台湾の電力・ガス業界主要企業と市場動向を把握することは、台湾進出を検討する日本企業にとって不可欠です。本記事では、2025年最新の業界地図とともに、台湾の主要電力・ガス会社10社を厳選し、各社の事業内容や最新トレンドを詳しく解説します。台湾市場攻略のヒントをぜひご覧ください。
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台湾の主要電力・ガス会社10選
台灣電力公司
台湾電力公司(台電、Taipower)は、台湾唯一の公営電力会社であり、発電から送電、配電までを一貫して担っている。設立は1919年で、戦後1946年に政府資本のもと再編され、現在は経済部の監督下で運営されている。2025年5月現在、台湾の電力市場は半導体産業の拡大や企業の国内回帰、電化政策の推進などにより電力需要が年平均2.5%増加している。
エネルギー政策では、2050年カーボンニュートラル達成を掲げ、2025年までに原発ゼロを目指すとともに、総発電量に占める再生可能エネルギーの比率を20%、天然ガス火力を50%まで引き上げる方針を明確にしている。2023年時点の再エネ比率は9.5%にとどまるが、洋上風力や太陽光発電の導入が進められている。一方で、石炭火力の比率は今後減少し、LNG(液化天然ガス)火力の増強が急ピッチで進んでいる。
電力料金は近年上昇傾向にあり、2024年10月には産業用電力料金が平均12.5%引き上げられ、1kWhあたり4.29台湾元となった。これは2021年比で累計66%の値上げであり、特に半導体やデータセンターなどの大口需要家への影響が大きい。一方、家庭用電力料金は物価安定の観点から据え置かれている。
台湾はエネルギー自給率が2%と極めて低く、化石燃料のほぼ全量を輸入に依存している。そのため、電力供給の安定性やコスト増大が課題となっており、近年は供給予備力の低下や停電リスクの増加も指摘されている。また、再エネ導入の遅れや発電所増設の遅滞も課題であり、今後の電力供給体制や料金動向には引き続き注目が集まっている。
このように、台湾電力公司は台湾経済と産業の基盤を支える中核企業であり、エネルギー転換と電力安定供給、脱炭素社会の実現という大きな課題に直面している
出典:https://www.taipower.com.tw/tc/index.aspx
森霸電力
森霸電力股份有限公司は、2000年に設立された台湾の主要な民間発電事業者であり、台南市山上区に位置する豊徳発電所を運営している。同発電所は天然ガスを燃料としたコンバインドサイクル発電方式を採用し、2025年5月時点で既存の2機合計1,014MWの発電容量を有している。2024年6月には新たな機組が商業運転を開始し、総発電容量は2,014MWへと倍増する予定である。これは台湾の民間発電所の中でも最大級の規模であり、南部科学園区など周辺産業の重要な電力供給源となっている。
森霸電力は、台灣汽電共生公司、台灣糖業公司、東京電力国際公司(現JERA)、兆豐国際商業銀行、大亞電線電纜公司、全球人壽保険公司など国内外の大手企業による合弁事業として設立された。発電所の建設は2000年7月に経済部から許可を取得し、2004年3月に運転を開始している。
また、森霸電力は環境保護や地域社会への貢献にも積極的に取り組んでおり、発電所の公園化や職場の安全衛生、地域還元活動を推進している。2022年の売上高は193.93億台湾元、2023年上半期には前年同期比30.6%増の122.42億台湾元を記録し、台汽電の業績にも大きく貢献している。
台湾政府の再生可能エネルギー拡大政策に呼応し、森霸電力は太陽光発電や風力発電などの新規事業にも参画しているが、主力は依然として高効率・低公害の天然ガス火力発電である。今後も台湾の電力安定供給と脱炭素化政策の両立において、重要な役割を担い続ける見通しである。
出典:http://www.sunbapower.com.tw
欣雄天然氣(シンションナチュラルガス)
欣雄天然氣股份有限公司は1986年に設立され、1987年から高雄市を中心とした16地区および10の主要工業区で都市ガスの供給を行っている。主な事業内容は、パイプラインによる天然ガスの供給、ガス設備や関連器材の製造・販売・設置・保守、ガスメーターのレンタル・販売、輸入代理業務など多岐にわたる。2023年度の売上高は約69億2,257万元、純利益は約5億1,964万元であり、安定した収益基盤を有している。
同社は「安全第一・サービス優先」を企業理念とし、都市の発展や住民の生活水準向上、都市空気の浄化に貢献してきた。近年は、最先端のガス管網安全監視システムの導入や、太陽光発電事業への投資拡大にも積極的であり、2025年には太陽光発電の装置容量23万7,868kWの開発を計画している。また、管網の老朽化対策や設備の定期点検、従業員の専門教育にも注力し、24時間体制の顧客サービスを提供している。
今後は、天然ガス事業の安定運営を基盤に、再生可能エネルギー分野への事業転換を進め、地域のエネルギー供給と環境負荷低減の両立を目指す方針である。
出典:https://www.shng.com.tw
星能股份有限公司(スターエネルギー)
星能股份有限公司は1996年に設立され、台湾汽電共生股份有限公司(台汽電グループ)が100%出資する子会社である。主な事業は、電力およびエネルギー分野におけるEPC(設計・調達・建設)統包工事や技術サービスであり、発電所や変電所、送配電線路の建設、再生可能エネルギー発電所の開発・運営・保守を手がけている。設立当初は天然ガスと蒸気による汽電共生発電所の建設や送電線、変電所、大規模土木工事が中心だったが、近年は政府の再生可能エネルギー政策に呼応し、太陽光発電、風力発電、地熱発電、蓄電システム、農漁業共生型太陽光発電、水域型太陽光発電など多様な再エネ事業に注力している。
また、台電の南港P/S改建工事や貴舍一次配電変電所新設工事など、大型公共案件も受注し、技術力と実績を拡大している。さらに、再生可能エネルギー事業の拡大に向けて星曄綠能や星寶電力などの子会社を設立し、グループ全体で再エネ投資・開発を強化している。ISO 9001、ISO 14001、ISO 45001、CNS 45001など国際規格に基づく品質・環境・労働安全衛生管理体制を構築し、公共工事や業界ランキングでも高い評価を得ている。
出典:http://www.starenergy.com.tw
欣彰天然氣(シンチャンナチュラルガス)
欣彰天然氣股份有限公司は1962年に彰化市で設立され、現在は彰化県と台中市の39地区をカバーする都市ガス供給会社である。事業エリアには3つの営業所が設置されており、これまでに3,500キロメートル以上のパイプラインを敷設し、ガス供給世帯数は14万5,000戸を超えている。企業理念は「安全第一、サービス優先」であり、最先端のガスパイプライン安全保護システムの導入や、定期的な漏洩検査、老朽管の更新作業などを強化している12。
近年は、利用者の利便性向上と環境負荷低減を目指し、スマートメーターの導入や、LINE Payや台湾Payなどのモバイル決済サービスも拡充している。また、太陽光発電事業への投資も進めており、政府の再生可能エネルギー政策に呼応して売電事業にも参入している。今後は、既存のガス事業の安定運営を基盤に、太陽光発電などの新エネルギー分野への事業転換を加速し、地域社会の持続可能な発展とクリーンな生活環境の実現に貢献していく方針である。
出典:https://www.scng.com.tw
大台北區瓦斯股份有限公司(ザグレートタイペイガスコーポレーション)
大台北區瓦斯股份有限公司は1964年に設立され、台北市全域を対象に天然ガスを供給する台湾最大規模の都市ガス会社である。2025年3月末時点のユーザー数は40万7,792戸を超え、資本金は約51億6,358万元に達している。同社は新光グループ傘下で、台湾証券取引所に最も早く上場したガス会社であり、交通部電信総局から第一類賃貸事業免許やOHSAS 18001の国際認証を業界で初めて取得した。
主な事業は天然ガスの供給、ガス設備の設置・保守、関連器材の製造・販売、ガス器具や厨房機器の販売、市内・国内長距離通信回線の賃貸、不動産賃貸など多角化経営を展開している。ガス供給エリアは台北市の松山、信義、大安、萬華、中正、大同、中山の主要7区と士林区の一部で、飲食店やホテルなどの需要が高く、安定した成長を維持している。
品質・労働安全衛生管理体制では、ISO 9001、ISO 45001、ISO 50001など国際・国家規格の認証を継続的に取得し、企業の永続経営と社会的責任にも積極的に取り組んでいる。2023年には台湾企業永続賞(TCSA)エネルギー産業部門で銀賞を受賞するなど、CSR活動も高く評価されている。
今後も「清潔・安全・経済的な天然ガスの安定供給」と「技術力向上による市民生活の安全確保」を経営理念とし、既存のガス事業を基盤にエネルギー供給会社としての多角化と持続可能な発展を目指している。
出典:https://www.taipeigas.com.tw
欣南天然氣(シンナンナチュラルガス)
欣南天然氣股份有限公司は1983年に台南市で設立され、台南市全域をカバーする主要な都市ガス会社である。営業エリアは東区、南区、中西区、北区、安平区、安南区、安定区、佳里区、西港区、關廟区、歸仁区、新化区、下營区、學甲区、官田区を含み、家庭用、商業用、工業用と幅広い用途で9万戸を超える顧客に天然ガスを供給している。
同社は「安全第一」「サービス至上」を経営理念に掲げ、都市の発展や市民生活の質向上、都市空気の浄化を目指して事業を展開してきた。近年は、最先端のガスパイプライン安全保護システムの研究開発に多額の投資を行い、より安全で便利、安価かつクリーンな生活環境の提供に取り組んでいる。また、ガス器具や関連設備の販売・輸入、ガス管網の設置・修繕、ガスメーターの輸入なども事業に含まれる。
資本金は12億台湾元、従業員数は約100人で、福利厚生や人材育成にも力を入れている。今後も安全・迅速・責任あるサービスを通じて、地域社会と持続的な発展に貢献していく方針である。
出典:https://www.sinangas.com.tw
欣中天然氣(シンチュンナチュラルガス)
欣中天然氣股份有限公司は1972年に設立され、台中市全域をカバーする主要な都市ガス会社である。2025年時点で利用者数は約37万戸に達し、1,600キロメートル以上のガスパイプラインを敷設している。営業エリアは台中市の中区、東区、南区、西区、北区、北屯区、西屯区、南屯区の8行政区を中心に展開している。
主な事業内容は、パイプラインによる天然ガスの供給、ガス器具や関連設備の製造・販売・輸入、導管の設置・修繕、ガスメーターの製造・販売・修理など多岐にわたる。国のエネルギー政策や地域のインフラ整備に積極的に協力し、台中市民に安全・衛生的かつ経済的で便利な燃料を提供することで、空気の浄化や生活品質の向上に貢献している。
同社は24時間体制の顧客サービスや定期的な安全点検、漏洩時の即時対応など、供給の安全性とサービス品質の向上に力を入れている。また、老朽管の更新や管網の拡張にも積極的に取り組み、今後も「品質・効率・安全・サービス」を重視し、地域社会の信頼に応え続ける方針である。
一方で、過去には工事現場での安全管理や危機対応に課題が指摘された事例もあるが、近年はサービス・安全面の強化に努めている。
出典:www.scgas.com.tw:3000
麥寮汽電(マイリァオパワー)
麥寮汽電股份有限公司は、1996年に台塑グループ(台塑、南亜、台化、台塑石化)の共同出資で設立され、雲林県麥寮郷の台塑工業園区内に位置する台湾最大級の民間火力発電会社である。設立当初の資本金は40億元だったが、1999年に160億元の現金増資を実施し、2025年現在の資本金は約306億元に達している。
同社は、政府の民間発電所開放政策に呼応し、1999年6月1日に1号機(60万kW)を、同年9月9日に2号機(60万kW)、2000年9月23日に3号機(60万kW)をそれぞれ商業運転開始し、総発電容量は180万kW(1,800MW)となっている。発電所は主に石炭を燃料とする火力発電方式を採用し、発電した電力は台電(台湾電力)との長期売電契約により供給されている。
燃料の安定調達とコスト削減のため、2011年にはオーストラリアのMPCレントン社を100%出資で設立し、現地のLenton炭鉱の10%権益を取得するなど、燃料調達の多角化も進めている。
2022年には台湾政府のエネルギー転換政策に対応し、既存の3基の石炭火力発電機を段階的に廃止し、2基の天然ガス複合火力発電機への転換計画が環境影響評価で承認された。加えて、LNG受入基地と卸収用の専用桟橋も新設される予定であり、今後はクリーンエネルギーへのシフトが加速する見通しである。
2023年度の営業収入は約443億台湾元、税後純利益は約124億台湾元と、安定した収益を維持している6。麥寮汽電は台湾の産業用電力供給の中核を担うとともに、今後の脱炭素・エネルギー転換の動向においても重要な役割を果たす企業である。
出典: http://www.mlmpc.com.tw/j2mpc/zhtw/index.do
台湾中油股份有限公司(CPCコーポレーション)
台湾中油股份有限公司(CPC Corporation, Taiwan)は、1946年6月1日に中華民国政府100%出資の国営企業「中国石油公司」として中国・上海で設立され、1949年に台湾へ移転した。戦後、台湾における石油インフラは、日本海軍や日本の石油会社が残した製油所や研究所などを基盤としている。
台湾中油は現在、台湾最大の石油元売会社であり、経済部(経済省)傘下の国営企業である。事業内容は石油・天然ガスの探鉱・開発、石油製品(ガソリン・灯油・潤滑油等)やLPG・LNGの精製・販売、電力の発電・販売まで多岐にわたる。本社は高雄市楠梓区にあり、従業員数は約1万4,800人、2023年度の営業利益は9,576億新台湾ドルとされる。
LNG(液化天然ガス)事業にも注力しており、1990年に高雄市永安区に台湾初のLNG輸入基地を開設、2009年には台中港に第2基地を完成、さらに桃園市観塘工業区で第3基地を建設中である。台湾政府のエネルギー政策により、2025年までに総発電量の50%を天然ガス火力発電で賄う目標のもと、LNGの輸入・貯蔵能力拡大が急務となっている。
国際的な連携も強化しており、日本の三菱商事や東京ガスグループ、INPEX、JERA、三井物産などとLNG輸入やプロジェクト協力を進めている。また、カーボンニュートラルやエネルギー転換に向けた取り組みも積極的で、欧州商会などと2050年カーボンニュートラル実現に向けた連携を進めている。
一方、2024年の税引き前損益は355億台湾元の赤字となるなど、エネルギー価格高騰や国際市況の影響も受けている。今後は民営化や規制緩和の議論も進んでおり、台湾電力と並ぶエネルギーインフラの中核企業として、脱炭素・安定供給・経営効率化のバランスが求められている。
出典: https://www.cpc.com.tw
FAQ
台湾の電力・ガス業界の主要企業はどこですか?
台湾の主要電力・ガス企業には台灣電力公司、森霸電力、欣雄天然氣、星能股份有限公司、欣彰天然氣、台灣中油股份有限公司などがあります。
台湾の電力市場の現状と今後の展望はどうなっていますか?
台湾の電力市場は、半導体産業の拡大や企業の国内回帰により電力需要が年平均2.5%増加しています。2050年のカーボンニュートラル達成と再生可能エネルギー比率向上がエネルギー政策の中心です。
台湾の電力・ガス業界における環境・安全への取り組みはどうなっていますか?
多くの企業がISO認証取得や安全監視システム導入を推進し、安全第一とサービス優先を企業理念としています。環境負荷低減と再エネ推進が重点課題です。
電力料金について、最近の動向や価格設定はどうなっていますか?
電力料金は近年上昇傾向にあり、2024年10月に産業用電力が平均12.5%引き上げられ、家庭用は据え置かれています。特に産業需要の大きい半導体工場やデータセンターに影響しています。
台湾政府や企業の今後のエネルギー戦略や課題は何ですか?
台湾はエネルギー自給率が低いため、再エネ導入の促進やLNG拡充、脱炭素化に取り組む一方、供給安定性の維持とエネルギーコストの管理が今後の重要課題です。

