今回は、フィリピンの主要不動産デベロッパーに焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて15社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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フィリピンの主要不動産デベロッパー10選〜ローカル編〜
Ayala Land(アヤラ ランド)
フィリピンを拠点とする大手の不動産デベロッパー。財閥のアヤラ・コーポレーションの一部門として始まり、1988年にスピンオフして法人化された。マカティをビジネスシティに開発した歴史を持つ。建設会社のMDCを完全子会社として保有し、大型商業施設や大型セクターの開発・土地開発に強みを持つ。
2020年の年次報告書によると、資本的支出(CAPEX)は637億PHP、収益は963億PHP、当期純利益は87億PHPであった。
同社は最近、MDCが設計・施工を務めるAyala Triangle Gardensのタワー2プロジェクトにおいて、米国コンクリート学会フィリピン支部とフィリピン建設業者協会からの評価により高層構造部門でフィリピン初の優秀コンクリート建設賞を受賞した。
その他にもASEAN CAPITAL MARKETS FORUM 2019においては、フィリピン国内でTop3に、またASEANではTop20の企業として表彰されている。
出典: https://www.ayalaland.com.ph/about-us/
Federal Land(フェデラル ランド)
1972年に設立された大手不動産デベロッパー。大手銀行「メトロバンク」を中核とした大手コングロマリット企業「GT Capital Holdings」傘下の大手不動産開発会社であり、マニラを中心とした全国各地に高品質なコンドミニアムや高層商業ビルを提供している。
2020年の年次報告書によると、年間総売上高は93億PHPで、2019年の132億PHPからの急激な減少を阻止した。連結純利益は6億2400万PHP(2019年は16億PHP)、予約売上高は142億PHP(2019年は242億PHP)であった。一方、経常賃貸収入は、開発者の商業用不動産の新規テナントに牽引されて、期間中に17%増加し18億PHPとなった。
同社は、野村不動産開発株式会社、三越伊勢丹ホールディングス株式会社の合弁会社としてサンシャインフォートノースボニファシオ不動産開発株式会社を設立し、総合開発を行ったプロジェクトにて、International Property Awards Asia-Pacificで、フィリピンのベストレジデンシャル高層開発における5つ星を受賞した。
出典:https://federalland.ph/about-us/
SM Prime(エスエム プライム)
1994年に設立された、国内第2位の総合不動産開発会社であり、国内最大のコングロマリット「SMインベストメンツ」グループの大手デベロッパー。モール、住宅、オフィス、ホテル等の開発により、革新的で持続可能なライフスタイル都市を提供しており、現在、マニラ首都圏の内外に76のモールと中国に7つのショッピングモールを有する。
2020年の年次報告書によると、帰属純利益は180億PHPで、2019年の380.9億PHPより53.2%減少した。連結売上高は、2019年の1,183億PHPから30.8%減少して819億PHPとなった。
2021年、同社は設備投資に800億PHPを用意し、検疫措置が緩和され、人々の安全に最大限の配慮が払われることを条件に、フィリピンに3つの新しいモールをオープンする予定。これに伴い、パンデミックのなかで前年同期の成長を維持しつつ、主要住宅事業セグメントであるSMデベロップメントコーポレーション(SMDC)を中心に15,000〜20,000戸の住宅を立ち上げることを目指す。
出典:https://www.smprime.com/corporate-profile
Robinsons Land Corp(ロビンソンズ ランド コープ)
1980年に設立された、フィリピンを代表する不動産および不動産開発会社の1つ。建設事業とガス配送を主に行う大手建設企業。JGサミットホールディングの不動産部門として、多目的不動産、オフィスビル、住宅用マンション、および主要都市や都市に位置する社会化住宅プロジェクトを含む土地および不動産開発を全国で行っている。ショッピングモールやホテルの開発と運営も主導している。
2020年の年次報告書によると、収益は254億PHPで、2019年の305億PHPより17%減少した。当期純利益は、2019年の86億PHPから39%減少して52億PHPとなった。
最近では第16回BCIアジアアワードで、国のトップ10開発者の1つとして表彰された。同社はこの賞をほぼ10年間一貫して受賞しており、この最近の業績は9回目の受賞となった。
出典: https://www.robinsonsland.com/
Megaworld(メガワールド)
1989年に設立された大手不動産デベロッパー企業。住宅、商業、教育、レジャー施設を含む、大規模な多目的計画都市を開発している。不動産の開発、リース、マーケティングに従事し、マニラ首都圏やセブシティの開発に強みを持つ。
2020年の年次報告書によると、連結売上高は435億PHPで、うち不動産販売は249億PHPであった。当期純利益は、106億PHPとなった。Covid-19のパンデミック下に一部のプロジェクトを延期し、業務を合理化することで設備投資を削減したことで、影響を最小限に抑えることができた。
同社は今後5年間で賃貸収入ポートフォリオをさらに強化するために、全国で21のオフィスおよび商業用の主要プロジェクトに、不動産投資信託(REIT)収益を使用して資金を提供する。また、今年、事業セグメント全体で19のプロジェクトを完了するための建設活動を強化している。
出典:https://www.megaworldcorp.com/company
Vista Land and Lifescapes(ヴィスタ ランド アンド ランドスケープス)
2007年に設立されたフィリピンを代表する総合不動産開発業者の1つであり、フィリピン全体で最大の住宅建設業者。49の州と147の市町村に40万戸以上の住宅を建設し、セブ市があるビサヤ地方、ダバオ市があるミンダナオ地方等、地方都市の低価格住宅の開発に特に強みがある。
2020年の年次報告書によると、連結売上高は327億PHPで2019年度の444億PHPから26%減少している。また、不動産販売収益は218億PHPで、当期純利益は2019年度の116億PHPから約半減し、64億PHPとなった。COVID-19のパンデミックにもかかわらず、特に商業事業において回復力を示し、賃貸収益は7%しか減少せず、プロジェクトを迅速に立ち上げられたのが要因である。
同社の最新の発表によると、リース事業と住宅事業の両方で回復の兆しも見られ、住宅の予約販売の増加傾向は持続し、COVID以前の70%程度になっている。また売上の55%から60%を占める海外フィリピン人労働者(OFW)からの送金は246億米ドルに達し、2021年は明るい見通しである。
出典:https://www.vistaland.com.ph/about-us/vista-land/
Empire East(エンパイア イースト)
1994年に設立された不動産デベロッパー。1994年に大手不動産デベロッパー企業のMegaworldの一部門が、高級住宅およびオフィス事業を低・中所得層の住宅事業から分離する目的で分割。分譲マンション、住宅・区画パッケージ、および商業用ユニット販売で、中価格の住宅プロジェクトの開発とマーケティングに取り組んでいる。主力製品は、マニラ首都圏の中・高層のマンションタワーから、一戸建て住宅まで至る。
2020年の年次報告書によると、純利益が5億2490万PHPとなった。予約売上高が9%近く増加し、2019年時点での予想より3億PHP増加した。
同社は2020年、アジア企業の卓越性と持続可能性(ACES)賞でMORSグループに認められたアジアで最も業績の良い企業の1つとして表彰された。この賞は、サービスを提供するコミュニティへの持続可能性の影響や継続的な製品イノベーションなど、前年比で経済成長を遂げている企業に授与される。
出典:https://empire-east.com/about/company
Filinvest Land(フィリンヴェスト ランド)
1989年に設立した不動産デベロッパー企業。ビサヤ地方、ミンダナオ地方などフィリピン中南部での開発に強みを持ち、3,000ヘクタール以上の土地を16万世帯以上の住宅に発展させた歴史を持つ。住宅地域から、タウンシップの構築、中層および高層マンション、BPOハブ、オフィスビル、ショッピングセンター、レジャー開発など、全国の50の主要分野で250以上の開発を行っている。
年次報告書の財務ハイライトによると、同社の2020年の売上は174億PHP(2019年は256億PHP)、当期純利益は39億PHP(2019年は65億PHP)となっており、いずれも減少している。一方でパンデミックの中でオフィスリース事業は最も回復力があり、2019年から8%成長した。
最近では第16回BCIアジアアワードで、2020年と2021年の国のトップ10開発者の1つとして表彰された。この賞は、地域の建築業界で最も著名な賞の1つであり、地域全体の主要な設計および開発企業の貴重な貢献を評価された。
出典:https://www.filinvestland.com/our-company/company-background
DMCI Homes(ディーエムシーアイ ホームズ)
1995年に設立された、50年以上の歴史を誇る老舗デベロッパー。ODAによる道路建設や、低層コンドミニアム、ヴィラ、宅地の分譲、高級ホテルなど幅広い分野を手掛ける。
親会社であるDMCI Holdings Inc.の2021年の第一四半期の報告書によると、DMCI HomesとSemirara Mining and Power Corp.(SMPC)が同期間中に優れた業績を上げたため、第1四半期の収益が2020年の6億1600万PHPから43億PHPに590%増加した。
同社は今年、ケソンシティに新住宅エリアである【The Oriana】を建設するために105億PHPを投資する。The Orianaはビジネスセンターや一流大学に近い有利なロケーションにあるため、成長が見込める活気に満ちたケソンシティ地区に興味がある一般消費者と投資家を引き付けることを目指している。
出典:https://www.dmcihomes.com/about-us
Century Properties(センチュリー プロパティズ)
1986年に設立された、不動産開発、マーケティング、およびプロパティマネジメントサービスに携わる不動産会社。パシフィックスタービルディング、リビエラゴルフ&カントリークラブ、アジアンホスピタル・メディカルスイーツといったランドマークを始めとする47以上の巨大プロジェクトを手掛けるマンション開発に強みを持つ。
2020年の財務報告書よると、連結売上高が108.4億PHP、純利益が11億5000万PHPで、それぞれ前年度比で24.3%と22.2%減少したと発表した。しかし、手頃な価格の住宅およびオフィスリース事業に下支えされ、Covid-19のパンデミック下にありながら妥当な利益を生み出した。
Philippines Property Awards 2018において、Trump Tower PhilippinesがBest Luxury Condominium Development in the Philippinesに選出されたほか、数多くの受賞経歴を持つ。
出典:https://www.century-properties.com/about-us/
フィリピンの主要不動産デベロッパー3選〜日系編〜
阪急不動産
1947年創業の、大阪に本社を置く大手総合不動産企業。阪急阪神東宝グループの一員で阪急阪神ホールディングスグループ内の不動産事業を展開する中核会社。
フィリピンにおいては住宅デベロッパーであるPA アルバレス プロパティーズ(が推進するフィリピン・カビテ州ダスマリニャス市における戸建分譲住宅事業を推進している。
このプロジェクトは、阪急不動産にとってフィリピンでの初の住宅事業であり、ベトナム・タイに続く3カ国目の海外進出となった。
「イデシア ダスマリニャス フェーズ2」(997戸)、「イデシア リパ」(1,154戸)は2019年初に着工、2021年竣工と予定されている。
また第5号の「イデシア サンホセデルモンテ」は、ブラカン州サンホセデルモンテ市で開発される。同市やマニラ中心部(マカティ市、オルティガス地区)への通勤者が多いエリアである。商業施設や市役所のあるサンホセデルモンテ市の中心部に近く、利便性の高い立地でもある。
出典: https://www.hhp.co.jp/services/global/
三井不動産
1941年に設立された、東京都に本社を置く総合不動産会社。戦後一貫して不動産業界において日本国内売上1位に君臨している。
同社は海外事業を成長分野の一つに位置づけ、東南アジアではタイ、シンガポール、マレーシア、インドネシアでも住宅事業を推進している。
フィリピン国内においては、ロペス財閥系不動産デベロッパーであるRockwell Landと合同でメトロマニラケソン市において分譲住宅事業「The Arton」(総戸数1,706戸)に参画している。
本事業は約1.8haの広大な敷地に、3棟構成で総戸数1,706戸の分譲住宅とRockwell Landが運営予定の商業施設が隣接する大規模複合プロジェクトである。フィリピン大学・アテネヨ大学・ミリアム大学の3つの名門大学に近接しており、病院や高度研究機関が立地し住宅需要が高まっている有望なエリアに位置する。グループ初となるフィリピン共和国での事業で、総事業費は86億PHP、同社グループは20%の事業シェアとなる。
出典: https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2017/0724_01/
野村不動産
1957年に設立された、野村證券系の総合不動産会社。中間持株会社である野村不動産ホールディングス株式会社の直接の完全子会社である。
フィリピン国内においては、大手不動産会社のFederal Land Incorporatedと共同で三越直結の複合開発タワーコンドミニアムである【The Seasons Residences】の不動産総合開発を行っている。
この開発では、日本の設計効率とフィリピンの共同体意識を融合させ、耐震技術、簡単なメンテナンスと修理のための沈んだスラブまたは床下排水システム、過剰な湿気と臭いを最小限に抑える空気洗浄タイルなどの日本の住宅技術を応用している点を特徴としている。
同プロジェクトは最近、フィリピン国内においてInternational Property Awards Asia-Pacificで、フィリピンのベストレジデンシャル高層開発における5つ星を受賞した。
出典:https://www.nomu.com/pro/tsr-natsu/
フィリピンの主要不動産デベロッパー2選〜外資系編〜
Shang Properties(シャン プロパティズ)
香港不動産大手「ケリー・プロパティーズ」や「シャングリラ」等を傘
下に持つ、マレーシアに拠点を置くKuokグループの会社。高級物件の開発に強みを持ち、1987年からフィリピンでの不動産投資と住宅開発に進出し、1991年にフィリピン証券取引所(PSE)に上場している。
同社は国内有数の金融地区にある最も有名なオフィスビルの1つであるエンタープライズセンターを所有しているKSA Realty Corporationの70%の株式を保有しており、フィリピンにオープンした最新の5つ星国際ホテルの1つであるフォートのシャングリラの60%の株式を保有している。
2020年の第3四半期のレポートによると、純利益はマンションの売上高が増加したにもかかわらず、49.4%減の4億1,769万PHPとなった。また7月から9月までのマンション販売による収益は20.9%増の14.6億PHPで、賃貸および映画館からの不動産開発業者の収益は、42.2%減少して4億6,840万PHPであった。
出典: https://www.kuokgroup.com/businesses/shang-properties
Rockwell Land(ロックウェル ランド)
1975年に設立した、フィリピンのスペイン系財閥であるLopez Holdingsの不動産部門で、ハイエンドの不動産を中心に開発・販売する大手ディベロッパー。
同社の施設はマニラのロックウェルセンターでよく知られ、住宅地、ワークスペース、ライフスタイル・ハブが一体となった都市開発によって、マニラ首都圏内外の開発に寄与している。また、住宅販売のほか、商業オフィス賃貸やホテル事業も展開している。
2021年の同社株主総会において、住宅事業の力強い回復を背景に2021年上半期の収益が2020年全体の純利益である10億8000万PHPをすでに超えると予想し、より多くのプロジェクトを立ち上げていると述べた。
また同社は最近、Juan D. Nepomuceno Realty Groupと提携し、中央ルソンで初となるパンパンガ州に最初のロックウェルセンターを設立することを発表した。
出典: https://www.e-rockwell.com/about-us/?gclid=CjwKCAjww-CGBhALEiwAQzWxOvYQ-R7yvfGwTMTEPVkJ_XcuYJ_fsdd4UBHndVua9svHFRWZy2X-hRoCQ_UQAvD_BwE
マニラ在住5年目の日本人。法政大学経済学部卒業後、2010年4月よりWeb業界を目指す社会人向けのスクールのインストラクターとして主にコーディングソフトや画像編集ソフトの授業を担当。2015年より海外での生活とキャリア形成を目的に、青年海外協力隊に参加。