今回は、タイの主要ドラッグストアに焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて12社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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タイの主要ドラッグストア7選〜ローカル編〜
Government Pharmaceutical Organization (ガバメント・ファーマシューティカル・オーガニゼーション)
タイ保健省が管轄している製薬公団。1966年に政府の製薬工場と医薬品局が合併して発足した。タイ国内における、医薬品の研究・開発、製造、品質保証および製品の国内への流通を行っている。錠剤やカプセル、粉末といった様々な形状の薬を300種類以上、公私企業と協力して生産し、医療従事者や国民に提供してきた。一般消費者が利用可能なドラッグストアも運営しており、店舗は首都バンコクを中心に近郊のノンタブリ、パトゥムタニ、北部チェンマイに計10か所以上が存在する。
2021年10月にはバンコクおよび近郊の8か所の支店で新型コロナウイルスの抗体検査キット(ATK)の販売を開始した。医療従事者への提供に限られていた同製品を40バーツという安価で一般消費者へも供給し、個人が手軽に検査を行うことができるようにしている。
出典:https://www.gpo.or.th/
Save Drug Center Co., Ltd. (セーブ・ドラッグ・センター)
1998年に設立されたドラッグストア。タイの大手私立病院、バンコク・ ドゥシット・メディカル・サービス(BDMS)のグループ企業である。国内外の各地から仕入れた医薬品、サプリメント、医療機器、スキンケア製品 など、計5,000以上の様々な商品を取り扱う。スタッフは薬剤師およびヘルスケア・カウンセラーとして、医薬品および健康に関する適切なアドバイスを顧客に提供している。タイ全国に100店舗以上を展開している。ま た、自社のオンラインショッピングを展開しているほか、Shopeeや Lazada、JD Centralといった大手ECサイトにも商品を出品している。2020年の売上高は前年比17%減の7億82万バーツ、純損益は1億1900万バーツの赤字であった。
出典:https://www.savedrug.co.th/home
Pure Pharmacy (ピュア・ファーマシー)
1993年にタイの小売大手セントラルグループにより設立されたハイパーマーケット、Big Cのドラッグストアブランド。医薬品や美容製品、ヘルスケア製品などを取り扱うドラッグストアで、薬剤師も常駐している。主に Big Cの大型店舗内に併設される形で、2020年末時点でタイ全国に144か所の店舗が存在する。2020年には3店舗を新たにオープンするなど、さらに店舗網を拡大する予定となっている。Big Cのオンラインサイトでの注文も可能となっているほか、ShopeeやLazadalといった大手ECサイトからの商品購入もできる。Big Cによる運営のため、メンバーの特典などについては共通のサービスを受けることができる。2020年度の売上高は前年比10%減の1000.81億バーツで、純利益は不明。(Big Cの業績)
出典:https://corporate.bigc.co.th/
Bangkok Drugstore Co., Ltd. (バンコク・ドラッグストア)
1998年に設立されたドラッグストア。医薬品やサプリメント、ヘルスケア製品などを取り扱う。バンコクおよび近郊の県パトゥムタニおよびサムットプラカーンに計101店舗を展開する。現在もフランチャイジーを積極的に募集しており、店舗を増やしていく予定である。フランチャイジーに対しては薬剤師やスタッフを派遣したり、医薬品や病気に関する研修を提供したりと、ビジネスを簡単に始められるようなサポート体制が整っている。公式サイトでは医薬品だけでなく、食事や化粧品、医療機器などに関する情報を発信している。2020年の売上高は前年比1.2%減の8.08億バーツ、純損益は1300万バー ツの赤字であった。
出典:https://bangkokdrugstore.co.th/home.php
Pro Fascino Co., Ltd. (プロ・ファシーノ)
1983年に国立マヒドン大学のシリラート病院の前に小さな薬局として創業した。1997年よりタイ国民にドラッグストアを行き渡らせるためにフランチャイズチェーンとして展開を開始し、2002年より現在の社名となった。 医薬品をはじめ、サプリメント、医療機器、化粧品など計1万種類以上の商品を取り扱ってきた実績を持つ。現在はタイ全国各地に104の店舗が存在している。各店舗には薬剤師が常駐し、顧客に対し、医薬品や病気に関 する適切なアドバイスを提供している。
2020年の売上高は前年比1.5%増の13.63億バーツ、純利益は前年比10%減の2600万バーツであった。
出典:https://www.fascino.co.th/
Lab Pharmacy (ラボ・ファーマシー)
1991年に創業した医薬品のディストリビューターおよびドラッグストアで、Drug Care Co., Ltd.が運営する。医薬品、化粧品、サプリメント、ヘルスケア製品など、7,000以上におよぶ様々なブランドの商品を取り扱っている。店舗は主にショッピングモールのテナント形式が多く、バンコクおよび近郊の県ノンタブリーに19店舗、東北部ナコンラチャシマに1店舗 の計20店舗を展開する。また、自社のオンラインショッピングおよび ShopeeやLAZADA、JD Central、ThisshopといったECサイトからも商品を購入することができる。2020年の売上高は前年比25%減の4.34億バーツ、純損益は3100万バーツの赤字であった。
出典: http://www.lablivehealthy.com/default.aspx
Health Up Co. Ltd. (ヘルス・アップ)
1988年に2人のスタッフと2人の薬剤師で創業したドラッグストア。現在はDoctor Drug、Pharmacy Center、Health Up、Drug Place、Super Safeという5つのブランド名でタイ全国各地に計150以上の店舗を展開す る。取り扱い製品は医薬品、サプリメント、化粧品、医療機器などである。医療機器は体温計や血圧測定器など一般的なドラッグストアでも取り扱っている製品から、車いすやベッド、棚など大型の製品までを取りそろえている。オンラインショッピングには対応していない。2020年の売上高は前年比17%減の2.22億バーツ、純損益は740万バー ツの赤字であった。
出典:http://www.hug1988.com/main.php
タイの主要ドラッグストア3選〜日系編〜
Central & Matsumoto Kiyoshi Co., Ltd. (セントラル・マツモトキヨシ)
日系のドラッグストアチェーン、マツモトキヨシのタイ拠点。2015年に設立され、タイでは大手小売のセントラグループが運営を行っている。日本から輸入した約3,000品目の化粧品、口腔ケアや毛髪ケアなどのパーソナルケア製品、ヘルスケア製品を中心に、ローカル製品やその他の海外製品を含めて様々な製品を提供している。現在はバンコク首都圏に加え、北部チェンマイ、南部プーケット、東北部ナコンラチャシマなどを含む地方5都市に、計30店舗以上を展開している。店舗は主にショッピングモール内のテナント形式が多い。2020年の売上高は前年比25%減の6.1億バー ツ、純損益は5800万バーツの赤字であった。
マツモトキヨシは1932年に千葉県で創業した。現在はドラッグストア事業・調剤事業を中心に、卸売事業、プライベートブランド開発などを行う。日本国内に1,700店舗以上、14,000人以上の従業員が在籍し、2020年度の売上高は5,500億円にものぼる。海外拠点はタイ以外に台湾とベトナムにドラッグストアを展開している他、香港にマーケティング部門が存在する。2021年10月に同業大手のココカラファインと経営統合し、マツ キヨココカラ&カンパニーとなったことで売上高1兆円、店舗数3,000店以上の規模となる見込み。
出典:https://www.matsumotokiyoshi.co.th/
TSURUHA (Thailand) Co., Ltd. (ツルハ・タイランド)
日系のドラッグストアチェーン、ツルハドラッグのタイ拠点。タイでは2011年に、世界初の拠点として設立された。世界2万店舗を目指すツルハグループの長期ビジョンにおいて重要な拠点となっている。日本製の化粧品を中心に、ローカル製品や世界各国の製品を取り揃えている他、薬剤師が常駐し医薬品の販売も行っている。現在はバンコクおよび東郊のサムットプラカーン、東部チョンブリー、北部チェンマイに計23店舗を展開して いる。店舗は主にショッピングモール内のテナント形式が多い。2020年の 売上高は前年比15%増の7.61億バーツ、純利益は前年比大幅増の830万バーツであった。
ツルハドラッグは1929年に北海道で創業した。現在はドラッグストア事業・調剤事業を中心に、介護事業、通信販売事業などを行う。ツルハのブランド以外にもくすりの福太郎、ドラッグストア・ウェルネスなども合わせてグループ全体で日本国内に2,400店舗以上を展開する。従業員は 46,000人以上、2020年度の売上高は9,000億円以上にのぼる。
出典:https://www.tsuruha.co.jp/service/thailand/
Blez Asia Co., Ltd. (ブレズ・アジア)
2012年に日本人により設立されたドラッグストア。ブレズ薬局、Your Peace薬局、フルチョウ薬局、未来薬局というブランドでバンコクに計18 店舗のドラッグストアを展開する。特に都心部のスクンビット地区には日本人の薬剤師が常駐するドラッグストアを4店舗展開し、在住日本人や日本人観光客からの相談を受け付けている。他の日系、外資系のドラッグストアとは異なり、独立型の店舗が多い。商品は医薬品や美容・スキンケア製品のほか、体温計や血圧測定器などの機器、サプリメント、漢方・ハーブ、新型コロナウイルス簡易検査キットなどを取り揃える。また同グループでは、日本語での診療を受けることが可能なブレズクリニックという内 科クリニックや、輸入販売及びタイ国内流通(FDA登録申請)事業、フランチャイズ事業、OEM事業など医療・医薬品に関する様々なサービスを提供している。2020年の売上高は前年比1.2%増の72百万バーツ、純利益は前年比88%減の13.3万バーツであった。
出典: https://blez-web.com/
タイの主要ドラッグストア2選〜外資系編〜
Watsons (ワトソンズ)
香港系のドラッグストアチェーン、A.S.Watsonのタイ拠点。タイでは1996年に設立された。国内外のブランドの化粧品、パーソナルケア製品、 ヘルスケア製品、ホームケア製品、医薬品を取り扱う。プライベートブランド商品の種類も豊富で、高品質な製品を求めやすい価格で提供している。店舗はショッピングモール内のテナントに入居している場合が多く、 タイ全国に590店舗以上を展開する。また、オンラインショッピングにも対応している。2017年の売上高は147億百万バーツ、純利益は16.5億バーツであった。(最新の業績情報はなし)
A.S.Watsonは香港で1841年に創業したドラッグストアで、港湾運営や通信業も行う香港のコングロマリット企業CK Hutchison Holdingsのグループ企業である。現在は29の国と地域に16,200の店舗を展開し、化粧品やヘルスケア製品の小売業者として世界的な地位を確立している。従業員は全世界で13万人にのぼり、年に59億人以上の消費者に店舗およびオンラインで商品を提供している。
出典: https://www.watsons.co.th/
Boots (Thailand) Ltd. (ブーツ・タイランド)
イギリス系のドラッグストアチェーン、Bootsのタイ拠点。タイでは1997年に設立された。国内外のブランドの化粧品、パーソナルケア製品、ヘルスケア製品、ホームケア製品、医薬品を取り扱う。タイ全国に270店舗以上を展開する。
店舗はショッピングモール内のテナントに入居している場合が多い。また、オンラインショッピングにも対応している。
2020年の売上高は前年比36%減の52.13億バーツ、純損益は3.84億バーツの赤字であった。Bootsは1849年にイギリスで創業したドラッグストアで、現在はアメリカの医薬品小売大手Walgreens Boots Allianceの傘下となっている。
医薬品やパーソナルケア製品の小売業者としては世界最大規模で、同社全体で25か国以上に18,750店舗を展開し、従業員は44万人以上を擁する。
出典: https://store.boots.co.th/
バンコク在住のタイ人。タイにおける日系企業向け翻訳・通訳を6年間以上行う。経済、ビジネス、IT分野に興味があり、マーケティングや流通を含めた企業調査や、企業調査といった情報収集が得意。