台湾の水道業界は、台灣自來水股份有限公司や台北自來水事業處などローカルの公営水道事業体が中核を担う一方、桶装水やウォーターサーバーを手がける民間企業も存在感を示す市場です。台湾の主要企業は環境エンジニアリング分野への展開も進めています。
今回は、そんな台湾の水道業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて13社の最新情報をお届けしていきます!
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台湾の主要水道企業11選〜ローカル編〜
Taiwan Water Corporation (タイワンウォーター)
台灣自來水股份有限公司は1974年1月1日に設立された経済部所管の国営水道事業体であり、資本額は約1,575億台湾ドル、政府が100%出資する。台北市の一部と金馬地区を除く台湾全域の水道水供給を担う、国内最大の給水機構である。
給水普及率の維持と老朽管の更新、漏水率低減を経営の柱とし、全国の浄水場と広域配水網を運営している。近年は気候変動による渇水リスクに備え、海水淡水化や再生水の導入を進めている。
財務面では、2024年度は純損失約39億台湾ドルを計上し、予算上の損失約22億台湾ドルを上回った。水価が長年据え置かれる一方で災害復旧費や設備更新費が増加したことが背景にある。政府は2024年に約33億台湾ドルを増資として投じた。
水価は階梯式で、2024年時点で1〜10度が1度あたり7.35元、51度超で12.075元と設定されている。安定給水と財務健全化の両立が中長期の経営課題である。
出典:https://www.water.gov.tw
Taipei Water Department (タイペイウォーターデパートメント)
台北自來水事業處は1977年に設立された台北市政府直属の水道事業機関であり、40年以上にわたり首都圏の水道水供給を担っている。給水エリアは台北市全域と新北市の三重区・新店区・永和区・中和区・汐止区に及び、その他地域は台灣自來水公司が管轄する。
主力水源は翡翠ダムと新店渓であり、直潭浄水場などを通じて高品質な水を安定供給している。水質はオンライン監視システムで常時公開され、市民が随時確認できる体制を整えている。
利便性向上の取り組みとして、1998年に委託コンビニでの水道料金収納を開始し、2013年には交通系ICカード「悠遊卡」による支払いを国内で初めて可能にした。
2025年時点でもスマート水表(スマートメーター)の導入や漏水率の低減、配水管更新を継続しており、首都圏の給水安定性は台湾でも高水準を維持している。
出典:https://www.water.gov.taipei
Eurofins Tsing Hua Environment Testing (ユーロフィンズ)
清華科技檢驗股份有限公司は1994年に設立された検査機関であり、国際的検査大手ユーロフィンズ(Eurofins)グループの台湾拠点として環境・食品分野の分析サービスを提供している。
事業の中核は水質検査であり、飲料水・排水・地下水・土壌・底質・大気などを対象に、各種公定法と国際的認定に基づく分析を行っている。環境保護関連の文書コンサルティングや実験室設計・建設まで一貫して手掛ける点が特徴である。
親会社であるユーロフィンズは世界的な試験・分析ネットワークを持ち、台湾法人はそのアジア展開の一翼を担う。国家標準検験局(BSMI)などの認証を取得し、公共調達案件でも多数の実績を持つ。
2025年時点でも政府機関や産業界からの水質・環境検査需要は堅調であり、半導体をはじめとする産業排水規制の強化を背景に、分析サービスの重要性は一段と高まっている。
出典:https://www.eurofins.tw
Forest Water Environmental Engineering (フォレストウォーターエンバイロメンタル)
山林水環境工程股份有限公司は1993年に環境エンジニアリング企業として発足し、2016年9月に台湾証券取引所へ上場した(証券コード8473)。都市下水処理場のBOT建設・運営を中核に、海水淡水化、浄水、排水処理、汚泥資源化、再生水事業へと展開している。
産業廃水処理、下水処理場の運営維持管理、土壌汚染修復など幅広い水環境分野で専門技術を蓄積してきた。長期のBOT運営契約が安定収益源となっている。
業績面では、2024年通期の一株当たり利益(EPS)は0.97元で、2025年第1〜3四半期累計EPSは2.05元と前年から大きく改善した。
2026年1月の月次売上高は約3.78億台湾ドルで前年同月比約24%増となった。再生水需要の高まりを追い風に、水環境インフラの受注拡大が進んでいる。
出典:https://mfw.com.tw
China Ecotek Corporation (チャイナエコテックコーポレーション)
中宇環保工程股份有限公司は1993年に設立された環境エンジニアリング企業であり、中鼎集団(CTCI Group)の一員として活動している。焼却炉、排水・廃水処理、廃棄物処理、電気機械工学など幅広い環境保護プロジェクトを手掛ける。
水分野では産業廃水処理や再生水設備の設計・施工に強みを持ち、蒸気と電力の共生(コージェネレーション)や資源回収へと事業を拡大してきた。鉄道・高速輸送システム関連の工事も展開している。
品質・安全管理ではISO9001およびISO45001認証を取得し、国内外メーカーとの技術協力を進めている。近年は半導体・製造業向けの高度水処理需要を取り込んでいる。
2025年時点でも親会社CTCIグループのエンジニアリング基盤を背景に、環境・水処理分野で安定した受注を確保している。
出典:https://www.ecotek.com.tw
Hwa Seng Water (ファーセン)
華生は1959年の創業以来60年以上の歴史を持つ飲料水企業であり、桶装水(ボトルウォーター)、ウォーターサーバー、浄水、工業用水、ナチュラルミネラルウォーターまで幅広い製品を、グループ企業による配達まで一貫して手掛けている。
「健康・純度・良い水」を理念に掲げ、海外から最新の自動生産設備を導入している。安全性向上のため、重く割れやすいガラス瓶から軽量なプラスチックボトルへ切り替え、2011年からは発がん性が懸念されるPCボトルを廃し、PETボトルを全面採用した。
近年は華生水資源生技として、ホテル向けの持続可能なボトルウォーターや小型全自動ガラス瓶充填設備など、ESGを意識した事業を展開している。
2025年時点でも台湾の桶装水市場で有力ブランドの一角を占め、全台配送網を武器に法人・家庭需要を取り込んでいる。
出典:https://www.hwaseng.com.tw
Maxpure Drinking Water (マックスピュア)
頂好飲用水(マックスピュア)は台湾を拠点に、桶装水から各種ウォーターサーバーまで幅広く展開する飲料水企業である。台湾だけでなく上海・広州・東京でも販売を行うなど、海外市場にも展開している。
台湾最大規模を誇るボトル工場は日本と協力して建設され、日本の科学技術と最新設備のもとで生産されている。ISO22000およびHACCP認証を取得し、遠隔管理下のクリーンルームで製造することで品質を確保している。
提供するウォーターサーバーはアメリカで人気のデザインを採用し、米国FDA検査、UL認証、EUのTUV認証に合格した高品質機を揃えている。工業用純水や超純水など産業向け製品も扱う。
2025年時点でも家庭向けから工業向けまで幅広い純水・飲料水需要を取り込み、宅配網を通じて全台にサービスを提供している。
出典:https://www.maxpure.com.tw
Kinmen County Waterworks (キンメンカントリーウォーターワークス)
金門縣自來水廠は1949年4月1日に設立された金門県の公営水道事業体であり、離島である金門地区の住民と駐留部隊への給水を担ってきた。設立当初は試験的な給水にとどまり給水範囲は限定的であったが、1967年以降に徐々に拡大した。
金門県は大河川がなく、年間平均降雨量は約1,047mmと台湾平均の約40%にとどまる。降雨が短期集中し集水域が狭いため水資源の保全が難しく、慢性的な水不足を抱えている。
こうした事情から、金門は2018年より中国福建省の晋江から海底送水管を通じて水を購入しており、供給の相当部分を対岸に依存している。
2025年時点でも節水対策や水資源回収中心(再生水施設)の運営、海水淡水化の検討を進め、離島の給水安定化に取り組んでいる。
出典:https://water.kinmen.gov.tw
Kuo Toong International (クオトンインターナショナル)
國統國際股份有限公司(証券コード8936)は、大口径コンクリート管(PCCP)、鋼管、ダクタイル鋳鉄管の製造を主力とする台湾を代表する水利インフラ企業である。海水淡水化や水資源回収事業も手掛け、自来水供給網の建設に不可欠な存在となっている。
政府が今後10年で約1,600億台湾ドルを水資源建設に投じる方針を背景に、受注が急拡大している。2024年の受注額は前年比で倍増し、在手受注残(受注残高)は260億台湾ドルを超えた。
子会社の国創工程は2024年11月、「東港渓〜鳳山ダム新園段導水管工事」を約3.55億台湾ドルで受注するなど、大型送水管プロジェクトを相次いで獲得している。
2025年からは台南の海水淡水化施設が売上寄与を始める見通しで、市場では2025年のEPSが5元台に達するとの予想も出ている。半導体産業の用水需要拡大も追い風となっている。
出典:https://www.kti.com.tw
Taiyen Biotech (タイエンバイオテック)
臺鹽實業股份有限公司(証券コード1737)は、1995年7月に国営の台湾製塩事業から民営化して発足した企業で、塩製品、包装飲用水、美容保養品を三本柱とする。台鹽生技ブランドで消費者向け事業を展開している。
飲料水分野では「台鹽海洋鹼性離子水」「海洋純水」などを主力とし、海洋深層水を活用した付加価値型のボトルウォーターとして、コンビニ・量販の棚で高い知名度を持つ。
財務面では、2025年通期の営業利益率は約16.4%、税引前純利益率は約20.6%と収益性は高く、通年の一株当たり利益は2.00元であった。資本額は約20億台湾ドルである。
2026年時点でも、国有色を残す上場企業として塩と水を核に安定した事業基盤を持ち、健康志向の飲料水需要を取り込んでいる。
出典:https://www.taiyen.com.tw
Eco Wave Holdings (エコウェーブ)
崑鼎投資控股股份有限公司(証券コード6803)は、中鼎集団(CTCI Group)傘下の環境事業持株会社であり、傘下のECOVE(倍潔)を通じて廃棄物焼却発電、資源回収、そして下水・汚水処理場の運営を手掛けている。
水務分野では、公共の下水・汚水処理場のBOT/OT運営や再生水事業を展開し、長期運営契約に基づく安定的なキャッシュフローを生み出している。太陽光発電など再生可能エネルギー事業も拡大している。
業績は堅調で、2025年通期の売上高は約96.3億台湾ドルと前年比約13%増を記録した。高い配当性向でも知られ、環境インフラの安定運営が収益基盤となっている。
2026年時点でも、焼却発電と水務を両輪とする循環経済のリーディングカンパニーとして、台湾の環境インフラ運営で確固たる地位を占めている。
出典:https://www.ecove.com
台湾の主要水道企業2選〜外資編〜
Tawaraya (タワラヤ)
台灣和華貿易有限公司は2013年11月に設立された日系企業であり、「台北精米所三代目俵屋玄兵衛(タワラヤ)」の屋号で事業を展開している。日本産米を輸入し、現地で精米して販売するほか、信濃の天然水や日本酒も取り扱う。
主力の一つである信濃の湧水は、他の日本産天然水と比べて価格を抑えている点が特徴で、500mlペットボトル換算で約20元程度と、台湾の濾過水と大きく変わらない価格で本物の日本の天然水を提供している。
店頭販売の実店舗は持たず、新北市中和区に所在を置き、購入はオンラインショップを中心としている。日本の食文化と水を台湾市場に届ける小規模ながら特色ある事業者である。
2025年時点でも日本産食品・天然水への根強い需要を背景に、オンライン販売を軸とした事業を継続している。
出典:https://www.tawaraya.com.tw
CLYTIA Taiwan (クリティア)
日商沃德天然水股份有限公司は、日本の天然水ブランドCLYTIA(クリティア)の台湾現地法人であり、台北市中山区に拠点を置く。富士山の天然水を日本から輸入し、ウォーターサーバーを通じて家庭・法人に販売している。
台湾の水道水は硬水が一般的なため、飲みやすい軟水であるCLYTIAが支持されている。富士吉田工場で汲み上げた原水を、整備されたクリーンルームでそのままボトル充填し、1日十数回の検査と1日1回の放射線チェックで品質を管理している。
ウォーターサーバーは、水を出すたびにボトルが収縮して外気が入りにくい衛生的な構造を採用しており、容器を回収・再利用する一般的な方式との差別化を図っている。
2025年時点でも、日本ブランドとしての安心感と軟水志向を武器に、台湾のウォーターサーバー市場で一定の存在感を保っている。
出典:https://clytia.com.tw
FAQ
台湾の水道企業の中で国営企業の歴史と役割は何ですか?
台湾の国営企業である台灣自來水公司は、1970年代に設立されて以来、台湾の水資源管理と水道水供給を担い、台北市や周辺地域に安全な水を供給し続けています。
台湾の主要な水道企業にはどのような特徴がありますか?
台湾の主要な水道企業は、国内最大の水道供給を行う国営企業をはじめ、環境保全や水質検査、海外進出の企業まで多岐にわたり、それぞれの専門技術とサービスの質の高さが特徴です。
台湾の水道企業が取り組む環境保護の具体的な事例は何ですか?
環境保全企業や浄水、排水処理技術の開発と導入、産業廃水の処理、海水淡水化、資源の再利用など、多角的に環境への負荷軽減と持続可能な水資源の確保に取り組んでいます。
外資系企業が台湾の水道業界に果たす役割について教えてください。
外資系企業は、日本の技術や品質を取り入れたボトルウォーターの販売や高品質な水処理技術の導入、品質管理システムの提供などを通じて、台湾の水道業界の多様化と国際標準への対応に寄与しています。

