【最新版!】インドネシアの主要電力・ガス企業12選〜建設・インフラ・環境業界〜

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今回は、インドネシアの電力・ガス業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて12社を厳選してお届けしていきます!

それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。

読了時間の目安:5分

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インドネシアの主要電力・ガス企業8選〜ローカル企業編〜

PT PLN(Persero(PLN:国有電力会社)

1945年にスカルノ大統領が当時所有していた総容量157.5MWの発電所を管理するために公共事業電力省の下にある電力ガス局を設立した時に歴史が始まった国有電力会社。1994年の政府規則第23号で現在のPT Perusahaan Listrik Negara (Persero)つまりPTPLN(Persero)となった。

2019年末現在のPLNの発電能力は、PLN自社発電所が43,857MW、IPP民間電力会社が17,136MW 、リースが1,840MWで合計62,833MWである。インドネシアではPLNがすべての電力を買い取ることになっている。また、送電事業はPLNが独占しており、2019年末現在、送電線の全長は58,959キロメートル、変電所の総容量は144,408メガボルトアンペア(MVA)。そして、2019年の終わりには、インドネシア全体に979,855kmcの配電回路があり、7,571万軒の顧客に電力を供給している。

2019年の売上高は285兆6,410億ルピア、アセット総額が1,585兆550億ルピアの巨大企業である。

出典:https://web.pln.co.id/statics/uploads/2021/01/PLN_Compro_2019_21x28_5_210121.pdf 

PT Dian Swastatika Sentosa Tbk(ディアン・スワスタティカ・セントーサ)

1996年に設立された石炭会社。2009年にはインドネシア証券取引所(IDX)に上場。IDXコードは「DSSA」。筆頭株主はPT Sinar Mas Tunggalで59.90%を保有している。DSSAの現在の事業は、発電、石炭、有料テレビ、インターネット、農薬、肥料、化学薬品と幅広い分野に及ぶ。

発電事業については、セラン(1ユニット)、タンゲラン(1ユニット)、カラワン(2ユニット)で合計300MWの4基の自家発電所を直接運営している。

一方、100%PLNに電力を販売する発電所が3か所ある。発電方式は自社で生産する石炭を使った石炭発電所(PLTU)である。①南スマトラのムシ・バニュアシンにあるIPP PLTU Sumsel-5:2016年から稼働する2 x 150 MWの発電所、②南東スラウェシの南コナウェにあるIPP PLTU Kendari-3:2019年から稼働する2 x 50 MWの発電所、③中部カリマンタンのグヌンマス にあるIPP PLTU Kalteng-1:2020年から稼働の2 x 100MWの発電所で合計発電能力は600MWである。

出典:https://www.idx.co.id/StaticData/NewsAndAnnouncement/ANNOUNCEMENTSTOCK/From_EREP/202006/c2c5f26623_266e41f2f2.pdf

PT Indika Energy Tbk(インディカ・エナジー)

1972年に設立された石炭会社。2008年インドネシア証券取引所(IDX)上場。IDXコードは「INDY(上場時:PTRO)」。筆頭株主はPT Indika Inti Investindoで37.79%を保有している。

INDYは2007年に設立されたPT Cirebon Electric Power(CEP)に出資して発電事業に参画している。CEPの株主は、インディカ・エナジー、丸紅、韓国のKorean Midland Power (KOMIPO) と同じく韓国のSamtan Corporation.の4社。CEPの1号機は石炭を燃料とする1x660MWの超臨界発電所で、2012年から稼働している。

現在2号機が開発されているが、2号機を運用するのは、2014年に設立されたPT Cirebon Energi Prasarana (CEPR)。株主はCEPの4社プラス日本のJERA(東京電力と中部電力の合弁会社)の5社。2号機も石炭を燃料とする1×1000 MWの超々臨界発電所である。超臨界および超々臨界ボイラー技術は、最先端のクリーンコール技術(高効率低エミッション)である。

出典:https://www.indikaenergy.co.id/
https://www.cirebonpower.co.id/ 

PT Sumber Segara Primadaya(スンブール・スガラ・プリマダヤ)

中部ジャワ州のインド洋側に面するチラチャプにある発電所。南ジャワ沿岸線への送電ルートの安定性を提供し、中部ジャワ南部の経済成長を支える電力供給に大きく貢献している。また海運による燃料の石炭の供給を便利に促進できる立地である。

亜臨界ボイラー技術を駆使したPLTUチラチャプ1号機(300MW)および2号機(300 MW)は2006年に商業稼働を開始した。PLTUチラチャプ3号機は超臨界ボイラーと煙道ガス脱硫技術を駆使した1×660 MWの発電機である。そして、政府の35GW電力インフラストラクチャープログラムをサポートするために新たに建設されているのが、超々臨界圧ボイラーを使用して、より効率的で環境に優しい技術を備えたPLTU 1×1000MWの拡張ユニットである。

スンブール・スガラ・プリマダヤは、エネルギーと鉱業関係の事業を行うPT Pembangkitan JawaBali とPT Sumberenergy Sakti Primaによって共同設立された。

出典:https://www.ssprimadaya.co.id/ 

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PT ADARO ENERGY Tbk(アダロ・エナジー)

2004年に設立された石炭会社。現在、石炭事業以外に自社の石炭を使った発電事業も行っている。2008年にはインドネシア証券取引所(IDX)に上場。IDXコードは「ADRO」。筆頭株主はPT Adaro Strategic Investmentで43.91%を保有している。

ADROには電力事業を行う子会社が3社ある。①PT Makmur Sejahtera Wisesa(MSW):南カリマンタンのタバロンに2×30MWの最初の発電所を建設、近隣のアダログループへの電力供給と余剰電力をPLNの南および中央カリマンタングリッドに供給。②PT Tanjung Power Indonesia:ADRO(65%)と韓国系のPT East-West Power Indonesia (35%)の合弁会社で南カリマンタンのタバロンに2×100MWの石炭火力発電所を建設、PLNに25年契約で2019年から電力供給する。

③PT Bhimasena Power Indonesia:ADRO、J-POWER、伊藤忠の3社が2011年に設立。中部ジャワのバタン県に2×1,000MWの石炭火力発電所を建設している。

出典:http://www.adaro.com/
https://www.idx.co.id/StaticData/NewsAndAnnouncement/ANNOUNCEMENTSTOCK/From_EREP/202004/5a660ff4d4_49a4da2229.pdf

PT Cikarang Listrindo Tbk(チカラン・リストリンド)

1990年に設立され1993年商業運転を開始したインドネシアの独立電力事業者(IPP)。2016年にはインドネシア証券取引所(IDX)に上場。IDXコードは「POWR」。筆頭株主はPT Udinda Wahanatamaで30.48%を保有している。

総電力生産能力は1,144MWで、PLNと5つの工業団地(Jababeka Industrial Estate、MM-2100、East Jakarta Industrial Park (EJIP)、Hyundai Inti DevelopmentとLippo Cikarang)に電力を供給している。一方、発電所は3か所。ジャバベカ工業団地発電所、MM2100工業団地発電所とブカシのバデラン発電所。

ジャバベカ工業団地発電所はガス・蒸気発電所(PLTGU)で長年増設を繰り返してきた結果、現在の総発電能力は864MW、2013年から商業運転を開始している。MM2100工業団地発電所はガス火力発電所(PLTG)で、発電能力は109MW、2015年から運転を開始。バデラン発電所は石炭火力発電所(PLTU)で、発電能力は280MW、2017年から運転を開始。

出典:https://www.listrindo.com/aboutus
https://www.idx.co.id/StaticData/NewsAndAnnouncement/ANNOUNCEMENTSTOCK/From_EREP/202006/7cb4babe83_25da42939c.pdf 

PT Pertamina (Persero)(プルタミナ)

1957年にPT Perusahaan Minyak Nasional(PERMINA)として設立された。その後、2003年の政府規則第31号によって現在のPT Pertamina(Persero)に社名が変更された。

政府によるエネルギー部門の国有企業の改革ロードマップに基づき、インドネシアのガス産業のバリューチェーンの有効性を高めるためPertaminaとPGNの事業統合が進められている。石油・ガス部門における国有企業ホールディング会社の形成のため、2018年にプルタミナはPGNの56.96%の株式を保有することになり、一方で、プルタミナの子会社であるPertagasの所有権がPGNに移管された。

現在、PGNはプルタガスの株式の51%を保有している。その結果、プルタミナに残る天然ガスに関する事業は、ガス源とエンドユーザーを結ぶパイプライン輸送事業、天然ガス生産者との取引、LNG取引(国内・海外)、CNG(圧縮天然ガス)ガス給油所(SPBG)の管理、LNG再ガス化設備の運営である。

出典:https://pertamina.com/id/siapa-kami 
https://pertamina.com///Media/File/Pertamina_AR_2019_Final%20Indo_Hires.pdf 

PT Perusahaan Gas Negara Tbk (国家ガス会社)

1965年に設立された国有ガス会社。2003年にはインドネシア証券取引所(IDX)に上場。IDXコードは「PGAS」。筆頭株主は2018年よりプルタミナが国有企業のガス・石油ホールディング会社になったため、PT Pertamina (Persero)が56.964%を保有している。

PGAの売上高の約9割はガス供給である。ガス供給のインフラであるガス配管の総延長距離は2019年末で5,418㎞。最も長いのはジャカルタで751㎞、2番目がボゴールで639㎞、3番目がメダンで644㎞である。PGAの顧客数は2019年末現在、397,474軒で、その内最も多いのは一般家庭の393,453軒で99%を占める。2番目は大口消費先の産業顧客で2,455軒、3番目は、病院、ヘルスセンター、孤児院、礼拝所、教育機関、宗教機関、社会機関、事務所、ホテル、レストラン、ショップ/モール/スーパーマーケットなどを含む小規模顧客で1,566軒である。

2019年の売上高は38億4,872万USD、アセット総額は73億7,371万USDであった。

出典:https://www.pgn.co.id/
https://ir.pgn.co.id/AssetFiles/Financial/AnnualReport/Laporan%20Tahunan%202019.pdf

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インドネシアの主要電力・ガス企業2選〜日系企業編〜

PT Rukun Raharja Tbk(ルクン・ラハルジャ)

1993年に設立されたインドネシアの民間ガス会社。2006年にはインドネシア証券取引所(IDX)に上場。IDXコードは「RAJA」。筆頭株主は個人のHapsoro氏で32.59%を保有する。

RAJAがガスを販売する地域は、ジャンビ州、西ジャワ州とバンテン州である。実際の販売は子会社の2社、PT Energasindo Heksa Karya (ジャンビ州、西ジャワ州とバンテン州)とPT PDPDE GAS(ジャンビ州)が行う。ガス販売金額は売上高の約90%を占め、販売量は、約13.4百万MMBUUでジャンビ州が約7割、残りは西ジャワ州とバンテン州。

2019年の売上高は、1億2,213万USD。アセット総額は1億8,044万USDであった。2007年にRAJAが100%出資して設立した子会社でガス配管事業を行うPT Panji Raya Alamindoに東京ガスと日本政策投資銀行の合弁会社TG&D Singapore Invesment Holdings Pte Ltdが2017年に33%出資し、東ガスのノウハウを活用し、RAJAの事業価値向上を図る取り組みも行われている。

出典:https://www.raja.co.id/ 
https://www.idx.co.id/StaticData/NewsAndAnnouncement/ANNOUNCEMENTSTOCK/From_EREP/202004/a0693ac94b_badd205f1e.pdf
ttps://www.dbj.jp/topics/dbj_news/2017/files/0000028573_file1.pdf 

PT Super Energy Tbk(スーパー・エナジー)

2011年に設立されたインドネシアの民間ガス会社。2018年にはインドネシアの証券取引所(IDX)に上場。IDXコードは「SURE」。筆頭株主は、PT Super Capital Indonesiaで64.1%を保有している。2番目は東京ガスのアジア地域統括会社Tokyo Gas Asia PTE LTDで33.4%を保有している。

SUREの事業は石油随伴ガス・天然ガスの精製・加工・圧縮、圧縮天然ガスの供給である。とりわけ、従来は利用できていなかった石油随伴ガスや小規模ガス田由来ガス等の天然ガスを精製・圧縮し、高圧シリンダーに充填して産業用に供給している。今後も未利用天然ガスを活用しながら、CO2 排出量の多い液体燃料から天然ガスへの切り替えを推進する予定になっており、東京ガスグループは国内のLNGバリューチェーンにおける技術やノウハウを活用し SUREグループの事業拡大とCO2削減に寄与するため出資している。

2019年の売上高は2,916億ルピア、アセット総額は8,596億ルピアであった。

出典:http://www.superenergy.co.id/investor/2
ttps://www.tokyo-gas.co.jp/news/press/20201126-01.pdf 

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インドネシアの主要電力・ガス企業2選〜外資系企業編〜

PT Jawa Power(ジャワ・パワー)

1996年に建設が開始され2000年に商業運転を開始した民間電力会社。東ジャワ州にあるPaiton発電所団地に1,220MWの石炭火力発電所を所有。出資者は、ドイツのSiemens(50%)、マレーシアのYTL Power Internationalと日本の丸紅(35%)、および現地のPT Bumi pertiwi Tatapradipta(15%)の4社である。

発電所の設計、エンジニアリング、調達、建設(EPC)、および試運転は、シーメンスが主導するコンソーシアムによって行われた。また、YTL Power Internationalの完全子会社であるPT YTL Jawa Timurが発電所のオペレーションを担当している。

ジャワパワーは、国営の電力会社であるPT PLN(Persero)と30年間の電力購入契約を結んでいるインドネシア最大のIPPの1つである。発電所は2ユニットの石炭火力発電所であり、各ユニットの正味電気出力は610MW。蒸気発生器の排気ガスから燃焼用空気に熱を伝達し、プラントの効率を向上する工夫が施されている。

出典: http://www.jawapower.co.id/

PT Paiton Energy(パイトン・エナジー)

1994年に設立されたインドネシアの民間電力会社。東ジャワ州プロボリンゴのPaiton 発電所団地で3つの石炭火力発電所を所有および運営している。パイトンエナジーは、インドネシアで事業を行う最初で最大の独立系発電事業者(IPP)の1つである。

1999年に2×615 MWの商業運転を開始し、2012年に1×815MWの商業運転を開始し、合計2,045MWの電力(ジャワ島の総設備容量の約6%)を提供することにより、PT PLN(Persero)に協力している。 そして、年間約13,500GWhの電力を生成しており、ジャワ島の年間電力消費量の約10%を占めている。PLNとの長期の電力購入契約に基づきインドネシア社会に電力を供給するための信頼性が高く持続可能な発電所を所有している。

パイトンエナジーの出資者は、日本の三井物産、Nebras Power(ドバイの電力開発投資会社)、株式会社JERA(東京電力と中部電力が出資した電力会社)と現地のPT Toba Bara Sejahtra Tbkの4社である。

出典: https://www.paitonenergy.com/ 

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