今回は、タイの主要医療機器企業に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて12社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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タイの主要医療機器メーカー2選〜ローカル企業編〜
Infus Medical (Thailand) Co., Ltd. (インフス・メディカル・タイランド)
1990年に創業したローカル系の医療機器メーカー。バンコク東郊サムットプラカーンと東北部コンケンの2か所に工場を持ち、主に使い捨ての医療用製品を製造している。OEMを得意とし、顧客とともに製品開発から量産のスケールアップまでを実現させてきた。インプラント製品、患者の身体に負担が小さい低侵襲手術製品、クリティカルケア製品、骨セメント混合製品などの製造実績がある。製造プロセスも様々に対応しており、プラスチック射出成型、クリーンルーム組み立て、殺菌、溶接などを取り扱う。各種ISOやUS-QSR、J-GMP、Thai GMPなど国内外の品質規格に準拠した生産体制を持っている。
2020年度の売上高は前年比41%減の616百万バーツ、純利益は前年比58%減の85百万バーツであった。
出典:http://www.infus.com/index.php/home, https://www.boi.go.th/upload/content/BOI-brochure_medical_hub.pdf
Emerald Nonwovens International Co., Ltd. (エメラルド・ノンウーブン・インターナショナル)
2001年に創業したローカル系の医療機器メーカー。南部ペッチャブリーの拠点にて主に使い捨ての不織布製品を製造している。具体的には、ドレープやパック、CSR減菌ラップ、防護服、手術用ガウン、医療用シューズカバーなどである。また、2020年からは新型コロナウイルスの流行を受け、ENiCAREというブランド名でマスクを製造・販売している。手術用マスクや付属のフェイスシールドが曇らない工夫がされたマスクなど様々な用途に対応している。同社の工場はアメリカ食品医薬品局(US FDA)の厳しい審査にも合格しており、製品の品質の高さは国際的にも認められている。
2020年度の売上高は前年比22%増の1,762百万バーツ、純利益は前年比3.2倍の96百万バーツであった。
出典:https://www.emerald-nw.com/
タイの主要医療機器メーカー5選〜日系企業編〜
Nipro (Thailand) Co., Ltd. (ニプロ・タイランド)
日系医療機器メーカー大手、ニプロのタイ拠点。タイでは1988年に設立された。中部アユタヤに位置するニプロタイランドコーポレーションの工場にて、注射針、シリンジ、留置針、翼付針、血液回路、輸液セット、カテーテルといった使い捨て医療機器を製造・販売する。また、バンコクにも販売会社のニプロセールスタイランドがある。2020年度の売上高は前年比1.4%増の7,552百万バーツ、純利益は前年比3.1倍の632百万バーツであった。
日本のニプロ本社は1947年に電球再生事業から創業した。1965年から医療分野に進出し、現在は小さな注射針から大型の医療機器まで、様々な用途の医療機器の製造・販売を行っている。他にも医薬事業、ファーマパッケージング事業を手掛ける。東証一部上場企業で、世界50か国以上に200以上の拠点を持ち、グループ会社を含めた従業員は計35,000人を超える。
出典:https://www.nipro.co.jp/
Hoya Optics (Thailand) Ltd. (ホーヤ・オプティクス・タイランド)
日系光学レンズメーカー大手、HOYA(ホーヤ)のタイ拠点。タイでは1998年より、HOYAグループのオプティクス事業部の海外拠点として設立された。現在は北部ランプーン県に計4か所の工場・オフィスを展開している。取り扱い製品は光学レンズ、光学レンズ用ガラス材料、およびその加工品である。これらは医療用内視鏡や、白内障手術用の眼内レンズなどの医療機器に用いられる。2020年度の売上高は前年比24%減の4,284百万バーツ、純利益は前年比65%減の264百万バーツであった。
日本のHOYA本社は1941年に光学レンズメーカーとして創業した。現在はメガネ・コンタクトレンズ、メディカル製品、エレクトロニクス製品、映像機器用部品の製造・販売をしている。東証一部上場企業で、世界に160以上の拠点と子会社を有し、37,000人以上の社員を擁する。
出典:https://www.hoya.co.jp/
Kawasumi Laboratories (Thailand) Co., Ltd. (カワスミ・ラボラトリーズ・タイランド)
日系医療機器メーカー、SBカワスミのタイ拠点。タイでは1978年に設立され、バンコク北郊パトゥムタニに工場およびオフィス、東北部ナコンラチャシマに工場を持つ。消化器内視鏡治療製品や血管内治療用製品、手術ドレナージ関連製品、人工透析関連製品、採血・輸血関連製品などを製造・販売する。タイでも原材料から完成品までの一貫生産体制を確立しており、日本やアメリカ、ヨーロッパ、その他アジア諸国へ製品を輸出している。2020年度の売上高は前年比9.4%増の2,612百万バーツ、純利益は前年比大幅減の257百万バーツであった。
SBカワスミは2021年に住友ベークライトの医療機器事業と川澄化学工業の統合により設立された。世界各国の厳しい医療機器、医薬品の基準をクリアする品質マネジメントシステムに基づき、高品質な医療機器、医薬品を製造・販売している。海外には6か所の拠点を持ち、社員は国内外含め計2,600人以上を擁する。
出典:https://www.sb-kawasumi.jp/
Asahi Intecc (Thailand) Co., Ltd. (アサヒ・インテック・タイランド)
日系医療機器メーカー、朝日インテックのタイ拠点。タイでは1989年に海外初の生産拠点として設立され、現在はバンコク北郊パトゥムタニに工場およびオフィスを持つ。カテーテル治療のためのガイドワイヤー、カテーテルの開発・製造・販売を行う。同社の製品は循環器系だけでなく、末梢血管系・腹部血管系・脳血管系など様々な領域の治療に利用されている。2020年度の売上高は前年比9.5%増の4,712百万バーツ、純利益は前年比25%減の582百万バーツであった。
朝日インテックは日本で1976年に設立された医療機器メーカー。自社ブランド医療機器、OEM医療機器、医療部材・産業部材の製造・販売を行っている。東証一部上場企業で、世界各地に10以上の営業所とアジアに3か所の工場を展開し、世界110以上の国と地域に製品を供給する。全体で9,000人以上の社員を擁する。
出典:http://www.asahi-intecc.co.jp/
Mizuho (Thailand) Co., Ltd. (ミズホ・タイランド)
日系医療機器メーカー、ミズホのタイ拠点。タイでは2007年に設立された。中部アユタヤのロジャナ工業団地の工場にて、主に手術台の製造・販売をしている。手術台は導入後も安心・安全に使用できるよう、保守点検のアフターサービスも充実している。2013年からバンコクオフィスを設置していたが、2018年に閉鎖している。
ミズホは1919年に手術器具の卸売業として日本で創業した。1949年から医療機器の製造を開始し、現在では手術台や吸引機などの手術用製品、整形外科関連製品、脳神経外科関連製品、脳血管内治療関連製品などの製造・販売を行っている。海外ではアメリカ、タイに製造・販売拠点を、ドイツに販売拠点を展開しており、グルーブで計600人の従業員が在籍している。
出典:https://www.mizuho.co.jp/
タイの主要医療機器メーカー5選〜外資系企業編〜
GE Medical Systems (Thailand) Co., Ltd. (ジーイー・メディカル・システムズ・タイランド)
アメリカ系医療機器メーカー、GEヘルスケアのタイ拠点。タイでは1900年より、革新的な医療技術とサービスを提供している。現在では、600を超えるタイの病院に、2,500台を超える画像診断医療機器を設置している。2016年にはタイの大手病院バムルンラード病院とタイで初めてMRI3.0モデルを導入する契約を締結し、2018年にはシリラート病院とCTスキャン装置とタイで初機種となるMRI3T Architectを供給することとなった。2020年度の売上高は前年比4.6%増の2,324百万バーツ、純利益は前年比大幅増の54百万バーツであった。
GEヘルスケアはアメリカに本社をおくコングロマリット企業GEの1部門である。CTやMRIなどの画像診断、超音波診断装置、ヘルスケアIT技術の開発を行っている。世界160以上の国と地域に展開し、従業員は47,000以上が存在する。研究開発には年10億USDを投じ、世界で11,000以上の特許を保有している。
出典: https://www.ge.com/apac/
Essilor Manufacturing (Thailand) Co., Ltd. (エシロール・マニュファクチャリング・タイランド)
フランス系医療用メガネメーカー、Essilorのタイ拠点。バンコクにサービス拠点および製造拠点、東部チョンブリに研究開発拠点が存在する。眼鏡用レンズおよび眼鏡を製造し、目に関する問題解決を行っている。同社のレンズは、近視、乱視、老眼、色弱など症状別、ほこり防止、曇り防止、傷つき防止などの機能別、サングラス、パソコン用、ダイビング用などの用途別に様々な種類がある。2020年度の売上高は前年比3.2%減の6,806百万バーツ、純利益は前年比119%減の1,071百万バーツであった。
Essilorは1849年にフランスで創業した。現在は世界80か国以上に拠点を持ち、69,000人以上の従業員が存在する。現在、世界の25億人が未矯正の視力障害に苦しんでおり、60億人が有害な光から目を保護していないとされている。このような状況下でEssilorは全世界で77億人の目の問題を解決し、健康的な視界を守るためのソリューションを提供している。
出典: https://www.essilor.co.th/en
Reckitt Benckiser (Thailand) Ltd. (レキット・ベンキーザー・タイランド)
イギリス系の医薬品・医療機器メーカー、Reckitt Benckiserのタイ拠点。拠点はバンコクに1か所が存在する。消毒液や洗剤、栄養サプリメントの製造・販売を行う。タイでは消毒液や液体せっけんのDettol、ゴム製品のDulexといったブランドの同社製品が広く使用されている。2020年度の売上高は前年比65%増の2,782百万バーツ、純利益は前年比119%増の81百万バーツであった。
Reckitt Benckiserは1823年にドイツで創業したベンキーザー社をルーツに持つ。1999年にイギリスのレキット社と合併し現在に至る。衛生用品、健康用品、栄養サプリメントの3つの商品分野で医薬品・医療機器を全世界で展開している、世界60か国以上に拠点を持ち、全体で43,000人以上の従業委員が存在する。2020年の売上高は全体で約140億ポンド(6,400億バーツ)であった。
出典: https://www.reckitt.com/
Cardinal Health 222 (Thailand) Ltd. (カーディナル・ヘルス・タイランド)
アメリカ系の医療機器メーカー、Cardinal Healthのタイ拠点。タイでは東部ラヨーンに拠点を持ち、手術用および特殊用途医療用手袋を製造する。2020年度の売上高は前年比24%減の6,894百万バーツ、純利益は前年比53%減の1,502百万バーツであった。
Cardinal Healthは1971年にアメリカで創業した。麻酔用機器、圧迫療法関連製品、手術用の器具や手袋などの病院用医療機器、および家庭用医療機器の製造・販売を行う。また、医療機器のディストリビューションに関するソリューション提案も行う。現在では世界35か国に拠点を展開し、全体で44,000人以上の従業員が在籍している。アメリカの90%の病院に、世界では14万件以上の顧客に製品を供給している。2021年度の売上高は1,625億USD(5兆4,000億バーツ)であった。
出典: https://www.cardinalhealth.com/en.html
Ansell (Thailand) Co., Ltd. (アンセル・タイランド)
オーストラリア系の医療機器メーカー、Ansellのタイ拠点。タイではバンコクの拠点にて医療用、手術用の手袋の製造・販売を行っている。2020年度の売上高は前年比1.4%増の2,623百万バーツ、純利益は前年比14%増の180百万バーツであった。
Ansellはオーストラリアで1893年に設立されたダンロップ(Dunlop)社のタイヤ工場にルーツを持つ。後に同工場の設備を使用してゴム製品の製造を開始し、現在に至る。インダストリアル(産業)、ヘルスケア(医療)、ライフサイエンス(生命科学)という3つの分野それぞれで使用可能な保護手袋や防護服などの製品を開発・製造している。現在では55か国以上に拠点を展開し、全体で14,000人以上の従業員が在籍する。全世界で年に約120億の手袋を供給している。2021年度の売上高は20億USD(665億バーツ)であった。
出典: https://www.ansell.com/th/en
バンコク在住のタイ人。タイにおける日系企業向け翻訳・通訳を6年間以上行う。経済、ビジネス、IT分野に興味があり、マーケティングや流通を含めた企業調査や、企業調査といった情報収集が得意。