台湾の製薬・バイオテクノロジー業界は、2025年も急成長を続けており、主要企業の売上や新技術開発が市場を牽引しています。現地クラスターや最新法規制、グローバル展開企業の動向を徹底解説。日本企業が台湾市場でビジネスを拡大するための最新情報と成功のヒントをお届けします。
今回は、台湾の主要バイオテクノロジー・製薬会社に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて14社を厳選してお届けしていきます!
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台湾の主要バイオテクノロジー・製薬会社8選〜ローカル編〜
晟德大藥廠(センターベンチャーズ)
晟德大藥廠は1959年に設立された台湾の製薬会社で、特に内服液剤の分野で高い市場シェアを誇る。2025年第一四半期の財務報告によると、同社の医薬事業はコロナ禍の影響を克服し、爆発的な成長を遂げており、2023年の年間売上は約90億元に達し、前年比20%の成長を見込んでいる。毛利率は54%、純利益率は36.6%で、経営は非常に健全だ。晟德は2023年に益生菌大手の豊華生技を合併し、グループ全体の売上は9.9億元、年成長率は83%に達した。財務面では現金残高が約33億元、負債比率は29%と安定しており、2018年の売上216億台湾ドルから大幅に拡大している。
晟德の競争力の源泉は、1998年に林榮錦会長が経営を引き継いでからの内服液剤専門製造への特化にある。高度な技術プラットフォームと処方研究、分析能力を駆使し、液剤製品の多様化を推進、台湾市場で70%以上のシェアを確保している。さらに精神・神経科用薬の開発や生技育成プラットフォームの構築にも注力し、台湾最大の内服液剤専業製薬工場へと成長させた。晟德は生技医薬品の研究開発と製造を両輪に据え、政府の生技医薬産業発展政策の下で国際市場への展開も加速している。
今後は、転投資先の豊華生技をはじめ、東曜、永昕、建誼などの子会社が2024年以降に黒字化を見込み、GLP-1関連の減量薬開発にも注力している。晟德は積極的な設備投資と国際提携を通じて製品の市場シェア拡大を目指し、ESG対応の氷素エネルギー分野にも投資を進めている。安定した現金流を背景に、今後も生技分野への戦略的投資を継続し、台湾を代表する生物医薬品企業としての地位を強化する計画だ。
出典:https://www.centerlab.com.tw
葡萄王生技(グレープキングバイオ)
葡萄王生技は1969年に設立された台湾を代表するバイオテクノロジー企業であり、2024年のグループ連結売上高は約111億台湾ドルに達している。直近5年間で着実な成長を続けており、2024年は前年比4.9%の増収となった。主力事業は台湾本社による自社ブランド商品の開発・販売、ODM・OEM事業、直販子会社「葡眾」による会員制販売、さらに中国市場では上海葡萄王が現地生産とODM・OEMを展開している。2024年は上海葡萄王と葡眾が大きく伸長し、グループ全体の成長を牽引した。
品質管理面ではPIC/S GMP、ISO22000、HACCP、NSF GMP、TQF、HALAL、FSSC22000、ISO/IEC TAF17025など国際的な認証を取得し、TFDAやマレーシアGMPにも準拠している。これにより製品の安全性と信頼性が高く評価されている。研究開発では、台湾特有の真菌「樟芝」を用いた新薬GKACの開発を進めており、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)治療薬として米国FDAの第2相臨床試験に進んでいる。樟芝の有効成分は肝機能改善や肝硬変・肝癌の予防効果が臨床で確認されており、同分野で世界初の植物由来医薬品となる可能性が高い。
また、2024年には自社開発の「瘦瘦菌」(プロバイオティクス)の量産化にも成功し、1グラムあたり1兆AFUという高濃度での生産技術を確立した。これらの革新的な取り組みを通じて、葡萄王生技は台湾バイオテクノロジー業界のリーダーとして、健康食品・医薬品分野で国内外の市場拡大を続けている。今後も「健康の専門家、全ての人をケアする」という企業理念のもと、研究開発と国際展開を強化し、より豊かな生活の実現に貢献していく方針である。
出典:https://www.grapeking.com.tw/tw/home
龍燈環球農業科技(ロータム)
龍燈環球農業科技は、2012年4月に台湾証券取引所に上場し、証券コード4141で取引されていたが、2022年5月に米国Albaugh LLCによる買収を経て上場廃止となった。グループの前身は1950年代に台湾で設立された製薬・農薬事業に遡り、1987年に香港で「龍燈」ブランドとして国際展開を開始、現在は本社を香港に置き、世界65カ国以上に事業を展開している。台湾子会社である台灣龍燈股份有限公司は1964年設立の公泰股份有限公司を前身とし、2012年の買収後は殺菌剤、殺虫剤、除草剤、植物成長調節剤、作物栄養製品など幅広い農業用化学品を供給している。
龍燈環球は、作物保護剤(殺虫剤・殺菌剤・除草剤)が売上の9割以上を占め、植物栄養剤や動物用医薬品も手掛けている。2020年には台湾で動物用医薬品や飼料添加物、動物健康製品を専門とする龍燈動物生技股份有限公司を設立し、畜産分野への事業拡大も進めている。同社は中国・江蘇省や昆山などに主要生産拠点を持ち、グローバルな生産・販売体制を構築。2020年時点でグループの年商は100億元を超え、世界の農薬市場においてもトップ10に入る規模を誇る。
研究開発面では、特許切れ農薬のジェネリック製品や新規混合剤開発に注力し、毎年100件以上の製品登録・薬証を世界各国で取得している。販売地域は中国、ラテンアメリカ、欧州、北米、アジアなど多岐にわたり、2020年の地域別売上比率は中国32%、ラテンアメリカ30%、欧州15%、北米14%、その他9%となっている。また、各国の農業シーズンの違いを活用した生産・販売戦略により、年間を通じて高い稼働率とコスト競争力を維持している。
台湾市場では、農薬・肥料だけでなく、外資系メーカーや国内バイオ企業の製品代理販売も手掛けている。今後はAlbaughグループの一員として、グローバルな農業化学品市場でのシェア拡大と、動物用医薬・バイオ製品分野での事業強化を目指している。
出典:https://www.rotam.com.tw/about-rotam
大江生醫(TCI)
大江生醫は1980年に設立され、台湾・台北市内湖科学園区に本社を構えるCDMO(委託研究開発製造サービス)企業である。2011年にODMからCDMOへと事業転換し、2013年には台湾証券取引所に上場した。2025年現在、従業員は約1,150人、グループ全体で67カ国に事業展開し、17,500社以上の顧客にサービスを提供している。売上高は2024年通年で約66億台湾ドルとなり、中国市場の規制強化や新型コロナウイルスの影響で一時的な減収が見られたものの、欧米や東南アジア市場への進出と大型国際顧客の獲得によって成長基盤を維持している。
同社は「生物統合設計」をコア理念とし、化学・生物・遺伝子・工学・行動科学など多分野の知見を融合した独自の製品開発力を有する。特許と商標の保有件数は2,600件超、国際的な受賞歴も360件を超え、研究開発投資を強化し続けている。主要製品は機能性飲料、サプリメント、フェイスマスク、錠剤、カプセル、スキンケア製品などで、特に液体製品の割合が高く、2024年には全体の63%を占めている。
2025年の成長戦略として、体重管理(GLP-1分泌促進サプリ)、骨関節保健(TCI-666軟骨素益生菌)、美容保養(バナナ花・紅藜由来の美肌素材など)の三大製品領域に注力している。GLP-1関連製品は台湾・日本・ベトナムでの特許取得や機能性表示認証を進め、世界市場での拡大を目指す。骨関節保健分野では、腸内で軟骨素を自生させる革新的なプロバイオティクスの開発が進行中である。
また、AIや自動化技術を活用したスマート工場化、ESG(環境・社会・ガバナンス)経営、グリーン電力の導入などサステナビリティにも積極的に取り組んでいる。今後は台湾・屏東に臨床研究センターを新設し、研究開発体制をさらに強化する計画である。
出典:https://www.tci-bio.com/zh-tw
中國化學製藥(CCPC)
中國化學製藥は1952年に設立された台湾の大手製薬会社であり、2018年の売上高は75億台湾ドルに達している。近年、同社は革新と研究開発に注力し、原料医薬品(API)やジェネリック医薬品の分野で高い競争力を持つ。特にグローバル市場への参入を目指し、グループ内外のリソースを垂直統合することで、ハイテクノロジーを活用した高付加価値製品の開発を推進している。近年は米国FDAの505(b)(2)申請制度を活用した新規製品開発にも成功しており、既存薬の改良や新規剤型の開発を効率的に進めている。505(b)(2)申請は既存のデータを活用しつつ、新たな臨床試験や改良を加えた医薬品の迅速な上市を可能にする制度であり、グローバル展開において重要な戦略となっている。
台湾製薬業界全体としても、近年は中国や米国、欧州市場への進出が加速しており、特に高付加価値のバイオ医薬品やジェネリック医薬品の開発が活発化している。中國化學製藥もこうした潮流の中で、研究開発力と生産体制の強化、品質保証体制の国際標準化を進めている。今後は、台湾国内市場のみならず、中国やアジア諸国、欧米市場での新薬・ジェネリック医薬品のシェア拡大を目指し、グローバルな医薬品サプライヤーとしての地位を一層強化していく方針である。
出典:http://www.ccpc.com.tw
永信藥品(ヨンシンファーム)
永信藥品は1965年に工場を設立し、台湾でGMP制度が未導入の時代から、会計制度による厳格な品質管理と製造プロセスの正確な実行を徹底してきた。1974年には東南アジア諸国への輸出を開始し、現地に支店を設立するなど早期から国際展開を進めている。1986年には台湾で初めて全製品が一度にGMP認証を取得し、2004年には全工場がcGMP三段階認証に合格、台湾初の快挙を達成した。その後、製剤の輸出拡大に伴い、米国FDAの査察にも合格し、アジアで初めて米国市場に進出した中華系製薬工場となった。2007年には日本の厚生労働省認証を取得し、2009年には台湾初のPIC/S GMP認証も獲得している。
現在、永信藥品は台中市大甲区の幼獅工業区に主要生産拠点を持ち、三つの工場で人用・動物用医薬品、注射剤、診断試薬、機能性食品、漢方製剤、化粧品など多様な製品を製造している。各工場はGMP、cGMP、PIC/S GMP、米国FDA、日本PMDA、カナダHealth Canadaなど国際的な認証を多数取得し、品質と安全性で高い評価を得ている。また、ISO/IEC 17025認証の検査室を有し、食品や医薬品の微生物検査でも台湾業界をリードしている。
近年は、重症感染症治療薬や抗腫瘍剤、バイオ医薬品など高付加価値製品の開発に注力し、国内外の市場で積極的な展開を続けている。アメリカ、日本、中国、マレーシアなどに製造所や営業拠点を持ち、グローバルな事業体制を構築している。永信藥品は「提供最佳的藥品,增進人類的健康」を理念に掲げ、品質・信頼性・国際競争力を強みに、台湾を代表する総合製薬企業として成長を続けている。
出典:https://www.ysp.com.tw
美時化學製藥(ロータス)
美時化學製藥股份有限公司(Lotus Pharmaceutical)は1966年に設立された台湾を代表するグローバル製薬企業であり、2025年第一四半期の連結売上は47.3億台湾ドル、前年同期比13%増と過去最高を記録している。主力市場はアジアと米国で、特に東南アジア市場の成長率が著しく、2025年第一四半期にはタイ市場で前年比約480%、ベトナム市場で約750%の成長を達成した。売上構成はアジア市場が55%、輸出市場が45%を占め、米国では血液がん治療薬Lenalidomideの販売が堅調に推移している。毛利率は61.6%と高水準で、営業利益率も36%に達し、収益性の高さが際立っている。
美時は中枢神経系、心血管疾患、がん、女性の健康、生活習慣病など幅広い領域に高付加価値の医薬品を展開し、錠剤、カプセル、ソフトカプセルなど多様な剤型を提供している。特にがん領域では高い技術力を持ち、非小細胞肺がん、前立腺がん、大腸がん、腎臓がん向けの高活性薬物をソフトカプセル化するなど、アジアの学名薬メーカーとして独自性を発揮している。
2014年から米国Alvogenグループの一員となり、グローバルなR&Dと製造ネットワークを活用し、米国、欧州、日本、中国、ブラジルなど主要市場で100以上のプロジェクトと250超の商業化製品を展開している。美時は台湾唯一の米国FDA、欧州EMA、日本PMDA、中国NMPA、ブラジルANVISAの認証を同時に取得した製薬企業であり、国際的な品質基準と供給体制を確立している。
研究開発では新薬(NCE)、505(b)(2)製品、複雑学名薬、生物相似薬など多様なパイプラインを持ち、現在進行中の共同開発案件も42件に上る。2025年以降もがん・免疫疾患を中心に高付加価値医薬品の開発とグローバル市場拡大を加速する方針である。
出典:https://www.lotuspharm.com.tw
友華生技醫藥(オリエントユーロファーマ)
友華生技醫藥は1982年に設立され、2003年に台湾証券取引所に上場した総合製薬企業である。当初は西洋医薬品の代理店としてスタートしたが、現在は医薬品の革新、研究開発、製造、販売、臨床試験などを一貫して手掛ける垂直統合型の多国籍企業へと成長している。2023年時点の連結売上高は50億台湾ドルを超え、従業員数は約1,000人、うち海外従業員が40%を占める。事業構成は西薬品・医美品が53%、栄養保健品が47%となっている。
医薬品分野では心血管疾患、代謝疾患、呼吸器、中枢神経、眼科、男性医療、がん、希少疾患など幅広い領域をカバーし、慢性疾患処方薬やがん治療薬の開発・販売に強みを持つ。特に学名薬(ジェネリック)や505(b)(2)新薬、抗体薬物複合体(ADC)、希少疾患薬の投入を強化しており、米国FDA承認の新薬工場を2カ所保有するほか、台湾では複数の新薬や注射剤の上市が進んでいる。
近年は中国市場の縮小を受け、台湾、米国、東南アジアでの事業拡大に注力している。米国市場ではジェネリック医薬品Ezetimibeが上市され、既存製品と合わせて米国シェアを拡大中である。希少疾患薬の代理・販売にも力を入れており、イタリア企業との提携で台湾、香港、東南アジアにおける独占販売権を獲得、今後も新規薬品の導入を進めている。
また、ニュージーランドの乳製品メーカーと提携し、カロタニー(Karihome)ブランドの乳児用粉ミルクを中国、香港、マレーシア、シンガポールなどで展開するなど、国際ブランド戦略も推進している。医美事業では欧州の医療グレード化粧品を取り扱い、ヘルスケア分野全体で多角的な成長を図っている。
出典:https://www.oepgroup.com/zh-TW
台湾の主要バイオテクノロジー・製薬会社3選〜日系編〜
台湾武田薬品(タケダ)
台灣武田藥品工業股份有限公司は1962年に設立され、資本金は9,000万台湾ドルである。親会社である武田薬品工業株式会社は大阪市に本社を置く日本最大手のグローバル製薬企業で、世界80カ国以上に拠点を展開している。特にアメリカと日本市場で強い存在感を持ち、2025年3月期の連結売上収益は4兆5,815億円、営業利益は3,425億円と過去最高水準を記録した。海外売上高比率は89%に達し、米国が全体の51%、欧州・カナダが23%、日本が18%、新興国が8%を占めている。
武田薬品は積極的なM&A戦略で事業規模を拡大しており、2019年のアイルランド・シャイアー社の買収はその代表例である。この買収により希少疾患領域や血漿分画製剤領域が新たな成長ドライバーとなり、グローバルでの競争力を大きく強化した。研究開発投資も拡大しており、2024年度の研究開発費は7,299億円と国内最大規模で、パイプラインの質と量の両面で世界有数の体制を構築している。
重点領域は「がん」「希少疾患」「ニューロサイエンス」「消化器」の4つで、潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンタイビオ」や希少疾患薬「TAKHZYRO」、血友病治療薬「アドベイト」などがグローバルで高い売上を維持している。台湾市場においても、医療用医薬品を中心に高品質な製品を提供し続けており、2022年には一般用医薬品(OTC)事業をアリナミン製薬の台湾現地法人に譲渡し、医療用医薬品に特化した事業体制へと再編している。
出典:https://www.takeda.com/zh-tw/
台灣安斯泰來(アステラス)
台灣安斯泰來製藥股份有限公司は、2005年10月1日に台灣山之內製藥股份有限公司と台灣藤澤藥品工業股份有限公司が合併して誕生した日系グローバル製薬企業である。両社は合併前から台湾市場で40年以上の歴史を持ち、優良な医薬品の提供を通じて台湾医療の発展に寄与してきた。
アステラスの社名は、ラテン語の「stella」、ギリシャ語の「aster」、英語の「stellar」に由来し、「大志の星」「先進の星」を意味するとともに、「明日を照らす」という日本語の意味も込められている。シンボルマーク「フライングスター」は、未来へ飛躍する星を表現している。
本社は東京都中央区日本橋本町にあり、グローバルでは80カ国以上にビジネスを展開している。日本国内では武田薬品工業、大塚ホールディングスに次ぐ売上規模を持ち、2020年の売上高は119億米ドルで日本第3位の製薬会社となっている。台湾法人は主に医療用医薬品の専門的な販売を担い、病院向け売上が全体の約90%を占めている。
経営理念としては、最先端かつ信頼性の高い医薬品を台湾からアジア全体へ供給し、顧客・従業員・社会・株主など全てのステークホルダーから信頼される企業を目指している。また、企業倫理や顧客志向、創造性の発揮、競争力、適正な利益の追求を信条として掲げている。
台湾安斯泰來は、合併による製品ラインの補完と研究開発力の強化を武器に、台湾医薬品市場での存在感を高めており、今後も人々の健康と豊かな生活に貢献し続ける方針である。
出典:https://www.astellas.com/tw/zh-hant/
台灣田邊製藥(タナベ)
台灣田邊製藥股份有限公司は1962年に創立され、日本の田辺製薬にとって海外初の子会社として設立された。現在は三菱ケミカルグループ傘下の田辺三菱製薬株式会社のグループ企業であり、台北市南港区に本社を、1987年からは新竹県湖口郷にGMP認定工場を構えている。同工場では台湾国内向けの医療用医薬品のみならず、日本市場向けの製品も製造しており、高い品質管理と自動化・科学化された生産体制を維持している。2012年にはPIC/S GMP認証も取得し、台湾国内での医薬品製造における信頼性と競争力を高めている。
田辺三菱製薬は1678年創業の日本を代表する製薬企業であり、2007年には三菱ウェルファーマと合併して現在の体制となった。グローバルに子会社を展開し、医療用医薬品を中心に研究開発・製造・販売を行っている。近年の田辺三菱製薬は、中枢神経、免疫炎症、糖尿病・腎、ワクチン領域に注力し、米国やアジアを含む海外市場での成長を重視している。
台湾田邊製薬は、台湾市場への新薬投入を継続し、循環器や代謝、自己免疫疾患など幅広い領域で医療用医薬品の供給を強化している。また、学術活動や中日間の医療分野での交流にも積極的で、台湾の医療水準向上に貢献している。2023年には年商20億台湾ドルを突破し、従業員数は約190人となっている。台湾で製造機能を維持する数少ない日系製薬企業として、今後も高品質な医薬品の提供と地域医療への貢献を続けていく方針である。
出典:http://www.tanabe.com.tw
台湾の主要バイオテクノロジー・製薬会社3選〜外資系編〜
葛蘭素史克藥廠(グラクソ・スミスクライン)
葛蘭素史克(GlaxoSmithKline, GSK)は、イギリス・ロンドンに本社を置く世界有数のグローバル製薬企業であり、現在は生物製薬分野に特化したリーディングカンパニーである。世界112カ国以上に事業拠点を持ち、英国、米国、欧州、中国などに大規模な研究開発センターや生産施設を展開している。
GSKは医薬品、ワクチン、消費者向けヘルスケア製品の研究開発と製造に注力しており、特に感染症、HIV、呼吸器・免疫・炎症、腫瘍領域のスペシャリティ医薬品に強みを持つ。2025年第1四半期のグループ総売上は75.2億ポンド(前年同期比+4%)で、HIV、腫瘍、呼吸器・免疫・炎症領域の成長が全体を牽引した。2024年のGSKグループ売上高は314億ポンド(約5兆6,500億円)となっている。
ワクチン分野では、世界で毎日150万回以上のワクチンを生産・供給し、インフルエンザ、帯状疱疹、RSウイルスなどの感染症予防に大きく貢献している。近年は多価髄膜炎菌ワクチン「GSK-3536819」や、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)治療用のmRESVIA(ファイザーと共同開発)が注目されており、mRESVIAは2024年5月に米国FDAの承認を取得した。
GSKはサイエンス、テクノロジー、人材を結集して「疾病に立ち向かう」ことを企業ミッションとし、持続可能な開発目標や多様性・インクルージョンにも積極的に取り組んでいる。また、2025年には米国での研究開発・生産体制強化のため20億ドルの追加投資を発表し、グローバル競争力のさらなる強化を図っている。
台湾法人は40年以上の歴史を持ち、台北市中正区に拠点を置く。台湾市場でもワクチンや呼吸器、がん、HIV関連医薬品を中心に事業を展開し、地元大学との産学連携や人材育成にも力を入れている。
出典: https://tw.gsk.com/zh-tw/
輝瑞大藥廠(ファイザー)
輝瑞大藥廠(Pfizer Inc.)は、1849年にニューヨークで設立された世界最大級のバイオ医薬品企業であり、ペニシリンの量産工程を開発したことで医薬史に名を刻んでいる。現在も「持続的なイノベーションで患者の命を変える」という理念のもと、高品質かつ安全で効果的な医薬品、ワクチン、生物学的製剤の研究開発と製造に注力している。
グローバルでは、2025年の売上高ガイダンスが610億~640億米ドル(約9兆6,000億~10兆円)とされており、COVID-19関連製品を含む多様なパイプラインで収益基盤を維持している。ワクチン分野では肺炎球菌ワクチン、髄膜炎ワクチン、RSウイルスや母子感染症対策など、感染症予防の最先端を担い、がんや希少疾患、自己免疫疾患領域でも革新的な新薬開発を推進している。また、アイルランドのGrange Castleキャンパスなど世界各地に最先端の生産・研究拠点を持ち、バイオ医薬品やワクチンの大量生産体制を強化している。
台湾法人は1962年に設立され、台北市信義区に本社、台中・高雄に事務所、新竹に工場を持つ。台湾の従業員数は約700人で、現地工場は台湾初の外資系製薬工場として設立され、現在は台湾最大級の多国籍製薬工場となっている。台湾法人もグローバル同様、革新的な医薬品やワクチンの提供を通じて医療の質向上と公衆衛生の発展に貢献している。
出典: https://www.pfizer.com.tw
羅氏大藥廠(エフ・ホフマン・ラ・ロシュ)
羅氏大藥廠股份有限公司(Roche)は、スイス・バーゼルに本社を置く世界最大級のバイオ医薬品・診断薬メーカーであり、台湾法人は1967年に設立された。1991年8月には事業拡大に伴い、社名を羅氏大藥廠股份有限公司へと正式に変更し、50年以上にわたり台湾市場に深く根付いてきた。台湾法人は台北市南港区に本社を構え、革新的な医薬品の提供を通じて、台湾の医療現場と患者の健康向上に貢献している。
羅氏大藥廠は、がん、免疫、感染症、眼科、中枢神経系の五大領域に注力し、未だ満たされていない医療ニーズに応えることを企業理念としている。創業以来、精神安定剤、抗パーキンソン薬、抗生物質、干渉素、赤血球生成素、抗ウイルス薬、器官移植用免疫抑制剤、抗がん剤、インフルエンザ治療薬、B型・C型肝炎治療薬、関節リウマチ治療薬など、多くの優れた製品を台湾市場に投入してきた。
近年は、分子生物学やバイオテクノロジーの進展を活かした個別化医療や精密医療にも注力し、特にがん治療分野では分子標的薬や免疫療法などの革新的な薬剤を次々と上市している。2025年には台湾東洋薬品工業と戦略的提携を強化し、がん領域の口腔用分子標的薬「Rozlytrek(羅思克)」などの製品を台湾市場で展開するなど、現地パートナーとの協業も積極的に進めている。
出典: https://www.roche.com.tw/zh/about_roche/pharmatw.html

台北在住の台湾人。日本の東北大学で修士号取得後、7年以上IT企業でマーケティングを担当。デジタルマーケティングと市場分析の専門家として、製品の市場導入とブランド戦略を得意とする。

