今回は、マレーシアの主要病院に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて12院を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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マレーシアの主要病院8選〜ローカル編〜
KPJ Healthcare Bhd(KPJヘルスケア)
1981年にジョホール州で民間医療機関として開業。マレーシア最大の民間医療機関で、国内に28の病院を、そしてインドネシアとタイ、バングラデシュにも病院を展開する。全病院で15,377人を雇用し、病床数は3,410床。
病院はマレーシア健康品質協会(MSQH)、及び国際的医療施設評価機関(JCI)から認められている。また、品質管理システムのISO 9001、環境管理システムISO 14001、労働安全衛生システムOHSAS 18001などの認証も取得している。
同病院の2020年度における収益は23億9,744万リンギットで、1億1,081万リンギットの税引後利益を計上している。
2020年11月、同病院はHRアジアが発表した「アジアの働きがいのある会社」の一つに選ばれ、同年12月にはTMIアワードで「COVID-19イノベーション賞」を受賞したことを発表した。
また、病院は最先端デジタル技術の導入に積極的であり、オンライン注文可能なe薬局、ウェアラブル技術、ロボット工学、人工知能、loTなどを推進している。
出典:https://kpjhealth.com.my/
Pantai Group(パンタイグループ)
IHHヘルスケアの子会社にあたるパークウェイ・パンタイの傘下にあり、国内では11のパンタイ病院と4つのグレーインーグルス病院をネットワークに持つ。グループ内で890人超の医師と2,800人の看護師にて総合医療サービス及びリハビリテーションを提供している。
同グループではeヘルスを提供しており、eヘルス・チャットとeヘルス・コンサルトを介して医師に相談することができる。また、病院は外科と小児科、整形外科、産婦人科、循環器内科、消化器内科などを有している。
2020年5月には、国内すべてのパンタイ病院とグレーインーグルス病院において、eヘルス・ビデオコンサルテーションを利用することが可能となったことを発表している。医療相談の他にも、薬の受け取り手配や自宅への配送サービスにも対応する。
出典:https://www.pantai.com.my/
Institut Jantung Negara(国立心臓病センター)
1992年、心臓専門機関として設立される。これまでに100万人以上の患者を治療し、域内において有数の心臓専門機関として認知されている。イギリスのパプワース病院やドイツヘルツウント、関西医科大学、ハノイ心臓センターなどと提携。病院は心臓専門医、小児心臓専門医、心臓胸部外科医、救急医、麻酔科医などを擁している。
2005年11月にはマレーシア健康品質協会(MSQH)から、そして2019年11月には国際的医療施設評価機関(JCI)から認定を受けている。また、2014年にISO 15189とISO / IEC27001、そして2019年にハラール認定などの認証も取得しており、2019年にはエネルギー管理で「ゴールドスタンダード3つ星」に認定されている。
2021年3月、同病院はスルタン・ザイナル・アビディン大学(UniSZA)とトレンガヌ州における医療・健康サービス、施設、トレーニング、研究、その他の関連医療サービスの提供・設立に関して相互に協力関係を構築するMoUを締結したことを発表している。
また2021年8月には、アジアの病院で初めて三尖弁閉鎖不全症の患者に対する新しい治療法「ドライバルブ・プリロード・デリバリーシステム」を成功させたことを発表した。
出典:https://www.ijn.com.my/
IHH Healthcare Bhd(IHHヘルスケア)
世界最大のヘルスケアネットワークの一つで、現在は10ヵ国に80の病院を展開している。65,000人以上の従業員を抱え、病床数は15,000床を超えている。
第1次・第2次・第3次・第4次医療を範囲とし、医学教育などを提供している。医療ブランドとして、アジバデム、マウント・エリザベス、グレンイーグルス、パンタイ、パークウェイ、IMUを持つ。
2020年度の収益は134億460万リンギットで、2億8,890万リンギットの税引後利益を計上している。
2021年、IHHはアジア経営者ランキングにおいて、ヘルスケア&医薬品カテゴリーにて「ベストCEO」と「ベストIRプログラム」で第2位、「名誉ある企業」で5位に選ばれたことを発表した。
2020年9月、IHHは間接子会社であるパンタイ病院を通じて、プリンスコート・メディカルセンターの全株式を10億2,000万リンギットで取得したことを発表した。これにより、IHHはクアラルンプールにおける病院ネットワークを拡大することができたとしている。
出典:https://www.ihhhealthcare.com/
Columbia Asia Healthcare(コロンビア・アジア・ヘルスケア)
1996年に設立された民間医療機関で、1997年にサラワクにて最初の病院を開業する。現在は東南アジア域内で19の医療機関(マレーシア13ヵ所、ベトナム3ヵ所、インドネシア3ヵ所)を運営する。アクセス性と効率を高めるため、住宅地に中規模の病院を展開しているのが特徴となっている。
各医療機関は100~200床の病床を持ち、一般外科や小児科、産婦人科、整形外科、内科などの幅広い医療サービスを提供している。
2020年11月には、マレーシア・ヘルス&ウェルネス・ブランド・アワードにおいて、最優秀私立病院を含む4つのカテゴリーで賞を受賞した。
また2020年10月には、同病院はマレーシアにおいて遠隔医療プロバイダー「DoctorOnCall」を介したデジタル医療サービスに着手したことを発表した。患者はビデオコールを介して医師から必要なケアを受け、医療アドバイスや臨床管理、及び薬の処方を受けることができる。
出典:https://www.columbiaasia.com/
Beacon Hospital Sdn Bhd(ビーコンホスピタル)
ビーコンホスピタルは、病床数100床と80人以上の医療専門家を備えた中規模の癌専門病院となっている。手術や化学療法、免疫療法、放射線療法などの包括的ながん治療プログラムを提供している。
病院は脳・脊椎、骨・関節、目、男性の健康・泌尿器科、女性の健康、健康スクリーニングとウェルネス、臨床研究センターといった7つの専門センターを有しており、20年以上の経験を持つ医療専門家が支えている。
同病院は、東南アジアの医療機関としては初めてがん患者向けにバリアンメディカルシステムズ社(バリアン)の放射線治療装置「ハルシオン2.0」を導入しており、頭頸部、肺、乳房、前立腺、子宮頸部などの治療に使用している。また、2019年9月にはバリアン社の先進的な放射線治療技術「トゥルービーム2.7」も導入している。
2020年10月、ビーコンホスピタルはESMO指定の統合腫瘍学及び緩和ケアセンターに再認定されたことを発表している。再認定対象期間は2021年~2023年となっている。
出典:https://www.beaconhospital.com.my/
Sunway Medical Centre(サンウェイ・メディカル・センター)
1999年11月に、オーストラリア医療評議会認定の民間病院として開業。病床数は617床で180の診察室、12の手術室を備え、第3次医療サービスを提供する。同センターは、マレーシア・モナッシュ大学ジェフリー・チア医学・健康科学部、 ケンブリッジ大学ロイヤル・パップワース病院、ハーバード・メディカル・スクールと提携関係にある。
外来患者と入院患者の専門治療、ウェルネスプログラム、24時間対応の包括的な医療サービスを提供しており、ペタリンジャヤとチェラスにて事業を展開する。
同センターは、2021年にフロスト&サリバンより「マレーシア・スマートホスピタル・カンパニー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれている。
2021年1月には、遠隔医療コマンドセンターを導入したことを発表、第1フェーズでは患者に第一レベルの医療アドバイスサービス提供する。センターは24時間365日運営され、電話やメール、ソーシャルメディアを通じて問い合わせをすることが可能となっている。
また2021年8月には、4台のネコ型配膳ロボット「ベラボット」を導入したことを発表した。ロボットは若年患者とその介護者に食事を届けるだけでなく、病院ロビーで訪問者の道案内も行う。
出典:https://www.sunwaymedical.com/
Prince Court Medical Centre(プリンスコート・メディカルセンター)
2007年に設立された私立病院で、メディカルツーリズムや富裕層を主要顧客とする。病床数は270床で、日本語による対応も可能としている。2020年9月、IHHヘルスケアが同病院の全株をし取得したことで傘下に入る。
同病院では、麻酔や聴覚、心臓病、子宮がん、泌尿器、血管手術など多くの診療サービスを提供している。また、eヘルス・チェットとeヘルス・コンサルタントといったデジタルプラットフォームを導入している。
小売店や無料Wi-Fiといった患者向け設備の他に、市内でのショッピングや観光の手配が可能なコンシェルジュを配置しており、患者の治療後プロセスをケアしている。
2020年には、グローバルヘルス&トラベルより「マレーシアの年間最優秀病院」、「耳鼻咽喉科サービスプロバイダー・オブ・ザ・イヤー」、「アジア太平洋地域の小児サービスプロバイダー・オブ・ザ・イヤー」などに選ばれている。
出典:https://princecourt.com/
マレーシアの主要病院2選〜日系編〜
HIBARI CLINIC(ひばりクリニック)
クアラルンプールに4ヵ所とペナンに1ヵ所のクリニック、そしてクアラルンプールで歯医者1ヶ所を展開する。
提供する医療サービスは乳幼児、児童、女性、男性、シニア、予防接種となっている。またひばりクリニックで出産すると、日英母子手帳が無料配布される。レディース外来では婦人科・泌尿器科・肛門科・皮膚科など、女性特有の疾病や症状などの診察・治療を日本の医療機関にて研修経験のある常勤の女性医師が行う。
また、ひばりクリニックは日本の標準治療を採用しており、日本の医師・薬剤師がアドバイザーとして参加している。さらに、インターネット回線を介してローカル医師・日本人精神科医・日本人カウンセラーのチーム医療体制による遠隔メンタルケアサービスも提供している。
医療機器としては、亜酸化窒素装置と超音波エコー、心電図、血液・尿検査装置などを完備している。
出典:http://hibariclinic.com/my/
Smart Wellness Sdn Bhd(スマート・ウエルネス)
日本人向けクリニックとして、2017年6月にセランゴール州に「おあいファミリークリニック」を、そして2017年11月にジョホール州に「カモメファミリークリニック」を開業。また、2018年5月にマレーシア初日本人通訳常駐の歯科クリニック「さくらデンタルクリニック」をセランゴール州に開業している。
2021年6月30日、AOIインターナショナル・サービスとオールインクルーディングジャパン合同会社から同社がリテラスFPパートナーズへ譲渡されたことが発表された。
内科・小児科のほかに、眼科・皮膚科など専門科の初期治療にも対応した総合診療クリニックとなっている。さらに、インフルエンザ・肝炎・狂犬病といったワクチンにも対応している。
他にも、問診・身体測定や血液検査、尿検査、便検査といった健康診断も行っており、日本語で結果を受け取ることができる。また、海外旅行保険のキャッシュレスメディカルサービスが利用可能となっている。
出典:https://aoi.clinic/
https://kamome.clinic
マレーシアの主要病院2選〜外資系編〜
Ramsay Sime Darby Health Care(ラムゼイ・サイムダービー・ヘルスケア)
オーストラリアのラムゼイ・ヘルスケアと、マレーシアのコングロマリット企業であるサイムダービーとのパートナーシップで設立された医療機関。2021年4月、同病院はマニパル病院(クラン)の所有権を取得したことを発表しており、これによって病院数はマレーシア4つ、インドネシア3つの体制となっている。他にも、国内にヘルスケア大学、香港に私立外来センターを展開している。
同病院は、プライマリケアから複雑な手術、メンタルヘルスケア、リハビリテーションなど幅広い患者のニーズに対応している。
マレーシアにおいては、2019年にスバンジャヤ医療センターとアラダマンサラ医療センターが国際的医療施設評価機関(JCI)から認定を取得している。
また、同病院が運営するヘルスケア大学では、マレーシア資格庁から認定を受けた看護及び関連する健康科学プログラムを提供している。
出典: https://www.ramsaysimedarby.com/
https://www.simedarby.com/
Global Doctors Asia(グローバル・ドクターズ・アジア)
オーストラリアに本社を置く国際的なネットワークを持つグローバル・ドクターズと提携。グローバル・ドクターズ・マレーシアは2003年に事業を開始しており、クランバレーとケダ州に5つの病院・診療所を展開している。グローバル・ドクターズは中国とタイ、インドネシア、マレーシアに15の提携クリニックを持っており、海外でも患者が同じ高品質の医療とサービスを受けられる体制となっている。
病院ではプライマリケア(緊急医療や心臓・喘息ケア、外科サービスなど)とセカンダリケア(入院サービス、低侵襲手術室外科サービスなど)、プレホスピタルケアを提供している。
2021年6月には、2021年ヘルスケア・アジア・アワードにおいて「最優秀セカンダリケア病院」に選ばれたことを発表している。
また、TGGDメディカル&デンタルクリニックは同病院とゴム手袋最大手のトップグローブとのパートナーシップで設立されており、セティア・アラムとその周辺地域に医療・歯科サービスを提供している。
出典: https://globaldoctors.asia/
クアラルンプール在住4年目の日本人。大学卒業後、東京で飲料メーカーの営業を担当。その後、マレーシアのクアラルンプールへ移住し食品商社の営業及び購買のサポートを担当。