シンガポールのスーパー・コンビニエンスストア業界は、地場企業から日系、外資系まで多彩なプレーヤーが競争を繰り広げる急成長市場です。この記事では、主要企業12社の最新動向と市場のトレンドを解説し、日本企業が進出する際のヒントをご提供します。
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シンガポールの主要スーパー・コンビニエンスストア6選〜ローカル編〜
Sheng Siong (シェン シオン)
Sheng Siongは1985年に小さな食料品店として創業し、現在ではシンガポール全土に約70店舗を展開するスーパーマーケットチェーンに成長している。
「All for you」のスローガンのもと、競争力のある価格で高品質の商品を提供している。新鮮なシーフード、豚肉、野菜が毎朝補充され、ウェットマーケットのように好みのシーフードや豚肉のカットを選択できる。
Sheng Siongは、Happy Family、Tasty Bites、Heritage Farm、Softessなど、コストパフォーマンスに優れた製品を提供する多くのハウスブランドも展開しており、シンガポールで最も安いスーパーマーケットの1つとなっている。
2014年には、シンガポールのほぼすべての郵便地区でeコマースサービスを提供する食料品のオンラインショッピングプラットフォーム「allforyou.sg」を開始した。
2024年の財務報告によれば、Sheng Siong Groupは前年同期比2.6%増の1億3,750万シンガポールドルの純利益を達成した。 しかし、2024年後半には事業費用の増加により、前年同期比1%減の6,760万シンガポールドルの純利益となった。
また、2025年にはシニア市民向けの4%割引を毎週火曜日と水曜日に提供するプログラムを継続しており、60歳以上の顧客が対象となっている。
出典:https://shengsiong.com.sg
Cold Storage(コールド ストレージ)
Cold Storageは1903年にシンガポールで創業し、新鮮で高品質な肉や自家製の乳製品の販売からスタートした。革新的な小売コンセプトを数多く導入し、複数の小売りや一括購入などで顧客に大きな節約をもたらしてきた。
通常のスーパーマーケットと比較して、職人の食べ物やワインの品揃えが豊富で、世界中からのオリジナル商品を見つけることができる。
現在、Cold Storageはシンガポール全土に47店舗を展開している。 これらの店舗は、Cold Storage、CS Fresh、Market Place、Jasons Deliの4つのブランドで構成されており、各ブランドは多様な消費者のニーズに応えるため、独自の店舗コンセプトと体験を提供している。
さらに、2023年3月にはNorth-East地区に新たに2店舗を新装オープンし、店舗網を拡大している。
また、2023年7月3日より、シンガポール国内のスーパーマーケット全店の3分の2に当たる約400店舗で、プラスチック製レジ袋が1枚最低S¢5で有料化された。これにより、レジ袋の利用者数が減少し、使い捨てレジ袋の利用数が前年同時期と比べて50~80%減少した店舗もあった。 singalife.com
Cold Storageは、今後も高品質な商品とサービスを提供し、多様な消費者のニーズに応えるスーパーマーケットチェーンとしての地位を維持していくだろう。
出典: https://coldstorage.com.sg
NTUC FairPrice (NTUC フェアプライス)
NTUC FairPriceは、1973年7月22日に設立されたシンガポール最大の食料品小売業者である。1983年5月、競争の激化に対応するため、NTUC WelcomeとSECが合併し、NTUC FairPrice Co-Operative Limitedというより大きな協同組合が結成された。
現在、FairPriceはシンガポール全土に107のスーパーマーケットを展開しており、FairPrice Finest、FairPrice Xtra、FairPrice Xpress、Cheersコンビニエンスストアなど、多様な小売形式を持つ。
FairPriceスーパーマーケットでは、生鮮食品や冷凍食品、家庭用品、健康・美容製品など、一般的な食料品がすべて揃っている。FairPrice Finestは、グルメミート、ワイン、幅広い輸入チーズなど、より高級な製品を取り揃えており、FairPrice Xtraは、通常の食料品に加えて、電化製品、赤ちゃんや子供向けのおもちゃ、家庭用品などを提供するハイパーマーケット形式である。
2023年12月時点で、NTUC FairPrice Co-Operativeは総収益約37億2,000万シンガポールドルを報告している。さらに、FairPriceのハウスブランド製品は、2024年に総売上の約20%に相当する約10億シンガポールドルの収益を上げている。
FairPriceは、会員向けにLinkpointsプログラムを提供しており、買い物ごとにポイントを獲得できる。例えば、1シンガポールドルの購入につき0.50 Linkpointsが付与され、100 Linkpointsは1シンガポールドルとして店内で利用可能である。また、NTUC Linkクレジットカード会員は、FairPriceグループの食料品や食品の支出に対して最大21%のLinkpoints還元を受けることができる。さらに、FairPriceグループは、シニア向けや家族向けの割引プログラムを2025年末まで延長し、シンガポールの消費者がより良い価値を享受できるよう努めている。
出典:https://www.fairprice.com.sg
HAO Mart(ハオマート)
HAOマートは、2016年に設立されたHAO Corpの傘下で運営されているシンガポールのコンビニエンスストアおよびスーパーマーケットチェーンである。短期間で急速に拡大し、現在では島全体に約30の店舗を展開している。
HAOマートは、生鮮食品や家庭用品、日用雑貨などの日常的な買い物に便利な一般層向けのスーパーマーケットである。同じグループには、ハラル食品を扱うHAO Halal Hubや、高価格帯のHAO Eccellente、電化製品まで扱う大型店のHAO Megamartがある。
2025年1月には、富山、石川、福井の北陸三県が連携したプロモーション「北陸フェア」を実施し、HAOマートを含む現地スーパーマーケットで三県産品の販売コーナーを設置した。 また、2023年には新潟県産食品の販路形成を目的としたテストマーケティングがHAOマートで実施され、新潟県内企業の商品が現地で販売された。
HAOマートは、ターゲットを絞ったコンセプトと独自の製品展開により、シンガポールでさらに拡大することが期待されている。
出典:https://haomart.com.sg/
Choices (チアーズ)
Cheersは、NTUC FairPriceが運営する24時間営業のコンビニエンスストアチェーンで、1998年に設立された。 2025年現在、シンガポール全土に約170店舗を展開しており、そのうち20店舗以上はFairPrice XpressとしてEssoのサービスステーション内に位置している。
Cheersは、パンやミルクなどの一般的な家庭用品に加え、チップス、ナッツ、ビスケット、スナック、飲料など、多様な商品を取り揃えている。また、EZ-Linkカードのトップアップ、公共料金の支払い、DHLの宅配便サービスなど、多岐にわたるサービスも提供しており、顧客の利便性を高めている。
さらに、Cheersはテクノロジーを活用した無人店舗を導入し、顧客がレジを通らずに商品を購入できるシステムを展開している。この取り組みは、シンガポール国内の教育機関や住宅地などで展開されており、学生や住民に迅速かつ便利な買い物体験を提供している。
2023年、CheersはRetail Asia Awardsで「Convenience Store of the Year – Singapore」を受賞し、その革新的な取り組みと顧客サービスが高く評価された。
また、Cheersは持続可能な消費を推進するため、プラスチック袋の使用削減に向けた取り組みも行っており、2022年には全店舗で「No Plastic Bag」イニシアチブを導入し、5700万枚以上のプラスチック袋の削減に成功した。
出典:https://www.spc.com.sg/our-business/spc-service-station/choices/
stwentyone.com (ストウェンティーワン.com)
STwentyOneは、シンガポールのマッケンジーロード106番地に位置するコンビニエンスストアである。店舗では、料理やベーキングに必要な基本的な食材、ソフトドリンク、米、卵、食用油、パーソナルケア用品、スナック、梱包用品、ソース、牛乳、砂糖、塩、ビール、ワインなど、多岐にわたる商品を取り揃えている。さらに、オンライン販売も行っており、顧客はウェブサイト(stwentyone.com)を通じて商品を購入できる。
オンラインショップでは、アルコール飲料、スナック、即席食品、家庭用品、健康・美容製品など、多様なカテゴリの商品が提供されている。特にアルコール飲料の品揃えが豊富で、ビール、ブランデー、ウイスキー、ラム、ジン、ウォッカなどが含まれる。
また、STwentyOneはGrabMartとも提携しており、顧客はGrabアプリを通じて商品を注文し、配達サービスを利用することも可能である。
出典:https://stwentyone.com/
シンガポールの主要スーパー・コンビニエンスストア4選〜日系編〜
Don Don Donki (ドン・ドン・ドンキ)
株式会社ドン・キホーテは1980年に創業し、関東地方を中心に日本全国で総合ディスカウントストアや総合スーパーを展開している企業である。本社は東京都目黒区青葉台に位置する。
2017年12月、シンガポールに「DON DON DONKI」として初出店し、以来急速に店舗数を拡大してきた。2025年3月現在、シンガポール全土で15店舗を展開しており、 その中でもオーチャードセントラルの旗艦店が最大規模である。この店舗は地下1階と地下2階にわたり、生鮮食品、冷蔵・冷凍食品、家庭用品、健康・美容製品など、多種多様な日本製品を取り揃えている。さらに、24時間営業であるため、顧客はいつでも買い物を楽しむことができる。
2021年6月25日には、シンガポール10店舗目となる「DON DON DONKI Suntec City」店をオープンした。この店舗では、新コンセプトの果物コーナー「ふるふる」を設け、高品質な日本の果物を提供している。また、和風ハンバーグ専門店「冨」を併設し、日本スタイルのハンバーグを手頃な価格で提供している。
各店舗では、日本から直輸入された新鮮な食材や日用品、化粧品、電化製品など、多岐にわたる商品を取り扱っており、日本の文化や食品をシンガポールの顧客に提供している。
さらに、DON DON DONKIはシンガポール国内でのさらなる店舗拡大を計画しており、将来的には20から30店舗の展開を目指している。このように、DON DON DONKIはシンガポールにおいて、日本の食文化や商品を広める重要な役割を果たしており、今後もその存在感を高めていくことが期待されている。
出典:https://www.dondondonki.com/sg/
Isetan (伊勢丹)
伊勢丹は、東京を拠点とする日本の百貨店であり、日本国内および東南アジア、台湾、中国などに支店を展開している。2008年4月には、三越と合併し、三越伊勢丹ホールディングスを設立した。
シンガポールにおける伊勢丹の歴史は、1972年にハブロック店のオープンから始まり、その後オーチャードロードのショーハウスへと移転した。現在、シンガポール国内には3店舗(伊勢丹スコッツ店、伊勢丹セラングーン店、伊勢丹タンピネス店)を展開している。
これらの店舗では、定期的に日本食フェアなどのイベントを開催し、シンガポールの顧客に本格的な日本食を紹介している。例えば、2025年3月には、伊勢丹スコッツ店で日本の特産品を集めたフェアが開催された。
さらに、伊勢丹シンガポールは公式ウェブサイやソーシャルメディアプラットフォームを通じて、最新のプロモーションやイベント情報を発信している。伊勢丹は、シンガポールにおいて日本の文化や製品を紹介する重要な役割を果たしており、今後もその存在感を高めていくことが期待される。
出典:https://www.isetan.com.sg/
7-Eleven (セブンイレブン)
セブン-イレブンは、1927年にアメリカ・テキサス州で設立された世界最大のコンビニエンスストアチェーンである。日本では、1973年11月に株式会社ヨークセブンとして設立され、1978年1月に株式会社セブン-イレブン・ジャパンに商号を変更した。2005年には、米国法人の7-Eleven, Inc.を完全子会社化し、グローバルな展開を強化した。
2024年2月時点で、セブン-イレブン・ジャパンの国内店舗数は21,535店に達している。 同社は、国内のコンビニエンスストア市場において圧倒的なシェアを誇り、特に都市部では日常生活に欠かせない存在となっている。
北米市場においては、2023年12月末時点で7-Eleven, Inc.が13,122店舗を展開している。 さらに、2024年12月には、2027年までに米国とカナダで500店舗の新規出店を計画していることが報じられた。
シンガポールでは、1983年にセブン-イレブンが設立され、2024年12月時点で約3,000店舗を運営している。 同国のコンビニエンスストア市場においても、セブン-イレブンは主要な地位を占めている。
セブン-イレブンは、2025年から2027年にかけて、北米で500店舗の新規出店を計画しており、特にフードサービスを強化した「New Standard」店舗の展開を進める予定である。 これらの店舗では、店内での食事提供やプレミアム商品の取り扱いが特徴となっている。
出典:https://www.7-eleven.com.sg/
Every (エブリ)
Every(エブリ)は、2018年にシンガポールでオープンした日本風のコンビニエンスストアである。SKY OCEAN MART PTE.LTD.がプロデュースし、日本のミニスーパーとカフェを融合させた店舗で、まるで日本にいるかのような雰囲気を提供している。
店内ではJ-Popの音楽が流れ、日本のコンビニエンスストアでおなじみの食品や飲料を購入できるほか、手頃な価格のカフェメニューも楽しめる。特に、北海道の限定商品やオリジナルの日本風弁当など、多彩な「ジャパンクオリティ」の商品を取り揃えている。
Everyは、シンガポール国内で複数の店舗を展開しており、例えばPotong Pasir駅近くのThe Poiz Centre内に店舗を構えている。この店舗では、毎日10:00から22:00まで営業しており、店内での飲食スペースも提供している。
また、Everyは北海道産品の販売にも力を入れており、2020年にはシンガポール高島屋での販売コーナー設置など、道産品の販路拡大にも貢献している。
出典:http://www.every.com.sg/
シンガポールの主要スーパー・コンビニエンスストア2選〜外資系編〜
Koryo Mart (高麗マート)
高麗マート(Koryo Mart)は、1979年にシンガポールで創業した韓国食品専門のスーパーマーケットである。シンガポール全土で「高麗マート」および「K-マーケット」の名称で9店舗を展開しており、韓国食品や生活用品を幅広く提供している。
各店舗では、冷蔵・冷凍食品、乾燥食品、ソース、スナック、飲料など、本格的な韓国料理を作るために必要な食材を取り揃えている。これらの商品は、品質と鮮度を確保するために韓国から直接輸入されている。さらに、韓国製のシャンプーや柔軟仕上げ剤などの家庭用品も提供しており、韓国の生活文化を身近に感じることができる。
高麗マートは、オンライン販売にも力を入れており、ShopeeやQoo10などのプラットフォームを通じて、韓国食品や生活用品を手軽に購入することができる。
出典: http://koryo.com.sg/
Giant (ジャイアント)
ジャイアンスーパーマーケットは1944年にマレーシアのセントゥルパサールにオープンした。2000年にシンガポールのジュロンのIMMモールにオープンした。現在マレーシアとシンガポールだけでなく、インドネシアでも展開している。
ジャイアンスーパーマーケットは、デイリーファームグループの下で運営されており、スーパーマーケット、ハイパーマーケット、エクスプレスの形式でシンガポール全体にいくつかの店舗がある。
特にジャイアントハイパーマーケットでは、あらゆる種類の食品、国際的な品揃え、マタニティおよびベビー用品、家庭用品、電子機器、キッチン用品、おもちゃ、文房具、アウトドアおよびスポーツ用品、ペット製品、さらには自動車製品など、さまざまな製品がある。
時折季節限定の割引やセールがあるので、消費者は節約を楽しみながら買い物することができる。
出典: https://giant.sg/

2017年よりシンガポール在住の日本人。元客室乗務員。大学ではマーケティングと経済を学び、卒業後は海外での生活と旅行を重ね、さまざまな国の文化や人々、食に関する豊富な知識を身につける。シンガポール人の旦那との結婚を機にシンガポールに移住し、現地で就労。現在はライター業と翻訳業を行っている。

