今回は、フィリピンの主要電力・ガス会社に焦点を当て、ローカル・外資合わせて15社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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フィリピンの主要電力・ガス会社13選〜ローカル編〜
Aboitiz Power Corporation
1998年に設立。再生可能および非再生可能発電所を運営。電力小売や配電事業など総合的に電力事業を行い、電力関連の子会社を多数所有している。フィリピン1位の発電量を誇る。
2020年の同社の年次報告書によると、収益は2019年の125,635百万PHPから110,377百万PHPに、コア純利益は2019年の16,621百万PHPから12,532百万PHPとなっている。同社の戦略的目標である4,000メガワット(MW)の正味帰属容量を達成し、MWバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)の事前構築および開発活動を行い、バッテリー技術への進出にも着手した。
また同社は最近、GradPhilippinesのTop 100 Graduate Employerに選出され、エネルギーおよび公益事業部門で最優秀賞、全国のすべての大学院雇用者(Graduate Employer)全体で12位になっている。
出典:https://aboitizpower.com/about-us/
First Philippine Holdings
1961年に設立された、フィリピン最大の電力事業会社の1つ。Lopez財閥の企業であり、天然ガスを利用した発電所を多数所有している。近年は、太陽光や地熱などの再生可能エネルギーの発電に注力している。
2020年の年次報告書によると、同社の連結売上高は2019年の1,335億PHPから1083億PHPとなり、また株主に帰属する純利益は2019年の125億PHPから98億PHPとなっている。
なおこの年次報告書は2021年にサステナビリティサービス企業であるCSRWorks Internationalが開催した第6回アジアサステナビリティレポーティングアワード(ASRA)への初参加で金賞を受賞している。
同社は最近、従業員と扶養家族向けのCOVID-19ワクチンの展開を開始した。これにより従業員の健康を確保し、集団免疫を達成するという政府の全体的な目標を支援するためのコングロマリットのプログラムの一環を遂行する。
出典:https://www.fphc.com/gettoknow/our-company
AC Energy
2011年設立。風力を中心に再生可能エネルギーの発電に強みのあったPhinma Energy Corporationを前進に持つ。AyalaGroupによって上場されており、フィリピン最大の電力事業会社の1つである。AC Energy and Infrastructure Corporationは、Ayalaのエネルギーおよびインフラストラクチャ事業の持ち株会社であり、同社の過半数の持分を所有している。
2020年の年次報告書によると、収益は204.4億PHP、当期純利益は37.5億PHPであった。
同社の目標は、2025年までに5,000MWの再生可能エネルギー容量に到達することを目標として、東南アジアで最大の上場再生可能エネルギープラットフォームになることである。
最近同社は、フィリピンで2番目に大きな太陽光発電所となる120MWアラミノス太陽光発電所の操業を開始した。これにより約80,000世帯にクリーンエネルギーを供給するのに十分な電力を生成する。
出典:https://www.acenergy.com.ph/about-us/
Energy Development Corp.
1976年に設立された、グローバルで多様な再生可能エネルギー企業。ロペス財閥のグループ企業であり、40年以上にわたりフィリピンを代表する100%再生可能エネルギー生産企業である。
設備容量は1,476.59MWで、国の総設備RE容量のほぼ20%を占めている。また同社は地熱を主要な動力源として、国の総設置地熱容量の61.30%である181.80MWを提供している。
2020年の統合報告書によると、今年の売上高は376.2億PHPで、電気の販売による2019年の418.7億PHPの収益から10%減少した。しかし、支出の管理により収益損失の一部を、昨年の197.7億PHPから19%減少した159.6億PHPの現金営業費用の削減で相殺することができた。
最近のニュースとして、同社の最大150億ペソ相当の固定レートのASEANグリーンボンドを提供する計画が、証券取引委員会(SEC)に承認された。同社はその収益を、地熱成長および維持資本支出プロジェクトに資金を提供する予定。
出典: https://www.energy.com.ph/about/
SMC Global Power Holdings Corp
San Migjel Corporation(SMC)を親会社に持つ、フィリピン最大の電力会社の1つ。SMCのエネルギー部門として機能し、合計4,697MWの設備容量を通じて、国内最大の電力供給業者の1つとして重要な役割を果たしている。
エネルギー省EPIRAレポート2020によると、2020年12月31日現在、同社が生産する電力は、ナショナルグリッドの約20%、ルソングリッドの27%、ミンダナオグリッドの8%を占める。
同社はまた配電および小売電力サービスにも参入し、子会社のAlbay Power Energy Corporation(APEC)を通じて、アルバイ州のAlbay Electric Cooperative,Inc.(ALECO)の運営および保守に関する契約を締結した。
同社は最近のリリースによると、再生可能エネルギーへの投資を増やす方向にシフトするため、フィリピンの石炭ポートフォリオの40%を占める計画中の3つの発電所を廃止すると宣言した。
出典:https://www.sanmiguel.com.ph/page/power-energy
Team Energy Corporation
2007年に設立された、国内最大の独立系発電事業者の1つ。2,000メガワット(MW)を超える発電容量を備え、2つの石炭火力発電所を運営している。
同社は発電だけではなく、政府と協力して人々の生活を向上させ、国を前進させるために、影響力の大きい企業の社会的責任(CSR)プログラムを実施しており、教育、健康、経済発展および環境保護を重点分野に置き活動している。
同社は2018年にAboitiz GroupのTherma Luzon Inc(TLI)との合弁事業であるPagbilao Energy Corporation (PEC)を設立し、エネルギー発電所施設を強化した。これにより2つの石炭火力発電所であるケソンのパグビラオ1号機と2号機、およびその拡張であるパグビラオ3号機で合計420MWの容量を有する。
出典: https://www.teamenergy.ph/about-us/company-profile/
Manila Electric Company
フィリピン最大の電力販売会社。2021年にサービス提供開始から118年の歴史を持つ。一般的にはメラルコとして知られる。マニラ首都圏唯一の電力販売会社であり、首都圏とメガマニラ圏を構成する周辺都市など全体を含む36の都市と75の自治体への電力分配権を所有している。
2020年の同社の年次報告書によると、収益は2019年の318,315百万PHPから275,304百万PHPに減少、またコア純利益は2019年の23,832百万PHPから減少し21,711百万PHPとなっている。
2019年、同社はフィリピンの森林や重要な流域に持続可能な樹木を植えて育てるために、「OneforTrees」と呼ばれるイニシアチブを開始した。このプログラムは、企業の社会的責任部門であるOne Meralco Foundation(OMF)が主導し、その子会社や関連会社の支援を受けて、ブラカン、セブ、パナイの植林地に100万本以上の木を植えた。
出典:https://company.meralco.com.ph/corporate-profile
National Grid Corporation of the Philippines
2009年に設立された、国有の電力網の運用、保守、開発を担当する民間企業。製造場から目的地に数千ボルトでギガワットの電力を伝送する相互接続システムを有する。また50年間のフランチャイズの下で、送電システムと関連施設を運用および保守する権利と、建設、拡張、保守に必要な土地収用の権利を有する。
同社は2021年に補助サービス(AS)の公開入札プロセスを実装し、エネルギー安全保障を達成するために新しいエネルギー源の推進を開始した。これは電力品質、信頼性、およびグリッドのセキュリティを維持するために必要なサポートサービスである。
また同年には送電能力を改善し、国をスマートグリッドでの稼働に近づけるための継続的な取り組みの一環として、最近、中央制御および監視システム(CCMS)を立ち上げた。
出典:https://www.ngcp.ph/profile
Petron Corporation
フィリピン最大の石油精製・マーケティング会社で、石油需要の3分の1以上を供給。フィリピン唯一のLPG精製業者。フィリピン1位のガス供給会社。1日あたり268,000バレルの精製能力を備えており、世界クラスの燃料と石油化学製品を幅広く生産している。
2020年の同社の年次報告書によると、フィリピンとマレーシアの2020年通年の連結販売量は7,860万バレルで、2019年の1億700万バレルから27%減少した。パンデミックの深刻な影響を反映して、連結売上高は2019年の5,144億PHPから44%減少して2,860億PHPになり、全体として、2019年の純利益23億PHPから、2020年全体で114億PHPの純損失を被った。
同社は蒸気発生器プラントの進行中の建設、戦略的な小売ネットワークの拡張、および保守要件をカバーする2021年の設備投資のために110億ペソを確保し、さらには第1四半期に14の新しいステーションを建設し、今年の残りの期間にはさらに建設する計画を立てている。
出典:https://www.petron.com/who-we-are/
Phoenix Petroleum
2007年に設立された、個人および産業の両方のクライアントにサービスを提供するガス会社。同年からフィリピン証券取引所(PSE)に上場しており、1998年の石油規制緩和法に続く最初の石油会社である。数多くの子会社を有し、その中の一つとしてフィリピンのファミリーマートの独占エリアフランチャイズ権を有している。
2020年の同社の年次報告書によると、Covid-19のパンデミックによる需要低下により、収益は2019年の97,823百万PHPから78,300百万PHPに減少、また純利益は2019年の1,444百万PHPから減少し63百万PHPとなっている。
最近のニュースとして、同社の国内市場シェアが2020年末の7.1%から増加し、今年5月の時点で7.81パーセントに増加したと報告した。これにより国内で3番目に大きな石油プレーヤーとしての地位を固めている。
出典:https://www.phoenixfuels.ph/company-profile-and-structure/
Liquigaz Philippines
1995年に設立された、フィリピンの市場シェアの30%を占めるLPG供給会社。25年以上の経験を備えたフルサービスのLPG企業であり、輸入ターミナル、充填プラント、およびロジスティクス資産の幅広いネットワークで国内のすべての市場セグメントにサービスを提供している。
COSCO Capital, Inc.が所有していたが、2018年に同社の全株式を売却した。その後2019年にFernwood HoldingsIncによるLiquigaz Philippines Corpの100%買収が完了したことが発表された。
同社は従業員の健康と安全を確保するために、毎年インフルエンザ予防接種の日を開催しており、従業員に向けたCovid-19感染症対策も積極的に行っている。
出典: https://www.liquigaz.com/about/
Pryce Gases
1987年に設立された、フィリピン有数のガス供給会社。ミンダナオ島やビサヤ地域でシェアを誇り営業活動を行っているが、2013年にパンガシナンのサンファビアンに最大のLPG海洋ターミナルが完成して以来、ルソン地域でも事業を拡大している。
同社はフィリピン証券取引所に上場しているPRYCE CORPORATIONの91.4%所有の子会社である。また、ルソン地域でPGIのLPGを販売および販売し、産業ガス製品を取引する完全子会社であるOro Oxygen Corporationを所有している。
2020年の第3四半期の時点で、エネルギー省は、同社がミンダナオで27%、ビサヤ地域で23%、NCRを含むルソン島では8%のLPG市場シェアを持っていると報告しており、フィリピン市場全体の13%のシェアを持っている。
出典:https://www.prycegas.com/about-us.php
South Pacific, Inc.
1998年に設立されたLPG産業に従事する100%フィリピン人所有の会社。
ルソン島全体に高品質のLPG(液化石油ガス)を提供し、首都圏、リージョンI、リージョンIII、およびリージョンIV-Aにさらに多くの補充プラントを建設し、事業を拡大している。
同社は2020年上半期に堅調な数字を記録し、総売上高は2019年の61億ペソから27%または77億5000万ペソ増加した。利益の伸びも13%増の6億ペソを記録した。数量の伸びは着実で、前年同期の143,000メートルトンと比較して34%に急増した。この背景には、強力なミンダナオ地方とビサヤ地域での運用と事業拡張がある。
2019年にセブのマンダウエ市にある同社保有のターミナルの稼働が開始し、2 X1,000MTの容量で本格的に拡張した。セブ島だけでなく、ネグロス島、ボホール島、サマール島、レイテ島などの近隣の島々にもサービスを提供していおり、さらにフィリピン南部に5つのターミナルを建設することを目指している。
出典: http://southpacificinc.ph/about-us/
フィリピンの主要電力・ガス会社2選〜外資系編〜
Pilipinas Shell Petroleum Corporation
1914年にAsiatic Petroleum Company(Philippine Islands)Ltdとして設立され、その後1973年にPilipinas Shell PetroleumCorporationに改名された。フィリピンの主要な石油精製およびマーケティング事業の1つとして長い歴史を持つ。
2020年の同社の年次報告書によると、年間の利益(損失)は2019年の5,621百万PHPから-16,182百万PHPとなり、Covid-19のパンデミックの影響を受けた厳しい年となった。
同社は2020年、バタンガスのタバンガオに世界クラスの輸入ターミナルを開設し、マニラメトロだけでなくルソン島南部とビサヤ諸島北部の燃料需要に対応する能力を強化した。同社はまたパンデミックにもかかわらずの2021年の第1四半期に10億ペソの純利益を計上し(昨年同時期は55億ペソの損失)、同社の回復を示した。
出典: https://pilipinas.shell.com.ph/about-us.html
Chevron Philippines
アメリカ合衆国カリフォルニア州サンラモンに本社を置く石油関連企業である。フィリピンではChevron Philippinesとして1917年に設立され、Caltexの燃料、潤滑油、その他の石油製品を販売している。
フィリピン国内に20の供給施設を保有しており、バタンガスのサンパスクアルにある当社の輸入ターミナルは、フィリピンでの輸送および供給業務のハブを形成している。同社はまた、ニノイアキノ国際空港とマクタンセブ国際空港の航空会社にジェット燃料を提供している。
同社はまた国内の教育プログラムに積極的に参画し、2015年にCaltex Fuel Your Schoolプログラムを開始した。このプログラムは、フィリピンのAmerican ChamberFoundationおよびフィリピンのPR協会から賞を受賞した。
2020年3月、同社はフィリピンで最初の天然ガス開発であり、最大の産業プロジェクトであったマランパヤ天然ガス田の45%の非営業権を売却した。
出典: https://www.chevron.com/worldwide/philippines