シンガポールの陸運業界は、コンフォートデルグロを筆頭にタクシー・バス・宅配・車両検査まで多様なモビリティサービスが集積する市場です。16社の主要企業がライドヘイリングのデジタル化とラストワンマイル配送の効率化で新たな競争局面を迎えています。
今回は、そんなシンガポールの陸運業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて16社の最新情報をお届けしていきます!
読了時間の目安:5分
シンガポールの主要陸運企業6選〜ローカル編〜
コンフォートデルグロ(コンフォートデルグロ)
ComfortDelGro Corporation(コンフォートデルグロ・コーポレーション)は2003年設立のシンガポール最大の陸上交通複合企業であり、SGXに上場している。国内ではタクシー(CDG Taxi)・バス(SBS Transit)・車両検査(VICOM)・自動車教習などを展開し、陸運セクター全域にまたがる事業構造を持つ。
FY2025(2025年12月期)の連結総収益は過去最高の50億6,000万シンガポールドル(前年比13.0%増)を計上し、純利益(PATMI)は2億3,030万シンガポールドル(前年比9.4%増)となった。
2025年の路上運送部門では自律走行シャトル(AV Shuttle)の実証実験をシンガポールのプンゴル地区で開始し、将来の自動化交通への布石を打っている。ERP(電子道路課金)2.0関連のOBU(車載器)取り付け工事の需要急増も2025年の増益要因のひとつとなった。
海外収益が全体の55.3%を占め、国際事業の比重が年々高まっている。(参照:ComfortDelGro公式サイト・年次報告書2025年)
出典:https://www.comfortdelgro.com/
シンガポール・ポスト(シンガポール ポスト)
Singapore Post(シンガポール・ポスト、SingPost)は1819年創業の歴史を持つシンガポール唯一の公共郵便サービス事業者であり、SGXに上場した国有系複合物流企業である。国内郵便事業に加え、国際Eコマース物流・倉庫・フルフィルメント・ラストマイル配送を展開し、アジア太平洋に事業を広げている。
2024年時点でSingPostは2億件超の国際・国内郵便物を処理しており、Eコマース向けのラストマイル配送ネットワークをシンガポール全土にわたって運営している。
近年はEコマース特化型ロジスティクスへの事業転換を積極化しており、越境Eコマース対応(PartnerPost、vPOST等)を強化している。
2025年には一部海外非中核事業の売却とシンガポール・コア物流事業への集中化を加速し、収益構造の合理化を進めている。(参照:Singapore Post公式サイト・年次報告書、2025年)
出典:https://www.singpost.com/
VICOMシンガポール(ヴィコム)
VICOM Ltd(ヴィコム)は1995年設立のSGX上場企業であり、ComfortDelGro Corporationが約67%を保有する筆頭株主である。シンガポール国内8か所の認定車両検査センターのうち6か所を運営し、強制車検市場でシェア70%超を誇るトップ事業者である。
VICOMの主力事業は乗用車・商用車・二輪車等の法定定期検査であり、LTA(陸運庁)の基準に基づいて年間数十万台の車両検査を実施している。子会社のSetsco Servicesは非車両系の試験・検査サービス(土木・化学・機械・電気エンジニアリング分野)を提供する。
2025年はシンガポール政府のERP2.0(次世代電子道路課金)導入に伴うOBU(車載器)取り付け工事の需要が急増し、車両関連サービス部門の売上は前年比大幅増となった。
FY2025においてComfortDelGro傘下の「Inspection & Testing Services」セグメントの営業利益は前年比56.1%増と記録的な伸びを示した。(参照:VICOM公式サイト・ComfortDelGro年次報告書2025年)
出典:https://www.vicom.com.sg/
グラブ・シンガポール(グラブ)
Grab Holdings(グラブ・ホールディングス)は2012年にシンガポールで設立された東南アジア最大のスーパーアプリ企業であり、ライドヘイリング・フードデリバリー・フィンテックなど幅広いサービスをシンガポール含む東南アジア8カ国で展開している。ナスダック上場企業で、本社はシンガポールに置く。
陸運分野では配車サービス(GrabCar、GrabTaxi)とデリバリーサービス(GrabFood、GrabExpress)を中心に展開しており、シンガポール国内のポイント・トゥ・ポイント交通市場で圧倒的シェアを有する。
2026年1月からプラットフォーム手数料を引き上げ、プラットフォームワーカーへのCPF拠出義務化へ対応した。また国際クロスボーダーサービス(シンガポール〜ジョホールバル間)の越境タクシー免許を取得し、新サービス(Cross-Border SG-JB Beta)を開始した。
自律走行技術へも継続投資しており、LTAおよびパートナー企業と協力してシンガポール国内でのAVテストを進めている。(参照:Grab公式サイト、2025年)
出典:https://www.grab.com/sg/
Lee Hoe Transport(リーホートランスポート)
リー・ホー・トランスポートは1963年にシンガポールで設立された国際陸上輸送の老舗企業である。60年以上にわたり越境貨物輸送に携わってきた実績を持つ。
シンガポールとマレーシア間の国境を越えたトラックサービスをほぼ毎日運行しており、クアラルンプールとシンガポール間の双方向輸送を担っている。
20フッターおよび24フッターのトラックを運営し、多様な貨物サイズに対応した柔軟な輸送体制を整えている。
税関申告・関税手続き・貨物分類に関する専門的アドバイスを提供しており、越境輸送に関わる複雑な手続きを顧客に代わって一括対応できる体制を持つ。
2025年時点でもシンガポール・マレーシア間の陸上物流を中心に、中小企業から大企業まで幅広い顧客のサプライチェーンを支援している。
出典:https://leehoe.com.sg/
M&P International Freights(エムアンドピーインターナショナルフレイツ)
M&Pインターナショナル・フレイツは、シンガポールを拠点に世界中の輸入業者・輸出業者に本格的な国際貨物輸送サービスを提供する総合物流企業である。
倉庫保管・航空貨物・海上貨物・陸上輸送をワンストップで提供し、世界中に構築されたパートナー・代理店の広範なネットワークを活用したグローバルサービスを展開している。
シンガポール港を起終点とした統合的な道路輸送・トラック輸送ソリューションを幅広く展開しており、マルチモーダル輸送の調整・管理を担っている。
輸入・輸出・通関・在庫管理まで統合ロジスティクス管理を提供し、顧客のサプライチェーン全体を効率的に運営するための支援を行っている。
2025年時点でも東南アジアおよびグローバル市場向けの複合輸送サービスをシンガポール拠点から継続して提供している。
出典:https://www.mandpfreights.com/
シンガポールの主要陸運企業4選〜日系編〜
SG Sagawa Ameroid(SGサガワアメロイド)
SG佐川アメロイドは、SGホールディングスグループの海外事業統括会社が2017年1月にシンガポールの2社を事業統合して設立した物流企業である。資本金100万シンガポールドル、従業員数は約300人を擁する。
コンテナ輸送事業と倉庫ロジスティクス事業を主力とし、佐川急便シンガポール統合後はフレイト・フォワーディングと国際エクスプレス事業も展開している。
550台超の車両・シャーシを保有し、シンガポール全島への安定した配送ネットワークを構築している。
SGホールディングスグループの東南アジア事業の中核拠点として機能しており、地域全体の物流ネットワーク強化に取り組んでいる。
2025年時点でも日系物流企業として日本品質のサービスをシンガポールおよび東南アジア市場に継続提供している。
出典:https://www.sg-sagawa.com.sg/
Yamato Transport Singapore(ヤマトウンユシンガポール)
ヤマト運輸シンガポールは2014年にシンガポールで設立されたヤマトグループの現地法人であり、日本国内と同水準の高品質物流サービスを提供している。
冷蔵・冷凍2タイプの温度帯対応コールドチェーン輸送サービスに定評があり、食品・医薬品など温度管理が必要な貨物の配送を担っている。
「バリュー・ネットワーキング」構想に基づくクラウド型ネットワークにより、分散在庫コストを抑制した効率的な物流体制を実現している。
シンガポールパーツセンターに在庫を集約することで、シンガポール国内向けのスピード配送を可能にしている。
2025年時点でも日本式きめ細かいサービスを維持しつつ、東南アジア市場での物流品質向上に貢献している。
出典:https://www.yamatosg.com/
Nippon Express Singapore(ニッポンエクスプレスシンガポール)
日本通運シンガポール(Nippon Express Singapore)は1973年にシンガポールに設立された、日本通運グループのシンガポール現地法人である。
陸上輸送事業は1872年から続く日本通運の長い歴史を持ち、シンガポールを東南アジアの主要拠点として活用している。
ベトナム・ラオス・タイ・マレーシアを経由した上海~シンガポール間約7,000キロを結ぶ大陸横断陸上トラック輸送システムを構築・運営している。
世界47カ国・地域に733以上の拠点を有するグローバルネットワークを背景に、航空・海上・陸上の複合一貫輸送サービスを展開している。
2025年時点でも半導体・自動車部品・消費財など多様な産業の物流需要を支える基幹プレーヤーとして事業を継続している。
出典:https://www.nipponexpress.com/sg/
Konoike Transport & Engineering Singapore(コノイケトランスポート)
鴻池運輸エンジニアリングシンガポール(Konoike Transport & Engineering Singapore)は1984年にシンガポールで設立された、1880年創業の老舗日系物流企業である。資本金50万ドル、従業員数10名。
海上・航空輸送、輸出入通関、倉庫、輸送、機械設備搬入など幅広い物流サービスを一貫して提供している。
シンガポールのほか、アメリカ・メキシコ・中国・フィリピン・インドネシア・ベトナム・タイ・ミャンマー・バングラデシュ・インドに支店を持つグローバルネットワークを構築している。
機械設備の搬入・据付作業における高い専門技術を強みとしており、製造業・インフラ分野での重量物輸送実績が豊富である。
2025年時点でも日系物流企業として精密な輸送管理と高い信頼性を維持し、シンガポールおよび東南アジア市場での事業を継続している。
出典:https://www.konoike.net/sg/
シンガポールの主要陸運企業6選〜外資編〜
DHLシンガポール(ディーエイチエル)
DHL(ディーエイチエル)は1969年設立のドイツ・ドイツポストDHLグループ傘下のグローバル物流企業であり、世界220カ国以上に38万人以上の従業員を擁する。シンガポールでは東南アジア地域統括拠点として、航空貨物・海上貨物・国際急配・Eコマース・サプライチェーン管理サービスを統合的に提供している。
シンガポールにおけるDHLのアジア太平洋イノベーションセンター(APIC)は、物流テクノロジー・自動化・サステナビリティの研究開発拠点として機能しており、AIロボティクスや電気配送車両の実証実験を行っている。
また、シンガポール・チャンギ空港のそばに大規模な航空貨物ハブを設置し、東南アジア全域への当日・翌日配送サービスを可能にしている。
2025年にはカーボンニュートラル配送サービス(GoGreen Plus)の提供を拡大し、電気バイク・EV車両の導入を進めるなど持続可能な物流への移行を推進している。(参照:DHL公式サイト、2025年)
出典:https://www.dhl.com/sg-en/
トール・グループ・シンガポール(トール グループ)
Toll Group(トール・グループ)は1888年創業のオーストラリア発祥のグローバル物流企業であり、2015年に日本郵便グループに買収された。シンガポールにはアジア太平洋地域の中核拠点を設置しており、フレート・倉庫・サプライチェーン管理・ラストマイル配送など陸上物流の全サービスを提供している。
シンガポールでの事業は世界クラスの海港・空港に隣接したロケーションを強みに、製造業・ライフサイエンス・テクノロジー・Eコマース向けの複合物流サービスを展開している。
2025年12月にシンガポール初の電動化デカーボナイゼーション・ハブを開設し、電気サプライ船・スマート倉庫・電動トラックを統合したエンド・ツー・エンドの低炭素物流オペレーションを開始した。
またシンガポールのロヤン・クレセント25番地に所在する物流施設については、CapitaLand Ascendas REITへの売却後リースバック契約を締結し、2026年第3四半期に完了予定である。(参照:Toll Group公式サイト・プレスリリース2025年)
出典:https://www.tollgroup.com/
フェデックス・シンガポール(フェデックス)
FedEx(フェデックス)は1971年に米国テネシー州メンフィスで設立されたグローバル急配・物流企業であり、世界220以上の国・地域でエクスプレス配送・陸上貨物・海上貨物・カスタム通関サービスを提供している。シンガポールでは東南アジア地域の主要拠点として、チャンギ空港近辺に地域ハブ施設を保有・運営している。
シンガポールを含む東南アジア全域でのエクスプレス配送とEコマース物流に強みを持ち、製薬・テクノロジー・ファッション等の時間・温度管理に敏感な貨物の輸送で高い評価を得ている。
FY2025(2025年5月期)のグループ総収益は約880億ドルであった。2024〜2025年にかけてはFedEx Freight(LTLトラック貨物)部門のスピンオフ計画を発表しており、コアのエクスプレス事業に経営資源を集中する戦略的再編が進行中である。
シンガポールでは電気配送車両の導入やペーパーレス通関システムの整備など、デジタル化・脱炭素化への対応を進めている。(参照:FedEx公式サイト、2025年)
出典:https://www.fedex.com/en-sg/
DBシェンカー・シンガポール(DBシェンカー)
DB Schenker(DBシェンカー)は、ドイツ鉄道(Deutsche Bahn)グループ傘下の国際物流企業であり、航空・海上・陸上・ロジスティクスの全モードにわたるグローバルサプライチェーン管理サービスを140カ国以上で展開している。シンガポールにはアジア太平洋地域統括拠点を置き、製造業・ハイテク・消費財・ライフサイエンスなど多様な産業向けの物流サービスを提供している。
シンガポールでの事業は陸上輸送・倉庫管理・通関・Eコマースフルフィルメントをカバーしており、特に半導体・電子部品の精密輸送とコールドチェーン分野での実績が高い。
2025年にはドイツ鉄道がDB Schenker部門を売却するプロセスを完了し、新たな体制のもとでの事業運営が開始された。
デジタル化・自動化(ロボティクス、AI荷役管理)への投資も継続しており、シンガポールの先進物流エコシステムの一翼を担っている。(参照:DB Schenker公式サイト、2025年)
出典:https://www.dbschenker.com/sg-en/
United Parcel Service Singapore(ユーピーエスシンガポール)
ユナイテッド・パーセル・サービス・シンガポール(UPS Singapore)は1907年に米国で設立されたUPSのシンガポール拠点であり、グローバル急配・貨物輸送の主要プレーヤーとして機能している。
世界200カ国以上で1日あたり1,400万個超の荷物を扱うグローバルネットワークを背景に、シンガポールでは東南アジア地域の物流ハブとしてサービスを展開している。
「UPSワールドワイド・エクスプレス」サービスでは午後12時または午後2時までの配達を保証するタイムデフィニット配送を提供しており、時間厳守が求められる商業輸送に対応している。
航空・海上貨物・サプライチェーン管理・通関業務を統合的に提供しており、Eコマース・製薬・テクノロジー分野での需要に応えている。
2025年時点でもデジタル追跡システムと電気配送車両の導入拡大を進め、持続可能な物流サービスを強化している。
出典:https://www.ups.com/sg/en/
Trans Global Logistics Singapore(トランスグローバルロジスティクス)
トランス・グローバル・ロジスティクス・シンガポール(TGS)は2003年に設立された、25年以上の業界経験を持つ専門家チームが率いるシンガポールの物流企業である。
海上・航空貨物および陸上輸送において、顧客の個別要件に合わせてカスタマイズされたソリューションを提供することを強みとしている。
集荷から購入者の玄関・現場への最終配送まで、サプライチェーンのあらゆる工程で顧客を包括的にサポートする体制を整えている。
QMS ISO 9001:2008およびBiz-Safe Level 3認証を取得しており、品質管理と安全管理の高い水準を維持している。
2025年時点でも中小・中堅企業を主要ターゲットとして、フレキシブルで信頼性の高い物流サービスをシンガポール市場に提供している。
出典:https://www.tgls.com.sg/
FAQ
シンガポールの陸運業界の主要プレイヤーはどのような企業が存在しますか?
シンガポールの陸運業界には、ローカル企業、日系企業、外資系企業を含めて主要な11社があります。これにはシンガポールポストやリーホアトランスポートなどの企業が含まれます。
シンガポールポストの事業内容と特徴は何ですか?
シンガポールポストは1819年に設立された郵便事業会社で、国内外の運送、金融業務、集金代行なども行っています。革新的なロジスティクスソリューションと高速郵便配達Speedpostを提供し、220以上の目的地に配送しています。
リーホアトランスポートの主なサービスは何ですか?
リーホアトランスポートは1963年に設立され、シンガポールとマレーシア間の国境を越えた貨物輸送や税関申告、関税についてのアドバイスを提供しています。頻繁なトラック輸送サービスが特徴です。
M&Pインターナショナルフレイトの特徴は何ですか?
M&Pインターナショナルフレイトは、世界中の輸入業者と輸出業者に対して、航空貨物、海上貨物、陸上運送を含む国際貨物輸送サービスを提供し、効率的なルートとコスト削減を実現しています。
外資系企業の一つであるUPSのシンガポールにおける特長は何ですか?
UPSはアメリカの貨物運送会社で、早朝配達を保証するサービスや、国内外の多くの国と地域への貨物輸送を行っています。シンガポールでは、午後12時や2時までの配達を保証するサービスを展開しています。

