今回は、インドネシアの主要医療機器メーカーに焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて12社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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インドネシアの主要医療機器メーカー3選〜ローカル編〜
PT Andini Sarana(アンディニ・サラナ)
1983年に設立されたインドネシアの医療機器メーカー。設立当初は6人の従業がガレージで簡単な歯科用機器を製造することからスタートした。
1987年、会社の成長に合わせて、ジャカルタのプロガドゥン工業団地の工場に移転した。工場の規模は建物面積が5,500平方メートル。PT Andini Saranaはインドネシアで最初の近代的な歯科用機器メーカーとして歯科用機器と医療機器の製造販売と、より高品質な製品に対する顧客ニーズに対応するため世界クラスの歯科用および医療用製品の輸入販売も行っている。
主な輸入ブランドは、米国のA-dec:歯科用治療台、ドイツのDürr Dental:歯科用エアーコンプレッサー、イタリアのMectron:歯科用治療器具、日本の中村デンタル株式会社:歯科用ハンドピース、ドイツのOtto-leibinger:歯科用治療器具など。顧客は、国内だけでなく、マレーシア、バングラデシュ、ベトナム、スリランカなどの輸出市場にもサービスを提供している。
出典:http://andinisarana.com/
PT Oneject Indonesia(ワンジェクト・インドネシア)
2004年に設立されたインドネシアの医療機器メーカーである。特に自動無効化(AD)注射器のメーカーである。安全な注射を提供するインドネシアのAD注射器メーカーのパイオニアでインドネシアのAD注射器市場のリーダーとして90%の市場シェアを誇っている。PT Oneject Indonesiaはインドネシアだけでなく、アジア諸国にAD注射器を輸出しており、欧州市場への参入も狙っている。
医療グレードの原材料の選定から最終製品に至るまでの各製造工程で製品の品質を保証している。製品は、ISO 9001:2015およびISO 13485:2016の要件に従って、品質管理部門によって管理され、R&D部門と協力して、改善、革新を継続的に行っている。
主力となる注射器は2種類。一つはSafeject使い捨て注射器で医療グレードのポリプロピレンで作られている。もう一つはSafejectスマート注射器で、Safeject使い捨て注射器と安全針を組み合わせたもので安全性のレベルがさらに一段高い。
出典:https://oneject.co.id/
PT Poly Jaya Medikal(ポリ・ジャヤ・メディカル)
2007年に設立されたインドネシアのローカル医療機器メーカーである。設立当初はいくつかの病院用家具の製造から始めた。
現在は、病院設備を製造する国内有数の民間企業の1つで、250種類を超える病院設備を製造し、インドネシア全土に供給している。インドネシア共和国保健省から製造ライセンスと許可を取得し、品質管理システムは国家認定委員会(KAN)からISO9001認証を取得している。
主な製品カテゴリーは6つ。①酸素発生器:オンサイト酸素発生器および医療ガス集中装置など。②病院施設:排水処理プラント、焼却炉、スクラブステーション、車椅子など。③病院用家具:入院患者用ベッド、ICUベッド、オーバーベッドテーブル、ベッドサイドキャビネット、ベッドスクリーンなど。④新生児保育器:インキュベーターサーボ、デジタル制御インキュベーター、新生児ウォーマーなど。⑤高圧酸素療法器、⑥放射線機器:稼働型、据え置き型、デジタル画像管理システムなど。
出典:https://polymedikal.com/
インドネシアの主要医療機器メーカー3選〜日系編〜
PT Hogy Indonesia(ホギ・インドネシア)
1994年に設立された日本のホギメディカル株式会社のインドネシア子会社。1995年に操業を開始。HOGYインドネシアは世界最高の手術器具としてDispo製品の生産を行っている。Dispo製品には手術用ガウン、ズボン、マスク、ヘッドカバーなどがある。
インドネシアでは、まだ、ほとんどの病院が手術用の着衣や手術室のカーテンにリネン製品を使用しているため、医療従事者は常にウイルスやバクテリアの危険にさらされている。Dispo製品は体液や血液を通さないので、取り扱い時の病気、ウイルス、バクテリアから医療従事者を守ることができる。特にB型肝炎やHIVに感染した患者に接する際はウイルス数が多いためリスクが高いがDispo製品を使用すれば危険を解消できる。
HOGYインドネシアは不織布の主要な生産者の1つであり、ヒューマンエラーを防止するための生産ラインの自動化やクリーンで安全な生産環境の実現で高い品質を維持している。
出典:https://www.hogy.co.id/
PT PHC Indonesia(PHCインドネシア)
1991年に設立されたインドネシアの医療機器メーカー。設立当初の社名はPT Kotobuki Electronics Indonesia (KEI)。1998年に社名をPT Matsushita Kotobuki Electronics Indonesia (MKI)に変更。2005年に社名をPT Panasonic Shikoku Electronics Indonesia (PSECI)に変更。2011年に社名をPT Panasonic Healthcare Indonesia (PHCI)に変更。2018年に社名をPT PHC Indonesia (PHCI)に変更して現在に至る。
事業範囲はヘルスケア機器およびサービス(医療機器、ヘルスケアITおよびライフサイエンス)の開発、製造、および販売である。生産販売品目は、電子機器としての医療機器およびコンポーネント(血糖値計、バイオメディカルフリーザー、バイオメディカルインキュベーターおよび医療機器)と自動車などのEMS(電子機器受託製造サービス)である。
会社の保有する機能は、生産、設計、資材調達、ローカリゼーション、輸入業務、輸出業務、保税工場、非保税工場などである。
出典:https://www.phchd.com/id/phci
PT JMS Batam(JMSバタム)
1994年にシンガポールのJMS Singapore Pte Ltdが100%出資して設立された医療機器メーカーである。また、JMS Singapore Pte Ltdは日本の株式会社ジェイ・エム・エスが100%出資して1979年にJMSグループとして日本国外で2番目の海外プロジェクトとして設立したシンガポール子会社である。
PT JMS Batamはシンガポール政府とインドネシア政府が合弁で建設したバタミンド工業団地の中にあり、工場面積は9,217平方メートルある。バタミンド工業団地は保税地域でシンガポールに当日出荷ができるため、JMS SingaporeとJMS Batamはツインオペレーションが行われている。
JMS Batamでは輸血セット、頭皮静脈セット、瘻針、血液ラインなどが生産されている。工場は高度なエンジニアリングと最先端の製造技術による社内設備が完備されており、製品ライン全体は、医療機関に供給する前に安全基準と製品仕様を確実に満足するようにすべての製造段階で厳格な品質管理が行われている。
出典:http://www.jmss.com.sg/
インドネシアの主要医療機器メーカー6選〜外資系編〜
B. Braun Medical Indonesia(B.ブラウン・メディカル・インドネシア)
1980年代にPenta Vallentという地元の販売代理店を通じてインドネシア市場に参入。1989年に販売会社PT Buminusantara Bestariperkasaを設立。2001年にB.Braun Germanの子会社となりPT B Braun Medical Indonesiaに社名を変更。
2009年には大容量非経口(LPV)の生産のために投資を開始。2017年にはB.ブラウンインドネシアのLPV工場が保健省から産業ライセンスを取得。2018年カラワンLPV工場の商業生産を開始。創業175年の歴史を持ちグローバル61か国以上に展開してきたB.ブラウンの専門知識をインドネシアでもフルに活用してLPVの生産を成功。
LVPは入院中に一般的に使用される点滴療法用の滅菌容器に入った水溶液のことを言う。LVPは静脈内注入を目的としているため、熱で滅菌する必要がある。B.ブラウンは、ヨーロッパの製造基準を導入、インドネシア工場で製造するための専門知識を共有し、高品質の医薬品製造スキルを移転する取り組みを行っている。
出典: https://www.bbraun.co.id/en.html
PT Siemens Indonesia(シーメンス・インドネシア)
グローバルに展開するSiemensは2019年9月末グループ売上高870億ユーロ、グループ従業員数38万人以上である。PT Siemens IndonesiaはSiemensのインドネシア子会社で、165年の歴史があり、2019年9月末の従業員数は約1,100名である。1855年 にSiemens&Halske(S&H)がオランダの植民地省からオランダ領東インドに電信線の建設を受注したことが始まり。1973年にPT Siemens Indonesiaがジャカルタに設立された。
現在、PT Siemens Indonesiaにはスマートインフラストラクチャ部門、デジタル産業部門、エネルギー部門、大型ドライブアプリケーション部門とSiemens Healthineers部門がある。
Siemens Healthineers部門では革新的なCT製品とテクノロジーを数十年にわたって導入してきたコンピュータ断層撮影機器、ACUSON超音波システムを採用し最新の画像技術とAI対応ツールを使用した超音波検査機器、血液ガス分析システムなどを医療機関に提供している。
出典: https://new.siemens.com/id/en/company/about-us/history/indonesia.html
PT Philips Indonesia(フィリップス・インドネシア)
オランダのロイヤル・フィリップスとインドネシアの関係は1895年から始まっている。フィリップス・インドネシアは以来、インドネシアの人々の健康と幸福に貢献するハイテクを提供してきた。フィリップスの事業の3本柱は、「ヘルスケア」「照明」「コンスーマー・ライフスタイル」である。
「ヘルスケア」については有意義なヘルスケアソリューションを通じて、ASEAN地域医療改善に取り組んでおり、地域医療インフラ改善に全体的で長期的なアプローチを継続している。心臓病学、腫瘍学、呼吸器疾患、睡眠、女性および育児分野の改善に取り組み、特に伝統的に強い放射線医学と心臓病学の面で病院や患者のニーズに対応している。
国内の主要代理店は、PT Arkan Jaya Nusantara、PT Berca Niaga Medika、PT Modern Jaya Farma、PT Aneka Medika Indonesia、PT Rajawali Medika Mandiri、PT Tawada Healthcare、PT Perdana Niaga PerkasaとPT Global Medik Persadaの8社である。
出典: https://www.philips.co.id/healthcare/about/contact
https://www.philips.co.id/a-w/about-philips/company-profile/philips-in-indonesia
PT Fresenius Medical Care Indonesia(フレセニウス・メディカル・インドネシア)
Fresenius Medical Care Indonesia は、慢性腎不全患者に製品とサービスをグローバルに提供するFresenius Medical Careのインドネシア子会社である。
世界中で約370万人の患者が定期的に腎臓機能を代替して血液を浄化する透析治療を受けている。グローバルで4,000を超える透析クリニックで346,000人以上の患者をケアしている。Fresenius Medical Careは、すべての大陸をカバーする44の生産拠点を運営し、透析装置、透析器、および関連する使い捨て製品などの透析製品を提供している。
Fresenius Medical Care Indonesiaは、インドネシアの腎ケアのマーケットリーダーで透析病院の半数以上に透析関連の機器と製品を供給している。技術、製品、教育、臨床的および技術的専門知識の提供を通じて、インドネシア中の慢性腎不全患者に包括的なソリューションを提供している。また、インドネシアの医師に最適な腎ケアに関するトレーニング、サポート、およびガイダンスを提供している。
出典: https://www.fmc-id.com/en/
GE
GEはインドネシアで電力、石油、ガス、ヘルスケアの各セクターに最大10億ドルを投資して最新のテクノロジーと最適なソリューションを提供している。現在、GEはジャカルタに本社を置き、国内に約1,300人の従業員を擁している。
インドネシアは、東南アジアにおけるGE Healthcareのビジネスの30%を占める最大の市場である。今までにASEAN Healthcare Learning Institute(AHLI)を通じて75以上の医療教育イベントを開催し、2,000名を超える医療従事者のトレーニングを行ってきた。2015年、GE Healthcareは、現地チームの規模拡大のためにインドネシアに大規模な投資を行った。
現在、インドネシアチームはASEANの900人のスタッフのうち約130人を占める。ジャカルタに加えて、スラバヤ、メダン、スマラン、ジョグジャカルタに拠点を置くスタッフがいる。25,000台を超えるGE Healthcare機器が、アチェからナビレまで、インドネシア全土の病院に設置されている。
出典: https://www.ge.com/apac/our-company/indonesia
PT Shamrock Manufacturing Corporation(シャムロック・マニュファクチャリング・コーポレーション)
1990年に設立されたインドネシアの医療および産業用手袋メーカー。PT Shamrock Manufacturing Corporation(SMC)はプランテーションに数十万本のゴムの木を植え、化石燃料からバイオマスに切り替えた革新的省エネ生産技術を導入した工場を運営する。工場は、製造業務が実質的にゼロカーボンフットプリントになるように設計されている。
SMCは真に垂直統合されたラテックスグローブの生産者であり、75,000エーカーの自社プランテーションで自社開発のハイブリッドゴムの木を栽培している。訓練を受けた労働者は、プランテーションからラテックス(ゴムの乳液)を採取、収集、遠心分離、熟成、配合して、ラテックス手袋の製造に使用する独自の浸漬液を製造する。
そして、SCMでは地面に種子を植えるところから手袋が完成するまでプロセス全体を制御し、最高の使い捨て手袋を一貫してタイムリーに供給している。また、スマトラ島とジャワ島に3か所手袋工場を運営している。
出典: http://en.shamrockmc.web.indotrading.com/about
インドネシア在住のインドネシア人。観光ガイドと通訳者を務め、インドネシアの観光地を日本語で案内している。日本語学科の大学を卒業し、邦人対応観光ガイド・国際イベントでの日本代表団担当連絡係員・通訳者・日本領事事務所長の地元アシスタントを経験。