シンガポールの海運業界は、世界トップクラスのコンテナ取扱量を誇るPSAインターナショナルが基盤を支える、アジア最大の海運・港湾ハブ市場です。16社の主要企業が船舶修造・コンテナ輸送・港湾オペレーションの各分野で競争力を高めています。
今回は、そんなシンガポールの海運業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて16社の最新情報をお届けしていきます!
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シンガポールの主要海運企業7選〜ローカル編〜
PSA International(ピーエスエー・インターナショナル)
PSA International(ピーエスエー・インターナショナル)は1964年設立のシンガポール政府系ターミナルオペレーターであり、テマセク・ホールディングスが100%出資している。世界28カ国・60以上の港湾でターミナル事業を展開するグローバルオペレーターであり、シンガポール港(PSA Singapore)は同社の旗艦ターミナルである。
2025年のシンガポール港コンテナ取扱量は過去最高の4,450万TEU(前年比8%増)を記録し、PSAグループ全体の取扱量は初めて1億TEUを超える1億500万TEUに達した。
パシル・パンジャンとタンジョンパガーの既存ターミナルに加え、トゥアス・メガポート(Tuas Mega Port)の整備が進んでおり、完成時には年間6,500万TEU超の処理能力を持つ世界最大のコンテナ港となる。
2025年4月にはPILとの共同グリーン付加価値サービスをローンチし、港湾の脱炭素化推進にも貢献している。(参照:PSA Singapore公式サイト、2025年)
出典:https://www.singaporepsa.com/
Pacific International Lines(パシフィック・インターナショナル・ラインズ)
Pacific International Lines(パシフィック・インターナショナル・ラインズ、PIL)は1967年にシンガポールで設立されたコンテナ海運会社であり、東南アジア最大のホームグロウン海運会社として世界第12位の地位を占める。アジア・アフリカ・中東を中心に世界100以上の港湾に寄港するネットワークを有する。
FY2025の売上高は42億7,000万米ドルで、純利益は10億4,000万米ドルを計上した。保有船舶は自社所有95隻+傭船11隻の計106隻で、30万TEU超の輸送容量を有する。
2026年には1万3,000TEU級のLNG二元燃料新造船8隻を発注し、環境対応フリートの急速な整備を進めている。2025年3月にはPSA・DNVとのMOU(覚書)を締結し、カーボン排出量の計測・報告の共同推進に合意した。
2026年4月にはPSAとの共同グリーン付加価値サービス(陸海統合グリーンサービス)を開始した。(参照:PIL公式サイト、2025年)
出典:https://www.pilship.com/
センブコープ・マリン(センブコープ マリン)
Sembcorp Marine(センブコープ・マリン)は2023年にケッペル・オフショア&マリン(Keppel O&M)との合併により誕生したシンガポール最大の海洋・海事エンジニアリング企業であり、SGXに上場している。センブコープ・グループが約54%を保有している。
ジュロン島のドライドック設備を核に、FPSO(浮体式生産・貯蔵・積み出し設備)の建造・改修、LNG船・タンカーの建造・修繕、半潜水式海洋プラットフォームの製造などを主力事業としている。
近年は従来の石油・ガス関連海洋設備から洋上風力・水素・アンモニア等のクリーンエネルギー向け海洋構造物へのシフトを進めており、欧州の洋上風力ジャケット基礎等の建造も受注している。
2025年の受注残(オーダーブック)は堅調に推移しており、シンガポールの海事クラスターの中核企業としての地位を維持している。(参照:Sembcorp Marine公式サイト、2025年)
出典:https://www.sembmarine.com/
STエンジニアリング・マリン(エスティー エンジニアリング)
ST Engineering Marine(エスティー・エンジニアリング・マリン)は1967年に設立されたSGX上場の複合防衛・エンジニアリング企業ST Engineering Ltd傘下の海事部門であり、艦艇・商船・高速艇・巡視船の設計・建造・改修・修繕サービスを提供している。テマセク・ホールディングスが約51%を保有している。
主な顧客はシンガポール海軍(RSN)・海岸警備・港湾当局・商業船主であり、アルミ合金製高速艇・パトロール艦・フェリーなど多彩な船種の建造実績を持つ。ドライドック設備を活用した商船・タンカーの定期修繕サービスも提供している。
近年は無人水上艇(USV)・電気推進船舶・水素燃料電池推進船など次世代海事技術への投資を強化しており、2025年にはMPA(海事港湾庁)とのパートナーシップのもと電気ハーバークラフトの実証実験を完了した。
ST Engineeringグループ全体のFY2025売上高は約105億シンガポールドルを計上した。(参照:ST Engineering公式サイト・年次報告書2025年)
出典:https://www.stengg.com/
BWグループ(ビーダブリュー グループ)
BW Group(ビーダブリュー・グループ)はシンガポールを本社に置く国際海事コングロマリットであり、LPGタンカー、LNG輸送、VLCC(超大型原油タンカー)、オフショア浮体設備(FPSO)の各分野で世界最大級の船舶保有・運航企業のひとつである。ウィルヘルムセン・ファミリーが主要株主として出資している。
SGX上場のBW LPGはLPGタンカー市場で世界最大級の船腹量を保有し、FY2024では石油化学・エネルギー企業向けのLPG輸送で堅調な業績を維持した。BW Offshoreは浮体式生産・貯蔵・積み出し設備(FPSO)の保有・運営で長期エネルギー会社との契約を中心に安定収益を確保している。
2025年にBW Groupは新たに1万8,000TEU級メタノール二元燃料コンテナ船のリースビジネスにも参入し、事業ポートフォリオの多様化を進めている。
シンガポールの海事エコシステムをイノベーションの拠点として活用し、脱炭素海運へのグリーンメタノール・アンモニア輸送対応船舶の開発も進めている。(参照:BW Group公式サイト・SGX開示資料、2025年)
出典:https://www.bw-group.com/
X-Press Feeders(エクスプレス・フィーダーズ)
X-Press Feeders(エクスプレス・フィーダーズ)は1972年にシンガポールで設立された世界最大の独立系フィーダー船社である。SOCオペレーターとして荷主とは競合しない立場から、アジア・アフリカ・カリブ海・ラテンアメリカ・欧州・地中海・中東の主要積み替えハブを網羅するサービスを提供している。
完全所有船43隻を含む110隻以上を運航し、2019年の年間スループットは560万TEUを超えAlphalineTOP100リストで18位に位置づけられている。シンガポールの他、ドバイ・ムンバイ・バルセロナ・ハンブルク・パナマに300人超の専任スタッフを配置している。
フィーダー輸送の専業オペレーターとして大手コンテナ船社と協調関係を維持しており、トランシップ拠点間の接続サービスを強みとしている。
2025年時点においても独立系フィーダー船社としてのポジションを維持し、脱炭素対応フリートの整備を推進している。(参照:X-Press Feeders公式サイト)
出典:https://www.x-pressfeeders.com/
Sea Lead Shipping(シー・リード・シッピング)
Sea Lead Shipping(シー・リード・シッピング)は2017年3月にシンガポールで設立されたフィーダー海運会社である。シンガポール本社に加えドバイに地域事業所を開設し、18か国にわたる代理店ネットワークを整備している。
設立同年10月にジェッダ〜ポートスーダン間で初の定期サービスを開始し、現在は紅海・湾岸・インド亜大陸・東南アジアの海上接続を専門とする。大型外航船への積み下ろしを担うフィーダーサービスが中核事業である。
比較的新興の企業ながら、中東・南アジアの主要港湾を結ぶニッチ航路に特化することで独自のポジションを確立している。
2025年時点においても紅海・湾岸航路の需要増加を背景に事業拡大を継続しており、シンガポールを戦略的ハブとして活用している。(参照:Sea Lead Shipping公式サイト)
出典:https://sea-lead.com/
シンガポールの主要海運企業3選〜日系編〜
NYK Bulkship Asia(エヌワイケー バルクシップ アジア)
NYK Bulkship Asia(エヌワイケー・バルクシップ・アジア)は2001年にシンガポールで設立された日本郵船株式会社の完全子会社である。日本郵船は1885年創設の三菱財閥系企業であり、日本三大海運会社の一つとして世界有数の船腹量を有する。
シンガポール拠点としてアジア域内のバルク輸送・タンカー運航を担い、地域統括機能を果たしている。同社のメタノールタンカーはシンガポール海事港湾庁(MPA)からGreen Ship of the Year Awardを受賞した実績を持つ。
日本郵船グループとしては自動車運搬船・LNG船・ドライバルク船・タンカーにわたる多様な船種を保有・運航し、グローバルなサプライチェーンを支えている。
2025年時点においてシンガポール拠点を維持し、グループ全体の脱炭素戦略に沿ったゼロエミッション船舶の導入を推進している。(参照:日本郵船公式サイト)
出典:https://www.nyk.com
MOL Logistics Singapore(エムオーエル ロジスティクス シンガポール)
MOL Logistics Singapore(エムオーエル・ロジスティクス・シンガポール)は1989年にTotal Logistics Providerとして設立された商船三井の完全子会社である。商船三井はコンテナ船・ばら積み貨物船・自動車運搬船・タンカー・フェリーを擁する世界有数の総合海運グループである。
シンガポール法人のコアビジネスは航空貨物・海上貨物の複合利用運送サービスであり、輸出入通関・倉庫・ラストマイル配送まで一貫したサプライチェーンソリューションを提供している。
親会社の商船三井グループはLNG船・海洋事業・フェリー・不動産を含む多角的事業ポートフォリオを持ち、2025年度も安定した業績を維持している。
2025年時点においてシンガポールをアジア太平洋の物流ハブとして位置づけ、デジタル化・脱炭素化を軸としたサービス高度化を推進している。(参照:MOL Logistics公式サイト)
出典:http://www.mol-logistics.com.sg/
K-Line Ship Management Singapore(ケーライン シップマネジメント シンガポール)
K-Line Ship Management Singapore(ケーライン・シップマネジメント・シンガポール)は2005年7月に設立された「K」ラインシップマネジメント株式会社を本社とする船舶管理会社の現地法人である。川崎汽船グループの船舶管理部門として東南アジアの主要海運ハブであるシンガポールに拠点を置く。
主要事業は船舶の技術管理・乗組員管理・品質安全管理・健康環境管理であり、ばら積み貨物船・タンカーを中心とする多様な船種の運航サポートを行っている。
2019年度の売上高は108億4,200万円を計上した。川崎汽船グループ全体ではLNG船・自動車運搬船・コンテナ船など世界有数の船腹を保有している。
2025年時点においてもシンガポール拠点を維持し、船員教育・安全管理体制の強化を通じて海事サービスの品質向上に取り組んでいる。(参照:K-Line Ship Management Singapore公式サイト)
出典:https://www.klsm.com.sg/
シンガポールの主要海運企業6選〜外資編〜
エバーグリーン・マリン・シンガポール(エバーグリーン)
Evergreen Marine Corporation(エバーグリーン・マリン・コーポレーション)は1968年に台湾で設立されたコンテナ海運企業であり、世界第4位の規模を誇る。シンガポールにはEvergreen Shipping Agency(Singapore)を設置し、アジア・中東・欧州・米州向けの貨物を取り扱っている。
シンガポール港(PSA)との関係は深く、PSAターミナルを主要寄港地としてシンガポールをトランシップ(積み替え)ハブとして位置づけている。2025年にはシンガポールのターミナルを拠点とした新規コンソーシアムサービスに参加し、東南アジア〜欧州航路の輸送能力を増強した。
グリーン海運への取り組みとしてメタノール・LNG等の代替燃料対応船舶の建造を進めており、2025〜2026年に複数の大型コンテナ船のデリバリーを予定している。
EU海事排出量規制(ETS)への対応強化のため、カーボン排出量モニタリングシステムの整備も推進している。(参照:Evergreen Marine公式サイト、2025年)
出典:https://www.evergreen-marine.com/
CMA CGM Asia Pacific(シーエムエー シージーエム アジア パシフィック)
CMA CGM Asia Pacific(シーエムエー シージーエム アジア パシフィック)はフランス系グローバル海運グループCMA CGMのシンガポール地域統括法人であり、2020年に旧Neptune Orient Lines(NOL)がCMA CGMに統合された形で再組織化された。CMA CGMは世界第3位のコンテナ海運会社であり、約500隻の船舶と約600万TEUの輸送容量を有する。
シンガポールはCMA CGMのアジア太平洋地域の戦略的ハブとして位置づけられており、PSAターミナルを主要寄港地としてアジア〜欧州・北米向けの幹線航路の積み替え拠点として機能している。APLブランドによる定期コンテナ輸送サービスは1848年の歴史を持つ伝統的なブランドとして継続されている。
2025年10月には中国で1,700TEU級LNG二元燃料コンテナ船6隻の建造を確定し、アジア内航路向け脱炭素フリートの整備を進めている。
シンガポールでは電気コンテナ搬送機械の試験的導入やカーボン排出量計測システムの整備も行っている。(参照:CMA CGM公式サイト、2025年)
出典:https://www.cma-cgm.com/
エバーグリーン・シッピング・エージェンシー(エバーグリーン エージェンシー)
Evergreen Shipping Agency(Singapore)Pte Ltdは、世界第4位のコンテナ海運会社Evergreen Marine Corporationのシンガポール代理店として設立された現地法人であり、シンガポール港を利用するEvergreen航路の貨物受付・通関手配・顧客サービスを担っている。
シンガポールは東南アジア域内の海上貨物の積み替えハブとして機能しており、EverGreenがPSAターミナルを通じて取り扱う貨物量は年々増加している。2025年にはシンガポールを経由する東南アジア〜欧州の新規コンソーシアムサービスが開始された。
近年はEU炭素取引制度(ETS)への対応で、シンガポール発着の欧州向け航路の炭素コスト管理を強化しており、LNG燃料の代替利用も進めている。
Evergreen Marineグループとしての2024年の連結売上高は約2,000億台湾ドル規模で、シンガポールはアジア太平洋の主要拠点として重要な役割を果たしている。(参照:Evergreen Shipping Agency公式サイト、2025年)
出典:https://www.evergreen-line.com/
Mediterranean Shipping Co.(エムエスシー)
Mediterranean Shipping Co.(エムエスシー、MSC)は1970年にイタリア・ナポリで設立され、現在スイス・ジュネーブに本社を置く世界最大のコンテナ海運会社である。世界155か国に524のオフィスを運営し、10万人以上の従業員を擁している。
215以上の交易路を航行し570の港に寄港しており、グローバルネットワークの規模・密度においてトップクラスの地位にある。シンガポールでは通関・トラック輸送を含む包括的な貨物サービスを提供している。
近年はLNG・メタノール等の代替燃料対応船舶の大規模発注を進めており、2025年時点において業界随一の新造船投資を継続している。
脱炭素化と数字化(デジタル化)を経営の最優先課題として掲げ、ポートオペレーション効率化のためのテクノロジー投資も積極的に展開している。(参照:MSC公式サイト)
出典:https://www.msc.com/
COSCO Shipping International Singapore(コスコ・シッピング・インターナショナル シンガポール)
COSCO Shipping International Singapore(コスコ・シッピング・インターナショナル・シンガポール)は1961年設立のCOSCOグループ傘下として、南アジア・東南アジアを中心に総合物流サービスを提供するSGX上場企業である。ドライバルク輸送・船舶修理・海洋工学・資産管理の多角的事業を展開する。
2018年に買収したCogent Holdings(コージェント)を通じて、シンガポール最大のワンストップ統合ロジスティクスハブ「Cogent 1.Logistics Hub」を運営しており、陸海複合の物流サービスで競争力を発揮している。
親会社のCOSCOグループは中国国有の最大手海運・港湾コングロマリットであり、世界各地の港湾ターミナル運営にも広く関与している。
2025年時点においてシンガポール上場企業としての透明性を維持しながら、グリーン物流への対応と地域ロジスティクスネットワークの拡充を進めている。(参照:COSCO Shipping International Singapore公式サイト)
出典:https://www.coscoshipping.com.sg/
Hapag-Lloyd Singapore(ハパックロイド シンガポール)
Hapag-Lloyd Singapore(ハパックロイド・シンガポール)は1970年設立のドイツ・ハンブルク本社コンテナ海運会社Hapag-Lloydのシンガポール拠点である。グループ全体では250隻の船舶により年間1,180万TEUを輸送し、130か国・394オフィスで約1万3,400人が勤務している。
総容量180万TEUのフリートと約280万TEUのコンテナストックを保有し、世界121の定期船サービスが600を超える港湾間の接続を担う。シンガポールはアジア太平洋地域の戦略的トランシップ拠点として位置づけられている。
2025年時点においてはLNG二元燃料船の順次投入とカーボン排出量計測強化を軸に脱炭素対応を進めており、EU-ETSへの適合にも積極的に取り組んでいる。
デジタル貨物予約プラットフォームの整備も推進し、顧客向けサービスの利便性向上とオペレーション効率化に注力している。(参照:Hapag-Lloyd公式サイト)
出典:https://www.hapag-lloyd.com/
FAQ
シンガポールの海輸業界にはどのような企業が存在していますか?
シンガポールの海輸業界には、ローカル企業、日系企業、外資系企業合わせて12社が存在し、それぞれが独自の事業内容と役割を持っています。
シンガポール主要海運会社の特徴は何ですか?
シンガポールの主要海運会社は、世界的に運航規模が大きく、港湾や物流の効率化を推進し、広範なネットワークと最新の船舶を保有していることが特徴です。
ローカル企業と日系企業、外資系企業の違いは何ですか?
ローカル企業は主にシンガポール国内やアジア周辺に焦点を当てて運営される一方、日系企業は日本の技術と運営手法を活かし、外資系企業は国際的なネットワークと資本力を背景に、グローバル展開を積極的に行っています。
主要な海運会社はどのようにサービスを提供していますか?
主要な海運会社は、世界中の主要ハブをカバーし、多様な貨物輸送ニーズに対応するために、多目的船やコンテナ船を運航し、物流の効率化と高付加価値サービスを提供しています。
シンガポールの海輸業界の将来性について教えてください。
シンガポールの海輸業界は、先進的な港湾施設と物流インフラを背景に、持続的な成長と技術革新を進めており、世界的な物流ハブとしての地位をさらに強化していく見込みです。

