今回は、タイの主要海運企業に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて15社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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タイの主要海運会社5選〜ローカル企業編〜
Thoresen Thai Agencies PCL. (トレセン・タイ・エージェンシーズ)
1904年に中国沿岸部にあったノルウェー企業、およびアジア企業に中国-タイ間での海運サービスを提供するために香港で創業した。タイでは1926年に設立された。1986年に現在の社名となり、1995年にタイ証券取引所SETに上場した。現在では海運事業、オフショア開発、農薬製造、食品・飲料フランチャイズ事業、事業投資など、多岐にわたる領域で事業を展開している。海運事業では、鉱石、石炭、農産物、建設資材、鉄鋼製品などの様々な製品に対して、バラ積み、ブレイクバルク双方の輸送方法で対応することが可能である。船はシンガポール、タイ、アラブ首長国連邦、ロンドンにある同社の拠点において、経験豊富な専門家チームにより厳格に管理されている。所有する船は24隻、平均載貨重量トン数は5万5千トンである。
2020年の売上高は前年比17%減の12,997百万バーツ、純利益は1,945百万バーツの赤字であった。
出典:https://www.thoresen.com/irhome.html
Precious Shipping PCL. (プレシャス・シッピング)
1989年にタイ中央銀行(BOT)とタイ投資委員会(BOI)の承認を得て創業、1991年から商業運転を開始した。1993年よりタイ証券取引所SETに上場している。主にタイとインドを起点にバラ積み船を運航する海運企業。所有する船はハンディサイズが15隻、スープラマックスが9隻、ウルトラマックスが8隻、セメント運搬船が4隻の計36隻、平均載貨重量トン数は4万4千トンである。グループ会社のGreat Circle Shipping Agency Ltd.にて船のメンテナンス、乗組員の管理などを行う。
2020年の売上高は前年比11%減の3,739百万バーツ、純利益は1,295百万バーツの赤字であった。赤字は前年に続き2年連続となった。
出典:https://www.preciousshipping.com/en/
Regional Container Lines PCL. (リージョナル・コンテナ・ラインズ)
1979年にシンガポール-バンコク間でのコンテナ船運航から創業した。1988年よりタイ証券取引所SETに上場している。現在、46隻のコンテナ船を所有し、アジア、インド、インド亜大陸および中東の66以上の都市へ運航する。コンテナは一般的な20ft、40ft、40ftハイキューブコンテナを取り扱う他、特大貨物や、爆発物や可燃物などの危険物の運搬にも対応している。また、コンテナサイズやサプライチェーン管理に関するコンサルティングも行っている。グループ会社のRCL Logistics Co.,Ltd.では海運だけでなく、空運、クロスボーダー、倉庫管理など物流全般に対するソリューションを提供している。
2020年の売上高は前年比4.1%増の17,255百万バーツ、純利益は1,745百万バーツであった。前年まで2年連続の赤字であったが黒字に回復した。
出典:https://www.rclgroup.com/Default.aspx
Prima Marine PCL.(プリマ・マリン)
1987年にNathalin Co. Ltd.として、タイ石油公社向けの石油製品の運搬から創業。2015年に事業の多角化のため、海運、石油製品の保管、オフショア石油開発、船舶管理などの関連企業と合併され、現在の社名となった。2017年よりタイ証券取引所SETに上場している。海運事業では主に石油タンカーを用いて、石油製品や液化石油ガスを運搬している。平均載貨重量トン数8万-12万トンの大型タンカー1隻と1万トン以下の小型タンカー30隻の計31を所有する。国内各地の港、およびシンガポール、ベトナム、カンボジア、マレーシアなどに航路を持っている。
2020年の売上高は前年比11%増の5,981百万バーツ、純利益は前年比50%増の1,533百万バーツであった。
出典:https://www.primamarine.co.th/en/home
Triple I Logistics PCL.(トリプル・アイ・ロジスティクス)
1996年にTriple i Maritime Agencies Co., Ltd.として海運事業から創業。Integration、Innovation、Intimacyの3つのIを同社のバリューとしている。2017年にタイ証券取引所SETに上場した。販売代理店かつ海上貨物サービスプロバイダーとして、海運会社のマーケティング代行や貨物販売を行う。取り扱い貨物はFCL貨物、LCL貨物、ISOタンクコンテナの3種類のコンテナである。タイに到着したコンテナのタイ国内およびラオスなど近隣諸国への陸上輸送にも対応している。他にも、航空貨物輸送、物流マネジメント、化学・特殊品の輸送といった事業を展開している。
2020年の売上高は前年比39%減の1,664百万バーツ、純利益は前年比1.2%減の162百万バーツであった。
出典:https://www.iii-logistics.com/
タイの主要海運会社4選〜日系企業編〜
Yusen Logistics (Thailand) Co., Ltd. (ユウセン・ロジスティクス・タイランド)
日本の海運大手、日本郵船グループの郵船ロジスティクスのタイ拠点。航空・海上貨物フォワーダーとして、貨物輸送、通関、保管、陸上輸送など物流全体のサポートを行う。タイ国内に32の物流センターがあり、1,000人以上の従業員が在籍している。自動車分野に強みを持ち、自動車メーカー、マツダとの合弁会社を設立し自動車補修部品の物流サービスを行っている。2020年には食品事業の拡大を目指し、味の素グループのタイ物流会社AB Logistics (Thailand) Co., Ltd.の株式を追加取得し子会社化した。
郵船ロジスティクスは世界46の国と地域、400以上の拠点で物流事業を展開しており、計24,000人以上の従業員が在籍している。陸・海・空のあらゆる手段で貨物を輸送する国際総合物流企業としての地位を確立している。
出典:https://www.yusen-logistics.com/en/south-asia/thailand
Mitsui O.S.K. Lines (Thailand) Co., Ltd. (ミツイ・オーエスケー・ラインズ・タイランド)
日本の海運大手、商船三井グルーブの商船三井ロジスティクスのタイ拠点。タイでは1993年に設立された。現在は170人の従業員が在籍している。航空・海上貨物フォワーディング、クロスボーダー、通関、保管、事業移転などの事業を行う。取り扱い貨物はFCLサービス、LCL(混載)サービス、特殊コンテナ・在来船サービス、危険品混載サービス、バイヤーズコンソリデージョンサービスなど様々に対応している。また、タイのグループ会社にて自動車や鉄鋼製品、肥料、木材生産など様々な製品に対応可能なバラ積み船を運航している。
商船三井ロジスティクスは世界77拠点で物流事業を展開しており、計2,500人以上の従業員が在籍している。
出典:https://mol.co.th/
K Line Logistics (Thailand) Ltd. (ケー・ライン・ロジスティクス・タイランド)
日本の海運大手、川崎汽船グループのケイラインロジスティクスのタイ拠点。タイでは1969年に設立された。航空・海上貨物フォワーディング、クロスボーダー、小口配送などのサービスを提供している。海上輸送ではFCLサービス、LCLサービスを取り扱う。取り扱いコンテナは一般的な20ft、40ft、40ftハイキューブコンテナに加えて、冷凍・冷蔵貨物の輸送に使用されるリーファーコンテナ、天井部分を解放できるオープントップコンテナやフラットラック型、プラットフォーム型など様々である。また、輸入時の通関、保管、陸上輸送にも対応している。
ケイラインロジスティクスは世界22か国、60拠点で物流事業を展開しており、計1,700人以上の従業員が在籍している。
出典:http://www.th.klinelogistics.com/
Ocean Network Express (Thailand) Ltd.(オーシャン・ネットワーク・エクスプレス・タイランド)
2017年に川崎汽船、商船三井、日本郵船の定期コンテナ船事業を事業統合し設立された。31隻の大型船を含むコンテナ船計224隻を所有し、世界120か国をつなぐネットワークを持っている。東南アジアではシンガポール拠点を地域統括本部とし、タイ拠点は首都バンコク、東部レムチャバン港、南部ソンクラー県のハートヤイの3拠点が存在する。
取り扱いコンテナは、ドライコンテナ、リーファーコンテナ、オープントップコンテナ、フラットラックコンテナなど様々に対応している。また自動車、ヨット、小型航空機、工場設備などの大型貨物の輸送にも対応している他、爆発物、ガス、可燃物などの危険物を取り扱うことができる。
出典:https://th.one-line.com/
タイの主要海運会社6選〜外資系企業編〜
OOCL Logistics (Thailand) Ltd.(オーオーシーエル・ロジスティクス・タイランド)
1947年に香港で創業した海運業者で、香港証券取引所に上場する持ち株会社OOIL(Orient Overseas (International) Limited)を親会社に持つ。2018年に中国のCOSCOによりOOILが買収されCOSCO傘下となった。海上コンテナ輸送を軸に、それに伴う通関、保管・倉庫管理、ITサプライチェーン管理などのサービスを行っている。取り扱いコンテナはドライコンテナ、リーファーコンテナなどがある他、危険物の輸送にも対応できる。現在は世界100以上の主要都市に125か所のオフィスが存在する。
タイ拠点は首都バンコク、東部レムチャバン港、南部ソンクラー県の3拠点が存在する。タイからの運航便はアジア圏内はもちろん、北米、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド、中東など世界中の幅広い地域をカバーしている。
出典: https://www.oocl.com/eng/Pages/default.aspx
Maersk Line (Thailand) Ltd. (マースク・ライン・タイランド)
1904年にデンマークで創業した、世界最大級の海運業者。航空・海上貨物フォワーディング、クロスボーダー、サプライチェーン管理、金融・保険、ITソリューションなど、物流に関する事業を幅広く行っている。取り扱い貨物はドライコンテナ、冷蔵・冷凍品、特大・特殊貨物、ブレイクバルク、危険物など様々に対応する。現在は130か国以上に展開し、8万人以上の従業員を有する。
タイでは1949年にサービスを開始した。首都バンコク、東部レムチャバン港、南部ソンクラー県の3か所にオフィスが存在する。タイからは日本、中国、東南アジア線に加えて、ヨーロッパ線も運航している。タイでのローカルサービスとして通関や陸上輸送のサポートを行っている。
出典: https://www.maersk.com/local-information/asia-pacific/thailand
Evergreen Shipping Agency (Thailand) Co., Ltd.(エバーグリーン・シッピング・エージェンシー・タイランド)
1968年に台湾で創業した海運業者。世界各地にてコンテナ船を運航している。取り扱いコンテナは、ドライコンテナ、リーファーコンテナ、オープントップコンテナ、フラットラックコンテナなど様々に対応している。載貨重量トン数2万~6万トンの160隻のコンテナ船を所有する。現在は114か国に315のサービス拠点が存在する。また、グルーブ会社のエバー航空にて民間旅客事業、エバーグリーン・インターナショナル・ホテルズにてホテル事業も行っている。
タイでは首都バンコク、東部レムチャバン港、南部ソンクラー県ハートヤイの3か所にオフィスが存在する。アジア、北米、中東、ヨーロッパへの便を運航している。
出典:https://www.evergreen-shipping.co.th/
Hapag-Lloyd (Thailand) Ltd. (ハパックロイド・タイランド)
1970年にドイツで創業した海運会社。コンテナ船を中心に世界各地にて海上輸送を行っている。取り扱いコンテナは、ドライコンテナ、リーファーコンテナ、オープントップコンテナ、フラットラックコンテナなど様々に対応している他、危険物の輸送にも対応できる。また、コーヒーの輸送に注力していることが特徴である。現在は250隻の船を所有し、積載量は合計180万TEUであるが、リース船を含めると280万TEUまでをカバーできる。130か国に394のサービス拠点が存在し、13,400人の従業員が在籍している。
タイでは首都バンコク、東部レムチャバン港、南部ソンクラー県の3か所にオフィスが存在する。
出典: https://www.hapag-lloyd.com/en/services-information/offices-localinfo/east-asia/thailand/bangkok.html
CMA CGM (Thailand) Ltd. (シーエムエー・シージーエム・タイランド)
1978年にフランスで創業した海運会社。コンテナ船を中心に世界各地にて海上輸送を行っている。取り扱いコンテナはドライコンテナ、リーファーコンテナがメインであるが、コンテナに入らない特大・特殊貨物、危険物の輸送にも対応している。500隻の船を所有し、世界各地の420の港を200以上の航路で繋いでいる。現在、160か国に400のサービス拠点が存在し、11万人以上の従業員が在籍している。
タイでは首都バンコク、東部レムチャバン港、南部ソンクラー県の3か所にオフィスが存在し、計240人の従業員が在籍している。週に16便の定期便が運航しており、目的地はアジア、北米、南米、中東、ヨーロッパ、オーストラリアをカバーしている。
出典: https://www.cma-cgm.com/local/thailand
MSC Thailand (エムエスシー・タイランド)
1970年にスイスで創業した海運会社。コンテナ船を中心に世界各地にて海上輸送を行っている。取り扱いコンテナはドライコンテナ、リーファーコンテナに加えて、特大・特殊貨物(アウト・オブ・ゲージ)、危険物の輸送にも対応している。IT技術を用いた省力化、取引のスマート化も進めている。所有する570隻の船で年間に合計2,150万TEUの貨物を運び、世界各地の500の港を215以上の航路で繋ぐ。現在、155か国に524のサービス拠点が存在し、10万人以上の従業員が在籍している。
タイでは首都バンコク、東部レムチャバン港の2か所にオフィスが存在する。到着した貨物の管理、陸上輸送にも対応する。
出典: https://www.msc.com/tha?lang=en-gb
バンコク在住のタイ人。タイにおける日系企業向け翻訳・通訳を6年間以上行う。経済、ビジネス、IT分野に興味があり、マーケティングや流通を含めた企業調査や、企業調査といった情報収集が得意。