今回は、インドネシアの鉄道・バス業界に焦点を当て、ローカル12社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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インドネシアの主要鉄道・バス会社12選〜ローカル編〜
PT Kereta Api Indonesia (Persero)(クレタ・アピ・インドネシア)
インドネシアの鉄道の歴史は1864年にオランダ領東インド会社が鉄道建設を開始した時に始まるが、戦中戦後の歴史の紆余曲折の後、1999年にインドネシアの国有鉄道会社KAIが正式に誕生する。
インドネシア国が株式を100%保有している。2019年の従業員数は28,310名。乗客者数は4億2,926万人。貨物輸送量は4,762万トンで、2019年の収入に占める割合は、乗客収入が37%、貨物収入が26%であった。貨物輸送の中で圧倒的に多いのは石炭で、総輸送量の70%を占める。
新たな取り組みとして、2018年に南スマトラのパレンバンでインドネシア初の次世代型路面電車システム(Light Rail Transport:LRT)の商業運転を開始した。路線長は23.4kmで、合計13の駅がある。さらに2019年には2つの新しい空港列車、5月にジョグジャカルタ国際空港列車を、12月にソロのアディスマルモ空港列車の運行をそれぞれ開始した。2019年の売上高は26兆2,517億ルピアであった。
出典:https://www.kai.id/corporate/about_kai/
https://www.kai.id/static/annual-report/annual_report_2019.pdf
PT Kereta Commuter Indonesia(クレタ・コミューター・インドネシア)
2008年に設立されたインドネシアの鉄道会社。筆頭株主は国有鉄道会社のPT Kereta Api Indonesia (Persero)で99.78%を保有している。2019年の従業員数は2,852名。
PT Kereta Commuter Indonesia(KCI)はジャカルタ首都圏の交通渋滞を回避する通勤列車としてジャカルタ、ボゴール、デポック、タンゲラン、ブカシ(ジャボデタベック)とその周辺地域で電気鉄道を利用した通勤鉄道輸送サービスと非旅客輸送事業を行う目的で設立された。2011年から近代化のための改革が行われ、路線の簡素化、女性専用列車の導入、エアコンカーの導入、2013年からは電子チケットシステム(Eチケット)とプログレッシブ運賃システムの適用が開始された。
現在、KCIの利用客数は年間に1億5,500万人におよぶ。1,196台の車両を保有し、ジャボタベック地域で総延長距離418.5㎞の路線を持ち、80の駅でサービスを提供している。2019年の売上高は2兆7,416億ルピアであった。
出典:http://www.krl.co.id/#m_tentangkami
PT MRT Jakarta(MRTジャカルタ)
2008年に設立されたインドネシアの地下鉄会社。筆頭株主はDKIジャカルタ政府で株式の99.98%を保有している。PT Mass Rapid Transit Jakarta (PT MRT Jakarta):MRTの事業範囲は、MRTインフラストラクチャと施設の建設および運用と保守(O&M)、駅とその周辺地域の不動産/事業開発と管理を含んでいる。
ジャカルタのMRT開発計画は1985年から開始され、2005年に大統領が国家プロジェクトとして承認してから正式に動き出した。2006年には国際協力日本銀行(JBIC)から資金供与の承認を得、2008年から2009年に技術設計と用地取得が行われ、2013年に建設が開始された。
フェーズⅠは、レバック・ブルス・グラブ駅からホテルインドネシアがあるブンダランHI駅までの約16キロメートルで、13の駅と1つのデポがある。フェーズⅠに続いて、フェーズⅡはブンダランエリアから西アンチョールエリアまでの11.8㎞が延長される。2019年の売上高は1,916億ルピアであった。
出典:https://jakartamrt.co.id/id
PT Railink (レイリンク)
2006年に設立されたインドネシアの空港列車会社。筆頭株主は国有鉄道会社のPT Kereta Api Indonesia (Persero)で60%を保有している。残りは国有空港管理会社PT Angkasa Pura II (Persero)が保有している。
2013年から北スマトラ州の州都メダンにあるクアラナム国際空港の空港列車を運行している。この空港列車サービスにより2014年に実施されたスカイトラック・アセスメントでクアラナム国際空港は4つ星評価を受け、国際的な信用が高まった。
その3年後、レイルリンクは、ジャカルタのスカルノハッタ国際空港の空港列車を開通した。途中にスディルマンバル駅、ドゥリ駅、ブカシ駅、バトゥチェペル駅を通過する総距離36.3kmのマンガライ駅からスカルノハッタ空港駅までのルートを約50分で運行している。この列車は、30分の運転間隔で毎日合計70回の発着を行い、フライトスケジュールの変更により常に運行時間が調整される。1日あたりの乗降客数は3万人を超える。
出典:https://www.railink.co.id/profile/en
PT LRT Jakarta(LRTジャカルタ)
2018年に設立されたインドネシアの鉄道会社。筆頭株主は国有企業のPT Jakarta Propertindo(Perseroda)で99%を保有している。
ジャカルタLRTフェーズ1ルートは、プガングサアン・デゥア・デポ・クラパ・ガディン駅からブロドロメ・プガンサアン・デゥア駅までの6駅、総距離5.8kmである。ジャカルタLRTの運行速度は平均で約50㎞/h、最高速度は90㎞/hに達するので、駅間でかかる時間は約1分から2.5分、始発駅から終着駅まで約13〜15分。
ジャカルタLRTで使用される列車は、連結式台車システムを採用した韓国の現代ロテム社製で、 連結式台車システム技術により列車は急カーブでも線路の輪郭に沿って安全かつ柔軟に走行できる。車両は2両編成で最大270名の乗客を収容できる。現在車両は8セットある。ジャカルタLRTの営業時間はAM5:30 からPM11:00まで。
出典:https://www.jakarta-propertindo.com/id/jakpro-group/
PT Transportasi Jakarta(トランスジャカルタ)
2014年に設立されたジャカルタの公営バス会社。筆頭株主はDKIジャカルタ政府で99.66%を保有している。
2019年末現在、トランスジャカルタは247路線で3,435台のバスを運行。内訳は、①バス・ラピッド・トランジット(BRT)サービス:高速バスサービスで870台のバスを54路線で24時間運行。②統合サービス:MRT、LRTなどと接続する70路線を612台のバスを運行。③小型バス:学校、病院、市場など地域住民のニーズに対応する69路線を1,568台のバスを運行。④トランスJABODETABEK:隣接都市エリアでのBRTサービスで14路線に195台のバスを運行。⑤フラット・サービス:団地の居住者専用で21路線に46台のバスを運行。⑥ケアサービス:障害者向け無料特別サービスで、22台のバスを運行。⑦ジャカルタエクスプローラー:無料の市内観光7路線で20台のバスを運行など。
2019年の売上高は3兆3,036億ルピアで、運賃収入は20%だけで補助金収入が78%と大半。
出典:https://ppid.transjakarta.co.id/informasi-publik/laporan-tahunan-pt-transportasi-jakarta
DARMI(ダルミ)
1946年に設立されたインドネシアの国有バス会社。筆頭株主はインドネシア国で100%保有している。2019年末の従業員数は5,363名。
DAMRIの主要サービスは7つある。①空港送迎バス:現在26の空港で運行している。②都市間輸送バス:ジャワ島、スマトラ島、スラウェシ島、カリマンタン島、パプア島の33の主要都市のサービスネットワークをカバーしている。③シティー輸送:通常の路線とBRT(バスラピッドトランジット)の両方の公共交通機関のニーズに対応。インドネシア全土の10の主要都市をカバー。④越境バス:国境を越える路線をバスで輸送。⑤パイオニア輸送:他社のバスサービスがない遠隔地・辺境地でのバスサービス。⑥貨物輸送:貨物車を使って商品を配送。⑦観光バス:マイクロバスと大型バスを使用。
2019年の売上高は1兆2,420億ルピアであった。最も貢献度の高いサービスは空港バスで32%。2番目は都市間輸送で27%。3番目はシティー輸送で22%であった。
出典:https://damri.co.id/assets/images/AR%20Damri%202019.pdf
https://damri.co.id/
PT Pahala Kencana(パハラ・クンチャナ)
1976年に創業者のHendro Tedjokusumoによって設立されたインドネシアの民間バス会社。中部ジャワ州のクデゥスが発祥。Pahala Kencanaは都市間州間(AKAP)バスサービスに重点を置き、クドゥスージャカルタとソロージャカルタの2路線から事業をスタートした。
路線を継続拡大し1990年代には大手バス会社の一つになった。1993年にPahala Kencanaは、PT Pahala Tours & Travelという旅行会社とパハラ・エクスプレスという配送サービスに焦点を当てた新しい会社を立ち上げた。2000年には、観光バスサービスのニルワナ・ラグジュアリー・ツーリストを設立した。
現在提供している路線は39ある。最も人気がある路線は、ジャカルターパスルアン、タンゲランースマラン、ジャカルターマドゥラ、ジャカルターバンカランの4路線。使用するバスは、日野あるいはメルセデスベンツと言った高品質の車両である。その上常時メンテナンスで、コンディションはいつも万全である。
出典:https://pahalakencana.co.id/tentangkami
PT Eka Sari Lorena Transport Tbk(エカ・サリ・ロレナ・トランスポート)
2002年に設立されたインドネシアの民間バス会社。2014年にはインドネシア証券取引所(IDX)に上場。IDXコードは「LRNA」。筆頭株主はPT Lorenaで57.14%を保有している。
LRNAの事業は大きく分けて4つ。①都市間州間輸送(AKAP):2019年売上に占める割合は89%と最大の事業。ジャワ島の10都市、スマトラ島の7都市とバリ島を結ぶ20路線がある。長距離路線のためバスは大型のデラックスタイプのものが使用される。②ジャカルタ近郊のジャボデタベックの短距離輸送:2019年売上に占める割合は3%。大型バスたけでなくマイクロバスも運行。③ジャボデタベックからの空港バス:2019年売上高に占める割合は1%。マイクロバス12台を運行。④シャトルバス:2019年売上高に占める割合は7%。メルセデスのバスでBSD City団地内を運行。
2019年売上高は、1,246億ルピアであった。
出典:https://lorena-transport.com/wp-content/uploads/2020/08/Annual-Report-PT-Eka-Sari-Lorena-Trasnport-Tbk-2019-FINAL-small-size.pdf
https://lorena-transport.com/
PT Primajasa Perdanaraya Utama(プリマジャヤ・プルダナラヤ・ウタマ)
1991年に設立されたインドネシアの民間バス会社。設立当初、Primajasaはツアーバス会社として営業を開始し、25台のバスを運行してボゴールからジャカルタ経由でタンゲランまでの往復ルートでサービスを提供した。
ビジネスの拡大に伴いPrimajasaは2001年に都市間および州間(AKAP)ルートを導入し、陸上輸送の分野でさまざまなブレークスルーを達成することでサービスを拡大してきた。ブレークスルーの1つは、競合他社が手をつけていないルートを開設することで、ターミナルとは別に空港、港、ショッピングセンター、住宅団地などの戦略的な場所にバスプールを開設した。例えば、タンジュンプリオク港-メラクとスカルノハッタ国際空港-バンドンなどの都市間および州間(AKAP)ルートの開設である。
そのほか、Primajasaはタクシーメーターを備えたPrimajasaタクシーサービス、Red White Starツアーバス、空港シャトルバスサービスなどの新たなビジネスユニットも開発している。
出典:https://www.primajasa.co.id/
PT Agra Mas(アグラ・マス)
2003年に設立されたインドネシアの民間バス会社。設立当初はブカシ、チカラン、カラワン、ボゴール、タンゲランなどジャカルタ郊外を旅行する乗客のためにエコノミーACバスサービスを提供していた。
2011年には中部ジャワと東ジャワの都市間および州間サービスを開始することでサービスを拡大し、さらに高品質で豪華な車体であるスエーデンのScaniaやドイツのMercedes Benzを導入したことで非常に好評を博した。また、1年後には高級バスを使用して、都市間および州間セグメントの新しい夜間ルートを開設した。さらに、スーパーエグゼクティブクラスとして2階建てのバスが導入された。
2014年にはスカルノハッタ空港-アトリウムポンドック間で空港ルートが新たに開設された。現在、Java全体の45の都市をカバーする州内および州間サービスを提供する都市間バス事業者として、エコノミーAC、VIP、エグゼクティブ、およびスーパーエグゼクティブクラスと様々なサービスを提供している。
出典:https://agramasgroup.com/
PT Gunung Harta(グヌン・ハルタ)
インドネシアの民間バス会社。都市間および州間(AKAP)バスサービス、観光バス、およびバスとボックスカーの両方の輸送モードの組み合わせを使用した統合商品配送、ドアツードアの輸送サービスを行う会社で、効果的かつ効率的な方法で、企業と個人の両方にサービスを提供している。
提供するすべてのサービスは、1つのサービスセンターのコンセプトにまとめられているので、利便性の提供だけでなく、改善して優位性のあるサービスを提供することができる。また、すべてのパートナーによってサポートされ、訓練され試験された従業員によって、完全で、専門的で、安全で、信頼できる輸送サービスが提供されている。
さまざまな方向へ都市間州間輸送サービス(AKAP)が提供され、すべての夜行バスには完全な設備と専門的なサービスを備えた一流のバスが使用されている。また、観光バスは26席、32席、40席と様々な目的地への旅行に対応できる豊富なバスオプションが用意されている。
出典:https://www.gununghartasolutions.com/tentang-kami/
インドネシア在住のインドネシア人。観光ガイドと通訳者を務め、インドネシアの観光地を日本語で案内している。日本語学科の大学を卒業し、邦人対応観光ガイド・国際イベントでの日本代表団担当連絡係員・通訳者・日本領事事務所長の地元アシスタントを経験。