今回は、タイの主要建設企業に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて16社を厳選してお届けしていきます!
それぞれのの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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タイの主要建設企業6選〜ローカル企業編〜
Italian-Thai Development PLC. (イタリアンタイ・ディベロップメント)
サルベージ事業から始まり、1958年にタイ人とイタリア人により創業。1994年よりタイ証券取引所(SET)に上場している。現在ではタイで最大規模の建設会社である。25,000人以上の社員を有し、これまでの60年以上の歴史で2,000件以上のプロジェクトを進めてきた。各プロジェクトはコンドミニアム、大型ショッピングモール、工場・発電施設、空港、高速道路、鉄道、橋、港湾施設など多様かつ大規模である。海外ではASEAN各国、インド、バングラデシュ、台湾などのアジア諸国、マダガスカルにも拠点を広げている。
2020年の売上高は前年比13%減の549億バーツで、純利益は11億バーツの赤字と、二年連続で赤字を記録した。
出典: https://www.itd.co.th/
CH.Karnchang PCL.(シーエイチ・カーンチャーン)
1972年創業。1995年よりタイ証券取引所(SET)に上場している。Italian-Thaiに次ぐ規模を持つ大手建設会社。バンコク地下鉄のMRT(Mass Rapid Transit)やスワンナプーム空港の建設に携わった。また、タイ王室、政府との関わりが深く、タイ王室陸軍やタイ王室空軍のプロジェクトを手掛けた経験がある。インフラへの投資を積極的に行っており、傘下に高速道路・鉄道運営のBEM、水道会社TTW、発電CK Powerなどがある。
1981年より日本の大手建設会社、東急建設との合弁会社も持つ。事業の幅を広げること、建設技術を向上させることを目的としている。同社の実績としては工場、鉄道、ビルの建設がある。
2020年の売上高は前年比27%減の182億バーツで、純利益は前年比66%減の61億バーツであった。
出典:https://www.ch-karnchang.co.th/en/#/ir
Sino-Thai Engineering & Construction PCL.(シノタイ・エンジニアリング・アンド・コンストラクション)
1962年創業。1992年よりタイ証券取引所(SET)に上場している。Italian-Thaiに次ぐ規模を持つ大手建設会社。インフラ、ビル、電力・エネルギー、産業、環境と、大きく分けて5つの事業分野を持つ。これまでにバンコク高架鉄道BTSの駅やエアポートレールリンク、チェンマイ空港などのプロジェクトを手掛けた。進行中のプロジェクトではMRTピンクライン、イエローラインの建設や、アユタヤ県バンパイン~東部コラートを繋ぐ高速道路モーターウェイの建設に携わっている。
2020年の売上高は前年比8.1%増の360億バーツと、新型コロナウイルス流行の影響で減収となった大手建設会社が多い中で増収を記録した。純利益は前年比26%減の109億バーツであった。
出典:http://www.stecon.co.th/
Unique Engineering and Construction PCL.(ユニーク・エンジニアリング・アンド・コンストラクション)
1994年創業の大手建設会社。2007年よりタイ証券取引所(SET)に上場している。インフラ建設のプロジェクトを手掛けた実績が多く、バンコク高架鉄道BTSグリーンラインの北部延伸区間(モーチット~サパンマイ~クーコット)や、バンコクのチャロン・ラット高速道路などがある。日本の鹿島建設、東急建設ともに外環道の建設に携わった経験もある。現在、タイ国鉄(SRT)のレッドラインおよびその始発駅のバンコクのバンスー・タリンチャン駅の開発、MRTオレンジラインの建設を請け負っている。
2020年の売上高は前年比9.8%減の109億バーツで、純利益は前年比70%減の22億バーツであった。
出典:http://www.unique.co.th/home/
SYNTEC Construction PCL. (シンテック・コンストラクション)
1988年創業の大手建設会社。1993年よりタイ証券取引所(SET)に上場している。社員数は2020年末時点で986人。現在までにバンコク生命保険本社ビルの建設など、244のプロジェクトを手掛けた。現在では東部パタヤの大型ショッピングモール、ターミナル21の駐車場建設や、SUPALAIブランドの大型コンドミニアム建設など34のプロジェクトが進行中である。
2020年の売上高は前年比6.7%減の80億バーツで、純利益は前年比19%減の2.4億バーツであった。売り上げの55%がコンドミニアムなど居住用のビル建設で、次いで13%が民間企業向けオフィスビル建設、8%が政府機関などのビル建設で占められている。
出典:https://www.synteccon.com/
Christiani & Nielsen (Thai) PCL. (クリスティアニ・ニールセン・タイ)
デンマークにルーツを持つ1930年創業の大手建設会社。1991年よりタイ証券取引所(SET)に上場している。90年以上の歴史の中で、官民問わず2,000件以上のプロジェクトを手掛けてきた。プロジェクトの種類も多岐に渡り、オフィスビル、スポーツ施設、工場、ジャンクション、高速道路などがある。また、タイのランドマークとなっている民主記念塔、バンコクのクロントイ港、チャオプラヤ川のクルントン橋などもChristiani & Nielsenが建設したものである。
2020年の売上高は前年比4.0%増の75億バーツで、純利益は前年比3.2%増の7,547万バーツであった。
出典:http://www.cn-thai.co.th/
タイの主要建設企業6選〜日系企業編〜
Thai Kajima Co., Ltd. (タイ・カジマ)
日本の建設大手、鹿島建設が海外展開する19か国のうちの1つ。1985年に設立された。35年以上の歴史の中で、210件のプロジェクトを手掛けた。現在、従業員は500人程度が所属している。
日系の会社に関係するプロジェクトが多く、ホーユーや住友電工ハードメタルの工場、デンソーやクボタの研究開発センター、三井物産のオフィスなどの建設実績がある。また、バンコク北郊のバンヤイ地区のIKEAやバンコクのクラウンプラザホテル、チェンマイの高速道路もタイ鹿島によるものである。建設の請負だけでなく、デザインや開発のプロジェクトも取り扱っている。
出典:https://www.kajima.co.th/
Thai Takenaka International Ltd. (タイ・タケナカ・インターナショナル)
日本の建設大手、竹中工務店のタイ拠点。1964年に竹中工務店の駐在員事務所としてバンコクに設立され、1974年からタイ人オーナーとのジョイントベンチャーとして現在の体制となっている。工場やオフィスビルのプロジェクトを多く手掛けてきた。日野自動車販売本社(HMST)のリノベーション、トヨタディーラーBUZZショールーム、ダイキン工業の研究開発センターなどがある。
竹中工務店はアジア、ヨーロッパ、アメリカに海外拠点を持つ。アジアは最も拠点数が多く、タイ以外にインド、中国、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、シンガポール、インドネシアにも拠点がある。
出典:https://www.takenaka.asia/thailand
Thai Obayashi Corporation Ltd. (タイ・オオバヤシ・コーポレーション)
日本の建設大手、大林組のタイ拠点。1964年に大林組の駐在員事務所としてバンコクに設立され、日本大使館や、シーロム地区のタニヤビルの建設を行った。1974年からタイ人オーナーとのジョイントベンチャーとして現在の体制となっている。日本人駐在員だけでなく、日本での実務研修を積んだタイ人スタッフも在籍。
日系顧客だけでなく、タイ王室やタイローカル顧客の案件も多く手掛ける。具体的にはシリキット王妃国際会議場のリノベーションや、バンコク銀行新本社建設、タイ証券取引所SETの新ビル建設などがある。
出典:https://www.thaiobayashi.co.th/
Thai Shimizu Co., Ltd. (タイ・シミズ)
日本の建設大手、清水建設のタイ拠点。1984年に設立された。タイでの30年以上に渡る歴史や、ASEAN各国に広がるネットワークを活かし、土木工事や建設のデザイン、コンサルティングサービス、工事の請負、またはその延長となるプロジェクトや関連ビジネスを手掛けている。
日系企業に関連するプロジェクトが多く、バンコクのソラリア西鉄ホテル、富士電機マニュファクチャリング第3工場、東芝セミコンダクター新工場、トリペッチいすゞセールスの本社ビルの内装リノベーションなどを手掛けた。
出典:https://www.shimz-global.com/th/en/
SMCC (Thailand) Co., Ltd. (エスエムシーシー・タイランド)
1972年、前身の住友建設とタイ企業とのジョイントベンチャーにより設立。三井建設による住友建設の吸収合併により、2004年から現在のSMCC (Thailand)となった。三井住友建設がアジアを中心に展開する海外拠点の一つ。
工場や倉庫、インフラ、高層ビル、デザインやリノベーションなどの案件を取り扱う。これまでの実績としては、日通ロジスティクスの倉庫、ゴルフ場のサイアムカントリークラブローリングヒルズ、化学メーカー東亜合成の工場などがある。
出典:http://www.smthai.com/
Thai Nishimatsu Construction Co., Ltd. (タイ・ニシマツ・コンストラクション)
1962年に日系建設準大手の西松建設とタイ企業とのジョイントベンチャーにより設立。日系企業では最も早くタイに進出し、当時のタイ首相の提案により、日本とタイの友好関係を想起させる「日泰建設」という社名で事業を開始した。1984年より現在の社名を使用している。
設立当初は高速道路の建設を主に行っていたが、現在では工場のデザイン・建設の案件が多くなっている。アルミニウム製造メーカーUACJの工場や、半導体メーカーのロームの新LSI工場、ホンダの自動車工場などを手掛けた。他にもユニクロのバンコクミンブリ地区の路面店や複数のコンドミニアムの建設実績もある。
出典:http://www.thainishimatsu.com/
タイの主要建設企業4選〜外資系企業編〜
SIEMENS (シーメンス)
ドイツ系のメーカー。情報通信、交通、防衛、生産設備、家電製品などの製造、システムソリューション事業を手掛ける。タイとの関わりは1900年から続いており、1995年にタイ拠点を設立した。現在、360人の従業員が在籍し、タイの長期経済開発計画であるタイランド4.0の推進をサポートしている。
これまで、タイの高架鉄道BTSの開発、地下鉄MRTの開発、東部コラートの東南アジア最大の陸上風力発電所の建設に携わってきた。2017年には日系商社の丸紅とともにバンコクの火力発電所の改修工事プロジェクトを受注した。
出典:https://new.siemens.com/th/en.html
Bilfinger (Thai) Construction Co., Ltd.(ビルフィンガー・タイ・コンストラクション)
ドイツ系の建設会社でタイ拠点は1988年に設立。高い安全への意識と、経験豊富な従業員による技術力で成長を続けてきた。またクライアントからの信頼も厚く、現在は70%以上のリピート率を達成している。
設立当初より高層ビルや工場、物流倉庫、地盤改良、リノベーション工事、構造メンテナンスなど幅広い案件を取り扱ってきたが、1997年からは工業用の案件に重点を置いている。国際的なクライアントに対し、化学、製造、石油・ガス、物流施設、美容製品、食品・飲料など様々な分野の工場の建設に対応可能である。
出典:https://thai.bilfinger.com/
China State Construction Engineering Co., Ltd.(チャイナ・ステート・コンストラクション・エンジニアリング)
中国系で、北京に本社を置く建設会社China State Constructionのタイ拠点。China State Constructionは1982年に中国で創業した。上海証券取引所に上場しており、100以上の国でビジネスを展開している。2018年の新規契約額は2.6兆人民元であり、フォーチュン500で23位にランクインした。300m以上の高層ビルや空港、人工衛星打ち上げ基地、トンネル、原子力発電所などの建設で中国国内に大きなシェアを持っている。
タイでのプロジェクトとして、東部ラヨーン県での中国系メーカーTiangong Precision Toolsと Great Star Industrialの工場の建設を手掛けている。
出典:https://english.cscec.com/
Chunwo Construction and Engineering Co.,Ltd(チュンウォ・コンストラクション・アンド・エンジニアリング)
香港系の建設会社。香港で1968年に創業し、1993年から香港証券取引所に上場している。ビル建設、土木工事、基礎工事、電気・機械エンジニアリング、鉄道・交通エンジニアリング、メンテナンス、デザインなどを行っている。海外にも進出しており、中国本土、マカオ、台湾、ベトナム、UAEなどでの建設・開発の実績がある。主なプロジェクトとしては、香港国際空港のショッピングモールSkyplaza、香港地下鉄の東鉄線、西鉄線などがある。
タイでは、ローカル系の大手建設会社Uniqueとの合弁でタイ国鉄(SRT)のレッドラインおよびその始発駅のバンコクのバンスー・タリンチャン駅の開発を行っている。
出典:https://www.chunwo.com/