ベトナムの空運業界は、国営ベトナム航空とLCC大手VietJet Airの二強体制を軸に、新興キャリアも台頭する急成長市場です。コロナ禍後の旺盛な需要回復に加え、外資航空会社の路線拡充や国産航空ネットワークの整備が進み、主要プレイヤーの競争と再編が続いています。
今回は、そんなベトナムの空運業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて13社の最新情報をお届けしていきます!
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ベトナムの主要空運企業7選〜ローカル編〜
Vietnam Airlines (ベトナム航空)
ベトナム航空(Vietnam Airlines)は、1956年設立のベトナム最大の国営フラッグキャリアである。政府が約86%の株式を保有し、ホーチミン証券取引所(HOSE)にティッカー「HVN」として上場している。スカイトラックス4スター認定を継続取得しており、地域内で高い評価を得ている。
2025年の連結売上高は約12兆1,430億ドン(約51億米ドル)で過去最高を更新し、連結税引き後純利益は前年比2倍超となった(2026年2月公表のIR資料より)。旅客数は2,564万人(前年比12.7%増)、運航便数は15万6,300便(同11.8%増)を記録した。
2026年5月現在、国内21都市・23か国42都市を含む120以上の路線を運航し、総フリートは96機体制である。2026年2月には50機のボーイング737MAX-8を発注し、2030年までに総フリート150機以上を目指している。
子会社のPacific AirlinesやVietnam Airlines Cargoを傘下に持ち、ANAとのコードシェア協定も拡大するなど、グループ全体で国内外の航空市場をカバーしている。
出典:https://www.vietnamairlines.com/
VietJet Air (ビジェットエア)
ビジェットエア(VietJet Air)は、2011年就航のベトナム初の民間LCC(格安航空会社)であり、ホーチミン証券取引所(HOSE)にティッカー「VJC」として上場している。低コスト戦略と積極的な路線拡大により急成長を遂げ、旅客数ベースでベトナム国内トップクラスの地位を占める。
2025年の連結売上高は8兆2,093億ドン(約31億米ドル、前年比14%増)、連結税引き後純利益は前年比51.2%増となり、年間計画の120%超を達成した(2026年2月公表のIR資料より)。2025年の旅客数は2,820万人、運航便数は153,000便であった。
2026年5月現在、国内52路線・国際202路線の計254路線を展開し、グループフリートは135機(ベトナム国内登録101機)に達する。2025年にはエアバスA321neo 100機(オプション50機)およびA330neo 20機を発注し、長距離需要への対応を強化した。
ロシア・中央アジアなど新興市場への路線開拓にも積極的で、2026年8月にはホーチミン〜コロンボ(スリランカ)直行便の開設を予定している。
出典:https://www.vietjetair.com/
Bamboo Airways (バンブーエアウェイズ)
バンブーエアウェイズ(Bamboo Airways)は、2019年就航のベトナムのフルサービスキャリアであり、不動産大手FLCグループが創業した。就航当初はボーイング787-9ドリームライナーを活用した長距離路線にも参入し、国内外約60路線を運航するなど急成長を遂げた。
FLCグループ創業者の逮捕・金融不正問題(2022年)を契機に財務が急速に悪化し、2025年7月の独立監査では総負債が90兆ドン超と判明した。2025年9月にFLCが経営権を再掌握した時点でフリートは7機・国内12路線にまで縮小していた(Vietnamnetの2025年報道より)。
2025年後半からFLCは再建計画を本格化し、機材リース専門子会社「FLC航空機投資リースJSC」を設立(資本金約6兆ドン)。フリートを年間8〜10機ペースで増強し、2030年までに30機体制を目指している。2026年初頭のテト需要に向けエアバスA320を追加導入し、座席供給を16%拡大した。
2026年5月現在、タンソンニャット空港T3ターミナルを拠点に国内線を運航しながら、長距離・国際線の再開に向けた態勢整備を進めている。
出典:https://www.bambooairways.com/
Vietravel Airlines (ベトラベル航空)
ベトラベル航空(Vietravel Airlines)は、ベトナム最大手旅行会社ベトラベル(Vietravel Corporation)が設立し、2021年1月に就航したLCCである。旅行会社グループが直接運営する独自のビジネスモデルを持ち、自社ツアーとの連携により安定した旅客需要を確保している。
2025年10月には新たなエアバスA320(180席)を導入し、ホーチミン〜バンコク線の毎日便を再開した(VietnamPlusの2025年10月報道より)。国内幹線のホーチミン〜ハノイ路線では1日6往復を運航し、ホーチミン〜ダナン・フーコックなど主要国内線も便数を拡大している。
フリートはエアバスA320/A321を中心に構成されており、2025年までに25機、2030年までに50機へ拡大する中期目標を掲げている。2026年テト期間にはホーチミン発路線で8,000〜10,000席を提供し、旺盛な帰省・観光需要に対応した。
規模はベトナム大手3社に次ぐ位置づけだが、旅行会社との垂直統合モデルにより競争力を維持しており、近距離国際線の拡充を通じて東南アジア域内での存在感を高めている。
出典:https://vietravelairlines.vn/
Pacific Airlines (パシフィック航空)
パシフィック航空(Pacific Airlines)は、1991年に設立されたベトナムの航空会社であり、ベトナム初の外資受け入れが認可された民間航空会社として知られている。現在はベトナム航空(Vietnam Airlines)の実質的な子会社として運営されており、グループのネットワーク補完を担っている。
財務悪化を受け2024年3月に運航を一時停止し経営再建を実施した。リース機材返却により約2億2,000万米ドルの債務を解消し、ベトナム航空からリース機3機を調達して同年6月26日に国内線を再開した(CAAV公式発表より)。再開後はエアバスA321機材でホーチミン〜ハノイ・ダナン・チュライ線などを1日6〜8便運航している。
ビジネスモデルも従来のLCCからフルサービスキャリアへと転換し、食事・荷物込みのサービスを提供している。ベトナム航空とのコードシェアや販売連携を強化し、グループとしての旅客利便性向上を図っている。
2026年2月のCAAAの公式資料ではスタッフの組織見直しや業務効率化を継続中とされており、グループ内の重要な運航体として再建が着実に進んでいる。
出典:https://fly.pacificairlines.com.vn/
Vietstar Airlines (ベトスター航空)
ベトスター航空(Vietstar Airlines)は、2010年にベトナム国防省傘下の合弁として設立され、ホーチミン市タンソンニャット空港を拠点とする航空会社である。2019年にベトナム民間航空局(CAAV)から航空運航証明(AOC)を取得し、商業運航を開始した。
同社はVietstar VIP Airブランドのもと、プライベートジェットチャーター・エアタクシー・航空救急・パイロット訓練・航空機整備・航空燃料供給など多角的なサービスを提供している。国防省系の資本構成により安定した事業基盤を有し、法人・高所得者向けの富裕層航空サービスに特化している。
2025年〜2026年時点でもプライベート航空事業者として営業継続中であり、Hai Au Aviationの水上機事業終了後のプライベート航空市場においてより大きな役割が期待されている。
本稿の参照時点は2026年5月である。
出典:https://www.vietstarvipair.com/
VASCO / Vietnam Air Services Company (ベトナムエアサービス)
ベトナムエアサービス(VASCO / Vietnam Air Services Company)は、国営ベトナム航空(Vietnam Airlines)の完全子会社として、南部・中部の短距離滑走路・離島アクセス路線を専門に担う地域航空会社である。IATA: 0V、ICAO: VFCのコードを保有し、ホーチミン市タンソンニャット空港を拠点に10の国内地方路線を運航している。
ATR-72型ターボプロップ機を約6機運用し、カーマウ・ラックザー・フーコック・コンダオ・ダラット・ブォンマートゥオット・プレイク等への短距離路線を担い、大型ジェット機では乗り入れが難しい地方空港へのアクセスを確保している。
2025年4月、ベトナム航空がVASCOをSkyVietとしてリブランドし、地方短距離専門キャリアとして位置づけを強化する計画が発表された(ベトナム民間航空局資料より)。ベトナム地方交通の維持・確保において重要な役割を担う企業として、引き続き注目される。
本稿の参照時点は2026年5月である。
出典:https://vasco.vn/
ベトナムの主要空運企業2選〜日系編〜
ANA (全日本空輸)
全日本空輸(ANA、All Nippon Airways)は、日本最大の航空会社であり、ハノイおよびホーチミンシティへの直行便を自社運航している。スターアライアンス加盟キャリアとして世界規模のネットワーク接続性を提供している。
ANAはベトナム航空(Vietnam Airlines)とのコードシェア協定を締結しており、2025年1月25日からはハノイ〜ダラット、ホーチミン〜ダラット、ホーチミン〜フエ線などベトナム国内線のコードシェアを拡大した(AerRoutesの2025年1月報道より)。これにより日本からのトランジット旅客がANA便名でベトナム地方都市へアクセスできるようになった。
ANAのベトナム路線は観光需要のみならず、日系製造業・IT企業の進出増加に伴うビジネス旅客需要も取り込んでいる。マイレージプログラム「ANAマイレージクラブ」ではベトナム航空との相互積算も可能で、両社の連携はコードシェアにとどまらない。
最新鋭機を投入し、プレミアム・エコノミー・ビジネスクラスを含む多様なサービスを提供することで、日系旅客を中心に高い支持を得ている。
出典:https://www.ana.co.jp/
JAL (日本航空)
日本航空(JAL、Japan Airlines)は、日本を代表する国際航空会社であり、ハノイ(ノイバイ国際空港)およびホーチミンシティ(タンソンニャット国際空港)への直行便を自社運航している。ワンワールドアライアンス加盟キャリアとして、世界規模の航空ネットワークに接続している。
JALはベトナム航空をはじめとする地域航空会社とのコードシェアを展開しており、日本各地からベトナムへのアクセス利便性を高めている。日系製造業・小売業・サービス業のベトナム進出が活発化する中、駐在員・出張者・観光客向けの幹線輸送を担っている。
機内では和食メニューや日本語対応の客室乗務員を提供し、日本人旅客に親しまれるサービスを維持している。スカイトラックス5スターキャリア認定を継続して保持しており、安全性・定時運航率においても国際的に高い評価を受けている。
ボーイング787型機(ドリームライナー)をベトナム路線に投入し、環境負荷低減とコスト競争力の両立を図っている。日本とベトナムの経済・観光交流の深化とともに、路線需要は堅調に推移している。
出典:https://www.jal.co.jp/
ベトナムの主要空運企業4選〜外資編〜
Air France Vietnam (エールフランス)
エールフランス(Air France)は、フランス政府が主要株主のフランス国際航空会社であり、Air France-KLMグループの中核キャリアである。スカイチームアライアンス加盟キャリアとして世界規模のネットワークを有している。
ベトナムへはパリ・シャルル・ドゴール空港からハノイ(ノイバイ)およびホーチミン市(タンソンニャット)への長距離直行便・経由便を運航している。欧州〜ベトナム間の旅行・ビジネス需要を担う主要キャリアとして、フランスや欧州の企業・観光客の輸送で重要な役割を果たす。
2025〜2026年においても路線を維持しており、Air France-KLMグループの東南アジア戦略においてベトナムは重要市場の一つとして位置づけられている。エールフランスのマイレージプログラム「Flying Blue」はベトナム航空とのマイル積算・交換も一部対応している。
本稿の参照時点は2026年5月である。
出典:https://www.airfrance.jp/
China Airlines Vietnam (チャイナエアライン)
チャイナエアライン(China Airlines)は、台湾(中華民国)の国際フラッグキャリアであり、スカイチームアライアンスに加盟している。台北・桃園国際空港を拠点に世界各地へ路線を展開している。
ベトナムへはハノイ(ノイバイ)およびホーチミン市(タンソンニャット)への路線を運航しており、台湾とベトナムを結ぶ主要キャリアの一つである。台湾系ビジネス旅客・観光客・ベトナム在住台湾人のアクセスを担っている。
2025〜2026年時点でも路線を維持しており、台湾〜ベトナム間の航空需要増加を背景に、旅客・貨物輸送の重要な担い手として機能している。チャイナエアラインはベトナム航空とのコードシェアを含む協力関係も構築している。
本稿の参照時点は2026年5月である。
出典:https://www.china-airlines.com/
Delta Air Lines Vietnam (デルタ航空)
デルタ航空(Delta Air Lines)は、米国最大級の国際航空会社の一つであり、スカイチームアライアンスの創設メンバーである。世界300以上の目的地に路線を持ち、アメリカ発着のアジア路線にも積極的である。
ベトナムへはホーチミン市(タンソンニャット)・ハノイ(ノイバイ)への路線を中継地経由で提供しており、米国発ビジネス旅客・観光客のベトナムアクセスを担う。スカイチームパートナーのベトナム航空とのコードシェアを通じて接続性を高めている。
2025〜2026年においても路線網を維持しており、米国〜ベトナム間の貿易・投資の活発化とともに旅客需要が高まっている。
本稿の参照時点は2026年5月である。
出典:https://www.delta.com/
Cathay Pacific Vietnam (キャセイパシフィック航空)
キャセイパシフィック航空(Cathay Pacific Airways)は、香港を拠点とする国際航空会社であり、ワンワールドアライアンスに加盟している。香港国際空港をハブに世界100以上の目的地へ路線を展開している。
ベトナムへは香港〜ハノイ・ホーチミン市間を運航しており、香港トランジットを経由した欧米・大洋州方面への長距離接続需要を担う。香港系ビジネス旅客・観光客やベトナム〜香港間の往来人口を輸送する主要キャリアの一つとして機能している。
2025〜2026年においても路線を維持しており、香港とベトナムの経済・貿易関係が深まる中でビジネス旅客需要が継続している。キャセイパシフィックはマイレージプログラム「Asia Miles」を通じてワンワールドネットワークの連携を提供している。
本稿の参照時点は2026年5月である。
出典:https://www.cathaypacific.com/
FAQ
ベトナムの主要航空会社はどのような特徴がありますか?
ベトナムの主要航空会社は、国営から民間、外資系まで多様であり、それぞれ国内外の路線網を持ち、国際的な連携や安全基準を満たしています。
ベトジェットエアの安全性や成長性について教えてください。
ベトジェットエアは2007年に設立され、IATAの正式メンバーで安全監査プログラムIOSAの認定も受けており、国内外で拡大中の成長著しい航空会社です。
Vietnam Airlinesについて知りたいのですが、特徴や現状はどうですか?
Vietnam Airlinesは1956年に設立されたベトナムの国営航空会社で、スカイトラックス社から4スターエアライン認定を受けており、国内外の多くの路線を運航しています。
外資系航空会社にはどのようなものがありますか?
外資系航空会社にはエールフランスやチャイナエアライン、デルタ航空、キャセイパシフィックなどがあり、ハノイとホーチミンを拠点に主要都市へ就航しています。
日本の航空会社はベトナムでどのような活動をしていますか?
日本の航空会社ではANAとJALがハノイとホーチミンに拠点を置き、成田や羽田からの定期便を運航し、現地スタッフも配置しています。

