フィリピン海運業界は2025年に入り、外資規制緩和と船隊近代化により大きな転換点を迎えています。2GO Groupの35%貨物容量拡大や商船三井の現地統括会社設立など、ローカル・日系・外資系企業20社の最新動向から、日本企業の参入戦略を詳しく解説します。
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フィリピンの主要海運会社11選〜ローカル編〜
2GO Group (2ジーオー・グループ)
2GO Group Inc.は、フィリピン最大の統合型輸送・物流ソリューションプロバイダーである。同社は100年以上の物流・海運の専門知識を持ち、国内外市場において卓越した物流ソリューションを提供している。
2GO Groupは2024年に変革的な成長を遂げ、最新鋭の船舶を導入する艦隊再編プログラムを開始した。このプログラムにより運航効率が大幅に向上し、貨物容量が35%拡大、旅客の快適性も改善された。特に注目すべきは、2024年5月に就航したMV 2GO Maligayaで、全長195メートル、総トン数29,046トンの同社最大かつ最先端のRoPax船舶である。この船舶は最高速度23.5ノットでマニラ-セブ間を17時間で結び、フィリピン最速の貨物船として運航している。
同社は2GO Sea Solutions、2GO Special Containers、2GO Express、2GO Forwarding、2GO Logisticsなど複数の専門事業部門を通じて統合的な物流ソリューションを提供している。現在10隻の船舶でルソン島、ビサヤ諸島、ミンダナオ島の19の主要港に就航しており、マニラ-セブ-カガヤンデオロ航路やマニラ-バコロド-イロイロ航路などを運航している。
2023年第1四半期には前年同期の3,400万ペソの純損失から1億8,683万ペソの純利益に転換し、売上高は前年同期比29.2%増の51億6,000万ペソを記録した。2025年には航路の拡充、コールドチェーンやISOタンクサービスの新規展開地域への拡大、革新的な物流ソリューションの提供を通じて更なる成長を目指している。同社のフレデリック・ディブンシオ社長兼CEOは「2024年に築いた強固な基盤の上に、2025年にはさらなる成功を達成する」と述べている
出典:https://www.2go.com.ph/
Wilhelmsen-Smith Bell Shipping, Inc.(WSBSI)
Wilhelmsen-Smith Bell Shipping, Inc.(WSBSI)は、1861年にノルウェーで設立されたWilhelmsenグループとフィリピンの老舗海運会社Smith Bellの合弁企業である。Smith Bellは1800年代半ばからフィリピンで海運業に従事し、フィリピン初の海運代理店として英国汽船会社の代理業務を担当していた歴史を持つ。
2025年第1四半期において、親会社Wilhelmsenグループは総収入2億9,700万米ドルを記録し、前年同期比12%増、前四半期比7%増の成長を達成した。EBITDAは4,600万米ドルに達し、前年同期比20%増、前四半期比25%増の大幅な改善を示している。海事サービス部門の収入は2億1,300万米ドルとなり、前年同期比10%増を記録した。
WSBSIは、フィリピン全土の30の政府港湾、160の民間ターミナル、7,641の島々をカバーする24時間体制の運営を行っている。同社はフィリピンにおける外資系海運会社として重要な地位を占めており、特にクルーズ船サービスでは過去5年間で24,900人以上の乗組員を取り扱った実績を持つ。
出典:https://www.wilhelmsen.com/
Philippine Span Asia Carrier Corporation(PSACC)
Philippine Span Asia Carrier Corporation(PSACC)は、1973年にSulpicio Goによって設立された、フィリピン最大級の国内海運・物流企業である。同社は船舶数と総トン数においてフィリピン国内で最上位に位置し、2015年時点で総トン数111,126.52トンを保有し、フィリピン海事産業庁(MARINA)の統計では第3位にランクされている。
PSACCは現在、フィリピン全国16の主要港湾都市にサービスを展開している。運航エリアはルソン島のマニラ、ビサヤ諸島のバコロド、セブ、ドゥマゲテ、イロイロ、タグビララン、ミンダナオ島のブトゥアン、カガヤンデオロ、コタバト、ディポログ、ダバオ、ジェネラルサントス、イリガン、オザミス、スリガオ、サンボアンガに及ぶ。同社は50年以上の業界経験を持ち、フィリピン最大のコンテナ船隊を保有している。
2024年から2025年にかけて、PSACCは積極的な船隊近代化を推進している。2024年10月にはSpan Asia 55を就航させ、同年8月にはSpan Asia 52の運航能力を強化した。特に注目すべきは、2024年2月に就航したSpan Asia 50で、同社最新鋭の双発エンジン搭載船として618TEUの積載能力を誇る。また、マニラ-セブ-カガヤンデオロ航路で運航するSpan Asia 39は、最新のギアレス船として運航効率の向上を実現している。
出典:http://psacc.com.ph/
Montenegro Lines (モンテネグロ・ライン)
Montenegro Shipping Lines, Inc.(MSLI)は、1978年9月16日に起業家Vicente Leyco Montenegro Sr.によって設立された、フィリピン最大級の国内海運会社である。同社はバタンガス市に本社を置き、Montenegro LinesとMarina Ferriesのブランドで旅客・貨物・RORO船を運航している。
MSLIは現在59隻の船舶を保有し、フィリピン全国34の港湾にサービスを展開している。2015年時点でのフィリピン海事産業庁(MARINA)の統計では、総トン数18,573.71トンで国内第25位にランクされている。同社の船隊は旅客・貨物船22隻、旅客船7隻の計29隻で構成され、Maria AngelaからMaria Josefaまでの多様な船舶を運航している。
2025年現在、同社はバタンガス-カラパン航路で1日18便以上の運航を行い、標準料金530ペソ、学生420ペソ、高齢者380ペソ、子供260ペソでサービスを提供している。バタンガス-プエルトガレラ(バラテロ)航路では所要時間約2時間、料金425ペソで運航している。また、ドゥマンガス港(イロイロ)-バコロド間では1日5便、所要時間1.5時間で27キロメートルの海路を結んでいる。
MSLIは自転車320ペソ、オートバイ1,300ペソ、乗用車3,240ペソで車両輸送サービスを提供している。同社はRORO Bus Transport Services Inc.の支配株主として、Strong Republic Nautical Highwayを通じたバス輸送サービスも展開し、海上・陸上の統合輸送ソリューションを実現している。2010年にはフィリピン開発銀行のMaritime Leasing Corporationから10億ペソ相当の8隻のROROベッセルを取得し、2019年にはフィリピン最大の海運グループであるPhilippine Coastwise Shipping Association(PCSA)のメンバーとなった。
出典:https://asianshipcorp.business.site/
SOLID SHIPPING LINES CORPORATION (ソリッド・シッピング・ライン)
Solid Shipping Lines Corporation(SSLC)は、1973年2月13日に設立され、40年以上にわたってフィリピン国内海運業界で事業を展開している老舗海運会社である。同社は1977年11月に現在の所有者によって買収され、当初は1,800DWTの容量を持つ2隻の貨物船でマニラ-ダバオ航路の運航を開始した。
SSLCは現在、総容量57,529DWTの9隻の貨物船を保有し、マニラ-ダバオ-マニラ、マニラ-ジェネラルサントス-マニラ、マニラ-カガヤンデオロ-マニラの3つの主要航路で「ダイレクトカーゴライナーサービス」を提供している。同社は日本から高品質な新造船を継続的に導入しており、2024年現在、4隻の新造船が既に就航し、5隻目の建造も発注済みである。最新鋭船であるM/V Solid Harmonyは「逆境の中での調和」をコンセプトに設計され、激しい競争環境下での同社の成長戦略を象徴している。
2023年の財務実績では、同社の純売上高は前年比4.23%減少したものの、純利益率は0.41%改善し、総資産は2.27%減少した。現在382名の従業員を擁し、マニラのビノンド地区サンフェルナンド通り471番地に本社を構えている。
出典:https://www.solidshipping.com/history.php
Asian Shipping Corporation (アジアン シッピング・コーポレーション)
Asian Shipping Corporation(ASC)は、1965年7月にマニラで設立されたフィリピン最大級の国内海運会社である。同社は2隻のログキャリアと1隻のランディングクラフトミディアム(LCM)でアジア全域の木材輸送から事業を開始し、その後国内トランピング事業に特化して元米海軍の250DWT LCTを取得した。
ASCは現在約200隻の多様な船舶を運航し、フィリピン海事産業庁(MARINA)によって総トン数で国内最大の海運会社として認定されている。同社の船隊は上陸用舟艇(LCT)、タグボート、バージで構成され、フィリピン全土でのビーチランディングや船舶から陸上への直接貨物移送が可能な多目的運航能力を持つ。2023年のMARINA統計報告書によると、国内海運セクターでは貨物船68隻が総トン数702,053.62トンを記録している。
ASCは石炭、鉱物、建設資材、重機、風力発電機部品などの特殊貨物輸送を専門とし、フィリピン全土の発電所への石炭供給で重要な役割を果たしている。同社は2009年にフィリピン初の12,000DWT バージを導入し、2014年には当時フィリピン最大の15,000DWT バージと初の4,000HP双軸タグボートを配備した。特筆すべきプロジェクトとして、フィリピン初の風力発電プロジェクトでマニラとスアル(パンガシナン州)からバンギ(イロコスノルテ州)への風力発電機部品輸送、第二次世界大戦の爆発物処理でカバロ島からスービック湾への軍事護衛下での安全輸送、マニラ湾での国際花火大会における打ち上げプラットフォームの提供などがある。
出典:https://asianshipcorp.business.site/
COKALIONG SHIPPING LINES INC.(コカリオン・シッピング・ライン)
Cokaliong Shipping Lines, Inc.(CSLI)は、1989年にChester C. Cokaliongによって設立されたセブ市を拠点とする海運会社である。同社は繊維・既製服企業であるChester Enterprises, Inc.(1969年設立)から海運業へ多角化した企業として、フィリピンで最も若い海運会社の一つに数えられる。
2025年6月現在、CSLIは16隻の船舶を保有し、ビサヤ諸島とミンダナオ島の16の主要港湾でサービスを提供している。同社は2025年1月に創立35周年を迎え、2025年4月にはM/V Filipinas Boholが17隻目として就航予定である。この新造船は中国の台州市にある臨海恵普造船所で建造され、全長72メートル、幅15メートルの仕様となっている。
2020年のパンデミック期間中、CSLIは逆境の中で積極的な拡張戦略を実行し、M/V Filipinas Mindanaoの取得に約4億3,000万ペソを投資した。これはパンデミック期間中にセブの企業が行った最大規模の投資であった。同社は800名以上の従業員を雇用し、パンデミック期間中も雇用を維持した。
出典:https://www.cokaliongshipping.com/index.php/projects/
Aleson Shipping Lines (アレソン・シッピング・ライン)
Aleson Shipping Lines, Inc.(ASLI)は、1976年10月1日にザンボアンガ市でFeliciano N. Tan, Sr.によって設立された、西ミンダナオ地域最大の海運会社である。同社は当初、個人事業主として開始され、母船MV Estrella Del Marで近隣の島々への米輸送から事業を開始したが、その後ザンボアンガ-バシラン間の旅客・貨物輸送に発展した。
2025年3月現在、ASLIは36隻の現代的な船舶を保有し、フィリピン全国11港以上でサービスを提供している。同社の船隊は旅客・貨物船23隻とコンテナ船12隻で構成され、現在の旗艦船はMV Antoniaである。主要船舶にはMV Antonia 2(新造船)、MV Danica Joy 1・2、MV Lady Mary Joy 1・3、MV Stephanie Marie 1・2、MV Ciara Joie 8などが含まれる。
2025年の運航スケジュールでは、ドゥマゲテ-ダピタン間を1日2便(午前6時・午後1時発)、所要時間4時間で運航している。ドゥマゲテ-シキホール間も1日2便(午前10時・午後6時30分発)、所要時間4時間で結んでいる。同社は1994年にBIMP-EAGA航路開発の一環として、フィリピン初のザンボアンガ-サンダカン(マレーシア)国際航路を開設し、MV Danica Joyが同航路の先駆的船舶として運航した。
出典:http://aleson-shipping.com/
ASIAN MARINE TRANSPORT CORPORATION (アジアン・マリン・トランスポート)
Asian Marine Transport Corporation(AMTC)は、1999年にセブ市で設立されたフィリピン最大級の国内海運・物流企業である。同社は現在Paul Rodriguez氏がCEOを務め、セブ市ゴロルド通り38番地に本社を構えている。
AMTCは2025年現在、コンテナ貨物で全国市場シェア35%、ローリング貨物で80%という圧倒的な市場地位を確立している。同社は1,080名の従業員を擁し、フィリピン全国35の港湾でサービスを展開している。現在の船隊は25隻で構成され、24隻のROROベッセルと1隻の高速船を運航している。
2025年6月現在、同社はSuper Shuttle RORO(7号、9号、10号、14号、Rocon 16)とSuper Shuttle Ferry(5号、17号、27号、28号)のブランドで運航している。主要運航エリアは、ルソン島のマニラ南港、バタンガス市、ミンドロ島、ロンブロン島、マスバテ市、ビサヤ諸島のセブ市、ボホール島、シキホール島、ミンダナオ島のカガヤンデオロ市、ダバオ市、ジェネラルサントス市など35港に及ぶ。
AMTCは2017年にASEAN Business AwardsのPriority Integration Logistics Sector Awardを受賞し、ASEAN地域での物流統合に貢献している。同社は現在、ベトナムとタイへの新航路開設を計画しており、特にベトナムとの交渉は「非常に有望」な段階にある。Paul Rodriguez CEOは「ASEAN諸国との直接接続により、地域全体の繁栄をもたらす」と述べている。
出典:https://bit.ly/3xTlUJ9
SMC Shipping and Lighterage Corporation (SMCシッピング&ライタレッジ・コーポレーション)
SMC Shipping and Lighterage Corporation(SMCSL)は、1974年6月28日に設立されたサンミゲル・コーポレーションの子会社である。同社はマニラ港湾センターのトンド地区に本社を置き、水上輸送支援業界で事業を展開している。
2023年現在、SMCSLは41名の従業員を擁し、前年比1.63%の純売上高増加を記録した。総資産は5.69%の成長を達成したものの、純利益率は3.01%減少した。同社は現在、デッキバージ・タグボート、アルコールタンカー、CO2タンカー、石油タンカー、LPGタンカー、港湾タグボート、バージなど多様な船舶を保有している。
SMCSLは1999年にサンミゲルグループのロジスティクス評議会のメンバーとなり、グループの統合物流サービス事業者として位置づけられた。2002年にはルソン島での事業拡大のため首都圏衛星ユニットを設立し、バターン州マリヴェレスで14ヘクタールの港湾・倉庫施設の運営を開始した。同社の事業は海上運航、港湾運営、倉庫運営の3つの主要分野で構成されている。
出典:https://bit.ly/3jV7C5U
HarbourStar Shipping Services (ハーバースター・シッピングサービス)
Harbor Star Shipping Services, Inc.は、1988年7月5日に「Seatows, Inc.」として設立され、1998年12月14日に現在の社名に変更されたフィリピンの統合海事サービス企業である。同社は現在、Geronimo P. Bella, Jr.が社長を務め、マカティ市に本社を構えている。
2025年現在、Harbor Starは50隻以上の水上船舶を保有し、タグボート、バージ、特殊船舶で構成されている。具体的には53隻のタグボート、7隻のバージ、1隻の上陸用舟艇、1隻の浚渫船、1隻のその他海洋船舶を運航している。同社はフィリピン全国67の港湾・ターミナル・サブポートで事業を展開し、フィリピンで最も広範囲な海事サービスを提供している。
2024年第1四半期の財務実績では、純サービス収入5億4,873万ペソを記録したが、前年同期比13.10%の減少となった。フィリピン証券取引所に上場している同社の株価は2025年5月時点で0.61ペソ、時価総額5億7,254万ペソとなっている。PER(株価収益率)は3.12倍と低水準にあり、年間配当利回りは10.77%の下落を記録している。
出典:https://www.harborstar.com.ph/
フィリピンの主要海運会社3選〜日系編〜
MM EMPOWER CORP. 商船三井
MM EMPOWER CORP.(MMエンパワー)は、2020年8月14日に商船三井とMagsaysayグループの人材紹介会社Magsaysay People Resources Corporation, Inc.(MPRC)が共同でフィリピンに設立した外国人人材コンサルティング事業会社である。同社は商船三井の経営計画「ローリングプラン2020」に基づく新規事業開拓の一環として設立され、マニラのマグサイサイビル7階に本社を構えている。
MMエンパワーは2021年5月に第1号案件として大阪ガスの協力会社向けフィリピン人配管工の教育支援事業を開始し、第1期生19名に対する日本語教育を実施した。2024年9月には三和ドック向けにフィリピン人技能実習生6名の採用支援を行い、機関部員および船舶用エンジン整備経験者の配置に成功した。これらの実習生は現地で約5か月間の日本語・文化教育を受け、来日後さらに1か月間の研修を経て着任している。
同社の事業基盤となるMagsaysayグループは1948年設立の歴史ある企業で、フィリピン第7代大統領ラモン・マグサイサイ一族が創設した。商船三井は1980年代からMagsaysayグループとパートナーシップを組み、1993年にMagsaysay Institute of Shipping(MIS)を設立、2018年にはMOL Magsaysay Maritime Academy(MMMA)を開校している。MMMAは毎年約300人の卒業生を輩出し、4年間の徹底した訓練と基礎教育を通じて即戦力となる優秀な船員を継続的に育成している。
2025年現在、MMエンパワーは東急ホテルズ&リゾーツとの人材採用提携を本格化させ、外国人技能実習生と調理人の採用支援を行っている。同社は宿泊、建設、ビルクリーニング、総合職人材など幅広い分野での人材紹介実績を持ち、フィリピン以外にもミャンマー、インドネシア、日本在住の留学生や既就労外国人材の紹介も可能である。日本の特定技能制度により2019年から5年間で26~34万人の外国人人材受け入れが見込まれる中、MMエンパワーは商船三井の約800隻の船舶運航で培った外国人船員採用・育成・マネジメント経験を活かし、日本企業の人材不足とダイバーシティ推進の課題解決に貢献している。
出典:https://www.mol.co.jp/pr/2020/20070.html
K Line Logistics Inc.Philippines (川崎汽船 Kラインロジスティクス・フィリピン)
K Line Logistics (Philippines), Inc.(KLLP)は、1990年に国際航空貨物フォワーダーおよび認可通関業者として設立されたフィリピンの総合物流企業である。同社は川崎汽船グループの中核物流企業として、28年以上にわたってフィリピンで事業を展開している。
2025年現在、KLLPは全国で100名以上の従業員を擁し、ISO 9001-2015認証を取得している。同社はRayomar Group of Companiesの一員として、海運、物流、船員派遣を専門とする複合企業グループに属している。2011年1月には川崎汽船ロジスティクスジャパンとTransmar Agencies, Inc.の合弁会社として再編され、社名を”K” Line Air Service Phils., Inc.から現在の名称に変更した。
KLLPは2025年6月現在、メトロマニラ、ラグナ、カビテ、バタンガス、パンパンガ、セブ、カガヤンデオロに直営拠点を構え、ダバオ、イロイロ、バコロド、スービック、バタンガスに代理店ネットワークを展開している。2024年には首都圏外での事業拡大が同社の総売上高の約20%を占めるまでに成長し、今後3年間で国内事業が国際フォワーディング事業と同等の成長ドライバーになると予測している。
同社は2025年にブラカン州プラリデルに新倉庫施設を開設し、効率的で信頼性の高い物流ソリューションの提供体制を強化した。カラバ・ラグナのK Line Auto Logistics施設では最大1,600台の完成車保管能力を持ち、国内配送とディーラーへのトラック輸送のハブとして機能している。シラン・カビテのCloud Synergy Logistics施設では6つのローディングベイと6,000パレット以上の保管能力を有し、統合配送とクロスドッキングサービスを提供している。
出典:https://www.ph.klinelogistics.com/
NYK Line Philippine (日本郵船)
NYK-FIL Ship Management, Inc.は、1989年に日本郵船と30社以上で構成されるフィリピンの複合企業Transnational Diversified Group(TDG)の合弁により設立された船舶管理・船員派遣会社である。同社は現在、日本郵船の国際航行船舶に優秀なフィリピン人船員を提供するトップ企業として、日本郵船船隊の大半を占める商船隊員と機関員を供給している。
2025年現在、NYK-FILは独自のE2R(Education & Training to Employment to Retirement)プログラムを通じて、船員の学校時代から職業キャリア全体、さらに退職まで包括的な関係構築を行っている。同社は2005年にラグナ州カランバ市カンルーバンに約7ヘクタール(東京ドーム約1.5個分)の敷地を持つNYK-TDG Maritime Academy(NTMA)を設立し、フィリピン国内屈指の海事学校として運営している。
同社はマニラのイントラムロスに本社を置き、西ビサヤ地域のイロイロ市に衛星オフィスを維持している。NYK-FILは「No Training, No Deployment」ポリシーを採用し、すべての船員が乗船前に技術的能力と準備状況を確実に備えることを保証している。また、フィリピン全国各地にNYK-FIL Seafarers Dependents Associations(SDA)を設立し、船員家族への支援活動を展開している。
出典:https://asianshipcorp.business.site/
フィリピンの主要海運会社6選〜外資系編〜
Philhua Shipping Inc (フィリピンチャイナシッピング)
Philhuaは、フィリピン、インドネシア、中国で事業を展開する中国資本企業であり、国際海運の大手として知られている。2002年に営業を開始したPhilhuaは、世界中の多くのクライアントに配送サービスを提供する大手代理店の1つである。外資を含む船舶設備総重量トンは、国内第2位の地位を占めており、船舶総トン数3,289,478トン外資として1位(Philippine Port Authority調べ)
フィリピン海運(フィリピン)は、2002年にフィリピンのマニラに設立された。フィリピンチャイナシッピング(フィリピン)は、、20年近く成長し続け、フィリピン最大のばら積み貨物代理店に成長した。代理店の数は、長年にわたってフィリピンで第1位にランクされている。
フィリピン全土で事業を展開で陸運と連携し、フィリピンのどこでも、運送可能なネットワークを構築している。フィリピン-中国海運(フィリピン)はフィリピン中のエージェントのネットワークを通してその能力の範囲内であなたに援助を提供している。
出典: http://www.philhua.com/business.html?business=ship
http://opentransport.ateneo.edu/pages/TopCargoShippingLine.html#dvData
Oceanic Container Lines,Inc. (オーセニック・コンテナライン)
Oceanic Container Lines、Inc。は1998年に設立され、海運業界において専門知識を提供する国内有数の企業である。創業23年間、さまざまな輸送要件をクライアントに提供しており、信頼性が高く完全に機能する船舶を20隻以上配備している。
Oceanic Container Linesは、アジア、ヨーロッパ、南アメリカ、北アメリカに認定オフィスをもつグローバル企業である。各ローカル地域の専門者によって、サービスプロセスを最適化し、eサービス情報システムを通じたグローバルな出荷を管理している。海上輸送だけではなく、スケジュールに合わない場合は、海と空と列車のコンポーネントで輸送をサポートしている。
シッピング順位はフィリピン第7位で、1,773,276トン(Philippine Port Authority)外資資本企業では、第3位である。
出典: http://www.oceanic.ph/
https://oceanic.biz/
MCC Transport Philippines,Inc. (MCCトランスポート・フィリピン)
1904年に外資系Sealand – Maerskの会社の傘下で会社設立。MCCトランスポート・フィリピンは、顧客のロジスティックニーズを組み合わせたサービスを使用して、パートナー配送会社とのコラボレーションで物流を提供している。世界中に多くの支店がある。
フィリピンMCCPは、2007年7月にフィリピンで設立されて以来、ISO準拠の20フィートおよび40フィートのコンテナ、および国際標準のカスタマーサービスをフィリピン市場に提供している。フィリピンにも5支店を有している。世界最大のコンテナ船会社として、毎年1,200万個のコンテナを移動し、世界中に配送している。
世界中の300以上の港からの配送サービスを行い、ビジネスをグローバルに接続している。あらゆる産業のプロダクトを輸送するシステムを有する世界企業であるサプライチェーンをエンドツーエンドで簡素化するサービスを提供している。外資を含む船舶設備総重量トンはフィリピン第8位で、1,748,508トン(Philippine Port Authority)。外資資本企業では、第4位である。
出典: https://www.sealandmaersk.com/contact
https:// www.mcc.com.sg/shipping/ph
APL(APLロジスティクス・フィリピン)
1997年、シンガポールを拠点とする Neptune Orient Lines Ltd.(NOL)は、合併によりAPLを8億2,500万米ドルで買収し、業界のトップ5にランクインした。現在のAPLは、シンガポールに本社を置くCMA CGMグループの子会社である。
フィリピンのオフィスコンタクトの案内は、HCMA CGM PHILIPPINES INC.に所在する。貨物及び貨物コンテナサービスを提供している。(CMA CGM PHILIPPINES INC.)APL Logisticsは、自動車、消費者、産業、小売市場全体に革新的なグローバルサプライチェーンソリューションを提供している。海上輸送と鉄道輸送にルーツを持つブランドとして発展した。
2020年のAPLLの売上高は8.0%減の1338億29百万円、営業利益は販売費・一般管理費の削減等の営業利益率の改善により41.8%増の81億3,500万円となった。2019年APLLの売上高は1.8%増の1466億7千万円、営業利益は58億6400万円(131.3%増) (Philippine Port Authority)フィリピンの総重量トンでは、ランク外である。
出典: https://www.apllogistics.com/
https://www.apllogistics.com/topics/financials
CMA CGM Philippines (CMA CGM・フィリピン)
フランスのマルセイユで1851年に設立された、世界をリードする海運グループ。CMACGMは、最大かつ最新の冷凍コンテナを所有しており、一般貨物(ドライコンテナ)、プロジェクト貨物用の各種コンテナを全世界に配置している。170の定期コンテナ航路で世界150カ国の400の港湾を結び、マースクライン、MSCに次ぐ世界第3位のコンテナ物流企業である。
オフィスは、マニラ、スービック、セブ、ダバオ、ジェネラルサントス、カガヤンデオロの主要地域に置いている。CMA CGMフィリピンは、フィリピン及び世界中の顧客のニーズを満たす包括的物流システムを提供し、CMA CGM、APL、CNC、ANLの4つのブランドでCMACGMグループのすべての出荷を処理している。
付加価値サービスとして、貨物保険サービス・物流サプライチェーン・製薬・液体輸送等の特殊ソリューション・ハイクラスコンテナなどを提供している。管理システムは完全デジタルエコシステムにより販売チャネルに提供している。(Philippine Port Authority)フィリピンの総重量トンでは、ランク外である。
出典: https://www.cma-cgm.com/
http://www.cma-cgm.com/local/philippines
Hapag-Lloyd (ハパックロイド・フィリピン)
ドイツで1847年に設立、1970年9月1日にハンブルクアメリカライン(HAPAG)とNorddeutscher Lloydの海運会社が合併した。250隻の近代的な船、年間1,180万TEU(20フィート相当の単位)が輸送され、130か国の394のオフィスで約13,400人の従業員を配置している。
Hapag-Lloydは、総容量180万TEUのフリートと、世界最大かつ最新の冷凍コンテナフリートの1つを含む、約280万TEUのコンテナストックを提供している。世界中で合計121の定期船サービスが、600を超える港に接続している。2021年6月30日現在のHapag-Lloydの所有者は、CSAV(30.0%)、KlausMichaelKühne(30.0%)である。
グループ総売り上げ収入は、2019年14.5ビリオン米ドル(約1兆6000億円)(Philippine Port Authority)フィリピンの総重量トンでは、ランク外である。
出典: Hapag-Lloyd.com

マニラ在住5年目の日本人。法政大学経済学部卒業後、2010年4月よりWeb業界を目指す社会人向けのスクールのインストラクターとして主にコーディングソフトや画像編集ソフトの授業を担当。2015年より海外での生活とキャリア形成を目的に、青年海外協力隊に参加。

