シンガポールの鉄道・バス業界は、政府のコントラクト制度のもとSMRTとSBSトランジットが公共交通網を担う市場です。ComfortDelGroグループをはじめとする9社が、MRT延伸と次世代バスの導入を通じて、移動の利便性とネットワーク品質を向上させています。
今回は、そんなシンガポールの鉄道・バス業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて9社の最新情報をお届けしていきます!
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シンガポールの主要鉄道・バス企業6選〜ローカル編〜
SMRT(エスエムアールティー)
SMRT Corporation(エスエムアールティー・コーポレーション)は1987年に設立されたシンガポールを代表する公共交通事業者であり、テマセク・ホールディングスが完全子会社として保有している。MRTの北南線(NSL)・東西線(EWL)・環状線(CCL)・トムソン-イースト・コースト線(TEL)を運営するほか、バス事業も展開している。
FY2024/25の鉄道部門収益は9億1,820万シンガポールドル(前年比4%増)であり、平均運賃の上昇と利用客増加が牽引した。シンガポールの鉄道延長は約240kmに及び、SMRTはその半数以上のインフラを管理・運営している。
2025年には老朽化した初代KHI製車両の全廃を完了し、新型R151列車(ALSTOM製)への置き換えも進めた。予知保全(Predictive Maintenance)技術の導入やデジタルツインを活用したインフラ管理も推進している。
LTA(陸運庁)との協力のもとで自動運転化対応や将来の新路線(クロス・アイランド線等)への技術準備も行っている。(参照:SMRT公式サイト・年次報告書2025年)
出典:https://www.smrt.com.sg/
SBSトランジット(エスビーエス トランジット)
SBS Transit(エスビーエス・トランジット)は1973年に設立されたシンガポール最大の公共バス事業者であり、ComfortDelGro Corporationが約75%を出資している(SGX上場)。バス部門ではシンガポール国内196路線・3,329台の車両を運行し、市場シェア約54%を有する最大手バス事業者である。
鉄道部門ではMRTのノース・イースト線(NEL)・ダウンタウン線(DTL)及びLRTのプンゴル線・セングカン線を運営している。1日あたりの旅客数は約320万人に達し、住宅地域へのラストマイル接続で重要な役割を果たしている。
FY2024の収益は約11.6億シンガポールドルであり、2025年3月にはセレター・バスパッケージ(29路線)の運行を新たに開始した。
2025年にはシンガポール最大の電気バス車団(200台超)の展開を完了し、環境負荷低減と運行効率向上を両立している。(参照:SBS Transit公式サイト・年次報告書2024年)
出典:https://www.sbstransit.com.sg/
コンフォートデルグロ(コンフォートデルグロ)
ComfortDelGro Corporation(コンフォートデルグロ・コーポレーション)は2003年にComfort SystemsとDelGro Corporationの合併により設立されたシンガポール最大の陸上交通複合企業であり、SGXに上場している。国内ではタクシー(CDG Taxi)・バス(SBS Transit)・車両検査(VICOM)などを展開するほか、英国・オーストラリア等の海外でも交通事業を展開する。
FY2025(2025年12月期)の連結総収益は過去最高の50億6,000万シンガポールドル(前年比13.0%増)を計上し、純利益(PATMI)も前年比9.4%増の2億3,030万シンガポールドルとなった。
2025年12月にはPony.aiとのパートナーシップを発表し、シンガポールのプンゴル地区での自律走行シャトルの公道テストを開始するなど、次世代モビリティへの布石を打っている。
海外収益が全体の55.3%を占め、国際事業の比重が年々高まっている。(参照:ComfortDelGro公式サイト・年次報告書2025年)
出典:https://www.comfortdelgro.com/
Sentosa Development Corporation(セントーサ・デベロップメント・コーポレーション)
Sentosa Development Corporation(SDC)は1972年9月1日に設立されたシンガポール政府の法定機関であり、セントーサ島の開発・管理・マーケティング・プロモーションを一体的に担う。観光リゾート島としてのセントーサの競争力を維持・強化しながら、島内インフラの安全かつ効率的な運営を責務としている。
交通インフラとしては、ビボシティとセントーサ島を結ぶセントーサ・エクスプレス(モノレール)を2007年1月15日から運行しており、午前7時から深夜0時まで年間多数の旅客を輸送している。
近年はリゾート・ワールド・セントーサや海洋博物館を含む島全体のリニューアル計画を推進し、持続可能な観光開発と低炭素化に向けた施策を展開している。
シンガポール政府の環境・持続可能性省の監督下にあり、公共性の高い意思決定と民間投資の誘致を両立させている。(参照:Sentosa Development Corporation公式サイト・シンガポール政府、2025年)
出典:https://www.sentosa.gov.sg/
グラブ・シンガポール(グラブ)
Grab Holdings(グラブ・ホールディングス)は2012年にシンガポールで設立された東南アジア最大のスーパーアプリ企業であり、ライドヘイリング・フードデリバリー・フィンテックの3分野でシンガポール含む東南アジア8カ国に事業展開している。ナスダック上場企業で、本社はシンガポールに置く。
シンガポールでは配車サービス(GrabCar、GrabTaxi)がポイント・トゥ・ポイント交通の中心的プラットフォームとなっており、国内ライドヘイリング市場でほぼ独占的な地位を確立している。
2026年1月からプラットフォーム手数料を90セントから1.20シンガポールドルに引き上げ、プラットフォームワーカーへのCPF拠出義務化に対応した。また国際クロスボーダーサービス(シンガポール〜ジョホールバル間)の越境タクシー免許を取得し、新たな越境タクシーサービスを開始した。
自律走行技術へも継続投資しており、LTAおよびパートナー企業と協力してシンガポール国内でのAV実証実験を進めている。(参照:Grab公式サイト、2025年)
出典:https://www.grab.com/sg/
CDGタクシー(シーディージー タクシー)
CDG Taxi(シーディージー・タクシー)はComfortDelGro Corporation傘下のタクシー事業ブランドであり、ComfortとCityCabという2つの歴史あるブランドを統合して展開するシンガポール最大のタクシー事業者である。シンガポール国内で数千台規模のタクシー車団を保有・管理しており、メーター制タクシーとGrab連携の配車サービス双方に対応している。
運転手は従来の雇用型・レンタル型から、プラットフォームワーカーとしての独立事業者型への移行が進んでいる。2025年にシンガポール政府のCPF政策に基づきプラットフォームワーカーへのCPF拠出義務化に対応するため料金体系を改訂した。
2026年1月からプラットフォーム手数料を1〜1.30シンガポールドルの幅で設定する体系に変更している。
ERP2.0への対応や電気タクシーの導入など新技術への適応も積極的に進めている。(参照:CDG Taxi公式サイト・ComfortDelGro年次報告書2025年)
出典:https://www.cdgtaxi.com.sg/
シンガポールの主要鉄道・バス企業1選〜日系編〜
JR East Business Development SEA Pte. Ltd.(JR東日本東南アジア事業開発)
JR East Business Development SEA Pte. Ltd.(JR東日本東南アジア事業開発)は、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)グループのシンガポール現地法人として2018年11月27日に設立された。資本金は1,111万シンガポールドルであり、JR東日本の海外事業展開における東南アジアの中核拠点として機能している。
主要事業はMRTトムソン-イースト・コースト線(TEL)の駅構内および周辺におけるエキナカ型商業施設の開発・運営であり、日本で培ったエキナカ開発ノウハウをシンガポールの鉄道駅に応用している。
シンガポールのLTA(陸運庁)や鉄道運営事業者との連携のもと、駅を中心とした滞留型都市空間の創出と利便性向上に取り組んでいる。
JR東日本グループとしての信頼性・ブランド力を活かし、小売・飲食・サービス業態のテナント誘致および運営サポートを提供しており、東南アジアにおける鉄道駅ビジネスモデルの展開拠点として位置づけられている。(参照:JR East Business Development SEA公式サイト・JR東日本グループ年次報告書2025年)
出典:https://jre-sea.sg/
シンガポールの主要鉄道・バス企業2選〜外資編〜
ゴー・アヘッド・シンガポール(ゴーアヘッド)
Go-Ahead Singapore(ゴー・アヘッド・シンガポール)は、英国の大手交通グループGo-Ahead Group plcのシンガポール現地法人として2016年から公共バス事業を開始した外資系バスオペレーターである。現在はオーストラリアのKelsian Group傘下にあり、LTA(陸運庁)のバスコントラクト制度に基づき特定の路線エリアを運行している。
シンガポールでの路線運行は主に西部・南部エリアを中心に複数のバスパッケージを担当しており、政府の品質指標に基づいた安全・定時運行の維持に努めている。
Go-Ahead Groupは英国・アイルランド・シンガポール・スウェーデン・ドイツ等で鉄道・バス事業を展開するグローバルな公共交通事業者であり、2022年にKelsian GroupによりGo-Ahead Groupが買収された。
2025年時点でシンガポールのバス市場における第3位の規模を有しており、LTAの規制のもとで次世代電気バスの導入にも取り組んでいる。(参照:Go-Ahead Singapore公式サイト・LTA、2025年)
出典:https://www.go-aheadsingapore.com/
タワー・トランジット・シンガポール(タワートランジット)
Tower Transit Singapore(タワー・トランジット・シンガポール)は2016年5月にシンガポールの公共バス市場に参入した外資系バス事業者であり、オーストラリアのKelsian Group(ケルシアン・グループ)の完全子会社である。LTA(陸運庁)が導入したバスコントラクト制度に基づき入札で特定のバスパッケージを受注・運行している。
シンガポール西部エリアを中心とした複数路線を担当しており、SMRTバスから引き継いだ路線でサービスを提供している。車両・ターミナル施設はLTAが保有し、Tower Transitはオペレーションに専念する形態でビジネスを行っている。
親会社のKelsian Groupはオーストラリア・英国・アメリカ・シンガポールで公共交通・観光交通を展開するグローバルな交通事業グループであり、2022年にGo-Ahead Groupを買収してさらに事業規模を拡大した。
2025年時点でLTAの車両電動化(EV化)基準に準じた次世代電気バスの導入に取り組んでいる。(参照:Tower Transit Singapore公式サイト・LTA、2025年)
出典:https://www.towertransit.sg/
FAQ
シンガポールの鉄道・バス業界に関する主要企業はどれですか?
シンガポールの鉄道・バス業界には、SMRTトレインズ、Sentosa Development Corporation、シンガポール民間航空庁、SMRTバス、ComfortDelGro、SMRTコーポレーション、SBS Transitなどの主要企業があります。
SMRTトレインズの役割と運営範囲は何ですか?
SMRTトレインズはシンガポールのSMRTコーポレーションの完全子会社で、南北線、東西線、サークル線、ブキットパンジャンライトレールの運営と維持管理を行い、106の駅にまたがる148km以上の線路をカバーしています。
シンガポール民間航空庁の主な役割は何ですか?
シンガポール民間航空庁(CAAS)は、航空安全の監督、空港の自動案内軌条式旅客輸送システムの運営、航空ナビゲーションサービスの提供などを担当し、シンガポールの航空インフラと航空業界の成長を促進しています。
セントーサ・エクスプレスの目的と特徴は何ですか?
セントーサ・エクスプレスは、シンガポール本島とセントーサ島を結ぶモノレールで、2007年に開業し、運行時間は7時から24時までです。入場料も含まれ、一度の切符で何度も乗降できる点が特徴です。
シンガポールの主要鉄道・バス企業の特徴は何ですか?
シンガポールの主要企業は、公共交通の運営に携わる大手企業で、鉄道やバスの運行、管理、インフラ整備を行っています。SMRTやSBS Transitは長い歴史と高いシェアを持ち、地域の交通事情に大きな影響を与えています。

