今回は、タイの百貨店・ショッピングセンター業界に焦点を当て、ローカル・日系合わせて8社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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タイの主要百貨店・ショッピングセンター7選〜ローカル編〜
Central Pattana PCL. (セントラル・パタナ)
1980年に創業したタイ最大手のデベロッパー。1995年よりタイ証券取引所SETに上場している。1982年のセントラルプラザ・ラートプラオに始まり、高級ショッピングモール、セントラルプラザの開発を主に行なっている。現在、セントラルブランドの高級商業施設を32店舗、タイ全国各地に展開している。また、他にも総合不動産開発業者としてオフィスビル(G-Towerなど)を7棟、ホテル(Centaraホテルなど)を2棟、居住用ビル(セントラルパタナレジデンシャル)を4棟所有する。
2020年度の売上高は前年比14%減の33,161百万バーツ、純利益は前年比19%減の9,557百万バーツであった。2005年にはフォーブスにより売上高十億USドル以下のアジア太平洋地域トップ200の企業に選ばれるなど、アジア地域での存在感も大きい。
バンコクの都心部にある複合商業施設のセントラル・ワールドでは1992年に日系の大手百貨店、伊勢丹(ISETAN)がオープン。以来、日本の百貨店と同等の洗練されたサービスが在住日本人やタイ人の高所得層にも親しまれてきたが、2020年8月に閉店となった。セントラル・パタナは、伊勢丹跡地をより現代の消費者のライフスタイルにあった商業施設にするとしているが、2021年11月現在も改装中である。
一方、地方でのショッピングモールの開発プロジェクトを進めており、2021年10月には在住日本人も多い東部チョンブリ県シラチャ郡にセントラル・シラチャがオープンした。また、2021年11月末には中部アユタヤ県にセントラル・アユタヤをオープンする予定となっている。
出典:https://www.centralpattana.co.th/en
MBK PCL. (エムビーケー)
1974年に創業した商業施設デベロッパー。1996年よりタイ証券取引所SETに上場している。バンコク都心部に位置する大型ショッピングモールのMBKセンターをはじめ、The NineブランドやParadise Park、Paradise Placeといったコミュニティーモールをバンコクに所有・運営している。また、他にもホテルやリゾート、ゴルフ場の運営、バイクのローンや生命保険といった金融事業、不動産投資・管理、フードコートの運営など多岐に渡る事業を展開している。
2020年度の売上高は前年比19%減の9,234百万バーツ、純利益は前年比95%減の149億バーツであった。
MBKセンターは20階建てのオフィスビル、29階建てのパトゥムワン・プリンセス・ホテルおよび8階建てのショッピングモールからなる大型商業施設である。売り場面積は計14万平方メートル以上にのぼり、計2,300以上の店舗がファッションから雑貨、デジタル製品、食品まで様々な商品を取り扱う。特にスマートフォンや携帯電話は中古から新品まで豊富な品揃えがあることは有名である。また、映画館やカラオケもある。
1985年にはMBKセンター内に日系の東急百貨店がオープンし、タイ在住の日本人やタイ人の中~高所得層の消費者を中心に長年親しまれてきた。しかし、ローカル系の商業施設との競争激化や、2019年末から世界的に感染が拡大した新型コロナウイルスにより外国人観光客が大幅に減った影響で、2021年1月に閉店となった。跡地には日系のディスカウントストア、ドン・キホーテのタイブランド「ドンドンドンキ」が開業予定で、2021年11月現在も改装中となっている。
出典:https://www.mbkgroup.co.th/en/home
Siam Future Development PCL. (サイアム・フューチャー・ディベロップメント)
1995年に創業した商業施設デベロッパー。2002年よりタイ証券取引所SETに上場している。小型から大型のショッピングセンターの開発を手掛ける。具体的にはスーパーマーケットのTopsやVilla Marketの小型の独立店舗から、エスプラナード(Esplanade)やエカマイ・パワー・センターなど中型のコミュニティーモール、大型ショッピングモールのメガ・バンナー(Mega Bangna)まで、計18の商業施設を所有する。ほとんどがバンコクに位置するが、東部パタヤにコミュニティーモールのパタヤ・アベニュー(Pattaya Avenue)を展開する。
2020年度の売上高は前年比26%減の1,141百万バーツ、純利益は前年比2.6%増の2,083百万バーツであった。メガ・バンナーは2012年にオープンしたSF社唯一の大型ショッピングモールで、バンコク東郊サムットプラカーンに位置する。20万平方メートルを超える巨大な売り場に165のレストランを含む900以上の店が入っている。具体的には家電量販店のHomepro、ハイパーマーケットのBig C、デパートのロビンソンなどがある。また、世界的に有名なスウェーデンの家具メーカー、IKEAのタイで初めての店舗も存在する。他にも映画館のメジャー・シネプレックス、子ども向けのアトラクション施設のメガ・ハーバーランド、自然と触れ合えるメガ・パークなども備えており、連日家族連れで賑わっている。
出典:https://www.siamfuture.com/en/home
The Mall Group Co., Ltd. (ザ・モール・グループ)
1981年に創業した商業施設デベロッパー。同年にショッピングモールのThe Mall Ratchadamriをバンコク都心部にオープンして以来、外国人やタイ人の中~高所得層向けの大型ショッピングモールを各地に展開してきた。現在ではThe Mall Ratchadamriは閉店したが、The Mallブランドをバンコクと東北部ナコンラチャシマに8店舗、バンコクのエンポリアム(The Emporium)、エムクォーティエ(The Emquatier)、サイアム・パラゴン(Siam Paragon)、南部のリゾート地フアヒンのBluport Hua Hin Resort Mallの計12の商業施設を展開する。各ショッピングモールでは国内外の様々なブランドのテナント店舗に加え、スーパーマーケットのグルメマーケットや文房具のBetrend、化粧品のBeauty Hallなど自社ブランドの店舗を構える。
2020年度の売上高は前年比31%減の15,900百万バーツ、純利益は前年比43%増の557百万バーツであった。
バンコク都心部のスクンビット地区に1997年にオープンしたデパートのエンポリアムは、近隣に多く居住する日本人やその他の外国人に親しまれている。2005年には大通りを挟んだ向かいにエムクォーティエをオープン、さらに2023年には同地区にエムスフィア(Emsphere)がオープン予定であり、一帯をEM Districtとして巨大な商業エリアとする計画となっている。
また、バンコクの東部バンナー地区にはBangkok Mallというショッピングモールを建設中で、こちらも2023年にオープン予定を控えている。
出典: https://www.themallgroup.com/
Siam Piwat Co., Ltd. (サイアム・ピワット)
1959年にバンコクのインターコンチネンタルホテルの運営から創業した不動産デベロッパー。現在は大型ショッピングモールのサイアム・センター(Siam Center)、サイアム・ディスカバリー(Siam Discovery)、サイアム・パラゴン(Siam paragon)、アイコン・サイアム(Icon Siam)の所有・運営を行う。また、オフィスビルSiam Piwat Towerの不動産事業、パラゴン・デパートやサイアム高島屋といったデパート事業、雑貨店のLoftやファッションのALANDといった小売事業も展開している。
2020年の売上高は前年比21%減の3,007百万バーツで、純利益は前年比47%減の634百万バーツであった。2018年にはアメリカの不動産デベロッパー、サイモン社(Simon Property Group)との合弁会社を設立し、バンコク東郊サムットプラカーンにサイアム・プレミアム・アウトレット(Siam Premium Outlets)を2020年にオープンした。売り場面積5万平方メートルの敷地を持つ屋外型のショッピングモールで、自然に囲まれながらショッピングを楽しむことができる。国内外の145の高級ブランドが集まり、外国人観光客やタイ人の高所得層をターゲットとしている。
出典:https://www.siampiwat.com/en/home2
LH Mall & Hotel Co., Ltd. (エルエイチ・モール・アンド・ホテル)
タイ証券取引所SET上場の大手不動産デベロッパー、Land and Houses PCL.(LH)の傘下として、1986年に設立された。ショッピングモール、ホテルなどの商業施設開発を行う。ショッピングモールはターミナル21(Terminal 21)のブランドでバンコク中心部のアソーク地区、東部のリゾート地パタヤ、東北部ナコンラチャシマの3店舗を展開している。ホテルではグランド・センター・ポイントのブランドでバンコクに7か所、東部パタヤに2か所を展開する。
2020年の売上高は前年比79%減の1,044百万バーツで、純損益は51百万バーツの赤字であった。
ターミナル21ではタイ各地から集められた、ローカル店やレストランが入っている。空港をイメージしており、各階がカリブ海、ロンドン、パリ、東京など世界各地の街の雰囲気を醸し出す内装となっていることが特徴である。また、親会社のLHが管理する不動産投資信託(REIT)がLHSCという銘柄でタイ証券取引所SETに上場しており、資金はターミナル21・アソークへの投資に利用される。
2021年末までにはバンコク南部のラマ3世通り沿いにターミナル21・ラマ3(Terminal 21 Rama 3)をオープン予定。他の店舗と同様、世界各地の街がコンセプトとなる計画である。
出典:https://lhmh.co.th/
Robinson Department Store PCL. (ロビンソン・デパートメント・ストア)
1979年に創業した百貨店。1995年にセントラルと合併し、現在はセントラル・リテール(CRC)傘下となっている。1992年にロビンソンとしてタイ証券取引所SETに上場していたが、2020年2月に親会社CRCの上場に伴って上場廃止された。デパートおよびライフスタイル・センターとして、中所得層の消費者をターゲットとすることで高級志向のセントラルと棲み分けを行っている。家電や化粧品、日用品、雑貨などを取り扱う。店舗はバンコクおよび首都圏に11か所、その他地方に36か所の計47か所が存在している。ベトナムにも進出し、2店舗を構える。また、オンラインショッピングも展開している。
2020年の売上高は前年比36%減の10,888百万バーツで、純利益は前年比86%減の645百万バーツであった。
出典:http://store.robinson.co.th/index.html
タイの主要百貨店・ショッピングセンター〜日系編〜
Siam Takashimaya(Thailand) Co., Ltd. (サイアム・タカシマヤ・タイランド)
日系大手百貨店、高島屋のタイ拠点で、タイではSiam Piwatグループとの合弁会社として2015年に設立された。同社が運営するチャオプラヤ川沿いのショッピングモール、アイコンサイアム(Icon Siam)内のアンカーテナントとして2018年にオープンした。海外展開を進める高島屋の店舗としてはシンガポール、上海、ホーチミンに続きアジア4店舗目である。日本と同様、高級デパートとして婦人服、婦人雑貨、紳士服、紳士雑貨、子ども服、リビング、食料品からレストランまでをフルラインナップで取り扱う。7階建ての店舗で売り場面積は約2.5万平方メートルで、日系ブランド170を含め計530の世界的なブランドが集っている。
2020年の売上高は前年比27%減の327百万バーツで、純損益は294百万バーツの赤字であった。
出典: https://www.siamtakashimaya.co.th/
バンコク在住のタイ人。タイにおける日系企業向け翻訳・通訳を6年間以上行う。経済、ビジネス、IT分野に興味があり、マーケティングや流通を含めた企業調査や、企業調査といった情報収集が得意。