今回は、マレーシアの主要医療機器メーカーに焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて14社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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マレーシアの主要医療機器メーカー7選〜ローカル編〜
Kossan Rubber Industries Bhd(コッサン・ラバー・インダストリーズ)
ラテックス手袋製品を製造する会社として1979年にセランゴール州クランに設立。世界最大の使い捨てラテックス手袋メーカーの一つであり、130ヵ国以上に輸出している。年間で320億もの手袋を生産しており、8,000人超の従業員を雇用している。
また、同社が製造しているのはテクニカルラバー製品、ゴム製使い捨て手袋、クリーンルーム用使い捨て手袋となっている。医療用では、「iNtouch手術用手袋」を展開しており、パウダーフリーや非ラテックス、着色外科用手袋、滅菌検査用手袋など幅広い製品ラインナップを揃えている。
2020年度の収益は36億3,847万リンギットで、14億4,141万リンギットの税引前利益を計上している。
2019年には、フロスト&サリバンのアジア太平洋ベスト・プラクティス・アワードにおいて「グローバル・ハラール・グローブ企業オブザイヤー」を受賞している。
出典:https://kossan.com.my/
Sun Healthcare (M) Sdn Bhd(サン・ヘルスケア)
1981年に設立、 国立医療機関に透析用使い捨て製品や医療機器、デバイスを提供してきた歴史を持つ。2007年にマレーシア証券取引所に上場しているアドベンタ社が同社を買収し、現在に至っている。
買収以降に同社の製品ラインナップは3倍となり、使い捨て医療ディスポーザブルを含めるまでに拡大し、主要な保健省病院や大学病院、陸軍病院、政府系クリニック、私立病院へ販売してる。そして、その範囲は234の医療機関、2,000の薬局・診療所・介護施設にまで及んでいる。
取り扱っている製品は医療用手袋、透析製品、手術器具、尿ドレナージ、吸引器などとなっている。
また、同社は3つの倉庫を所有しており、医薬品適正流通(GDP)及び医療機器適正流通基準(GDPMD)に準拠している。
同社はペタリンジャヤを拠点としているが、首都圏だけでなくペラ州やケダ州、ヌグリ・スンビラン州にも対応できる人材を配置している。
出典:https://www.sunhealthcare.com.my/
Electron Beam Sdn Bhd(エレクトロン・ビーム)
2008年より、東南アジア域内において初めて電子ビーム受託サービスを開始した会社で、現在は米国を拠点とする医療機器会社ステリス社の傘下に入り、事業対象を東南アジア全域へ拡大している。
同社はセランゴール州ポートクランを拠点として、電子ビームやエチレンオキサイド、ガンマ技術を使った滅菌サービスを提供している。
創傷ケア(ガーゼ、ドレッシング、綿製品)や実験器具(ペトリ皿、ボトル、遠心分離管、ピペットチップ)、チューブ(カテーテル、イリゲーション、泌尿器、気道管理医)、不織布(手術用ガウン)、手術用手袋、低密度医療用ディスポーザブルなどの医療機器に対する照射へ対応している。
医療機器への照射の他にも、医薬品・栄養補助食品、電線・ケーブル、木材パルプ、半導体にも対応している。
出典:http://electronbeam.com.my/
Top Glove Corporation Bhd(トップグローブ・コーポレーション)
1991年に手袋製造工場として創業し、1994年7月に米国にマーケティング部門を設立。2001年3月にはマレーシア証券取引所へ上場する。2004年1月に世界最大のゴム手袋メーカーとなり、マレーシアとタイ、ベトナム、中国に50工場を展開する。輸出先は195ヶ国に及び、年間生産能力は手袋1,000億双に達する。
製造している製品は手袋(外科手術用、検査用など)、使い捨てマスク、避妊具、デンタルダム、止血帯、パーソナルケア製品などとなっている。
2020年度の収益は72億3,743万リンギットで、17億8,883万リンギットの税引後利益を計上している。また、2021年10月時点での時価総額は230.6憶リンギットで、22,000人を雇用している。
同社は、2021年ザ・エッジ・ビリオンダラー・クラブにおいて、ヘルスケアサービス及び製薬セクターでセクター別最優秀賞及び総合優勝を獲得している。
出典:https://www.topglove.com/
UG Healthcare Corporation(UGヘルスケア・コーポレーション)
1989年に手袋製造メーカーとして設立。マレーシア国内に2工場を持ち、マレーシアとシンガポールに拠点を持つ。また、同社は1997年にラテックス製検査用手袋の製造・供給においてISO 9002認証を、そして2003年にはISO 9001認証を取得している。
現在、年間約32億双の検査用手袋を製造することが可能となっており、手袋製品はヘルスケアや飲食業、自動車産業向けに使用されている。他にも、マスクや靴カバーなども手掛けている。同社の製品はドイツや英国、米国、フランス、スイス、中国、日本、カナダ、ブラジル、ナイジェリアを含む50ヵ国以上で販売されている。
2020年度の収益は1億4,421万シンガポールドルで、1,806万シンガポールドルの税引前利益を計上している。また、2020年6月末時点で1,150名以上を雇用している。
2020年9月、同社は中国に子会社を設立したことを発表。初期登録資本金は500万中国元となっている。子会社は使い捨て手袋など医療用ディスポーザブル製品及びその付属品の取引・販売を行う。
出典:http://www.ughealthcarecorporation.com/
Medicfit Technology Sdn Bhd(メディックフィット・テクノロジー)
2006年に設立された使い捨て医療機器メーカー。マレーシア国内に83以上の販売店を持ち、海外にも販売店を展開している。生産量も増加を続けており、過去10年間で300%以上の成長を遂げている。
同社は割礼器具、酸素療法器具、創傷被覆キットなど、幅広い種類の使い捨て医療機器を提供している。
また、品質管理システムのISO 13485認証を取得ており、SGSからCE認定も受けている。さらに、同社の割礼器具「RapideClamp」はFDAの市販前通知510(k)を取得している。
手術液吸引セットでは、使い捨てプロクトスコープや吸引接続チューブ、サクションライナーなどを扱っている。検体管理装置では、尿バッグや尿バッグハンガー、尿容器を、酸素療法装置ではエアロゾルマスクやハイフローマスク、経鼻酸素カニューレ、気管切開マスクなどを扱っている。
出典:http://www.medicfit.com.my/
TT Medical Management Sdn Bhd(TTメディカル・マネジメント)
世界中の医療機器メーカーに現地認定代理店サービス(LAR)と製品登録アドバイザリーサービスを提供しており、医療機器管理システムの開発からマレーシア医療機器庁への製品登録プロセス完了まで、包括的なサポートを行っている。
また、同社は過去20年間にわたって医療機器管理システム及び医療機器規制関連のトレーニングとコンサルティングサービスも提供している。
同社が提供するトレーニングサービスは、カナダ医療機器適合性評価システム(CMDCAS)トレーニング、 EC指令93/42/EEC、FDA医療機器品質規制トレーニング、医療機器の適正流通規範(GDPMD)、日本薬事法(JPAL)医療機器規則、マレーシア医療機器規制トレーニング、オーストラリアTGA(治療用医薬品管理局)医療機器トレーニング、ISO 13485:2003トレーニングなどとなっている。
出典:https://ttmedical.com.my/
マレーシアの主要医療機器メーカー3選〜日系編〜
FUJIFILM Malaysia Sdn Bhd(フジフィルム・マレーシア)
シンガポールのフジフィルム・アジア・パシフィックの100%子会社として設立。セランゴール州シャーラムを拠点として、ペナンに支店を持つ。
写真及び電子画像、データストレージメディア、グラフィックアート、医療、情報システム、ライフサイエンス製品などを提供している。
医療関係では、ヘルスケアITやX線イメージングデバイス(医療用画像向け人工知能モジュール、カセットDR、モバイルDRソリューション、デジタル化X線画像システムなど)、内視鏡検査(ビデオプロセッサー、内視鏡、超音波内視鏡、低侵襲システムなど)、超音波装置、体外診断(ドライケミストリー技術に基づく臨床化学システム)などを範囲としている。
ヘルスケアITでは、放射線PACSや3D分析ソリューション、心臓病PACSなどを扱っている。
出典:https://www.fujifilm.com/my/en
Canon Medical Systems Malaysia Sdn Bhd(キャノン・メディカルシステムズ・マレーシア)
2013年9月に東芝メディカルシステムズ・マレーシアとして設立、2018年1月に現在の名称へ変更となる。資本金は5,000万リンギットで、セランゴール州シャーラムを拠点としており、国内8ヵ所に販売・サービスネットワークを展開する。
同社は診断用医用画像機器(コンピュータ断層撮影装置、磁気共鳴画像装置、X線装置、診断用超音波装置、医療機器用情報システムなど)の販売・流通・設置・技術サービス及び保守を事業としている。
また、マレーシア国内のキャノン・メディカルシステムズ・マニュファクチャリング・アジアでは、医療機器の製造を行っている。
同社は国内のキヤノングループとシャーアラム市議会と協力し、「ワンキャノン・ワンツリー」プログラムを通じて環境問題にも積極的に取り組んでいる。
出典:https://my.medical.canon/
Olympus Malaysia Sdn Bhd(オリンパス・マレーシア)
オリンパスのマレーシア法人で、2001年にマレーシアにおける医療機器のマーケティング・販売を行う会社としてセランゴール州ペタリンジャヤに設立。
取り扱っている製品は医療システム(医療用内視鏡、内視鏡装置、治療用エネルギー装置)、ライフサイエンスソリューション(レーザー走査型顕微鏡、ディスク共焦点顕微鏡、仮想スライド顕微鏡などの生物学的顕微鏡システム)、インダストリアルソリューション(非破壊検査機器、XRF及びXRDアナライザー、工業用顕微鏡、ビデオスコープ、ボアスコープ)となっている。
同社が扱う内視鏡は胃カメラや十二指腸内視鏡、カプセル型内視鏡、超音波内視鏡など多岐に渡る。他にもイメージングシステムや内視鏡検査装置、医療器具(バイポーラやモノポーラなど)、泌尿器科の消耗品なども扱っている。
出典:https://www.olympus.com.my/
マレーシアの主要医療機器メーカー4選〜外資系編〜
Abbott Laboratories (M) Sdn Bhd(アボット・ラボラトリーズ)
米国を拠点とする大手製薬・ヘルスケア企業であるアボット・ラボラトリーズのマレーシア法人。セランゴール州シャーアラムに拠点を置き、1987年に設立。その後、2014年にアボット・マニュファクチャリングとして法人化される。
約250人の従業員を雇用しており、糖尿病ケアや栄養製品、診断ツール、医薬品、血管器具の販売を手掛けている。診断ツールにおける同社のイノベーションは、インフォマティクス・ソリューション、分子及びラボラトリー診断テストにより、マレーシアの医師を支援している。また、同社の血管技術は冠動脈疾患や僧帽弁閉鎖不全症、末梢動脈疾患の患者に対する治療方法の改善に注力している。
マレーシア国内においては、不整脈と心不全向け製品についてはアボット・メディカル社、モレキュラー製品はアボット・モレキュラー社が取り扱い窓口となっている。
出典: https://www.my.abbott/
General Electric(ゼネラル・エレクトリック)
米国を拠点とする大手コングロマリットで、1975年に販売・サービスセンターをマレーシアに開設する。現在は1,700名の従業員を雇用し、累積投資額は10億リンギット以上にもなる。
同社はマレーシア国内で航空、ヘルスケア、電力を事業としており、テナガナショナルやペトロナス、KTMといった大手企業に機器やサービスを提供している。
ヘルスケア部門では、民間及び公的病院に最新の画像診断機器や医療情報システムを提供している。
また、同社のGEボランティア・マレーシアはEPICホームズやマレーシア自然協会、ザ・エッジ・マネー&ミー基金と協力関係にあり、長年にわたってジュニア・アチーブメント・ヤングエンタープライズ・プログラムのスポンサーを行っている。さらに、同社はティーチ・フォー・マレーシアのスポンサーでもある。
出典: https://www.ge.com/apac/our-company/malaysia
B. Braun Medical Industries Sdn Bhd(ビー・ブラウン・メディカル・ インダストリーズ)
ドイツを拠点として医療関連製品の製造・販売を手掛けるビー・ブラウンのマレーシア法人で、1972年にビー・ブラウン・メルズンゲンの子会社として設立された。同社はアジア太平洋地域での最初の製造拠点であり、欧州以外では最大の製造拠点となっている。
これまでマレーシアの製造施設に20億リンギット以上を投資してきている。ペナン工場では7,000人以上の従業員を雇用しており、域内における医療、外科、医薬品関連で最大手の1つとなっている。
また、ペナンにある域内本部は各地域・国での販売・マーケティングチームを支援している。1980年にはビー・ブラウン・メディカルサプライをクアラルンプールに設立し、域内の医療業界へ直接サービスを提供している。クアラルンプールの会社は政府系及び民間病院への供給契約を締結しており、年間2億3,700万リンギット以上の売上高を達成している。
2020年7月、同社はペナンのグローバルセンターにおいて点滴や薬物送達システムなどの医療機器テスト量を3倍に拡大したことを発表した。さらに、ドイツで製造されている輸液システム、中心静脈穿刺、疼痛管理用の医療機器もペナンでテストをすることになった。
出典: https://www.bbraun.com.my/
CCB Medical Devices Sdn Bhd(CCBメディカル・デバイシーズ)
マレーシアとドイツの合弁会社で、ペナンに拠点を置く。2017年にドイツVBM社が同社の株式を取得している。50年以上の実績を持ち、医療機器業界に製造受託サービスを提供している。欧州や米国、中東、東南アジアなどさまざまな地域に顧客を抱えている。
同社サービスでは、研究開発(R&D)、設計、検証、文書化、ツール製作、生産、組み立て、パッケージングを行うことができる。また、すべてのプロセスは品質管理システムであるISO 13485で管理されている。組み立てに関しては、顧客の要件に基づき手動と半自動、完全自動が提供可能となっている。
また、組み立て環境は認可されたクリールームで行われており、生産環境における衛生プロセスは微生物学的に制御・監視されている。完成品については、同社で医療用チューブのスケーリングやマーキングといった印刷サービス、コロナ表面処理も行っている。
出典: https://ccb-medical.com/
https://www.vbm-medical.com/
クアラルンプール在住4年目の日本人。大学卒業後、東京で飲料メーカーの営業を担当。その後、マレーシアのクアラルンプールへ移住し食品商社の営業及び購買のサポートを担当。