ・グループが筆頭株主を務めている。また、みずほ銀行や静岡銀行と業務提携を行っており、国際的なネットワークも広がっている。

2019年の年次報告書によると、BPIの連結総資産は2.2兆PHP、純収入は943億PHPとなり、前年度から総資産は5.7%、純収入は20.1%増加した。これにより、同銀行は堅調な成長を維持しており、特に収益の伸びが注目される。BPIは、リテールバンキングやコーポレートバンキング、投資銀行業務など、幅広いサービスを提供し、堅実な成長を実現している。

2024年には、BPIは過去最高の純利益620億フィリピン・ペソ(約10.5億米ドル)を記録し、前年比で20%増加した。この増収は、特に総収入が前年比23%増加したことが主な要因となっており、総収入は1701億ペソに達した。

利息収入も好調で、純利息収入は1276億ペソとなり、前年比で22.3%増加した。これには、平均資産規模の拡大と金利マージンの改善が寄与している。また、非利息収入もクレジットカードやウェルスマネジメント、バンカシュアランスなどの収入が増加したことが背景にあり、25.3%増加して426億ペソに達した。これらの成長は、BPIが提供する多様な金融サービスに対する需要が高まっていることを示している。

営業経費は838億ペソとなり、前年より21.3%増加したが、これは主に人件費の増加や、テクノロジーへの投資、取引量の増加に伴う費用増加によるものだ。貸出金は前年同期比で18.2%増加し、2.3兆ペソに達した。この増加には、Robinsons Bankとの合併が寄与しており、ポートフォリオの拡大にもつながっている。また、BPIの総資産は3.3兆ペソに達し、前年同期比で14.9%増加した。

BPIは、堅調な業績を維持する一方で、持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも積極的に取り組んでおり、国連に対する6050億ペソの融資を行っている。さらに、ダイバーシティに基づいた人材の採用や、非財務情報の公開を通じて、社会的責任を果たす企業としての役割を強化している。

今後、BPIはデジタルバンキングの強化を進め、特に中小企業向け融資の拡大に注力することを明言しており、持続可能な成長を目指している。アジア開発銀行(ADB)によると、2024年の東アジア・太平洋地域の経済成長率は4.9%と予測されており、BPIはこの成長を支える金融サービスを提供する重要な役割を果たすと期待されている。

出典: https://www.bpi.com.ph/content/atom/33f50d91-c898-4666-8a69-e09d571c5dcc/content/About%20BPI/Investor%20Relations/Integrated%20Reports/IR%20Report%20Files/file_2019_integrated_report.pdf?id=deca4840-d2b3-4c65-a7b8-779f3cd8ef3d

Land Bank of the Philippines(ランドバンクオブザフィリピン)

963年に設立された政府系銀行で、2019年時点で全国に409の営業支店と2,195のATMを有している。この銀行は、主に農業分野に特化しており、小規模農家や漁民などを支援するための融資サービスを提供している。そのため、農業支援を中心に、農村経済の活性化や貧困削減に寄与している。

2019年の年次報告書では、ランドバンクの総資源が2兆PHPを超え、純収入は185億PHPに達した。特に農業分野への融資額は7,771億PHPで、前年と比較して5.8%の増加を見せており、総融資額の93.4%を占めるなど、農業支援が同銀行の最優先事項であることがわかる。この融資活動は、農村部の発展を支える重要な財源となっており、同銀行が農業に対する強いコミットメントを持ち続けていることを示している。

また、ランドバンクはその優れたサービスと社会的貢献により、2019年には第54回Anvil Awardsをはじめとする国内外の数々の賞を受賞している。これらの受賞は、金融機関としての信頼性を高めるとともに、その社会的責任の遂行に対する高い評価を意味している。

さらに、ランドバンクは政府系銀行として、社会福祉開発省(DSWD)による「Pantawid Pamilyang Pilipino Program(4Ps)」においても重要な役割を果たしている。このプログラムは低所得家庭に対する条件付き現金給付を行うもので、2019年には440万人の受益者に対して合計739.4億PHPを支出している。これにより、貧困層の生活向上に貢献しており、ランドバンクは政府の社会福祉政策の一環として重要な機能を果たしている。

今後もランドバンクは、農業支援や貧困層への支援活動を中心に、フィリピンの農村経済や社会福祉分野での役割を強化していくと予想される。

出典:https://www.landbank.com/images/inner_template/1608600287_LANDBANK%20ANNUAL%20REPORT%202019.pdf

Philippine National Bank(フィリピンナショナルバンク)

Philippine National Bank(PNB)は、1916年に設立されたフィリピンの主要な商業銀行で、Pasay市に本社を置いています。1989年に民営化され、現在では多様な金融サービスを提供しています。​

2024年、PNBは堅調な業績を維持し、前年同期比18%増の212億ペソの連結純利益を計上しました。これは、銀行のコアビジネス強化の取り組みが実を結んだ結果とされています。​

近年、PNBはデジタルバンキングの強化に注力しており、2021年にはオンライン口座開設サービスを開始しました。これにより、顧客は安全かつ便利に口座開設が可能となりました。さらに、iOS向けのモバイルバンキングアプリ「PNB Digital」を提供しており、スマートフォンからの銀行取引をサポートしています。

PNBは、フィリピン国内に713の支店と1,400以上のATMを展開しており、アジア、ヨーロッパ、中東、北米などに70以上の海外拠点を持ち、国際的な金融ネットワークを構築しています。​

PNBは、その優れたコーポレートガバナンスを評価され、経済協力開発機構(OECD)の原則に基づくACGSで97.5ポイント以上のスコアを獲得し、ASEAN資産クラス賞を受賞しています。​

今後もPNBは、デジタル化の推進と国際的なサービス拡大を通じて、顧客の多様なニーズに応えていくと期待されています。

出典: https://www.pnb.com.ph/wp-content/uploads/docs/2020-AnnualReport.pdf

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Security Bank(セキュリティバンク)

Security Bankは、1951年に設立されたフィリピンの商業銀行で、第二次世界大戦後に最初の民間かつフィリピン人が経営する銀行として知られています。 ​2020年時点で、全国に313の営業支店と804のATMを展開しており、 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)とのパートナーシップを通じて、国際的な金融サービスの提供を強化しています。 ​

2020年の年次報告書によれば、Security Bankの総資産は6,520億PHP、当期純利益は74億PHPでした。​これは、前年の総資産7,930億PHP、当期純利益101億PHPから減少しており、COVID-19パンデミックの影響が示唆されています。​

しかし、同年にはThe Asian Bankerから「The Strongest Bank in the Philippines in 2020」の称号を受賞するなど、金融業界での評価も高いです。 また、MUFGと共同で、COVID-19パンデミックで経済的困難に直面している日本や東南アジアの学生を支援するために約4億円を寄付し、日本タイ学生協会やフィリピン協会など4つの団体に分配されました。

出典:https://www.securitybank.com/about-us/investor-relations/financial-information/annual-reports/

Development Bank of the Philippines(デベロップメントバンクオブザフィリピン)

​Development Bank of the Philippines(DBP)は、1947年に設立された国営開発銀行で、フィリピン国内で二番目に大きい国有銀行として位置づけられています。​2019年時点で、全国に140の営業支店と836のATMを展開し、​フィリピンで最大の政府所有の統制企業(GOCC)の一つとして、経済開発や社会福祉の向上に寄与しています。​

2019年の年次報告書によれば、DBPの総資産は7,635億PHP、当期純利益は55億PHPでした。​これは、前年の総資産6,715億PHP、当期純利益54億PHPからそれぞれ増加しており、​安定した成長を示しています。​また、2024年にDBPの純利益は前年同期比20%増の71億ペソに達しました。

同年、DBPはSustainable Business Awards(SBA)のNational Advisory Panelから、「Best Workforce」を実現した企業として表彰され、​その企業文化や従業員満足度向上への取り組みが評価されました。​

また、DBPは2021年にGreen Climate Fundから認定を受け、環境保護や持続可能な開発プロジェクトへの融資を強化しています。さらに、2024年9月のFitch Ratingsの更新では、フィリピン経済が2024年上半期に6%のGDP成長を遂げ、DBPの経済活動が活発であることが報告されています。

開発銀行として、DBPはインフラ開発、起業家育成、効率的な社会サービス、環境保護、中小企業向けの多様な融資プログラムを提供しています。​特に、銀行のない地域や銀行の少ない地域でのアクセス改善に努め、​より革新的な商品やサービスを導入することで、金融包摂の目標達成に向けて前進しています。

出典: https://www.dbp.ph/publication/2019-annual-report/

EastWest Banking Corporation(イーストウェストバンキングコーポレーション)

EastWest Banking Corporation(イーストウエスト・バンキング・コーポレーション)は、1994年に設立され、フィリピン国内で広範な銀行業務を展開する企業である。親会社は、銀行、不動産、ホスピタリティ、観光、発電、砂糖事業を手掛ける国内有数のコングロマリット、Filinvest Development Corporation(フィルインベスト・デベロップメント・コーポレーション、FDC)である。

2019年時点で、EastWest Bankは全国に228の営業支店を展開しており、フィリピン国内における主要な銀行の一つとして知られている。2019年の年次報告書によると、総資産は4,063億フィリピンペソ(PHP)、当期純利益は214億PHPであった。これは、前年の3,673億PHPおよび192億PHPから大きな増加を見せており、銀行の成長を象徴する数字となっている。

2022年末時点で、EastWest Bankは全国に490の店舗を展開し、584台のATMを設置している。2022年の純利益は約45億フィリピンペソ(PHP)で、前年同期比で42%の増加を記録した。これは、強固な経営戦略と市場での競争力を反映している。

近年では、デジタルバンキングの分野にも積極的に進出しており、完全子会社であるEastWest Rural Bankを通じて、フィリピン中央銀行(BSP)からデジタルバンキングのライセンスを取得し、2020年5月に「Komo」を発表した。Komoは、フィリピン国内でのデジタルバンキングサービスの先駆けとして、利便性とセキュリティを兼ね備えたサービスを提供している。

2022年11月、EastWest Bankは日本の国際カードブランドであるJCBと提携し、「EastWest JCB Credit Card」の発行を開始した。このカードは、日本への旅行や国際的な取引を行うフィリピン国民にとって、利便性の高い選択肢となっている。

EastWest Bankは、デジタルバンキングサービスの拡充に加え、フィリピン国内外での市場シェアの拡大を目指している。特に、オンラインバンキングやフィンテック分野での競争が激化する中、同社はさらなるイノベーションと技術革新を進めることで、デジタル時代におけるリーダーシップを確立しようとしている。

出典: https://www.eastwestbanker.com/CMS%20Content/Investor%20Relations/Annual%20Reports/PDF/EastWest%202019%20Annual%20and%20Sustainability%20Report%20-%20Financial%20Statements.pdf

Chinabank(チャイナバンク)

China Banking Corporation(チャイナバンク)は、1920年に設立され、フィリピンで最も歴史のある銀行の一つである。特に、フィリピン系華僑との強固な関係を築き、同コミュニティ向けの金融サービスにおいて高い評価を受けている。また、フィリピン最大のコングロマリット企業の一つであるSMグループの一員でもある。

2024年には、Chinabankは過去最高の純利益248億フィリピンペソ(PHP)を記録し、前年比13%の増加を達成した。これにより、同年の総収入は21%増の655億PHPに達した。強固なコアビジネスのパフォーマンスと高い貸出需要が、この業績を支えている。

Chinabankは、デジタルバンキングサービスの強化に積極的に取り組んでいる。顧客は、Chinabankのモバイルアプリを通じて、24時間いつでも口座残高の確認や送金、投資信託の管理が可能となっている。さらに、2025年4月にはアプリのユーザーインターフェースが改善され、よりスムーズで個別化されたバンキング体験が提供される予定である

Chinabankは、フィリピン国内だけでなく、国際的にもサービスを展開している。例えば、日本では、個人および法人向けに日元や米ドルの預金、融資、為替、国際決済、資金決済、外国為替取引などの金融サービスを提供している。

Chinabankは、長年にわたりフィリピン経済の発展に寄与してきた銀行であり、今後もデジタル化の推進と国際的なサービス展開を通じて、顧客の多様なニーズに応えていくと予想される。

出典:https://www.chinabank.ph/pdf/2019_Annual_Report.pdf

Union Bank of the Philippines(ユニオンバンクオブザフィリピン)

Union Bank of the Philippines(ユニオンバンク・オブ・ザ・フィリピンズ)は、1968年に設立され、フィリピン国内で広範な銀行業務を展開している。​特に、デジタルバンキング分野での先駆者として知られ、フィリピン中央銀行(BSP)からデジタルバンキングライセンスを取得している。​

2020年の年次報告書によれば、総資産は7,745億フィリピンペソ(PHP)、当期純利益は116億PHPであった。​これは、COVID-19パンデミックの影響で、前年の140億PHPから減少したものの、資産規模は拡大を示している。​

デジタルバンキングの分野での先駆者として、Union Bankはフィリピン中央銀行(BSP)からデジタルバンキングライセンスを取得している。​これにより、フィリピン国内でのデジタルバンキングサービスの提供が可能となり、顧客への利便性向上に寄与している。​

Union Bankは、アセットトリプルAによる4回の「デジタルバンクオブザイヤー」を含む、国内外から多数の賞と表彰を受けている。​これらの受賞は、同銀行のデジタルバンキング分野での優れた取り組みと成果を示している。

出典: https://www.unionbankph.com/about-us/disclosures/annual-reports/1164/2021/13864

Rizal Commercial Banking Corp.(リサールコマーシャルバンキングコープ)

Rizal Commercial Banking Corporation(RCBC)は、1960年に開発銀行として設立され、フィリピン国内で広範な銀行業務を展開している。​2019年末時点で、全国に507の営業支店と1,537のATMを有し、フィリピンの主要な商業銀行の一つとして位置づけられている。 ​

2022年6月末時点で、RCBCの総資産は約2.5兆フィリピンペソ(PHP)に達し、純資産は約2,865億PHPであった。 ​また、同期間の当期純利益は153億PHPを記録し、前年同期比で増加している。​

RCBCは、フィリピン国内で初めての金融包摂アプリである「DiskarTech」を2021年に導入し、特に農村部や未銀行化地域のフィリピン人向けに金融サービスを提供している。​このアプリは、2024年末までに540万回以上のダウンロード数を記録し、その利便性と影響力を示している。

RCBCは、持続可能な開発目標(SDGs)へのコミットメントを示すため、グリーンボンドやサステナビリティボンドを発行している。​2019年には、これらの債券からの純収入が390億PHPに達し、その調達による経済的影響は96.88%に達した。

2021年6月、三井住友銀行(SMBC)はRCBCの株式4.99%を取得し、フィリピン市場でのプレゼンス向上とサービス提供体制の強化を図った。​さらに、2022年11月には追加で15.01%の株式を271.26億PHPで取得し、SMBCグループの持分法適用会社となった。

RCBCは、World Finance誌の「フィリピン最優秀銀行グループ」や、AI Global Awardsの「プライベートバンキング部門最優秀賞」など、多数の国内外の賞を受賞している。​これらの受賞は、同銀行のサービス品質やイノベーションへの取り組みを示している。

出典:https://www.rcbc.com/uploads/media/RCBC-2019-Annual-and-Sustainability-Report-V2.pdf

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フィリピンの主要銀行3選〜日系企業編〜

三井住友銀行(SMBC)

​三井住友銀行は、2001年に三井住友フィナンシャルグループ傘下の都市銀行として設立され、日本の3大メガバンクの一角を占めている。​2014年の外資規制緩和に伴い、フィリピン・マニラに支店を開設し、現地市場への参入を果たした。

2020年の統合報告書によれば、親会社株主に帰属する当期純利益は7,039億円だった。​これは、新型コロナウイルス感染症の拡大による減益影響があり、2018年から減収となっているが、海外金利の低下局面を捉えた債券売却益の計上や、与信関係費用の低位推移、税コスト負担の減少などから、目標の7,000億円を上回る結果となった。

三井住友銀行は、フィリピンの銀行であるバンク・オブ・ザ・フィリピン・アイランズ(BPI)に対し、2020年4月から保険契約システムを開放すると発表しました。​これにより、BPIの顧客は個人情報を再入力することなく、傷害保険や医療保険を非対面で契約し、保険料の決済もオンラインで行えるようになります。

出典: https://www.smfg.co.jp/gr2020/

みずほ銀行

2002年にみずほフィナンシャルグループ傘下の都市銀行として設立。3大メガバンクの一角を占める。フィリピンには1995年6月に統合前の富士銀行がマニラ支店として開設、事業拡大を図っている。

2020年の統合報告書では、親会社株主に帰属する当期純利益は1,717億円であった。これは、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を反映して貸倒引当金804億円をフォワード・ルッキングに計上したこと等により、前年度比で1,521億円増加した。

2019年度、トレードファイナンスの分野において、業界専門誌であるGlobal Trade Review誌が選定する「Leaders in Trade」の「Best trade finance bank in East Asia & the Pacific」を受賞し、4年連続受賞となった。

同行は、2017年にはフィリピン投資委員会(BOI)および貿易産業省(DTI)と同国への投資の促進に関する事業協力について覚書に署名した。

出典:https://www.mizuho-fg.co.jp/investors/financial/disclosure/pdf/data20d_all.pdf

三菱UFJ銀行(MUFG)

2006年に三菱UFJフィナンシャル・グループとして設立。3大メガバンクの一角を占める。フィリピンでは地場系のSecurity Bank Corporationの株式を20%所有している。

2020年の統合報告書では、2019年度の親会社株主に帰属する当期純利益は5,281億円であった。これは、ASEANのパートナーバンクののれん一括償却を主因に、前年度比3,445億円減益となっている。

また同年、LGBTに関する取り組みが評価され、「PRIDE指標」においてシルバーを受賞している。

最近ではセキュリティバンクとともに、COVID-19パンデミックで経済的困難に直面している日本の東南アジアの学生を支援するために約4億円を寄付した。寄付金は日本タイ学生協会、フィリピン協会など4つの受益者に分配された。

出典: https://www.mufg.jp/ja/ir2020/pdf/all.pdf

フィリピンの主要銀行〜外資企業編〜

Maybank(メイバンク)

Maybank(マレーシア・バンキング・グループ)は、1960年にマレーシアのクアラルンプールで設立され、国内最大の銀行として、マレーシア国内に361支店、海外に88支店を展開している。​特に、ブルネイ、シンガポール、フィリピンでは主要な銀行として知られている。

2020年の統合報告書によれば、Maybankの総資本は8,568億マレーシアリンギット(RM)であり、株主に帰属する純利益は前年からRM17億1,690万減少し、64.8億RMとなった。​この収益性の低下は、貸付金、前払金、資金調達の減損損失に対する引当金の増加が主な要因とされている。

Maybankは、Alpha Southeast Asiaの第14回Annual Best FI Awards 2020において、フィリピン国内でBest Retail Broker賞など多数の賞を受賞している。

近年、Maybankは環境、社会、ガバナンス(ESG)への取り組みを強化しており、新たな石炭関連のプロジェクトへの資金提供を行わない方針を発表している。​これは、持続可能な資金調達を推進し、ESG基準を満たす企業への融資を拡大する戦略の一環である。​

Maybankは、マレーシアとインドネシアの非政府組織(NGO)連合から、環境、社会、ガバナンス(ESG)への取り組みに関して評価されており、特に新規の石炭火力発電所への資金提供を控える方針が注目されている。

出典: https://www.maybank.com/en/investor-relations/reporting-events/reports/annual-reports.page

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