今回は、マレーシアの主要バイオテクノロジー・製薬会社に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて13社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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マレーシアの主要バイオテクノロジー・製薬会社8選〜ローカル編〜
Kotra Industries Bhd(コトラ・インダストリーズ)
1982年に医薬品製造会社として設立。マラッカのチェン工業団地に研究開発施設を持つ。2007年にマレーシア証券取引所のメインマーケットに上場。2003年に品質管理システムのISO 9001認証を取得しており、2010年にはコトラ・テクノロジーセンターを開設。
栄養補助食品の『Appeton』、消化器科に特化した『Axcel』、滅菌抗生物質注射剤に特化した『Vaxcel』を製造販売している。 『Appeton』は2009年にハラール認証を取得。
2020年度収益は1億7,173万リンギットで、2,956万リンギットの税引後利益を計上している。
2019年には、ザ・エッジ・センチュリオンにおいて「3年間で最も高い株主資本利益率」、「3年間で最も高い税引後利益の成長」、「3年間で最高の株主還元」を受賞したことを発表している。
2020年度においては、様々な疾患に対応したOTC製品やジェネリック医薬品といった新製品の発売に成功したとしている。脱毛治療薬である『Minox』、変形性関節症の代替治療薬として機能する『Axcel Glucosatin経口液剤』、慢性閉塞性肺疾患の治療薬『Arite Beclometasone』を発売した。
出典:https://kotrapharma.com/
Duopharma Biotech Bhd(デュオファーマ・バイオテック)
1978年にデュオファーマを設立し、2000年にデュオファーマ・バイオテックが法人化された。現在、マレーシアの主要製薬会社の一つとしてマレーシア証券取引所に上場している。また、国内だけでなく、シンガポールとインドネシア、フィリピンでも事業を展開している。
同社は300種類以上のジェネリック医薬品や、コンシューマー・ヘルスケア製品の製造、研究開発、販売を行っている。また、国際的パートナーとの提携により、バイオシミラーの分野にも進出している。
2020年度の収益は5億6,990万リンギットで、5,861万リンギットの税引後利益を計上している。また、同年度での総資産は10億5,843万リンギット。
同社は2020年/2021年のサステナブル・ビジネス・アワード・マレーシアにおいて、企業の持続可能性に関する優れた包括的な取り組みが評価され、総合優勝を獲得している。
2021年1月、同社は子会社であるデュオファーマを通じて、マレーシア保健省へガマレヤ記念国立疫学・微生物学研究センターが開発したCOVID-19ワクチン「スプートニクV」を調達し、供給することを確認したと発表。同社は、同ワクチン640万回分を確保している。
出典:https://duopharmabiotech.com/
Pharmaniaga Bhd(ファルマニアーガ)
1998年に設立されたマレーシア最大手の統合医薬品グループ。1999年にマレーシア証券取引所に上場し、2001年3月にはMSCステータスを取得している。マレーシア国内だけでなく、インドネシアでも事業を展開する。
同社では処方薬や市販薬、医療機器、医療用消耗品などを取り扱っており、マレーシア国内の工場では経口固形製剤や液体、クリーム、注射剤などを製造している。工場はISO 9001、ISO 14001、OHSAS 18001、ISO 13485、ハラール認証などを取得している。
同社の2020年度収益は27億リンギットで、3,600万リンギットの税引前利益を計上している。また、同年度で3,603名の従業員を雇用。
2020年サステナビリティ&CSRアワードでは、統合医薬品グループとしてカンパニー・オブ・ザ・イヤーに選ばれている。また、ハラール開発公社から「 2020年ハラル・ファーマシューティカル・エクセレンス・アワード」を受賞している。
2021年7月、同社は保健省からコバックス及び外国政府から寄付されたすべてのアストラゼネカ・ワクチンの物流・管理を委託されたことを発表した。同社子会社であるファルマニアーガ・ロジスティックスが保健省の公開入札で選ばれた。
出典:https://pharmaniaga.com/
Xepa-Soul Pattinson (Malaysia) Sdn Bhd(ジパーソウル・パティンソン)
1962年に薬局としてマラッカにて創業。1967年にシンガポールにて医薬品製造を開始し、1973年にマラッカに生産拠点を移す。現在、同社は特許切れの医薬品の主要メーカーとなっている。国内だげでなく、シンガポールとベトナムにも事務所を持つ。
同社工場はマラッカのチェン工業団地で10エーカーの敷地を持ち、建屋面積は38,249平方メートルの広さ。実験室、液体製造プラント、固体製造プラント、倉庫、オフィスなど7つの施設で構成されている。
同社は2017年にハンガリーの国家管轄当局からEU GMPを取得している。他にも医療機器製造の認証のISO 13485、品質管理システムのISO 9001、医療機器の適正流通基準(GDPMD)なども取得している。
取扱製品は消費者健康製品や処方薬となっており、21ヶ国以上に製品を供給している。処方薬は呼吸器、心臓血管系、消化器官、ホルモン製剤などを範囲としている。
出典:https://xepasp.com/
HAI-O Enterprise Bhd(ハイオー・エンタープライズ)
1975年、漢方薬を中心とした小売業者として設立、1996年12月よりマレーシア証券取引所に上場する。現在は漢方薬や薬用化粧水を提供する大手サプライヤーに成長。セランゴール州クランに本社を置き、卸売業、小売業、マルチレベル・マーケティング(MLM)を展開する。
同社は36のMLM支店と93の事業所(ブルネイ含む)、またクランバレーを中心にマレーシアの主要都市に55の小売チェーン店とフランチャイズ店を展開している。また、2つの製造工場はISO、HACCP、GMP、米国FDAの認証を受けている。取扱製品としては、中国のハーブ製品、薬用トニック、中国茶、料理用材料、健康補助食品、スキンケア、化粧品などとなっている。
同社の2021年度の収益は2億7,139万リンギットで、3,893万リンギットの税引後利益を計上している。その内、MLMセグメントの収益が1億7,240万リンギットとなっている。
出典:https://hai-o.com.my/
Hovid Bhd(ハビッド)
会社の起源は1941年まで遡る。抗感染薬や心臓血管系、消化器系の薬、ダイエットサプリメントなど、世界50ヵ国に400超の製品を供給している。2005年にマレーシア証券取引所に上場するが、2019年1月に上場廃止。
同社の研究開発では、固体、半固体及び液体の経口剤形や、クリーム、軟膏などの局所用製剤、ソフトゼラチン製剤といった製品開発を行っている。また、臨床サービスとして生物学的同等性(BE)試験、バイオアベイラビリティ(BA)試験にも対応している。
製造においては、WHOの適正製造基準(cGMP)と優良試験所基準(GLP)に準拠しており、PCS/S(医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキーム)に加盟している。また、研究室はISO/IEC 17025認証を取得している。
同社はStatista社の「2021年マレーシア成長チャンピオン」において14位にランクイン、さらに「アジア太平洋地域の高成長企業トップ500」にランクインしたことを発表した。
出典:https://hovid.com/
Y.S.P. Southeast ASIA Holdings Bhd(Y.S.P.東南アジア・ホールディングス)
1987年にYSPトレーディングとして設立。2004年にマレーシア証券取引所に上場する。現在、医薬品やOTC医薬品、動物・アクアティック製品を製造・販売する。
同社はクアラルンプールを拠点としており、国内ではクチンとコタキナバルに事務所を、そしてセランゴール州に工場と物流センターを持つ。製造工場は1992年に、そして動物医薬品工場が1995年にGMP認証を取得している。さらに台湾や米国、中国の製造工場とコラボレーションの関係にある。
また国内だけでなく、同社はシンガポールとベトナム、フィリピン、ミャンマー、カンボジア、タイ、インドネシア、ブルネイ、ラオス、スリランカ、アフリカ、中東諸国に地域拠点と戦略的提携先を持っている。
同社の2020年度の収益は2億9,706万リンギットで、2,216万リンギットの税引後利益を計上している。
出典:http://www.yspsah.com/
Antah HealthCare Group(アンタ・ヘルスケア・グループ)
マレーシア最大のヘルスケアマーケティング・販売会社として、250人以上の従業員を擁し、全国の主要都市に支店を置く。グループはヘルスケア業界で50年以上の実績を持ち、高度に専門化された手術室用機器から医療機器、医薬品の製造・販売まで手掛ける。
グループのアンタ・ファーマーは、アンタ・ヘルスケア・グループが世界各国で販売しているOTC医薬品や医療用医薬品の販売・マーケティング・流通部門として1970年に設立された。現在、同社は様々な医薬品やジェネリック医薬品、ビタミン、サプリメント、健康食品、スキンケア製品などを取り扱っている。
また、グループ会社であるアンタ・ライフサイエンス・ラボラトリーズは細胞・がん治療の分野に乗り出しており、オックスフォード・バイオダイナミクスなどの世界的な研究開発機関といくつかの継続的な共同研究を行っている。
出典:https://www.ahcg.com.my/
マレーシアの主要バイオテクノロジー・製薬会社2選〜日系編〜
Nipro Malaysia Sdn Bhd(ニプロ・マレーシア)
2014年4月にシンガポールを拠点とするニプロ・アジアの販売会社として設立。セランゴール州のペタリンジャヤに拠点を置く。同社はニプロ株式会社のグローバル戦略の一環として、マレーシアに密着した販売活動およびサービスを提供し、同国の医療の発展に貢献することを目的として設立されている。
マレーシア法人設立により、マレーシアにおけるニプロブランドのプレゼンスを高め、顧客のニーズにあった事業展開を行うことが可能となったとしている。
マレーシアでは、主力の透析関連商品に加え、ホスピタル関連商品(注射器・針、輸液システム、採血セットなど)、循環器病関連商品、糖尿病関連商品等の販売拡大を行い、各分野でトップシェアの獲得を目指している。
出典:https://www.nipro.co.jp/
http://www.niproasia.com.sg/about-us-malaysia
Kobayashi Healthcare (M) Sdn Bhd(小林製薬ヘルスケア・マレーシア)
2011年10月に小林製薬の子会社として現地法人を設立、小林製薬グループの製品をマレーシア市場で販売することを目的としている。会社はクアラルンプールのダマンサラを拠点としている。
マレーシアで販売している製品は、医薬品のアンメルツ・ヨコヨコ、パーソナルケア製品のクール・フィーバー冷却ジェルシート、家庭用品のサワデー・フレグランス・リキッドなどとなっている。
アンメルツ・ヨコヨコは、通常の製品の他にニュー・アンメルツ・ヨコヨコ、アンメルツ・ヨコヨコ・マッサージ・クリーム、ニュー・アンメルツ・ヨコヨコ・ゴールド、アンメルツ・ヨコヨコ首・肩の痛み用ヒートパッチ、 アンメルツ・ヨコヨコ腰痛温熱パッチ、 アンメルツ・ヨコヨコ生理痛温熱パッチを販売している。
同社製品は大手薬局やスーパーマーケット、ハイパーマーケット、コンビニエンスストア、漢方薬局などで販売されている。
出典:https://kobayashi-my.com/
マレーシアの主要バイオテクノロジー・製薬会社3選〜外資系編〜
Pfizer Malaysia Sdn Bhd(ファイザー・マレーシア)
アメリカの医薬品・医療機器大手のマレーシア法人で、1978年に設立。クアラルンプールを拠点として国内に9つの事業所を持ち、約500人の従業員を擁する。
同社ではバイオ医薬品のヒト生物学的製剤、低分子医薬品、ワクチンを扱っている。
また、同社はマレーシア進出35周年を記念して、地域医療活動として「Pfizer‘s Care-A-Van」を展開している。この取り組みは、恵まれない地域の人々に無料で検診や医療を提供している移動式医療となっており、マレーシア保健省からの承認を受けている。ファイザー社員の他、政府機関や医療団体の医師の協力を得て、健康診断や教育講演を行っている。この活動で毎年何千人ものマレーシア人の医療ニーズを満たしており、これまでに国内800以上の場所で、167,000人以上の人々のスクリーニングを支援してきた。
出典: https://www.pfizer.com.my/
Sanofi-Aventis (M) Sdn Bhd(サノフィ-アベンティス)
製薬・バイオテクノロジー大手であるサノフィのマレーシア法人で、1995年に設立。ペタリンジャヤを拠点として、300名以上の従業員を抱える。また、国際ビジネスサービスセンターであるサノフィ・ビジネスサービス(SBS)クアラルンプールセンターが併設されている。
社内のキャプティブセンターは、トランスフォーメーションとデジタル化を推進することで世界クラスのサービスを提供し、同社事業部門がコアコンピタンスに集中する体制となっている。
さらに、SBSセンターはアジア地域をはじめとする複数の国をサポートしており、会計や人事サービス、センターマネジメント、プロジェクトマネジメント、ロボット技術を用いたプロセス最適化を推進するセンター・オブ・エキスパートとしして機能している。
また、サノフィ-アベンティスでは糖尿病や循環器系疾患、インフルエンザ、腫瘍、免疫、希少疾患などの幅広い商品を取り扱っており、マレーシアの製薬会社のトップ5にランクされている。
出典: https://www.sanofi.com.my/
GlaxoSmithKline(グラクソ・スミスクライン)
世界有数の規模を持つグローバル製薬企業であるGSKのマレーシア法人で、1958年に設立。クランバレー内に3つの拠点を持っている。
医薬品とワクチン、消費者ヘルスケアとビジネスサービスセンター、消費者ヘルスケアサプライチェーンの4つの事業を展開しており、1,000人以上の従業員を擁している。
同社の医薬品は、アレルギーや抗感染症、中枢神経系、皮膚科、呼吸器科、泌尿器科、及び専門医療製品など、幅広いワクチンと主要な治療分野を範囲としている。また、消費者向けヘルスケア製品としてはサプリメント、市販医薬品、経口ヘルスケア製品を提供している。
セランゴール州アンパンにあるコンシューマー・ヘルスケア・クオリティー・サプライ・チェーン工場では主要な消費者ブランドを生産しており、オーストラリアとニュージーランドを含む13のグローバル市場へ供給している。
クアラルンプールにあるビジネスサービスセンターは GSKのリージョナルハブとして機能しており、財務や人事、コンシューマーヘルスケアのサプライ・プランニング、テクノロジー、ヘルスケア・プロフェッショナル・エンゲージメント・サービスなど、グローバルなサポートを提供している。
出典: https://www.gsk.com/en-gb/contact-us/worldwide/malaysia/
クアラルンプール在住4年目の日本人。大学卒業後、東京で飲料メーカーの営業を担当。その後、マレーシアのクアラルンプールへ移住し食品商社の営業及び購買のサポートを担当。