今回は、マレーシアの建設業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて16社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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マレーシアの主要建設会社8選〜ローカル編〜
WCT Holdings Bhd (WCTホールディングス)
マレーシア証券取引所に上場している大手建設会社で、1981年にWCTアースワーク・アンド・ビルディング・コントラクターズとして設立。
グループ会社はエンジニアリング・建設、不動産開発、不動産投資・管理を中核事業としている。エンジニアリング・建設部門では、フォーミュラ1レースサーキット、空港、ダム・水道、高速道路、土木工事、鉄道インフラストラクチャ工事、ショッピングコンプレックス、病院、政府行政施設などの建設を手掛ける。
2020年度の収益は17億458万リンギットで、エンジニアリング・建設部門の収益が73.5%を占める。2,000名以上を雇用し、カタールとアラブ首長国連邦、バーレーン、インド、ベトナムでも事業を展開している。
2021年3月25日、同社はマレーシア運輸省から4億4,000万リンギット規模のサルタン・イスマイル・ペトラ空港(ケランタン州)改修工事を受注している。
出典:https://www.wct.com.my/
MUHIBBAH ENGINEERING (M) Bhd(ムヒバ・エンジニアリング)
1972年に設立された建設・エンジニアリング企業で、インフラ開発や建設、石油・ガス・化学施設建設、造船などを手掛ける。1995年、建設会社としてマレーシアで初めてISO 9002を取得しており、その後ISO 9001:2008、ISO 14001:2004、OHSAS 18001:2007を取得している。
主な事業はインフラストラクチャ、空港及び関連施設、石油・ガス施設、海洋・港湾施設などの建設で、特に浮体式再ガス化設備を得意としている。2019年度の収益は20億2,432万リンギット。
実績としては、南クランバレー高速道路(SKVE)、ベリスダム道路建設、シアヌークビル国際空港の滑走路改良プロジェクト、ジョホール州セナイ空港のターミナルビル改修・拡張工事などがある。
国内11拠点と、シンガポール、カンボジア、フィリピン、中国、カタール、オーストラリア、デンマーク、ドイツ、英国、米国にオフィスを構え、約1,050名を雇用する。
出典:http://muhibbah.com/
IJM CORPORATION Bhd(IJMコーポレーション)
1983年にIBGコンストラクションとジュルタマ、ムダジャヤの3社が手を組み、ソリッド・ステートとして設立。2008年にロード・ビルダー・グループを買収し、国内大手建設会社となる。
建設、建材製造、インフラストラクチャ整備、不動産開発、プランテーションを事業として展開している。国内ではオフィスなどの高層ビル、またインドでは有料道路を手掛けた実績を持つ。
2020年度の収益は70億7,507万リンギットで、建設部門が全体の32.4%を占めている。マレーシア、インド、インドネシアなど10ヵ国で事業を展開しており、4,800名を雇用する。
2020年11月には、ペナン州で進められている複合開発事業「ザ・ライトシティー」のホテルとオフィスタワーの建設を受注した。また、2021年4月には、国際金融区であるトゥン・ラザク・エクスチェンジにおけるインフラストラクチャ整備及び公共施設建設を受注している。
出典:https://www.ijm.com/
Gamuda Bhd(ガムダ)
1976年にペラ州のイポーで設立され、1992年8月にマレーシア証券取引所に上場する大手建設会社。
エンジニアリング・建設、不動産開発、インフラ・コンセッションを事業とする。エンジニアリング・建設では、鉄道や高速道路や空港、橋梁、水処理施設などを手掛ける。鉄道建設においては、大量高速交通システム(MRT)及び電化複線プロジェクトの実績を持つ。また、セパンに国内初となるデジタル工業化建設システム(IBS)施設を所有している。
2020年度の収益は68億500万リンギットとなっており、エンジニアリング・建設部門が全体の33%を占めている。マレーシア、バーレーン、カタール、インド、台湾、ベトナム、シンガポール、オーストラリアの8ヵ国で事業を展開しており、4,100名を雇用する。
フォーブスの「2020年世界最高の雇用主」において、同社は東南アジアの企業で唯一トップ50にランクインしている。
出典:https://gamuda.com.my/
Sunway Construction Group Bhd(サンウェイ・コンストラクション・グループ)
1981年にスンガイ・ウエイ・クエリ&コンストラクションとして設立され、1984年よりマレーシア証券取引所に上場する大手建設会社。1999年に現在の社名へ変更となる。
建築、土木、インフラ、機械、電気・配管サービス、プリキャストコンクリート製品の供給・設置・設計・建設などを事業としており、鉄道施設、政府庁舎、商業施設などを手掛けた実績を持つ。
マレーシアの他に、インドとシンガポール、フィリピン、アラブ首長国連邦、トリニダード・トバゴ、台湾、ミャンマーの8ヶ国に拠点を持ち、2019年度の収益は17億6,673万リンギットとなっている。
2019年~2020年、同社はマレーシア建設業開発庁から5つ星の評価を受けている。また、2020年コンストラクション・インダストリー・トレード・アワードにおいて、同社子会社が機械・電気請負業者で最優秀を受賞している。
出典:https://www.sunwayconstruction.com.my/
UEM Group Bhd(UEMグループ)
1996年、マレーシアの政府系ファンドであるカザナ・ナショナルの完全子会社として設立。高速道路及び不動産開発、エンジニアリング・建設、アセット及びファシリティマネジメントを主要事業とする。
建設・エンジニアリングは傘下のUEMビルダーズが担っており、高速道路や橋梁、スタジアム、鉄道、都市交通、空港、トンネル、商業施設などの建設を手掛ける。
海外においても、インドとインドネシアでの高速道路整備、カタールの高速道路と教育施設建設、シンガポールでリゾート・ワールド建設などの実績を持つ。
現在、UEMビルダーズはマレーシアで最も高いビルとなる高さ635メートルのメガタワー(118階建て)「マデカ118」を建設している。2022年完成予定で、完成すると世界で2番目に高いビルとなる。
出典:https://www.uem.com.my/
http://www.uembuilders.com/
YTL Corporation Bhd(YTLコーポレーション)
1955年設立に設立された大手コングロマリットで、公益事業、建設請負、セメント製造、不動産開発・投資、ホテル開発・管理、eコマースイニシアチブなどを事業とする。マレーシア証券取引所と東京証券取引所に上場する。
建設請負は100%子会社のYTLコンストラクションが担っている。建設工事、土木・インフラ工事、設計、運営・保守を主要事業とし、世界33ヶ国で発電所や鉄道、学校、病院、高層ビルなどの建設実績を持つ。
YTLとしての2020年度の収益は191億7,845万リンギットで、建設部門の収益は全体の2%となる19億リンギットとなっている。
2020年度には、グマス-ジョホールバル間の鉄道電化プロジェクトの建設工事を請け負っており、増収増益に寄与している。また、クアラルンプール内に2022年完成予定の30階建て高層ビルも同社が建設している。
出典:https://www.reeracoen.com.my/
https://www.ytlconstruction.com/
Mudajaya Group Bhd(ムダジャヤ・グループ)
1965年、チィヒン・コンストラクションの社名で設立。2019年度のグループ収益は3億9,380万リンギットで、建設部門は全体の66.5%を占める2億6,170万リンギットであった。
建設、不動産開発、発電、製造、トレーディングなどを主要事業とする。2001年にISO 9001:2000、2012年にISO 14001:2004及びOHSAS 18001:2007を、そして2020年6月には、マレーシアの建設会社としては初めて贈収賄防止マネジメントシステムであるISO 37001:2016を取得している。
建設部門では発電所や高速道路、道路、橋梁、ビル、インフラストラクチャ、海洋構造物、ダム、給水設備、排水設備、下水道設備などを手掛ける。
実績として、マレーシア・シンガポール第2連絡橋や、国内の大量高速交通システム(MRT)のSSPライン、国内の石炭火力発電所などを建設している。
出典:https://www.mudajaya.com/
マレーシアの主要建設企業5選〜日系編〜
Obayashi Corporation (M) Sdn Bhd(大林組)
1892年創業の日本の大手総合建設会社。マレーシア進出は1982年で、クアラルンプールを拠点としている。工場や商業施設、集合住宅、病院等の建設を手掛ける。
マレーシア進出前の1964年には、プライ火力発電所土木工事を受注している。その他の実績としては、グレートイースタン・ビル(2007年5月完成、ペナン)、グレートイースタン生命住宅開発(2007年7月完成)、テスコ・ハイパーマーケット(2008年8月完成、ペラ州)プルドゥア社向け自動変速機を製造する明石機械工業のマレーシア工場(2012年12月完成)、日野自動車製造工場(2014年1月、セレンバン)、グレンイーグルズ・メディニ病院イスカンダル(2015年7月完成)などの建設を手掛けた実績を持つ。
2006年5月、ウォークスルー型耐火スクリーン装置の特許をマレーシアで登録している。
出典:https://www.obayashi.co.jp/
SHIMIZU CORPORATION(清水建設)
1804年創業の日本の大手総合建設会社。1970年代に東南アジアへ進出し、1982年にクアラルンプールへマレーシア支店を設立している。ISO 9001:2015、OHSAS 18001:2007、ISO 14001:2015の認証を取得している。
ビル建設・設計、エンジニアリング、土木工事、グリーンビルディングコンサルテーション、不動産開発などを中核事業とする。2015年5月には、同社と西松建設、マレーシアのUEMB社及びIJM社との共同企業体で進めていた東南アジア最長の「パハン・セランゴール導水トンネル」が竣工している。
国内では、工場や商業ビル、コンドミニアム建設の実績が多数ある。工場としては、GSペーパーボード&パッケージング工場拡張(2021年2月完成)、明石機械工業工場拡張(2020年4月完成)、ファナック メカトロニクス新倉庫(2019年10月完成)、パナソニック新工場(2018年5月)などを手掛けている。
出典:https://www.shimz-global.com/my/en/
TAISEI CORPORATION (大成建設)
1873年創業の日本の大手総合建設会社で、1982年に営業所をクアラルンプールに開設している。
マレーシア国内では、クアラルンプール国際空港等のインフラ整備の他、複合商業施設、工場、倉庫などの建設を手掛ける。またこれらの経験から、国内で様々な施設建設の他、リニューアル工事、エンジニアリングサービス、工場用土地の斡旋などのサービスも提供する。
設計においては、ビルディング・インフォメーション・モデリングを推進しており、建物のLEED-NC取得支援も行っている。また、生産施設のスマート化にも対応している。
国内実績としては、マレーシア日通シャーアラム・ロジスティクスセンター( 2020年竣工)、マレーシアみずほ銀行内装工事( 2011年竣工)、ケダ州の下水処理場建設工事(2009年)、サラワク大学建設(2006年竣工)などがある。
出典:https://www.taisei-techsolu.jp/solution/o_malaysia/
KAJIMA (Malaysia) Sdn Bhd(鹿島建設)
1840年創業の日本の大手総合建設会社。マレーシア進出は1989年で、クアラルンプール本社の他にペナンとセランゴール州シャーラム、ジョホールにオフィスを構える。
建設と設計を事業とし、商業施設や工場、宿泊施設、インフラ建設を手掛ける。同社の設計・コンサルティングサービスは、予備サービス、コンセプト設計、設計開発、建設工事書類、監督、維持管理が含まれる。
主な実績としては、イオン・シャーラム(2015年完成)や東洋タイヤ製造工場フェーズ2(2013年完成)、PTP倉庫(2017年完成)、セランゴール州のロジスティックスハブ(2018年完成)、日本ライフライン製造工場(2019年完成)、イケア・ペナン(2019年完成)、イオン・ニライ(2019年完成)などがある。
ISO 14001:2015、ISO 45001-2018、ISO 9001:2015の認証を取得しており、2018年には人的資源省の労働安全衛生部より「建設部門の国家安全賞」を受賞している。
出典:https://www.kajima.com.my/
HAZAMA ANDO CORPORATION(安藤・間)
2013年に間組が安藤建設を吸収合併した日本の大手総合建設会社。1983年5月にアンドウマレーシアが設立されており、現在はアンドウマレーシアとハザマアンドウマレーシアが連結子会社となっている。
マレーシア国内では工場や商業施設、インフラ建設などを手掛けている。スンガイキンタダム(2006年竣工)やシーゲート基板工場(2008年竣工)、ケアハートアソシエーション・チャリティー施設(2010年竣工)、パハン・セランゴール導水プロジェクト・ロット1-3A(2014年竣工)などの実績を持つ。また、イオン・ワンサマジュ店・クラン店、イポー店は同社が手掛けている。
1997年に竣工したペトロナスツインタワーではタワー1の建設を請け負い、施工性、経済性、居住性を重視し、高強度コンクリートを使用した鉄筋コンクリート造としている。
出典: https://www.ad-hzm.co.jp/
マレーシアの主要建設企業3選〜外資系企業編〜
Leighton Contractors (Malaysia) Sdn Bhd (レイトン・コントラクターズ・マレーシア)
香港に本社を置く大手国際建設会社で、トンネルや鉄道、道路といったインフラストラクチャ整備、再生可能エネルギー、ビル建設などを主な事業とする。
マレーシア法人はクアラルンプールを拠点として、長距離鉄道のインフラストラクチャ整備や住宅・商業施設の建設を手掛けた実績を持つ。
マレーシア鉄道公社の近代化プログラムにおいては、イポーからパダン・ブサール間の複線電化プロジェクトで417kmの既存の線路を解体し、759kmの新しい線路を敷設している。国際基準の建設品質により、列車は時速160kmでの走行を可能としている。また、イポーからラワン間の複線電化プロジェクトも同社が請け負っている。
この他に、パハン州とセランゴール州、クアラルンプール、ペラ州、ケダ州、プルリス州、パハン州において教師向け宿舎として1万戸を建設し、敷地内におけるアパート建設、道路工事、造園などを手掛けている。
出典: https://www.leightonasia.com/
SAMSUNG C&T (KL) SDN BHD (サムスンC&T)
韓国の大手総合建設会社であるサムスン物産のマレーシア法人。クアラルンプールを拠点として、建物や土木インフラ、工場、住宅などの建設を手掛ける。
1997年に竣工したペトロナスツインタワーではタワー2の建設を請け負い、全98フロアの建設を28ヵ月で完了している。また、2019年の発表では、同タワーの横に建設している「スター・レジデンス」も同社が手掛けており、レジデンス・ビルとしてはマレーシアで最も高層となる。3つのタワーとリテールハブで構成されており、タワーは58階建てと57階建て、リテールハブは6階建てとなっている。本プロジェクトでは、26人の現場スタッフの内16人がマレーシア人であり、建設、企画、品質、電気設備の4つのチームのマネージャーはマレーシア人社員となっている。
さらに、同地域では2016年2月に着工した「サプラ本社」と、2019年7月に受注した「ペトロナス・ポウディアム」といったプロジェクトが進行中となっている。
出典: http://www.samsungcnt.com/eng/index.do
CRCC Malaysia Bhd(CRCCマレーシア)
CRCCマレーシアは、鉄道や高速道路、空港、住宅、地方自治体工事、都市交通などの分野で世界をリードする中国大手の建設会社である中国鉄建股份有限公司のマレーシア法人となる。
2017年時点での発表では、同社が1993年にマレーシアへ進出して以来、鉄道や高速道路、住宅の分野で20を超えるプロジェクトを手掛けていることが示されている。
2017年10月には、クアラルンプールのライトレールプロジェクトと、クアラルンプール中央高速鉄道輸送プロジェクトを落札、契約額は165.9億元、期間は36ヵ月となっている。同年12月には、契約額が約2億1,400万ドルとなるクアラルンプールM101スカイホイールホテル・オフィスビルプロジェクトの受注している。これは、高さ316mの複合ビル開発で、220mの大観覧車、空中ショッピングモールなどを擁するものとなっている。
また、高さ343mを誇るマレーシアフォーシーズンズホテルも、同社が手掛けた案件となっている。
出典: https://www.hays.com.my/
クアラルンプール在住4年目の日本人。大学卒業後、東京で飲料メーカーの営業を担当。その後、マレーシアのクアラルンプールへ移住し食品商社の営業及び購買のサポートを担当。