今回は、タイの主要陸運企業に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて13社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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タイの主要物流会社5選〜ローカル企業編〜
Kerry Express (Thailand) PCL.(ケリー・エクスプレス・タイランド)
2006年に代金引き換えでの荷物配送から創業。個人向け、法人向けに小包の配送サービスを提供する。追加料金を支払うことにより集荷の次の日の午前中までに配達が完了するAMサービスや、法人向けにいつでも、どこからでも集荷の依頼、荷物の管理ができるEasyShip Platformといったサービスを展開している。2020年にタイ証券取引所SETに上場した。現在、全国に15,000以上のサービス拠点が存在する。 国内全土をカバーする1,000以上の小包配送センターがあり、1日あたり190万以上の荷物を取り扱うことができる。質の高い配送サービスを提供することにより、Eコマース、小売業、卸売業など様々なビジネスの成長を促し、タイ経済の発展に貢献するという目的を持っている。
2020年の売上高は前年比4.4%減の19,010百万バーツ、純利益は前年比5.8%増の1,405百万バーツであった。
出典:https://th.kerryexpress.com/th/home
WICE Logistics PCL. (ワイス・ロジスティクス)
1993年に海上貨物管理サービスから創業。タイの株主が70%、香港やシンガポールに拠点を置くWICEグループが30%のシェアを持つ合弁会社。2015年にタイ証券取引所SETに上場した。海上貨物管理、国際航空貨物管理、通関サービス、国境を超えた荷物の陸運などの事業を行っている。主に陸運事業では、製造業の顧客に対し、トレーラーや大型トラックを用いて製品を工場や倉庫から港、空港へ配送するサービスを行う。また、東部レムチャバン港とスワンナプーム国際空港にはグルーブ会社が存在し、同地での貨物管理も行うことができる。周辺諸国へ国境を超えての貨物運送にも対応している。
2020年の売上高は前年比80%増の4,006百万バーツ、純利益は前年比224%増の201百万バーツであった。
出典:https://www.wice.co.th/
Thailand Post Co., Ltd.(タイランド・ポスト)
1883年にタイで最初の郵便局が設立された時から長い歴史を持つ。1898年から郵便事業と通信事業を行う政府機関の郵便電信局が設立されたが、1977年には国営企業のタイ通信局(CAT)へすべての事業が移管された。2003年に郵便事業がCATから分離し、現在の体制となった。サービス内容は日本の郵便局と同様、手紙や小包の配送サービスや、大きな荷物の配送にも対応する。海外への荷物の配達も可能な他、金融会社のWestern Unionと提携しており国際送金も行うことができる。現在、1200以上の郵便局と16の郵便センターをバンコクと地方で展開している。
2020年の売上高は前年比12%減の24,211百万バーツ、純利益は前年比38%減の385百万バーツであった。
出典:https://www.thailandpost.co.th/th/index/
SCG Yamato Express Co., Ltd. (エスシージー・ヤマト・エクスプレス)
2017年に、タイの財閥系企業、サイアム・セメント・グループ(SCG)と日本の宅配大手、ヤマト運輸の合弁企業として設立された。ヤマト運輸が日本で培ってきた小包配送のノウハウを活かし、同事業をタイでも展開している。B2B、B2C、C2Cなど様々な送り手、受け手に対応し、タイ国内全体をカバーするようサービス地域を拡大中である。特徴的なサービスとして、「クール宅急便」があり、冷蔵品、冷凍品の配達が可能である。これは小口配送サービスとしてはタイで初めてであった。また、大きな荷物でも重量150kg、長さ2m以内であれば配達に対応している。
2020年の売上高は前年比47%増の900百万バーツ、純利益は217百万バーツの赤字であった。
出典:https://www.scgexpress.co.th/home/center
Flash Express (Thailand) Co., Ltd.(フラッシュ・エクスプレス・タイランド)
2017年に創業。Eコマース用の配送事業から始まり、小口配送全般に対応している。現在、1万人以上の従業員が存在し、2500以上の配送センターで全77都県へ配送サービスを提供している。1日に取り扱う荷物は100万個以上である。初めて無料配送や年中無休のサービスを導入した配送業者であるばかりか、荷物の紛失や破損に対しては最大5万バーツの保証がつくなど安心・安全なサービスが特徴である。また、小口配送サービスの他に、Flashグループではeコマース運営やFlash Logistics社での大型荷物の配送、Flash Money社での金融事業などにも進出している。
2020年の売上高は前年比359%増の9,739百万バーツ、純利益は716百万バーツの赤字であった。
出典:https://www.flashexpress.co.th/en/
タイの主要物流会社2選〜日系企業編〜
Nippon Express Logistics (Thailand) Co., Ltd.(ニッポン・エクスプレス・ロジスティクス・タイランド)
日系の運送大手、日本通運のタイ拠点で、1989年に設立された。以前はタイ日本通運とタイ日通ロジスティクスの2社が存在したが、2021年4月に統合し現在の体制となった。航空輸送事業、海上輸送事業、倉庫配送事業やクロスボーダーを含めたトラック輸送事業を行っている。日本人向けには日本-タイ間、およびタイ国内での引っ越しや事業所移転のサービスを行っている。タイ国内には11拠点があり、従業員は1,000人以上が在籍している。
日本通運グループは140年以上の歴史を持ち、世界40か国、221都市、465拠点に展開している。全体では34,000人以上、日本以外でも18,000人以上の従業員が存在する。
出典:https://www.nipponexpress.com/th/en/
Hitachi Transport System Vantec (Thailand) Ltd. (ヒタチ・トランスポート・システム・バンテック・タイランド)
日系の運送大手、日立物流のタイ拠点で、1989年に設立された。高品質な物流ソリューションをワンストップで提供している。具体的には倉庫・温度管理倉庫管理、重量機工・移転、国内輸送・流通、フォワーディング、物流コンサルティングなどの事業を展開。ITサービスを用いたスマートロジスティクスの推進を積極的に行っている。
日立物流グループは日本国内に330拠点と、海外では欧米、東アジア、その他のアジア太平洋地域29か国に422拠点を持つ。従業員は全体で43,000人以上にのぼる。多拠点化、複雑化が進む顧客のグローバルサプラチェーンをカバーできる運営体制を整えている。
出典:https://www.hitachi-tstv.com/en/
タイの主要物流会社6選〜外資系企業編〜
LALAMOVE (ララムーブ)
2013年に香港で創業した小口運送業者。顧客に当日中に荷物を配達することを目的とする。現在では香港、台湾、マレーシア、タイ、インドなどのアジア地域に加え、アメリカ、ブラジル、メキシコなども含めて21の主要都市でサービスを展開している。計70万人のドライバーを有し、7百万人もの顧客をつないでいる。顧客には大小様々なレストランや、eコマース業者などがある。
市場によって様々な種類の車両を使い分けており、タイではバイク、5ドア乗用車、ピックアップトラックを使用している。車種により料金も異なるが、バイク便であれば最大20kgまでの荷物を33バーツから運ぶことができる。ピックアップトラックの場合は最大1トンまでの荷物を受け付けている。顧客はモバイルアプリケーションやウェブサイトで集荷依頼ができ、電子マネーでの料金支払いも可能。
出典: https://www.lalamove.com/th-th/
LINE MAN (ラインマン)
韓国系IT企業NHNを源流とし、LINEの本社を日本、LINE MANの本社をタイに置くIT企業。メッセージアプリLINEを用いた配送サービスを提供している。具体的にはフードデリバリー、タクシー配車サービス、小口運送、メッセンジャー、コンビニエンスストアでのオンラインショッピング・デリバリーを行う。
小口運送サービスでは、小物から最大15kgまでの荷物を30バーツから、24時間いつでも送ることができる。集荷、料金支払い、配達完了確認など全てのプロセスがLINEを通じて完結することが特徴である。現在は首都バンコク、サムットプラカーン県、ノンタブリ県、パトゥムタニ県の首都圏のみでサービスを行っている。
メッセンジャーサービスでは緊急の書類送付を45バーツから行うことができる。事前の予約は不要で、必要になった時にLINEのアプリからドライバーに連絡が可能。バンコク全域を配達先に指定可能で、2時間以内に配達が完了する。
出典:https://lineman.line.me/
Grab (グラブ)
シンガポールに本社を置く配車サービス業者。シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナムなど東南アジア8か国で事業を展開する。サービス内容はタクシー配車サービス、フードデリバリー、オンラインショッピング・デリバリー、小口運送など。GrabPayという金融サービスにも事業領域を広げている。
小口運送サービスはGrab Expressというブランド名で、荷物や書類の配達を行う。料金は36バーツから、バイク便を用いた小包から、ピックアップトラックを用いて1トンまでの重量物に対応している。バイク便の場合は速達として4時間以内の配達完了をしていすることもできる。荷物の紛失、破損した場合の保険も利用可能である。現在、タイでのサービス地域は首都バンコク、北部チェンマイ、中部ナコンラチャシマ、南部プーケットなどの主要都市16都県となっている。
出典: https://www.grab.com/th/
Linfox (リンフォックス)
1956年にオーストラリアのメルボルンで創業した運送業者。当初は1台のトラックで、夏には飲料を、冬には石油を運んでいた。現在はアジア太平洋地域でも最大級の私設企業としてオーストラリア、ニュージーランド、香港、インド、タイ、マレーシアなど9か国で事業を展開している。貨物の陸運、鉄道輸送、海上輸送、航空輸送などの運送事業や、倉庫・流通管理、サプライチェーン管理など物流に関するサポートを幅広く行っている。
また、Linfoxグループでは自動車のレースサーキットや走行テスト場を所有し不動産事業を行っている他、オーストラリア南部のビクトリア州にある、アバロン空港とエッセンドン・フィールズ空港の運営を行う。他にもLinfox Armaguard Groupでの通貨管理事業や、ビクトリア州にクラシックカー展示場を所有するなど、多角的に事業を展開する。
出典: https://www.linfox.com/
DHL (ディーエイチエル)
1969年にアメリカ合衆国で創業した。ドイチェ・ポストによる買収を経て、現在は同社の参加としてドイツに本社を置く運送業者。40万人の従業員が所属しており、220以上の国と地域でサービスを行っている。1年で16億個以上の荷物を配送している。書類・小包など小物の配達から、コンテナなど大型の製品の貨物の陸運、鉄道輸送、海上輸送、航空輸送まで対応している。
また、物流ソリューション事業も展開しており、顧客の事業規模、業界に応じたアドバイスを行っている。また、課題解決の手段も多くの選択肢を持っており、倉庫活用、流通経路・ディストリビューション、統合ロジスティクス支援、通関、コンサルティング・マネジメント、グリーンロジスティクス、リスク可視化・マネジメントの各分野に精通した専門家が顧客に対してサポートを行う。
出典: https://www.dhl.com/th-en/home.html
Fedex (フェデックス)
1971年にアメリカ合衆国で創業した。アジア太平洋地域への進出は1984年、同地域で事業を行っていたGelco Express Internationalを買収し、中国と日本でサービスを開始したことから始まった。アジア太平洋地域では30か国・地域をカバーし、従業員は約29,000人が在籍する。週に400の航空便で各国間の輸送を行う。タイでは1999年からサービスを行っている。タイ国内に12の国際サービスセンターと8のFedexステーションが存在し、1,400人以上の従業員が在籍している。
書類・小包など小物の配達から、大型の貨物の輸送を取り扱う。集荷から次の日の正午までに配達できる12:00エクスプレスサービスや、通常の速達にも対応する。また、海外に配達する場合でも1-3営業日以内に配達できるFedex International Priorityというサービスも存在する。荷物は68kg以内であれば個人用と取り扱われるが、それ以上の重量だと貨物となる。
出典: https://www.fedex.com/th-th/home.html
バンコク在住のタイ人。タイにおける日系企業向け翻訳・通訳を6年間以上行う。経済、ビジネス、IT分野に興味があり、マーケティングや流通を含めた企業調査や、企業調査といった情報収集が得意。