今回は、タイの主要空運企業に焦点を当て、ローカル・外資合わせて8社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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タイの主要航空会社6選〜ローカル企業編〜
Thai Airways International PCL. (タイ・エアウェイズ・インターナショナル)
1959年に運輸省により設立された国営の航空会社。1991年にタイ証券取引所SETに上場し、タイ財務省が50%以上の株式シェアを所有した。現在は財務省のシェアは47%に低下したが、依然として筆頭株主となっている。バンコクのスワンナプーム空港を基点に、アジア、オーストラリア、ヨーロッパ、中東、北米など世界各地の主要58都市への路線を運航している。日本路線は1960年にバンコク-羽田線が就航し、現在では大阪、名古屋、福岡、札幌、仙台へも乗り入れている。航空連合スターアライアンスに1997年5月の連合設立当初から加盟している。同連合は日本の全日空(ANA)も加盟しており、乗客としてはマイレージサービスの連携や、乗り継ぎの利便性、豊富な就航ネットワークなどの様々なメリットを受けられる。
「微笑みの国」と呼ばれるタイならではの温かいサービスを提供している。また、スワンナプーム空港の専用ラウンジは、イギリスの航空業界専門の調査会社、スカイトラックス社が選定する「World’s Best Airline Lounge Spa Facility」を、2015年より5年連続で受賞している。
2020年の売上高は前年比74%減の48,637百万バーツ、純損益は141,171百万バーツの赤字であった。赤字は2017年から4年連続。もともと経営が危機的であった状況で、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により航空需要が激減し、経営破綻となった。2021年6月にタイ中央破産裁判所により更生計画が承認された。債務整理、人員整理や、使用機材・機種の削減といった対応により経営再建を目指す。
出典:https://www.thaiairways.com/en_TH/index.page
Bangkok Airways PCL. (バンコク・エアウェイズ)
1968年にサハコン・エアという社名で、タイ初の民間航空会社として設立。9人乗りの小型飛行機にてチャーターサービスによる輸送業務を開始した。1986年に現在の社名のバンコク・エアウェイズとなり、2014年にタイ証券取引所SETに上場した。現在では中小型の航空機38機を所有し、バンコク・スワンナプ-ム空港を拠点に1日約200便を運航するリージョナルエアラインとなっている。メインはタイ国内路線で、サムイ島やプーケットなどのリゾート地を中心に12路線がある。また、ミャンマーやラオス、カンボジアなどの近隣諸国や香港、インド、モルディブを含む海外16都市にも就航している。日本への単独の運航便はないが、日本航空(JAL)とのコードシェアにて、東京をはじめ複数の都市へ発着する便が存在する。
アジアのブティックエアライン(Asia’s Boutique Airline)というスローガンのもと、高級感のあるサービスを提供している。乗客は全員がラウンジサービスを利用できることが特徴である。また、私設空港としてサムイ空港、スコータイ空港、 トラート空港を所有する。
2020年の売上高は前年比62%減の10,023百万バーツ、純損益は5,283百万バーツの赤字であった。前年は黒字であったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け赤字に転落した。
出典:https://www.bangkokair.com/
Airports of Thailand PCL. (エアポート・オブ・タイランド)
1979年に創業した。タイ財務省が70%の株式シェアを所有する国営企業(タイ空港公社)。2004年よりタイ証券取引所SETに上場している。タイの主要空港である、スワンナプーム国際空港、ドンムアン国際空港、南部プーケット国際空港、北部チェンマイ国際空港、北部メーファールアン・チェンライ国際空港、南部ソンクラー県のハートヤイ国際空港の6空港を所有・運営する。具体的には離着陸、駐機場の管理などの航空サービスに加え、空港施設の管理・商業スペースのリース事業などを行う。
特に2006年に開業したスワンナプーム国際空港は、現在では年間に4千5百万人もの乗客を処理しており、東南アジアの重要なハブとなっている。同空港を世界でも有数の国際空港とするため、乗客キャパシティを1億人へ拡大することをはじめ、積極的に開発を進めている。
また、グループ会社のSuvarnabhumi Airport Hotel Co., Ltd.ではスワンナプーム国際空港のホテル運営を行うほか、Thai Airports Ground Services Co., Ltd.では駐機場での倉庫サービスを提供している。
2020年の売上高は前年比49%減の33,130百万バーツ、純利益は前年比83%減の4,321百万バーツであった。
出典:https://www.airportthai.co.th/en/
Asia Aviation PCL. (アジア・アビエーション)
2006年に設立。2012年にタイ証券取引所SETに上場した。格安航空のエアアジアのタイ法人、Thai AirAsiaの株式シェアを55%所有する筆頭株主である。同社の残り45%のシェアはマレーシアのエアアジア本社が所有する。タイ・エアアジアは2004年にタイの国内線バンコク・ドンムアン-南部ソンクラー・ハートヤイ路線、南部プーケット-北部チェンマイ路線、国際線のバンコク-シンガポール路線から就航した。航空機62機を所有し、14か国、67都市、98路線を運航している。タイではバンコクのドンムアン国際空港、スワンナプーム国際空港、プーケット国際空港、チェンマイ国際空港を基点に東南アジア諸国をはじめ、インド、中国、日本などの各国への路線を低価格で展開する。新型コロナウイルスの影響で便が大幅に減る以前は週に25か所へ785便、および42か所へ551便の国内線が運航していた。
2020年の売上高は前年比61%減の16,261百万バーツ、純損益は4,764百万バーツの赤字であった。赤字は前年に続き2年連続。2020年の乗客数は950万人、定時運航率は96%と非常に高い水準であった。また、IR Magazine Awardsより、東南アジア地域での最優秀年次報告書(アニュアルレポート)を受賞した。
出典:https://www.aavplc.com/en/home
Nok Airlines PCL. (ノック・エアラインズ)
2004年に設立された格安航空会社。2013年にタイ証券取引所SETに上場した。タイ国際航空(Thai Airways International PCL.)が13%の株式シェアを持つ。「ノック」はタイ語で鳥を意味し、自由、空の旅、親しみやすさを表している。同社の航空機の塗装も鳥をモチーフとした特徴的なデザインとなっている。保有する航空機は計31機ある。バンコクのドンムアン国際空港を中心に、北部チェンマイ、南部プーケットなど国内24都市、国際線はベトナムのホーチミン、ミャンマーのヤンゴン、日本の広島など5都市に就航していた。
2013年にはシンガポールの格安航空会社、スクートとの合弁会社「ノックスクート」を設立した。タイのドンムアン国際空港と中国、台湾、インドなど中距離の国際線を運航し、日本でも東京(成田)、大阪(関西)、札幌(新千歳)へ就航していたが、2020年6月に経営不振より清算され事業を終了した。
2020年の売上高は前年比76%減の4,828百万バーツ、純損益は3,936百万バーツの赤字であった。赤字は上場以来7期連続。慢性的な赤字体質であったところに新型コロナウイルスの影響によって大幅な減便を強いられ、2020年7月にタイ中央破産裁判所に対し破産法に基づく会社更生手続きを申請した。機材や路線、人員の適正化などの対策により経営再建を目指す。
出典:https://www.nokair.com/s
Thai Smile Airways Co., Ltd.(タイ・スマイル・エアウェイズ)
2011年にタイ国際航空の子会社として設立された。格安航空会社の参入が増えている中、タイスマイル航空は格安航空会社とフルサービスの航空会社の間に位置づけられている。そのため、フルサービスの航空会社と同様、通常の航空券に預け手荷物や機内食のサービスが含まれる。保有する航空機は計20機ある。バンコクのスワンナプーム国際空港を基点とし、国内線では北部チェンマイ、南部プーケットなど12都市、国際線ではカンボジアのプノンペン、ラオスのビエンチャンなど近隣諸国の都市に加え、香港やインドのムンバイなどアジア20都市へ就航している。タイスマイル航空としては日本へは就航していないが、タイ航空の日本路線とのコードシェア便により、スワンナプーム国際空港を中継地点としてスムーズな乗り継ぎが可能である。
タイ航空の傘下であるため、マイレージやスターアライアンスの特典などはタイ航空と共通のサービスを受けることができる。
出典:https://www.thaismileair.com/en
タイの主要航空会社2選〜外資系企業編〜
Thai Lion Mentari Co. Ltd. (タイ・ライオン・メンタリ)
2013年に設立された。インドネシアの格安航空会社ライオン・エアとともにタイ・ライオン・エア(Thai Lion Air)を運営する。また、インドネシアのWings Air、Batik Air、Lion Bizjet、マレーシアのMalindo Airとともにライオン・エアグループの一員となっている。「Freedom to fly」というスローガンを掲げ、乗客が目的地まで飛ぶ自由を感じることができるサービスを提供する。保有する航空機は38機である。バンコクのドンムアン国際空港を基点に、計26都市へ就航している。国内線では北部チェンマイ、南部ソンクラー県のハートヤイなど、国際線ではミャンマーのヤンゴン、インドネシアのジャカルタ、バリ島といった東南アジア諸国をはじめ、台湾の台北、中国の広州にも便を運航している。日本発着路線では東京(成田)、大阪(関西)、名古屋、福岡がある。
ライオングループは積極的、革新的な事業拡大を進めており、自社のビジネスを加速させるための設備投資を行っている。具体的にはグランドスタッフ、フライトクルー用のトレーニングセンター、教育センター、住居や、フライトシミュレーションセンター、航空機メンテナンス施設などがある。また、新規事業としてライオンパーセルという貨物事業を始めているほか、インドネシアのマナドにライオンホテル&プラザを所有し、ホスピタリティ業界にも進出している。
出典: https://lionairthai.com/en/
Thai VietJet Air Co., Ltd. (タイ・ベトジェット・エア)
2014年に設立された、ベトナムの格安航空会社ベトジェットエアのタイ拠点。航空機はエアバスA320を5機保有する。バンコクのスワンナプーム国際空港を基点に、北部チェンマイ、北部チェンライ、南部プーケット、南部クラビの国内5都市、国際線はベトナムのハノイ、ホーチミン、ハイフォンの3都市、計8都市へ就航している。日本への就航路線はない。
格安航空会社でありながら、高い定時運航率や安全性、温かいサービスで国際的にも高い評価を受けている。パイロット、客室乗務員、その他すべての従業員が、旅を通して乗客に最大限の満足を提供することを目指し、国際レベルの訓練を受けている。
ベトジェットエアはベトナムで最初に国内線、国際線の両方の飛行免許を取得した民間航空会社である。また、アメリカのアメリカン航空とオーストラリアのカンタス航空とともに、機体にディズニーのペイントを施すことを許可された、世界で3つしかない航空会社のうちの1つである。また、ペプシ社と提携し、学生に新年の無料便を提供している。他にも、ベトナム投資開発銀行(BIDV)、HD銀行(HD Bank)などのベトナムの大手銀行とも契約することにより様々な機体の塗装デザインが生まれている。
出典: https://skyfun.vietjetair.com/