今回は、タイの証券業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合計主要9選ついてお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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タイの主要証券会社9選〜ローカル企業編〜
Finansia Syrus Securities PCL.(ファイナンシア・サイラス・セキュリティーズ)
2002年に創業したローカル系証券会社。タイ証券取引所SETに上場している。タイ債券取引センターの一員となっており、証券事業に関する5つのライセンス(証券ブローカー、証券取引、投資アドバイザリー、引受業務、株式貸借)を所持している。また、財務アドバイザリー、販売代理店、デリバティブ取引、タイ債券市場の債券ディーラーの4つの事業を行う承認を得ている。
個人向けの大手証券ブローカーとしての地位を築いてきたが、法人顧客にも事業を広げてきている。個人、法人合わせて65,000口座を持ち、465人の投資コンサルタントと計30の支店が存在する。支店はバンコク首都圏に本社含め16拠点、地方に14拠点存在する。
証券取引のデジタル化も進めており、2017年から取引アプリ“Finansia HERO”を導入した。同アプリはタイの株式市場での取引に用いることができ、最先端のアプリとしての評価を得ている。銀行を親会社に持たない独立系の証券会社として、テクノロジー、リサーチ、資産管理などの分野で海外の企業との連携を模索している。
2020年の売上高は前年比35%増の1,742百万バーツ、純利益は前年の赤字から回復し82百万バーツの黒字であった。
出典: www.fnsyrus.com
Krungthai Zmico Securities Co., Ltd. (クルンタイ・ズミコ・セキュリティーズ)
2009年にタイの大手銀行Krung Thai(クルンタイ)銀行と証券大手Seamico Capitalのジョイントベンチャーとして創業したローカル系証券会社。タイ証券取引所SETに上場している。証券事業に関するライセンスは6つ(証券ブローカー、証券取引、民間企業資金管理、引受業務、株式貸借、債務証券取引)を所持している。また、デリバティブ取引ブローカーの承認も得ている。以上のライセンスに基づいた幅広い証券取引サービスを提供できることから、”フルサービスブローカー”としての自負を持っている。
法人向けサービスでは、Seamico Capital(現XSpring Capital)の豊富な投資経験とクルンタイ銀行グループの強固なネットワークを活かしたアドバイスが可能である。M&Aに関しては、世界的に最も経験豊富なOaklinsグループに所属しており、同グループの850人の専門家によるアドバイスを提供できる。同グループは過去5年間に45か国で1,700件以上の取引を手掛けた。
日本人がタイで利用できる唯一のローカル系証券会社である。日本語での口座開設手続きが可能である他、企業サイトには日本語のFAQの記載もある。
出典: https://www.ktzmico.com/en/home
AIRA Securities PCL.(アイラ・セキュリティーズ)
2004年に創業した。タイ証券取引所maiに上場するローカル系金融会社AIRA Captipal PCL.を親会社に持つ証券会社。証券事業に関するライセンスは6つ(証券ブローカー、証券取引、投資アドバイザリー、引受業務、株式貸借、民間企業資金管理)を所持している。また2008年からはタイ先物取引所(TFEX)のメンバーの一員として、デリバティブ取引ブローカーのライセンスを所持している。
支店はバンコク首都圏に本社含め5拠点、地方に2拠点の計7拠点存在する。
国際投資にも対応している。1つの基幹通貨で口座を作り各国の通貨に両替することで、北米(アメリカ、カナダ、メキシコ)、アジア(日本、香港など)、ヨーロッパ(イギリス、ドイツ、フランスなど)といった計17か国の証券市場に投資することができる。
親会社AIRA Captipal PCL.は日本人向けの事業も行っており、日本語サイトも存在。同社は消費者金融のアイフル(タイではAIRA & Aiful PCL.)や外貨両替所のTravelexにも出資しており、幅広い金融サービスを手掛ける。
出典: https://www.aira.co.th/
Tisco Securities Co., Ltd.(ティスコ・セキュリティーズ)
1975年に創業した。タイ証券取引所SETに上場するローカル系金融会社TISCO Financial Group PCL.を親会社に持つ。証券事業に関するライセンスは5つ(証券ブローカー、証券取引、投資アドバイザリー、引受業務、株式貸借)を所持している。
拠点はバンコクに本社がある他、チェンマイやナコンラチャシマなど主要都市の支店を含め国内に計5か所存在する。
TISCOグループのネットワークを活かした証券リサーチ部門による分析が国際的にも高い評価を得ており、数々の受賞歴がある。2016年にはタイ証券取引所SETから、リテール証券取引でOutstanding Securities Company Awards を受賞。また、2018年にはドイツのグループ会社Deutsche TISCO Investment Advisory Co., Ltd.がIAA Best Analyst Awardを受賞した。
同リサーチ部門では各産業の上場125社のファンダメンタル分析を行っている。これはタイ証券市場の時価総額79%を占める。分析サポートチームは細かい情報を入手し体系的に整理しており、テクニカル分析チームは毎日、毎週のトレンドを分析し、顧客が正確な投資判断を下せるようアドバイスを行っている。
出典: https://www.tiscosec.com/th/index.html
タイの主要証券会社〜日系企業編〜
SBI Thai Online Securities Co., Ltd. (エスビーアイ・タイ・オンライン証券)
2014年に日本のオンライン証券大手SBI証券とタイの証券大手Finansia Syrus証券の合弁会社として設立。2017年にFinansia Syrus証券からの株式譲渡を経て、SBIグループの100%子会社となった。証券事業に関するライセンスは証券ブローカーと引受業務の2つを所持しているほか、デリバティブ取引ブローカーの承認も得ている。SBIグループの20の海外拠点のうちの1つとして、バンコク本社が存在している。
取引手数料が0.020%~0.075%と、業界最安値であることが売りである。日系の会社であることから日本人向けのサービスが充実している。日本語での口座開設手続きが可能である他、日本語のサイトも存在。また、Facebookアカウントで投資情報を毎日更新し発信している。
「顧客中心主義」の理念のもと、SBIグループが日本で蓄積してきたインターネット金融のノウハウ等を活用し、利便性の高いサービスを日本人顧客含めたタイの投資家に提供することを目指している。
出典: https://www.sbito.co.th/index.aspx
タイの主要証券会社4選〜外資企業編〜
CGS-CIMB Securities (Thailand) PCL.(シージーエス・シーアイエムビー・セキュリティーズ・タイランド)
中国のChina Galaxy Securities Co. LtdとマレーシアのCIMBグループが半分ずつの株式を持ち合う合弁会社として1999年に設立された。証券事業に関する7つのライセンス(証券ブローカー、証券取引、投資アドバイザリー、引受業務、株式貸借、債務証券取引、民間企業資金管理)を所持している。また、デリバティブ取引ブローカーおよびデリバティブ取引の2つのライセンスも所持している。
ウェブサイト、Facebookにて毎日投資情報のライブ配信を行っている。タイからの国際投資も可能で、シンガポール、マレーシア、香港、アメリカ、ベトナムの市場に投資することができる。
アジアでも最大規模の2つの金融会社を親会社に持つことから、アジアの商習慣をよく理解しており、幅広い情報網を持つ。アジア8か国に70人のアナリストが存在し、同地域における中小株から優良株まで800社の株式情報を分析している。また中国、ASEANに加え、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、インドなども含む20か国に渡る事業ネットワークを持つ。2,600の法人顧客と400,000人の個人顧客が存在する。
出典: https://www.cgs-cimb.co.th/en/home
KGI Securities (Thailand) PCL.(ケージーアイ・セキュリティーズ・タイランド)
1975年にThe Goldhill Securities Co., Ltd.として設立され、1998年に台湾のKGIグループが筆頭株主となり現在に至る。証券事業に関する5つのライセンス(証券ブローカー、証券取引、投資アドバイザリー、引受業務、株式貸借)を所持している。また、デリバティブ取引ブローカーのライセンスも所持している。1989年よりタイ証券取引所SETに上場している。支店はバンコク首都圏に本社含め3拠点、地方に10拠点の計13拠点存在する。2020年の売上高は前年比14%増の3,668百万バーツ、純利益は前年比42%減の568百万バーツであった。
親会社KGIグループは台湾で2番目に大きい証券会社である。台湾とタイ以外にも、中国、香港、シンガポールも含めて100以上の拠点を持ち、4,500人を超える専門家がいる。アジアにおける強固な情報網と正確な市場分析が強みである。
多様化する顧客のニーズに応えるため、グループ会社のOne Asset Managementにて資産管理事業も手掛ける。同社では投資信託、プライベートファンド、タイの確定拠出型企業年金であるプロビデントファンドなどを提供し、顧客の資産配分、資産形成のアドバイスを行っている。
出典: http://www.kgieworld.co.th
Maybank Kim Eng Securities (Thailand) Co., Ltd.(メイバンク・キム・エン・セキュリティーズ・タイランド)
1990年にNithipat Capital Co.,Ltd.として設立された。2011年にマレーシアのMaybankグループが筆頭株主となり、当時のKim Eng Securitiesから現在の名称に変わった。証券事業に関する5つのライセンス(証券ブローカー、証券取引、投資アドバイザリー、引受業務、株式貸借)を所持している。また、デリバティブ取引ブローカーのライセンスも所持している。2003年にタイ証券取引所SETに上場した。
支店はバンコク首都圏に本社含め15拠点、地方に15拠点の計30拠点存在する。2020年の売上高は前年比17%増の2,819百万バーツ、純利益は前年比91%増の484百万バーツであった。
Maybankグループはマレーシアとタイに加え、シンガポール、フィリピン、ベトナム、インドネシアなどを含む20か国に展開している。分析チームには700人を超える専門の投資コンサルタントが所属している。同チームは高度なファンダメンタル分析とテクニカル分析を行い、投資家が正確な判断を下せるようアドバイスを行っている。また、プロの投資銀行アナリストも存在し、債券市場および株式市場の分析から財務アドバイザリーサービスを提供している。
出典: www.maybank-ke.co.th
UOB Kay Hian Securities (Thailand) PCL.(ユーオービー・ケイ・ヒアン・セキュリティーズ・タイランド)
1998年にOcean Securities Limitedとして創業した。2000年にシンガポールのUOB銀行グループ傘下のUnited Investment Limitedにより買収された後、親会社のUOBとKay-Hianの合併を経て2005年から現在の名称となっている。同年よりタイ証券取引所SETに上場。証券事業に関する6つのライセンス(証券ブローカー、証券取引、投資アドバイザリー、引受業務、株式貸借、債務証券取引)を所持している。また、デリバティブ取引ブローカーのライセンスも所持している。
支店はバンコク首都圏に本社含め15拠点、地方に30拠点の計45拠点存在する。2020年の売上高は前年比20%増の1,254百万バーツ、純利益は前年比140%増の240百万バーツであった。
直接の親会社UOB-Kay Hianはシンガポールで最大の証券会社であり、ASEANだけでなく中国やアメリカ、イギリスでも事業を手掛ける。また、シンガポールで最大の商業銀行であり、タイにも進出しているUOB銀行の傘下でもある。これらグループ企業の金融業界における豊富な経験や幅広いネットワークを活かしたサービスを提供できる。
出典: https://www.utrade.co.th/
バンコク在住のタイ人。タイにおける日系企業向け翻訳・通訳を6年間以上行う。経済、ビジネス、IT分野に興味があり、マーケティングや流通を含めた企業調査や、企業調査といった情報収集が得意。