ベトナムの陸運・物流業界は、EC化の急拡大を背景にGHN・GHTKなど国内配送プラットフォームが急成長する一方、日系フォワーダーも存在感を高める競合激化市場です。南北経済回廊の整備が進む中、ラストワンマイル配送と越境物流の両立が主要企業の競争軸となっています。
今回は、そんなベトナムの陸運業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて13社の最新情報をお届けしていきます!
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ベトナムの主要陸運企業5選〜ローカル編〜
Gemadept Corporation (ジェマデプト・コーポレーション)
Gemadept Corporation(ジェマデプト)は1990年設立で、ホーチミン証券取引所(HOSE)に上場するベトナム最大手の総合物流・港湾運営企業である。陸上輸送・内陸水運・港湾・倉庫の四事業を一体展開し、ベトナム全土および周辺国を結ぶ輸送ネットワークを保有する。
2025年度の9ヶ月累計ネット収益はVND4.33兆と前年同期比27%増を記録し、税引前利益も25%増のVND1.77兆に達した。港湾スループットは370万TEUと前年比16%増であり、北部ナムディンヴー港第3期(2025年Q4稼働予定)完工後は処理能力が50%超増加する見込みである。
2025年の通期業績目標はネット収益VND4.85兆・コア税引前利益VND1.8兆を設定しており、上振れ計画ではそれぞれVND4.95兆・VND2兆を掲げる。コングロマリット型のバリューチェーン統合戦略のもとインフラ投資を継続している。
2025年にはグループ傘下4事業会社が「ベトナム優良物流企業トップ10」に選定された。ベトナム陸運・物流市場において国内最大規模のサービスプロバイダーとして確固たる地位を築いている。
出典:https://www.gemadept.com.vn/en/
TBS Logistics (TBSロジスティクス)
TBS Logistics(TBSロジスティクス)は、ベトナム南部を代表する総合物流企業TBSグループの物流専門子会社として設立された。ホーチミン市・ビンズオン・ドンナイをカバーする戦略的立地に物流センターを構え、ベトナム全輸出入コンテナ貨物の約80%が集中する南部経済圏の中核を担う。
主要サービスは倉庫保管・コンテナ輸送・国際貨物フォワーディング・通関の四本柱であり、ビンズオン省内のコンテナスキャン設備を備えた3拠点のうちの一つとして認定されている。APLロジスティクス・DHL・ユーセン・Damcoなど世界的物流ブランドとの協業実績も豊富である。
25年以上の実績を持つTBSグループは製造・投資・ホスピタリティ・小売にわたる多角経営を展開しており、物流部門はグループのバリューチェーンを支える基幹事業に位置づけられる。顧客の国内外サプライチェーンをワンストップで管理する体制が強みである。
ベトナム南部の製造・輸出拠点集積地に隣接することで、製造業の輸出物流ニーズを効率的に取り込む。日系・外資製造業の陸上輸送パートナーとしても広く活用されている。
出典:https://www.tbslogistics.com/
Giaohangnhanh – GHN (ジャオハンニャン)
Giaohangnhanh(GHN)は2012年にホーチミン市で創業されたEコマース特化型の物流・配送プラットフォームである。テマセク・ホールディングスが主導する大型ファンディングを受けた親会社Scommerce傘下で、Shopee・Tiki・Sendo・Lazadaのベトナム四大ECプラットフォームすべての配送パートナーを務める。
サービスラインはGHNエクスプレス(即日・翌日配送)、GHNロジスティクス、AHAMove(オンデマンド)、GHNフルフィルメント、GIDOの五本柱で構成される。1日最大550万件の仕分け能力を持つクアンA中継倉庫(南ベトナム最大、4万m²超)を擁し、全国34省市をカバーする。
小口ECから大口企業向けまで対応する汎用プラットフォームとして、100,000社以上の中小ECテナントが活用する。荷物追跡・配達通知・代金引換(COD)機能を統合したテクノロジー基盤が競争優位の源泉である。
ベトナムのEコマース市場拡大とともに急成長を遂げており、物流インフラへの継続的な投資拡大によって国内トップクラスの配送ネットワーク密度を実現している。
出典:https://ghn.vn/
Giaohangtietkiem – GHTK (ジャオハンティエットキエム)
Giaohangtietkiem(GHTK)は2013年設立で、ベトナム全63省市をカバーする大手Eコマース物流・配送プラットフォームである。SEA Group(シンガポール・Shopee親会社)傘下にあり、グループのECエコシステムと連携した安定した事業基盤を持つ。
ネットワーク規模は全国1,500ポイント以上、トラック2,500台、配送員30,000名以上、倉庫60万m²超を誇る。翌日・即日・代金引換サービスなどを提供し、100万以上の店舗および450万以上のオンライン販売者が活用する大規模プラットフォームに成長している。
自動仕分け設備とハブ・ゾーン型配送ネットワークにより荷物の高速輸送を実現し、オープンAPIによるECシステム連携が中小ECに特に支持されている。技術主導のプラットフォームで継続的な顧客獲得を進めている。
2025年5月にはViet Cargo Expo 2025に出展し業界内でのプレゼンスを高めた。Eコマース拡大とともに需要が増加するラストマイル物流において、引き続き重要な役割を担う企業である。
出典:https://ghtk.vn/
Viettel Post (ビエッテル・ポスト)
Viettel Post(Viettel Post Joint Stock Corporation)は、ベトナム国軍系の大手通信グループViettelの物流・郵便子会社であり、ホーチミン証券取引所(HOSE)にティッカー「VTP」として上場している。
2025年の連結売上高は約2兆500億ドン(YoY+0.6%)、税引後純利益は4,049億ドン(同+5.7%)を記録した(2025年次報告書より)。2025年第2四半期の配送件数はYoY+29.7%増、物流・輸送部門も各60%超の成長を達成した。伝統的な配送市場でのシェアは28.9%(2024年比+5.4pp)と業界首位を維持している。
2025年2月にはラオカイ省ランソンに3,300億ドンを投じた物流パークを開設し、200台のAGVロボットを導入して倉庫自動化率99%を実現した。配送・倉庫・輸送・貿易サービスの4本柱を年間平均30%成長目標で推進し、越境Eコマースプラットフォームも開設している。
本稿の参照時点は2026年5月である。
出典:https://viettelpost.com.vn/
ベトナムの主要陸運企業5選〜日系編〜
Nippon Express Vietnam (日本通運ベトナム)
Nippon Express Vietnam(NXベトナム)は、日本最大の総合物流企業NXグループのベトナム現地法人であり、国際輸送・国内陸上輸送・倉庫管理・通関・引越しサービスを一貫提供する。ハノイ・ホーチミン市を中心に南北を縦断する輸送ネットワークを構築している。
2025年5月にはハイフォン市のディンヴー物流センター第2期の開業式典を開催した。同施設は恒温・恒湿管理設備を備え、医療機器・電子部品など高付加価値製品に対応する高機能拠点として稼働する。また同年2月には南北鉄道LCL混載サービスを開始し、ハノイ・ホーチミン市間(約1,700km)を約48時間で結ぶ低炭素輸送ソリューションを強化した。
2025年7月にはVILOG 2025に出展し、グローバルネットワークと低炭素物流への取り組みを発信した。2024年にはクアンミン物流センターにて航空貨物CFSライセンスを日系フォワーダー初として取得している。
グローバル300都市以上・100カ国超の拠点網を活用し、日系製造業の調達・製造・販売物流を包括的に支援する体制を整えている。
出典:https://www.nipponexpress.com/location/vietnam/
Yamato Transport Vietnam (ヤマト運輸ベトナム)
Yamato Transport Vietnam(ヤマト運輸ベトナム)は、日本最大の宅配便企業ヤマトホールディングスのベトナム現地法人であり、法人向け物流・小口宅配・引越し・国際貨物輸送を提供する。ベトナムにおける個人宅配・小口輸送サービスの先駆的存在として知られる。
2026年2月、ベトナムのファム・ミン・チン首相がヤマトホールディングスのナガオ・ユタカ社長と会談し、バクニン省・バクザン省など北部工業地帯への物流センター開発・投資を提言した。政府の積極的なサポートのもと、ベトナムにおける拠点拡充計画が具体化しつつある。
FPTコーポレーションとの協業においてベトナム人重量トラックドライバーの育成・日本向け採用支援事業を展開しており、2025年2月から2026年1月にかけて現地での事前訓練を実施している。AI研究ラボの設立やドライバートレーニングセンターの開設も計画中である。
テクノロジーを活用した次世代物流への投資を強化しており、日越間の経済協力を象徴する企業としてベトナム物流市場での存在感を高め続けている。
出典:https://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/en/
SG Sagawa Vietnam (SGサガワベトナム)
SG Sagawa Vietnam(SGサガワベトナム)は、日本の総合物流グループSG Holdings(佐川急便親会社)のベトナム現地法人として1997年に設立された。航空・海上貨物フォワーディング・通関・倉庫管理・国内外宅配便サービスを一体提供し、ベトナムの日系・外資企業の輸出入物流を幅広く支援する。
ハノイ・ホーチミン市の主要拠点を軸に、フィリピン・タイ・シンガポール・インドネシア・ミャンマーなどASEAN各国のSGグループネットワークと連携した地域間輸送サービスを展開する。国際引越しと企業向け輸送を組み合わせたワンストップソリューションが特徴である。
2025年5月、親会社SGホールディングスは台湾の国際フォワーダー大手Morrison Expressを約9億ドルで買収することを発表した。この買収によりSGグループは航空・海上フォワーディングのグローバル体制を大幅に強化し、ベトナム拠点のサービス拡充も期待されている。
ベトナム国内の陸上輸送・ラストマイル配送に加え、日本−ベトナム間の個人・法人向け国際輸送を強みとし、日系企業の現地物流パートナーとして信頼性の高い実績を積んでいる。
出典:https://www.fact-link.com.vn/home/sagawa-vietnam/
Kintetsu World Express Vietnam (近鉄エクスプレスベトナム)
Kintetsu World Express Vietnam(KWEベトナム、近鉄エクスプレスベトナム)は、近鉄グループホールディングス傘下の国際物流専門企業KWEのベトナム現地法人である。航空・海上貨物フォワーディング・通関・国内陸上輸送・倉庫を統合提供し、ハノイ・ホーチミン市・ダナンに拠点を展開する。
KWEはグローバル300都市以上・航空100万トン超・海上100万TEU超の取扱実績を誇る国際フォワーダーであり、ベトナム現地法人もそのグローバルネットワークを活用して顧客の輸出入物流を支援する。
2025年はベトナムで中国からの生産移管が加速し、電子機器・スマートフォン等の対米航空輸出が前年比95%増と急伸した。KWEベトナムはこうした市場環境のなかでサプライチェーン多角化の需要を取り込んでいる。
自動車部品・電子機器・アパレルなど製造業向け3PLソリューションに強みを持ち、日本国内のKWEネットワークと連携した日越間輸送においても存在感を示している。
出典:https://www.kwe.com/local/vietnam/en/
Senko Vietnam (センコー・ベトナム)
センコー・ベトナム(Senko Vietnam)は、日本の大手総合物流企業センコーグループホールディングス(SENKO Group Holdings)がベトナムに展開する物流現地法人である。フンイェン省ホーノイB工業団地内に2018年1月に完成した物流センター(延床面積16,926m²)を運営し、倉庫管理・輸配送・国際フォワーディングなどの一貫物流サービスを提供している。
SENKOグループホールディングスは2025年3月期の連結売上高が8,300億円超(前期比増)の過去最高を更新し(同社IR資料より)、国際物流部門(米国・ASEAN含む)が全体の約10%を占めるまで成長した。ベトナムは東南アジア展開の重要拠点として位置づけられている。
日系製造業のベトナム進出増加を背景に、在越日系企業向けのサプライチェーン管理・物流アウトソーシングに強みを持ち、AIルート最適化・自動倉庫システムを活用した高効率物流を展開している。
本稿の参照時点は2026年5月である。
出典:https://www.senko.co.jp/en/
ベトナムの主要陸運企業3選〜外資編〜
DHL Supply Chain Vietnam (DHLサプライチェーンベトナム)
DHL Supply Chain Vietnam(DHLサプライチェーンベトナム)は、世界最大の契約物流プロバイダーDHLグループのベトナム向け3PL事業法人である。倉庫保管・CFS運営・陸上輸送・統合サプライチェーン管理を提供し、製造業・小売・医療等の多国籍企業を顧客に持つ。
2025年11月にCFSネットワークを拡張した。ホーチミン市SGN CFSは6,800m²に増床、ハイフォンHPH CFSは4,000m²の新規拠点として稼働を開始した。バクニン省には3,000m²の新倉庫も開設し、北部製造業の物流需要に対応している。
ベトナムが製造拠点から地域的な流通センターへと役割を高めることを背景にDHLはベトナムへの投資を強化している。サステナビリティ面ではGFA認証Leaf 4を取得し、環境に配慮した物流運営を実践する。
世界220カ国以上に及ぶDHLのグローバルネットワークを活用し、ベトナムの輸出入に伴う国際輸送・通関・ラストマイル配送をエンドツーエンドで支援する体制を整えている。
出典:https://www.dhl.com/vn-en/home/supply-chain.html
KLN (Kerry Logistics Network) Vietnam (KLNベトナム)
KLN(旧Kerry Logistics Network)のベトナム法人は、香港を本拠とする大手国際物流グループのベトナム拠点として、貨物フォワーディング・3PL倉庫・ラストマイル配送・KEXエクスプレス(宅配便)を提供する。2025年3月に親会社がKLNへ商号変更・リブランドした。
ベトナム北部・中部・南部の主要工業地帯をカバーする全国物流ネットワークを整備しており、製造業の中国からベトナムへのシフトに対応すべくベトナムへの投資を継続的に拡大している。
2025年の主要戦略として、SFホールディングスとの統合により80機以上の貨物航空機へのアクセスを獲得し、海上フォワーディング商品にエクスプレス型スピードを付加するサービス強化を実施した。2025年末までに主要物流センターの30%で自動搬送ロボット(AMR)を導入する計画も推進中である。
KEX Expressブランドによる国内宅配便サービスでは120以上のサービスポイントを通じてベトナム全土での翌日配達体制を構築している。
出典:https://www.kerrylogistics.com/en/network/south-east-asia/vietnam/
Lalamove Vietnam (ララムーブベトナム)
Lalamove Vietnam(ララムーブベトナム)は、香港発のオンデマンド物流プラットフォームLalamoveのベトナム事業法人として2017年に参入した。ホーチミン市とハノイを中心に24時間365日稼働し、スマートフォンアプリを通じて数秒以内に近くのドライバーとマッチングする即時配送モデルを展開する。
バイク・軽バン・2トン・5トントラックなど多様な車種を提供し、小型精密部品から大型・重量貨物まで対応する。リアルタイム追跡・即時通知・代金引換機能を備えたアプリにより、中小企業(SME)のロジスティクス効率化を支援する点が高く評価されている。
2025年5月にはホーチミン市でバイク・4人乗り・7人乗り乗用車のライドヘイリングサービスをアプリに統合し、配送と旅客輸送を組み合わせた総合モビリティプラットフォームへの転換を図った。2025年1〜11月の前年同期比成長率は2倍超と急拡大している。
アジア25都市以上で展開するグローバルネットワークを活用し、多国籍法人顧客のアジア域内配送ソリューションも提供する。
出典:https://www.lalamove.com/en-vn/
FAQ
ベトナムの物流業界にはどのような特徴がありますか?
ベトナムの物流業界は国内外の貨物輸送、通関、倉庫サービスなど多岐にわたり、国内ネットワークの充実と海外との連携が特徴です。また、主要企業が多数存在し、国際的な物流ニーズに対応しています。
ベトナムの主要物流会社にはどのような企業がありますか?
ベトナムの主要物流企業には365 Trading Logistics、ITCCorp、TRANSIMEX、Viettel Post、ベトナムポスト、GEMADEPTなどがあり、各社は国内外の貨物輸送や関連サービスを提供しています。
日系の物流企業はベトナムでどのようなサービスを展開していますか?
日系企業は貨物輸送、通関、倉庫管理、国内および国際物流、冷蔵・冷凍輸送などのサービスを展開しており、特に物流の専門性や高品質なサービスを提供しています。
外資系物流企業はベトナムでどんな特徴がありますか?
外資系企業は国際的なネットワークと先端技術を活用し、海外との連携やB2B/B2Cの速達サービス、冷蔵・危険物物流などの多様な物流ソリューションを展開しています。
ベトナムの物流業界の今後の展望は何ですか?
ベトナムの物流業界は経済成長に伴い拡大が続き、デジタル化と効率化が進むとともに、国際物流やECの成長により更なる発展が期待されます。

