中国不動産市場攻略:日系企業が知るべき主要デベロッパー16選(最新動向解説付き)

china-develper

中国への不動産事業展開を検討中の日本企業の皆様にとって、現地の市場と主要プレイヤーの理解は不可欠です。本記事では、中国の不動産デベロッパー業界を牽引する主要企業16社(ローカル、日系、外資系を含む)を徹底解説。各社の事業内容、強み、市場におけるポジショニング、そして日系企業との連携可能性などを網羅的にご紹介します。特に、近年の市場変動と主要企業の現状を踏まえ、最新の情報を提供します。中国不動産市場への参入を検討中の経営者・担当者必見の内容です。最適なパートナーを見つけ、中国ビジネスを成功に導くための第一歩を踏み出しましょう。

読了時間の目安:5分

中国の不動産デベロッパー業界 業界地図はこちら!
目次

中国の主要不動産デベロッパー企業10選〜ローカル企業編〜

中国恒大

中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ・グループ)は、1997年に広州市で許家印によって設立された、かつて中国を代表する巨大不動産開発企業でした。不動産開発を中核事業とし、最盛期には多角的な事業展開を行い、フォーチュン・グローバル500にもランクインしていました。

しかし、2021年以降、中国恒大は深刻な経営危機に陥りました。過剰な負債と積極的な事業拡大が重なり、債務不履行(デフォルト)のリスクが顕在化し、世界経済にも大きな影響を与えました。

現在の中国恒大は、債務再編を進めており、事業の縮小や資産売却を余儀なくされています。大規模なリストラも行われ、従業員数は大幅に減少していると見られます。かつての積極的な事業展開は影を潜め、債務問題の解決と事業の立て直しが喫緊の課題となっています。

中国恒大の経営危機は、中国の不動産市場全体に大きな影響を与え、他の不動産開発企業にも波及しました。また、中国経済全体への影響も懸念され、世界経済の動向にも注目が集まっています。

現在の中国恒大は、債務再編と事業再構築が進行中であり、以前のような大規模な事業展開は当面の間は困難な状況と言えるでしょう。今後の動向については、引き続き注視が必要です。

出典:https://www.evergrande.com/

碧桂园

碧桂園(カントリー・ガーデン)は、1992年に設立された中国の大手不動産開発企業です。広東省佛山市順徳区に本社を置いています。

近年、中国の不動産市場は大きな変化に見舞われており、碧桂園もその影響を大きく受けています。特に2023年以降、中国恒大集団の経営危機以降、不動産業界全体の信用不安が高まり、碧桂園も債務問題に直面しています。

2023年には、一部の債務の支払いが遅延し、デフォルト(債務不履行)の懸念が高まりました。その後、債務再編を進めることで一旦は危機を回避しましたが、依然として厳しい経営状況が続いています。

現在の碧桂園は、資産売却や事業の縮小などを進めながら、経営の立て直しを図っています。以前のような積極的な事業拡大は控え、債務の削減と事業の効率化に注力している状況です。

碧桂園は、建築ロボット、新型組立式建築、BIM技術などを活用したスマート建設システムの開発も進めており、建設業界の効率化と品質向上を目指しています。また、飲食、医療、農業、コミュニティサービスなど、多岐にわたる分野でのロボット開発も継続しています。しかし、現在の経営状況を鑑みると、これらの事業への投資も以前より抑制されている可能性があります。

中国の不動産市場全体が調整局面にある中で、碧桂園がどのように再建を進めていくのか、今後の動向が注目されています。特に、債務再編の進捗状況、資産売却の動向、事業戦略の見直しなどが重要なポイントとなります。

出典:https://www.bgy.com.cn/

中国海外发展

中国海外発展(COLI)は、1979年に香港で設立された、中国建築集団有限公司(China State Construction Engineering Corporation、以下CSCEC)傘下の主要な不動産開発企業です。CSCECは中国最大級の建設会社であり、COLIはそのグループの中核を担っています。

COLIは、香港・マカオおよび中国本土の80以上の都市に加え、アメリカ、イギリス、オーストラリア、シンガポールなど、多くの国と地域で事業を展開するグローバル企業です。

同社は、「不動産開発」、「都市運営」、「革新業務」という3つの主要な事業セグメントを構築しています。

  • 不動産開発: 住宅、商業施設、オフィスビルなど、多様な不動産開発プロジェクトを手がけています。中国本土における高級住宅開発で高い評価を得ており、ブランド力も確立しています。
  • 都市運営: 大規模な都市開発プロジェクトやインフラ整備など、都市全体の開発・運営に携わっています。近年は、スマートシティやサステナブルな都市開発にも注力しています。
  • 革新業務: 不動産テック(PropTech)や新たなビジネスモデルの開発など、イノベーションを推進する事業を展開しています。

COLIは、CSCECの強力なバックアップを受けながら、中国国内外で安定した成長を続けています。中国の不動産市場は変化が激しい状況にありますが、COLIは長年の実績と多角的な事業展開によって、市場の変化に対応していくことが期待されます。今後の動向としては、中国本土の不動産市場の動向、海外事業の展開、新たな事業領域への進出などが注目されます。

出典:http://www.coli.com.hk/

龙湖集团

龍湖集団は、1993年に重慶で設立された、中国の大手総合不動産デベロッパーです。

同社は、「不動産開発」、「商業運営」、「賃貸住宅」、「知的サービス」、「住宅賃貸販売」、「住宅装飾」の6つの主要な事業領域を展開しています。さらに近年では、高齢者向け住宅(養老事業)や都市・産業開発などの新規事業領域にも進出しています。

  • 不動産開発: 住宅開発を中核事業としており、中国各地で高品質な住宅プロジェクトを手がけています。
  • 商業運営: ショッピングモール「天街(Paradise Walk)」を主要ブランドとして展開しており、中国の主要都市で商業施設を運営しています。この「天街」ブランドは広く認知されており、龍湖集団の商業運営における強みとなっています。
  • 賃貸住宅: 長期賃貸住宅事業も展開しており、多様なニーズに対応した住居を提供しています。
  • 知的サービス: 不動産管理や顧客サービスなどを提供し、居住者の生活をサポートしています。
  • 住宅賃貸販売・住宅装飾: 中古住宅の売買仲介や住宅のリフォーム・内装サービスなどを提供しています。

龍湖集団は、中国の5つの地域、60以上の都市で事業を展開しており、従業員数は数万人に上ります。

近年の中国不動産市場は、政府の規制強化や市場の変動など、厳しい状況にあります。多くの不動産企業が経営難に陥る中、龍湖集団は多角的な事業展開と安定した経営基盤によって、市場の変化に対応しようとしています。特に、商業施設運営で培ったノウハウやブランド力は、同社の強みとなっています。今後の動向としては、中国不動産市場の動向、新規事業の展開、財務状況などが注目されます。

出典:https://www.longfor.com/

华润置地

華潤置地(China Resources Land)は、中国国務院直属の国有企業グループである華潤集団(China Resources)傘下の主要な不動産開発企業です。1994年に設立され、1996年に香港証券取引所に上場しました(SEHK: 1109)。

同社は、不動産開発・販売を主力事業として、不動産賃貸、建設・内装事業、電気エンジニアリングサービスなど、多岐にわたる事業を展開しています。

華潤置地は、中国の主要都市(北京、上海、深圳、瀋陽、成都など50以上の都市)で不動産事業を展開しており、特に商業施設「万象城(Mixc)」は中国各地で展開され、高い人気を集めています。この「万象城」ブランドは、華潤置地の商業運営における重要な柱となっています。

同社は、「不動産開発」と「投資不動産+X」という2つの主要なビジネスモデルを推進しています。「投資不動産+X」は、商業施設運営(万象城)、ホテル運営、長租公寓(長期賃貸マンション)、産業パーク運営、康養(ヘルスケア・シニアリビング)などの多角的な事業展開を意味しています。

華潤置地は、国有企業としての安定した経営基盤と、多角的な事業展開によって、中国の不動産市場の変化に対応しています。近年は、特に商業施設運営や長期賃貸住宅事業に注力しており、安定的な収益確保を目指しています。また、サステナブルな開発やスマートシティ関連の事業も推進しています。

今後の動向としては、中国の不動産市場の動向、特に商業施設や賃貸住宅市場の動向、新たな事業領域への展開、財務状況などが注目されます。

出典:https://www.crland.com.hk/

中国の不動産デベロッパー業界 業界地図はこちら!

万科

万科企業股份有限公司(China Vanke Co., Ltd.)は、1984年に設立された、中国を代表する大手不動産デベロッパーです。創業者は王石(ワン・シー)氏です。

同社は、住宅開発を中核事業とし、中国の主要都市で事業を展開しています。中国の三大経済圏(珠江デルタ、長江デルタ、渤海湾沿岸)と中西部の重点都市に焦点を当てた事業展開を行っています。

近年は、住宅開発と不動産サービスに加え、商業施設、賃貸マンション、物流倉庫、教育、シニアリビング(養老事業)など、多岐にわたる分野に事業を拡大しています。これは、変化する市場環境に対応し、事業の多角化を進める戦略の一環と言えます。

しかし、2021年以降、中国の不動産市場は大きな調整局面に入り、多くの不動産企業が経営難に陥っています。万科もその影響を受けており、以前のような高成長は維持できていません。特に2023年以降は、中国恒大集団の経営危機以降、不動産業界全体の信用不安が高まり、万科も資金繰りや債務問題に直面しています。

複数の報道によると、万科は非中核資産の売却を加速させており、資金調達のために様々な手段を講じているとのことです。また、深圳市政府が万科の経営安定化に向けて協議を進めているという情報もあります。

出典:https://vanke.com/

保利

保利発展控股は、中国保利集団(China Poly Group Corporation)の上場企業であり、1992年に設立された保利地産を前身としています。保利集団は、国務院国有資産監督管理委員会(SASAC)の監督下にある巨大国有企業グループであり、保利発展控股はそのグループの中核を担う不動産事業会社です。

同社は、「不動産生態発展プラットフォーム」の構築に力を入れており、不動産投資、開発、運営、資本運営など、幅広い事業を展開しています。

事業領域は多岐にわたり、住宅、オフィスビルといった従来の不動産開発に加え、ブランドホテル、ショッピングセンター、コンベンションセンター、スポーツ施設、産業団地、テーマパーク、観光リゾートなど、多様な形態の不動産開発・運営を手がけています。

さらに、都市改造、農村振興、住宅建設の保証、賃貸住宅経営、インフラ投資、社会公益、貧困扶助など、社会貢献活動にも積極的に参加しています。これは、国有企業としての社会的責任を果たすという側面も持っています。

保利発展控股は、国有企業である保利集団の傘下にあるため、比較的安定した経営基盤を有しています。しかし、近年の中国不動産市場は調整局面に入っており、他の多くの不動産企業と同様に、保利も市場変動の影響を受けています。

出典:http://www.polycn.com/

融创中国

融創中国は、2003年に設立された、かつて中国で急成長を遂げた大手不動産デベロッパーの一つです。

同社は、不動産開発を中核事業とし、住宅、別荘、商業施設、オフィスビルなど、多様な不動産プロジェクトを手がけていました。ご提示の情報にあったように、北京、天津、上海、重慶、杭州などの主要都市で事業を展開していました。また、「地域フォーカスとハイエンドの高級品の発展戦略」を掲げ、高級物件の開発に力を入れていました。

しかし、2021年以降、中国の不動産市場は大きな調整局面に入り、多くの不動産企業が経営難に陥っています。融創中国もその影響を大きく受けており、深刻な債務問題に直面しています。過去の年間契約販売金額やランキングは、現在の状況とは大きく異なると考えられます。

複数の報道によると、融創中国は多額の債務を抱え、債務不履行(デフォルト)のリスクに直面しています。そのため、債務再編を進め、資産売却や事業の縮小を余儀なくされています。

また、融創中国は、不動産開発以外にも、サービス、文旅(文化観光)、文化、会議や展示会、医療康養など、多角的な事業を展開していましたが、現在の状況下では、これらの事業も縮小または見直しが行われている可能性があります。

出典:http://www.sunac.com.cn/

新城控股

新城控股(Seazen Holdings)は、1993年に中国常州で設立され、現在は上海に本社を置く総合不動産デベロッパーです。

同社は、「住宅不動産」と「商業不動産」の二つの事業を柱とする「二輪駆動」戦略を掲げています。

住宅不動産事業では、「上海を中枢とし、長江デルタを核心とし、珠江三角洲、環渤海、中西部地区に拡大する」という「1+3」戦略レイアウトを推進しています。

商業不動産事業では、ショッピングモール「吾悦広場(Wuyue Plaza)」を主要ブランドとして展開しており、中国各地で商業施設を運営しています。この「吾悦広場」は、新城控股の商業運営における重要な柱となっています。2024年末時点で、中国の141の大中都市に進出し、開発中または完成済みのプロジェクトは700以上となっています。

近年の中国不動産市場は調整局面に入っており、多くの不動産企業が経営状況の変化に直面しています。新城控股も例外ではなく、市場環境の変化に対応しながら事業運営を行っています。

出典:https://www.seazen.com.cn/

富力地产

富力地産(R&F Properties)は、1994年に設立され、本社を広州市に置く総合不動産デベロッパーです。

同社は、不動産開発を中核事業としながら、ホテル開発・運営、商業運営、文化体験観光、インターネット産貿易、医療・健康、デザイン建設、革新サービスプラットフォームなど、多岐にわたる分野で事業を展開する多角経営を行っています。

近年の中国不動産市場は調整局面に入っており、多くの不動産企業が経営状況の変化に直面しています。富力地産も例外ではなく、多額の債務を抱え、資産売却や事業の縮小を進めている状況です。以前のような積極的な事業拡大は控え、債務の削減と事業の効率化に注力しています。

複数の報道によると、富力地産は債務再編を進めており、一部債権者との間で合意に至っているものの、依然として厳しい経営状況が続いています。

今後の動向としては、債務再編の進捗、資産売却の状況、事業戦略の見直しなどが注目されます。中国不動産市場全体の動向も、富力地産の今後の行方を大きく左右する要因となるでしょう。

出典:http://www.rfchina.com/

中国の不動産デベロッパー業界 業界地図はこちら!

中国の主要不動産デベロッパー企業3選〜日系企業編〜

三菱地所株式会社

三菱地所は日本の会社で、三菱商事の子会社の一つ。

1953年に東京証券取引所と大阪証券取引所に上場した。

2013年に上海に現地法人を設立。

主に、華東、華南地域において、住宅開発、商業施設の開発を行っている。現地不動産デベロッパー大手、vankeと戦略提携し、無錫や杭州で共同事業を展開している。

アジアオセアニア事業としてはシンガポール、インドネシア、ベトナム、タイ、マレーシア、フィリピン、ミャンマー、オーストラリア、及び台湾、中国の10の国と地域において、不動産事業を進めている。

出典:https://www.mj-sekkei.com/tw/

三井不動産株式会社

1969年に設立された日本有数の不動産デベロッパー。

上海において、蓮花路駅に直結する商業施設の開発、ららぽーと上海金橋の開発などを行っている。竣工済み事業では、大連での住宅分譲や、寧波でのアウトレット事業などがある。

上海、香港、広州、北京に拠点がある。

事業法人向け不動産の仲介、コンサルティング駐車場業務、時計・月額駐車場等の運営、管理及び運営代行、案内及び仲介その他の業務、不動産情報調査(精査)・鑑定評価業務、保険の代理店業務などを主な業務としている。

出典: https://global.mf-realty.jp/cn/welcome/china01/?sid=071h1a381300000000

森大厦株式会社

1955年東京都港区を中心にオフィスビルの賃貸事業を開始。

上海浦東地区において、地上101階の「上海环球金融中心」を2008年に開業。日系不動産デベロッパー が中国で手掛けた案件では最大のもの。

オフィスのみならず、商業施設や高級ホテルなどの複合開発に特色がある。

不動産総合開発、市街地再整備、事業不動産の賃貸・管理事業の他オフィスビル・住宅・商業施設・ホテル・ゴルフ場及びリゾート等の営業及び運営管理文化・芸術・タウンマネジメント事業文化タウンマネジメント、美術館・ギャラリー・観光展望台・学術センター・コンベンション施設・会員制クラブ等の企画・運営管理などを手掛ける。

出典: https://www.mori.co.jp/cn/

中国の不動産デベロッパー業界 業界地図はこちら!

中国の主要不動産デベロッパー企業3選〜外資系企業編〜

凯德集团

シンガポールに本社を置く、上場しているアジア有数の多国籍不動産グループ。

2021年3月31日時点で、グループの管理資産は約1,377億シンガポールドル。

同社の事業はオフィスビル、ショッピングセンター、産業団地、工業・物流団地、商業団地、タウン開発、サービスアパート、ホテル、賃貸マンション、住宅など、多様な不動産カテゴリーをカバーしている。

世界30カ国240都市で事業を展開し、シンガポールと中国を中核市場とし、インド、ベトナム、オーストラリア、ヨーロッパ、アメリカなどの市場へも展開している。

1994年に中国に進出し中国の40以上の都市で200以上のプロジェクトを所有/管理している。

出典: https://www.capitaland.com.cn/

吉宝置业

同社はシンガポールの多国籍企業ジブラルタルの100%子会社。

本社はシンガポールにあり、中国では北京、上海、天津、沈阳、成都、昆明、無錫、江阴に拠点がある。

エネルギーと環境、都市開発、相互接続、資産管理の分野に重点を置いて、持続可能な都市化のためのソリューションを提供することに注力している。

中国では、住宅プロジェクト、商業用不動産、小売ショッピングモール、複合体プロジェクト、タウンプロジェクトなど、多様な事業ポートフォリオがある。

出典: https://www.keppellandchina.com/

正大(中国)投资有限公司

1921年に設立され、タイ系中国人の謝易初氏が設立した有名な多国籍企業。

食品、卸・小売、電子機器の3大事業を中心に展開していたが、現在は金融、不動産、製薬、加工機械など10あまりの業種と分野をカバーする多角化多国籍会社グループとなった。

世界100以上の国と地域で事業を展開し、従業員は約35万人、2019年の世界売上高は約680億ドル。

北京大学、復旦大学、北京農業大学(現在の中国農業大学)に教育センターを設立し、企業の人材を育成している。

出典: http://www.cpgroup.cn/

中国の不動産デベロッパー業界 業界地図はこちら!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次