シンガポールの不動産デベロッパー業界は、アジア屈指の成長市場として注目されており、主要企業の動向や市場環境の変化が日本企業の進出戦略に大きく影響します。
本記事では、2025年最新の市場動向と、ローカル・日系・外資を含む主要11社の特徴や強みを徹底解説。現地展開を検討する日本企業の経営者・担当者必見の内容です。続きは本文でご確認ください。
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シンガポールの主要不動産デベロッパー6選〜ローカル企業編〜
CapitaLand(キャピタランド)
キャピタランドは2000年設立のアジア最大級の不動産開発企業であり、不動産開発、不動産金融サービス、ホテル運営を幅広く展開している。中国を中心にアジア全域で住宅、商業施設、小売物件を手掛けるほか、オーストラリア、ヨーロッパ、湾岸地域でも事業を展開している。シンガポールではION OrchardやJewel Changi Airportなどの大型ショッピングモールを開発し、高い品質で知られている。シンガポール、中国、ベトナム、インドネシアにおいて17の不動産賞を受賞しており、インターレースやビクトリアパークヴィラなど独自の都市生活体験を提供するプロジェクトが評価されている。
2025年の最新動向として、キャピタランドは資産軽量化を進めつつ、ロジスティクス、宿泊、データセンター、プライベートクレジットなどの成長分野に注力している。中国市場向けの初の国際スポンサーによるREIT上場申請を行い、約11億シンガポールドルの資金調達に成功した。宿泊事業では、インドを含むアジア各地でユニット数を2028年までに約2倍の1万2,000ユニットに拡大する計画だ。デジタル化とAI技術の導入も積極的で、Microsoftとの提携によりAIを活用した顧客対応や運営効率化を推進している。また、Ascottブランド向けの宿泊推奨システムやAIチャットボットなど革新的技術で2025年のSBRテクノロジー賞を複数受賞している。
持続可能性の面でも先進的で、2025年にはシンガポールの物件で廃プラスチックを再利用した新素材「NEWBitumen」を道路に使用する計画がある。開発部門のCapitaLand Developmentは、シンガポール最大の統合開発「PARKTOWN Residence」をはじめ、サステナブルな設計と低炭素素材を積極的に採用し、2050年までのネットゼロ排出を目指している。中国では政府間プロジェクトにも関与し、広州知識都市などの開発を推進している。社会貢献活動としてはCapitaLand Hope Foundationを通じ、中国、インド、シンガポール、ベトナムで子どもや若者の健康・教育支援を行うコミュニティレジリエンスイニシアティブに3百万シンガポールドルを拠出している。
2024年末時点で運用資産総額は約1,170億シンガポールドルに達し、2028年までに2,000億シンガポールドルを目標に掲げている。市場環境の変動にも柔軟に対応しつつ、資本リサイクルやM&Aを活用して成長を加速させている。シンガポール、インド、中国を中心に多様な資産クラスで高い占有率と賃料上昇を維持し、持続可能な都市開発とデジタル革新を両立させるアジアを代表する不動産グループである。以上の内容は、2025年5月現在の信頼性の高い政府機関や業界団体、大手調査会社の情報を基に最新動向を反映している。
出典:https://www.capitaland.com
City Developments Limited (シティ・ディベロップメンツ)
シティ・ディベロップメンツ(CDL)は1963年に設立され、マレーシアのジョホールバルとシンガポールで最初のプロジェクト開発を開始した。現在はシンガポールで2番目に大きな不動産開発業者であり、シンガポール、中国、米国、英国、オーストラリアを含む29カ国・地域の112拠点で住宅、商業施設、ホテル、小売施設を展開する多国籍企業である。55年以上にわたり47,000戸以上の住宅を開発し、世界で約2,300万平方フィートの住宅・商業・ホスピタリティ資産を所有している。
2024年度の売上高は約33億シンガポールドル、純利益は約2億シンガポールドルで、前年に比べ減少したものの、投資用不動産セグメントはロンドンのセントキャサリンドックスや東京・大阪のプライベートレンタルセクター資産の取得により11.1%の収益増を記録した。シンガポールの大規模複合開発「Union Square」などの資産強化と持続可能性への取り組みが進行中であり、都市再開発局の戦略的開発インセンティブスキームを活用し、床面積を67%増加させている。
CDLは持続可能性においても先駆的存在で、2025年には18回目となる統合サステナビリティレポートを発表し、30年にわたる環境・社会・ガバナンス(ESG)への取り組みを強調した。2016年比でScope 1・2の炭素排出量を25%、新規開発におけるScope 3の埋め込み炭素を38%削減し、科学的根拠に基づく目標(SBTi)に沿った63%削減を2030年までに目指している。さらに、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の勧告をシンガポール企業で初めて採用し、ニュージーランドの物件も含めた自然・生物多様性保全に注力している。2024年にはDBS銀行から4億シンガポールドルのサステナビリティ連動型ローンを調達し、自然保護と持続可能な開発を支援する資金を確保した。
また、都市部の生物多様性と気候回復力を高めるため、City Square Mallにて太陽光発電のエコトレインや再生可能な熱帯生態系を再現したマイクロフォレストを導入し、環境教育と緑化推進を進めている。CDLはグローバル100の持続可能企業ランキングでシンガポール企業として唯一16年連続で選出され、男女格差指数やCDPグローバルAリストにも連続して名を連ねている。
出典:https://cdl.com.sg/
Far East Organization(ファー・イースト・オーガニゼイション)
ファーイーストオーガニゼーションは1962年にシンガポールで設立され、同国で最も歴史ある不動産開発会社の一つである。これまでにシンガポールで750件以上の不動産プロジェクトを手掛け、香港最大の土地開発会社である信和グループを含むグローバルな子会社やプロジェクトも展開している。ファーイーストオーガニゼーションは、世界的に権威ある不動産賞であるFIABCI Prix d’Excellence Awardsを10回受賞した唯一の開発業者であり、その高い品質と信頼性でアジアおよび世界中に知られている。
シンガポールにおける代表的な住宅開発には、スコッツタワー、サンライズテラスのアラナ、ビジューなどがあり、多様なアパートメント、コンドミニアム、半戸建て住宅を提供している。近年は都市再開発局(URA)による大規模な土地入札で、ビューティーワールド地区の3.22ヘクタールの複合開発権を約10億シンガポールドルで獲得し、商業・住宅混合のトランジットセンターや公共空間を含む計画を進めている。これにより、シンガポールの都市景観に新たな価値を創出している。
また、ファーイーストオーガニゼーションはホスピタリティ事業や学生向け住宅(PBSA)にも注力しており、2025年第1四半期には英国の学生住宅運営会社Homes for Studentsを取得し、ポートフォリオを拡大。これが業績向上に寄与し、純利益は前年同期比で2倍以上の約1,730万シンガポールドルに達した。オーストラリアや日本(大阪)でもホテル事業を展開し、国際的な事業基盤を強化している。
出典:https://www.fareast.com.sg
Guocoland(グオコランド)
グオコランドは1976年にシンガポールで設立され、1990年代後半から不動産開発と投資事業に本格参入した。現在は不動産開発、不動産投資、不動産管理を中核事業とし、シンガポールを拠点に中国、ベトナム、マレーシアで住宅、商業、多目的プロジェクトを数十件展開するアジアの主要不動産企業である。特にシンガポールの統合開発「タンジョンパガーセンター」は高く評価されており、同施設内のウォリックレジデンスには約8,000万シンガポールドルのペントハウスがある。
2024年から2025年にかけて、グオコランドは持続可能性を重視した開発を推進している。シンガポールの住宅プロジェクト「Lentor Mansion」は同社初のグリーンマーク・プラチナ(スーパー・ロー・エナジー)認証を取得し、エネルギー効率の高い設計や太陽光パネルの導入により共用部分のエネルギー消費の60%を賄うなど先進的な環境配慮を実現している。さらに、2025年に予定される「Upper Thomson Road」開発では、生物多様性に配慮した設計を採用し、941戸の住宅を含む5棟の25階建てタワーと歴史的建築物の保存を組み合わせる計画だ。このプロジェクトもグリーンマーク・プラチナ認証を目指している。
財務面では、2024年上半期に前年同期比13%増の7,460万シンガポールドルの利益を報告し、堅調な業績を維持している。資金調達においても、DBS銀行やOCBC銀行から12億4,000万シンガポールドル規模のグリーンローンを確保し、環境配慮型プロジェクトの推進に必要な資金基盤を強化している。これにより、ビーチロード地区の大規模複合開発「Guoco Midtown」や高級住宅「Midtown Bay」などのリファイナンスを実施し、持続可能な都市開発を加速させている。
組織体制では、中国市場における事業強化のため、2025年3月に経験豊富なケビン・ジョウ氏をGuocoLand Chinaのマネージングディレクターに迎え、戦略的投資や資産管理の専門知識を活用している。全体として、グオコランドは環境・社会・ガバナンス(ESG)を経営の中核に据え、シンガポールのグリーンビルディングカウンシルのカーボン削減誓約に賛同し、エネルギー消費削減や廃棄物管理に積極的に取り組んでいる。2024年度のサステナビリティレポートでは、2019年比でエネルギー使用量や炭素排出量の削減目標を達成したことが示されている。
出典:https://www.guocoland.com.sg/
Frasers Property(フレーザー・プロパティ)
フレーザー・プロパティは1963年にシンガポールで設立され、現在はシンガポールをはじめタイ、オーストラリア、英国など80以上の都市で事業を展開している。住宅開発においては21,000戸以上を手掛け、高級コンドミニアムから手頃なスターターアパートメントまで幅広い商品を提供している。代表的なプロジェクトには、オーチャードロード近くの高級住宅「8 @ Mount Sophia」や、レイクサイドの眺望を持つ実用的な「カスピアン」がある。また、「シーサイドレジデンス」や「リバーツリーレジデンス」などでEdgeProp賞を多数受賞し、「ウォーターフロントコレクション」ではFIABCI World Prix d’Excellence賞を獲得している。
2025年上半期の業績は好調で、純利益は前年同期比147.6%増の約1億4,220万シンガポールドルに達した。売上高も2.7%増加し約16億シンガポールドルとなった。利益増加の要因は、シンガポールの住宅事業の好調や2024年上半期に計上された減損の不在、税務引当金の一時的な戻入れによるものである。ただし、この一時要因を除くと純利益は前年同期比で13%減少しており、主に金利負担の増加が影響している。グループは資産の積極的な入れ替えを進めており、オーストラリアの工業・物流資産のジョイントベンチャー設立や中国・上海での住宅用地取得などを行い、投資不動産ポートフォリオの強化に努めている。
環境・社会・ガバナンス(ESG)面でも進展が著しく、スコープ1、2、3の炭素排出データに対する独立保証を取得し、ESGデータブックを公開した。2025年3月にはシンガポール初のブラウンフィールド型地区冷却ネットワークが稼働を開始し、同社のタンピネス1およびセンチュリー・スクエアのショッピングモールが主要な冷却ノードとして年間約1,000トンのCO2削減に寄与している。マクロ経済環境の変動に対しては、分散型ポートフォリオと資本管理の厳格化により柔軟に対応し、長期的な持続可能な収益創出を目指している。
出典:https://www.frasersproperty.com/sg/
Bukit Sembawang(ブキット・センバワン)
ブキット・センバワンは1911年設立のシンガポール最古の不動産開発業者であり、セレターヒルズ、センバワンヒルズ、ルクサスヒルズなどの高級住宅地に4,600戸以上の物件を所有しているほか、第9地区や第10地区の一等地に1,800戸超の住宅を開発している。高層マンションを主力とする競合他社と異なり、テラスハウスや小規模高級マンションを中心に、あらゆる世代に向けた質の高い住宅を提供することをモットーとしている。小規模コンドミニアムは2百万シンガポールドル以上、テラスハウスは4百万シンガポールドル超の価格帯でありながら、多くの外国人バイヤーから高い評価を得ている。
最新のプロジェクトとしては、ブキット・ティマ地区の「8@BT」があり、2024年の発売開始時には53%が即完売し、平均価格は平方フィート当たり約2,719シンガポールドルである。8@BTは自然環境に囲まれた高級住宅で、同社の品質と設計力を象徴する物件だ。その他、シンガポール中心部の「8 St Thomas」や「The Atelier」、「Paterson Suites」などの高級コンドミニアムも手掛けている。
財務面では、2025年上半期に純利益が前年同期比149%増の約6,290万シンガポールドルを記録し、売上高は約6億2,000万シンガポールドルに達した。株価は2025年5月時点で約3.65シンガポールドルで推移し、短期・長期の移動平均線から買いシグナルが出ているものの、テクニカル面での一部弱さから「ホールド」評価となっている。
環境・持続可能性にも注力しており、ISO 14001:2015認証を取得し、エネルギー消費や温室効果ガス排出量の削減目標を設定している。開発プロジェクトではBCAグリーンマーク認証の取得を継続し、太陽光パネル設置やEV充電ステーションの導入、自然換気や雨水回収システムの活用など環境配慮型の設計を推進している。従業員の働きやすさにも配慮し、多様性と包括性を重視した職場環境づくりを進めている。
出典:https://www.bukitsembawang.sg
シンガポールの主要不動産デベロッパー2選〜日系企業編〜
Mitsubishi Jisho Sekkei Asia Pte. Ltd.(三菱地所設計アジア社)
三菱地所設計アジア社は、2016年にシンガポールで設立された三菱地所グループの現地法人であり、シンガポール、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、ミャンマーのASEAN6か国およびオーストラリアの計7か国を主な事業エリアとしている。近年はその他のASEAN諸国においてもリサーチを開始し、事業展開の拡大を図っている。設立の背景には、ASEAN地域の人口増加や経済成長を見据え、質の高い都市・建築デザインと最先端の環境・省エネ技術を活用して地域の街づくりに貢献する狙いがある。
代表的なプロジェクトとして、三菱地所は2015年よりシンガポール最大手不動産会社キャピタランドおよびそのグループ運用のREITと共同で「Golden Shoe Car Park再開発プロジェクト」(現CapitaSpring)に参画している。これは地上51階、高さ約280メートル、延床面積約9万3,000平方メートルの超高層複合ビルで、オフィス、サービスアパートメント、商業施設、シンガポールの伝統的なホーカー(屋台街)、駐車場を含む多機能施設である。総事業費は約1,450億円に上り、2021年に竣工した。環境性能にも優れ、シンガポールの主要な環境認証であるBCAグリーンマークの最高位「プラチナ」を取得している。主要テナントにはJ.P. Morgan Chase & Co.や三井住友銀行が入居し、高い稼働率を維持している。
また、三菱地所設計アジア社はインドネシア・ジャカルタの超高層複合開発「(仮称)オークラレジデンス ジャカルタ/ホテルオークラジャカルタプロジェクト」において基本計画と外装デザインを担当しており、2025年上旬の竣工を予定している。このプロジェクトは三菱地所として初のインドネシアにおける分譲型サービスアパートメントとホテルの開発であり、ホテルオークラブランドの同国初進出となる。
さらに、三菱地所設計アジア社は東南アジア各国におけるオフィスのインテリアデザインも手掛けており、現地の文化と日本の品質を融合させた空間設計を展開している。タイ・バンコクの「One City Centre」ショールームを兼ねたオフィスは、2023年に国際インテリアデザインアワードで金賞を受賞するなど高い評価を得ている。
出典:https://www.mj-sekkei.com/en/
HANKYU HANSHIN EXPRESS (SINGAPORE) PTE. LTD(阪急阪神 エクスプレス シンガポール)
阪急阪神グループは1907年に関西を拠点に設立され、1990年にシンガポールで阪急阪神エクスプレスシンガポールを設立した。最初のプロジェクトはシンガポールに建設した賃貸倉庫の不動産開発であり、利用者目線で効率的かつ環境に配慮した設計により、ランニングコストの大幅削減に成功している。2015年からはシンガポール西部ジャランブロー地区で延床約4.8万平方メートルの9階建て物流倉庫「阪急阪神ロジスティクスセンター」の建設を開始し、2017年5月に営業を開始した。この施設はアセアン地域におけるグループ保有の物流倉庫としてはインドネシアに次ぐ2件目であり、国際物流ネットワークのアセアン地域ハブとして位置づけられている。主要運営主体は現地法人の阪急阪神エクスプレスシンガポールであり、電子部品や医療機器、医薬品、自動車関連品、加工食品、最終消費財、eコマース関連商品など多様な商品需要に対応し、高付加価値の物流サービスを展開している。
さらに2025年2月には、シンガポール・トゥアス地区において、断熱性能の高い外壁や高効率換気・空調設備、太陽光発電システムを備えた環境配慮型の定温物流倉庫「36 Tuas Road」を竣工した。この倉庫は全フロアが22℃~26℃の定温管理可能で、温度変化に敏感な消費財や製品の取り扱いに適している。BCAグリーンマーク2021において最高ランクのプラチナ認証と5つのサステナビリティバッジを取得し、シンガポールの物流倉庫としては初の快挙である。
阪急阪神エクスプレスは、環境保全を経営の重要課題と位置づけ、ISO14001認証を取得し、LED照明や電動フォークリフトの導入などを通じてCO2排出削減に取り組んでいる。また、阪急阪神ホールディングスグループは2020年に「サステナビリティ宣言」を公表し、SDGs達成に向けた社会課題解決を目指している
出典:https://www.hhe-global.com/asean/index.html
シンガポールの主要不動産デベロッパー3選〜ローカル企業編〜
MCL Land(エムシーエルランド)
MCLランドは1963年に設立され、ジャーディン・マセソングループ傘下の香港ランドの子会社としてシンガポールの住宅開発に特化している。規模は大手に比べやや小さいものの、シンガポールの住宅市場で確固たる地位を築いており、20以上の住宅開発プロジェクトを展開している。特にHallmark Residences、Estuary、Palms @ Sixth Avenueなどが代表的な開発物件であり、多様な価格帯と選択肢を購入者に提供していることが人気の理由だ。
2025年2月にクレメンティ地区で発表された「ELTA」は、初週末に約4,500人の購入希望者を集めるなど注目を集めている。MCLランドは持続可能性にも注力しており、シティ・ディベロップメンツ(CDL)と共同で、ノーサンバランド・ロードとテンガ・ガーデン・ウォークの2つの新規開発用地に対して合計8億4,700万シンガポールドルのグリーンローンを確保。これらのプロジェクトはシンガポール建設庁のグリーンマークゴールドプラス認証を目指している。
一方、親会社の香港ランドは2024年末からMCLランドの売却を検討しており、帳簿価額11億シンガポールドルを上回る価格での売却を目指している。これは香港ランドがアジア地域での住宅開発から商業不動産への戦略転換を進めているためである。売却の動向は市場関係者の注目を集めているが、最終的には保有継続の可能性も残されている。
出典:https://www.mclland.com.sg/
Lendlease Group(レンドリース・グループ)
レンドリース・グループは1958年にオーストラリア・シドニーのバランガルーで設立された総合不動産企業で、現在はアジア、アメリカ、ヨーロッパにも拠点を持ち、12,000人以上の社員を擁している。強みは不動産投資・開発からプロジェクトマネジメント、建設、アセットマネジメントまで、プロジェクトの全サイクルを一貫して手掛ける統合ソリューションの提供にある。これにより、大規模かつ複雑なプロジェクトでも効率的かつ円滑に進行可能だ。
近年は、米国の大手不動産サービス会社ジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)と共同で、シンガポールを拠点にアジア太平洋地域の不動産テックスタートアップを支援するアクセラレータープログラム「Propell Asia」を立ち上げた。このプログラムは、同地域の16兆米ドル(2020年には約19.5兆米ドルに成長予測)規模の不動産市場において、新興企業に対し資金支援や専門家によるメンタリング、コワーキングスペースの提供を行い、不動産業界のデジタル革新を促進している。
また、2024年には世界的なグロース投資会社ウォーバーグ・ピンカスと合弁で、アジア太平洋地域の急成長するライフサイエンスおよび研究開発分野に特化した不動産投資プラットフォームを設立した。これにより、同分野の不動産取得、開発、管理を強化し、横浜の大型研究施設「リーフみなとみらい」など既存資産の価値向上も図っている。
環境面では、2025年までにネットゼロカーボンを達成し、2040年には絶対的なゼロカーボンを目指すと宣言。再生可能エネルギーの利用拡大やサプライチェーンの脱炭素化、テナントとの協働によるエネルギー転換に積極的に取り組んでいる。これらの取り組みはGRESB(グローバル不動産サステナビリティベンチマーク)で高く評価され、アジアの小売部門でトップの持続可能性リーダーとなっている。
出典:https://www.lendlease.com/sg/
AllgreenProperties Limited (オールグリーン・プロパティ)
オールグリーン・プロパティ(Allgreen Properties Limited)は、マレーシアのクォックグループ傘下の不動産部門として1986年に設立され、35の子会社と13の関連会社を持つアジア有数の不動産グループである。住宅、小売、オフィススペース、サービス付きアパートメント、ホテルなど多様な物件ポートフォリオを展開し、主に不動産開発と投資を手掛けている。シンガポールでは約11,000戸の住宅を53のプロジェクトで開発し、フリーホールドや99年リースホールドのコンドミニアム、テラスハウス、セミデタッチドユニットを提供している。
オールグリーンは高品質な開発で知られ、2013年から毎年BCAクオリティエクセレンスアワードを受賞し、2017年には高級住宅「Sorrento」がFIABCIグランプリ・ド・エクセレンス賞を獲得した。代表的な住宅プロジェクトにはFourth Avenue Residences、Royalgreen、Juniper Hill、Pasir Ris 8などがあり、建築の美しさと機能性、コミュニティ形成に重点を置いている。近年はシンガポールでの新規開発活動は抑制気味で、既存ポートフォリオの維持と少数のハイエンドプロジェクトに注力しているが、依然としてトップデベロッパーの一角を占めている。
また、環境・社会・企業統治(ESG)に強くコミットし、環境保全や社会貢献、透明性の高いガバナンスを推進している。全開発段階で持続可能性を重視し、建設から運営まで環境負荷低減に努めている。2023年にはシンガポールビジネスレビューのテクノロジーエクセレンス賞を受賞し、デジタル技術を活用した顧客体験の向上や業務効率化を実現している。具体的には、建設進捗や支払い状況のオンライン管理、テナント向けのポータルサイト、顧客ロイヤルティプログラムの刷新などを推進している。
シンガポールの高級住宅市場は2020年代を通じて年率約3%の成長が見込まれており、オールグリーンはこの市場で堅実な存在感を示している。外国人投資家の需要や賃料上昇が追い風となり、同社の高品質な住宅は安定した評価を受けている。今後も持続可能性とデジタル革新を両立させ、都市生活の質を高める開発を継続していく方針である。これらの情報は2025年5月現在、信頼性の高い業界資料や公式発表に基づいている。
出典:https://www.allgreen.com.sg

2017年よりシンガポール在住の日本人。元客室乗務員。大学ではマーケティングと経済を学び、卒業後は海外での生活と旅行を重ね、さまざまな国の文化や人々、食に関する豊富な知識を身につける。シンガポール人の旦那との結婚を機にシンガポールに移住し、現地で就労。現在はライター業と翻訳業を行っている。

