ベトナムの家電量販店業界は、Mobile World Investment Corporation(Thế Giới Di Động)がDien May Xanhブランドで全国最大規模のネットワークを持ち、FPT ShopやPhong Vuが追う寡占市場です。スマートフォン・家電需要の底堅さを背景に、オムニチャネル強化と金融サービス連携が主要企業の成長を支えています。
今回は、そんなベトナムの家電量販店業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて10社の最新情報をお届けしていきます!
読了時間の目安:5分
ベトナムの主要家電量販店企業10選〜ローカル編〜
Mobile World Investment Corporation(モバイルワールド・インベストメント)
Mobile World Investment Corporation(MWG)は2004年にホーチミン市で創業したベトナム最大の小売プラットフォームである。スマートフォン・PCを扱う「Thế Giới Di Động」と大型家電専門の「Điện Máy Xanh」を中核として展開し、2025年末時点で国内6,000店超を運営する。
2025年通期の連結売上高は約157兆VND(約60億USD)と前年比16%増を達成し、税引後純利益は約7兆VNDと前年の約2倍を記録した。2026年の目標売上高は185兆VNDを掲げている。
「量から質へ」の転換を戦略の柱とし、店舗数を絞りながら一店舗当たりの売上効率を高める方針を採る。Điện Máy XanhはHOSE上場子会社として、グループ売上の約65%・利益の80%以上を占める主力事業である。
国際展開ではインドネシアのErafone社との合弁で「EraBlue」を設立し、同国最大の家電量販チェーンに育て上げた。2030年にはグループ売上100億USD達成を目指している。
(参照:MWG公式IRサイト mwg.vn、2025年通期決算発表)
出典:https://mwg.vn/eng
Dien May Xanh(ディエンマイサイン)
Điện Máy Xanh(DMX)は2010年に設立されたベトナム最大の家電量販チェーンであり、親会社MWGの中核事業である。大型家電・白物家電・テレビ・冷暖房設備・IT機器など幅広いカテゴリーを取り扱い、全国2,000店超の店舗網を展開している。
2025年の売上はグループ全体の約65%を占め、市場シェアは家電量販セクター全体の約50%に及ぶ。不採算店の閉鎖を進めながらも売上は前年比約18%増を達成しており、規模縮小による効率化が実を結んでいる。
同チェーンはHOSE上場子会社として分社化が進められており、2025年には約37兆VNDの配当を親会社MWGへ送金した。IPO準備の一環として財務透明性の向上にも注力している。
オムニチャネル戦略に注力しており、ECサイトと連携した購買体験を強化するほか、設置・修理・アフターサービスを一体提供する「Thợ Điện Máy Xanh」ブランドでサービス網も拡充している。
(参照:MWG公式IRサイト mwg.vn、2025年年次業績発表)
出典:https://www.dienmayxanh.com
FPT Shop(FPTショップ)
FPT ShopはHOSE上場企業FPT Digital Retail JSC(FRT)が運営するスマートフォン・家電量販チェーンである。2012年に店舗展開を本格化し、現在は全国63省市で600店超を展開する。IT機器・スマートフォンに加え、2024年から大型家電カテゴリーへの参入も本格化させた。
2025年のFPT Shop単体売上高は約168兆VND(約6億4,800万USD)と前年比11%増を達成し、黒字転換を果たした。MVNO(仮想移動体通信事業者)サービスの拡充や製品ポートフォリオの多様化が収益改善に貢献している。
親会社FPT Retailの2025年連結税引後純利益は前年比2.4倍の984億VNDを達成した。FPT ShopはApple正規販売店「F.Studio by FPT」も運営し、ITリテラシーの高い若年層を主要顧客層に位置付けている。
2026年第1四半期のFPT Retail連結売上高は前年同期比30%増の151兆VNDに達し、回復基調が継続している。
(参照:FPT Retail公式サイト frt.vn、2025年通期・2026年第1四半期決算)
出典:https://fptshop.com.vn/
Phong Vu(フォンヴ)
Phong Vu(Phong Vũ Trading & Service Company)は1997年にホーチミン市で創業したIT・家電量販チェーンである。ノートパソコン・デスクトップPC・スマートフォン・周辺機器・家電製品を幅広く取り扱い、Dell・ASUS・HP・MSI・Lenovoなど主要ブランドの正規販売店として機能する。
2018年よりTeko Vietnam(旧VNG関連会社)の投資を受けて拡大を加速し、ホーチミン市・ハノイ・ダナン・カントーなど主要都市を中心に全国30店超を展開している。2024年の純売上高は前年比22%増を達成した。
個人ユーザー向けの小売に加え、企業向けITシステムソリューション・ビデオ会議システム・デジタルサイネージの企画・販売も手がけており、B2B・B2C双方をカバーする多角的な事業展開が特徴である。
2025年5月にはホーチミン市で開催されたベトナム国際電子・スマート家電展示会(IEAE 2025)へ出展し、業界プレイヤーとしての存在感を示している。
(参照:phongvu.vn公式サイト、mekogroup.vn、2024年業績情報)
出典:https://www.phongvu.vn/
Eco-mart(エコマート)
Điện Máy Eco-martは2010年12月に設立されたハノイ発の家電量販チェーンである。ハノイ市Dong Anh区を本拠地として、Samsung・LG・Panasonic・Sony・Electroluxなど国際ブランドの家電製品を取り扱う。
ハノイ近郊を中心に8店舗を展開し、累計顧客数は100万人超に達する。北部ハノイ圏における地域密着型の家電スーパーマーケットとして認知されている。
正規品・透明価格・0%分割払い・無料配送・設置サービスを一体提供する品質重視の運営が特徴である。2024年にはSony Vietnam、2025年にはPanasonic Vietnamよりそれぞれ戦略パートナー認定を受けた。
北部ハノイ圏最大規模の家電スーパーマートを目指して事業拡大を継続しており、物流網と地域密着型サービスを組み合わせた独自ポジションを維持している。
(参照:eco-mart.vn公式サイト、Sony Vietnam・Panasonic Vietnam 2024-2025年パートナー情報)
出典:https://eco-mart.vn/
TopZone(トップゾーン)
TopZoneは2021年にThế Giới Di Động(MWG)とAppleが提携して立ち上げたApple専門の正規販売チェーンである。Apple Authorized ReselerおよびApple Premium Reselerとして認定を受け、iPhone・iPad・MacBook・Apple Watch・AirPodsなどApple製品を取り扱っている。
現在、全国38省市に80店超を展開し、東南アジア最大規模のApple専門チェーンのひとつである。iPhone 17発売時には24時間で約10万件の予約を記録し、iPhone 16発売時の売上は2兆VNDと過去最高を更新した。
TopZoneのCEOは2027年までにApple製品の販売額10億USD達成を目標に掲げており、ベトナムをAppleの優先市場に位置付ける役割を担っている。
MWGはTopZoneをエコシステム内の独立ブランドとして位置付け、Thế Giới Di Động本体とは異なる顧客体験を提供する戦略的チェーンとして成長させている。
(参照:MWG公式IRサイト mwg.vn、topzone.vn公式サイト)
出典:https://www.topzone.vn/
Pico(ピコ)
Picoは2007年にハノイ市で創業した家電量販チェーンであり、北部ベトナムで初めて大型家電スーパーマーケットモデルを導入した先駆け的企業である。液晶テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコン・スマートフォンなど幅広い家電製品を取り扱い、ハノイを中心に北部主要都市で展開してきた。
2025年12月、タイのCentral Retail(CRC)から家電量販チェーン「Nguyen Kim」の全持ち分を約3,600万USDで取得した。この買収により約8店舗から全国59店舗規模へ一気に拡大し、南部・中部への地理的進出を実現した。
Nguyen Kimは1990年創業の老舗家電量販チェーンであり、競争激化により店舗数が縮小していた。Picoによる統合は規模拡大を通じた競争力強化を目的としたものである。
Pico Holdings JSCが事業を主導し、ブランド統合・物流効率化のシナジー実現に取り組んでいる。北部に強固な地盤を持ちながら全国展開を加速するローカル資本の独立系企業である。
(参照:theinvestor.vn、vietnamnews.vn、en.vietstock.vn 各報道、2025年12月)
出典:https://www.pico.vn/
MediaMart Vietnam(メディアマート・ベトナム)
MediaMart Vietnam(Công ty Cổ phần Mediamart Việt Nam)は2007年にハノイで設立された家電量販チェーンであり、北部ベトナムを地盤とした主要プレイヤーである。テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコン・スマートフォン・PCなど幅広い家電・IT機器を取り扱い、Samsung・Sony・LGなど国際ブランドの正規販売店として機能する。
北部からダナン(中部)にかけて350〜400店を展開し、32省・市以上をカバーしている。ハノイ市Hoàn Kiếm区に本社を置き、市内に密度の高い店舗網を形成していることが強みである。
Diện Máy Xanhを筆頭とする大手との価格競争が激化するなか、不採算店舗の閉鎖によるネットワーク効率化を進めている。オンライン販売(mediamart.vn)との融合も図り、消費者利便性の向上に取り組んでいる。
北部市場での地域密着型運営を軸に全国拡大戦略も継続しており、北部消費者に根付いたブランド認知度をもって競合との差別化を図っている。
(参照:mediamart.vn公式サイト、kosmen.com.vn パートナー情報)
出典:https://www.mediamart.vn/
Dien May Cho Lon(ディエンマイ・チョーロン)
Dien May Cho Lon(Điện Máy Chợ Lớn)は2001年にホーチミン市で創業した家電量販チェーンであり、CAO PHONG Co., Ltdが運営する。大型家電・IT機器・家具・インテリア関連品を幅広く取り扱う「メガスーパーマーケット」モデルが特徴で、大面積・大量在庫による豊富な品揃えと競争力ある価格を強みとしている。
現在、全国35省市以上に98店を展開し、ホーチミン市を中心とする南部・中部市場で高い認知度を得ている。2025年には北部ベトナムへの出店も本格化させ、全国最大の家電・家具量販チェーンを目指している。
競合との差別化として大規模店舗への集中投資と集中物流を組み合わせたモデルを採用しており、家電製品と家具・インテリアを同一店舗で提供する「ワンストップショッピング」体験がファミリー層の支持を集めている。
創業25年超を経て南部市場での地位を確立しており、大型店舗モデルへの特化とロジスティクス効率化により持続的成長を追求している。
(参照:einpresswire.com、ipsnews.net 各報道、2025年12月)
出典:https://dienmayCholon.com.vn/
HC Electronics(HCディエンマイ)
HC Electronics(Điện Máy HC)はVHC Corporationが運営するベトナムの家電量販チェーンであり、ハノイを本拠地として北部市場を中心に展開してきた。テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコン・スマートフォンなど幅広い家電製品を取り扱い、正規品・適正価格での販売を企業方針としている。
2014年末時点でハノイ市内6店舗を含む北部主要都市に14店を展開していたが、その後拡大を続け現在は全国40店超を運営している。ベトナム大企業500社ランキング(VNR500)に選出された実績を持ち、2018〜2019年には年商約8兆VNDを計上している。
ダナン市では「HC Đà Nẵng」として知られ、中部でも存在感を持つ。北部・中部における地域密着型の運営が特徴であり、大手チェーンとの競合環境でも独自の顧客層を維持している。
家電量販市場が大手寡占化に向かう中、効率的な店舗運営とサービス品質向上で差別化を図り、北部・中部への集中戦略のもと安定した事業基盤を守っている。
(参照:hc.com.vn公式サイト、danangfantasticity.com観光情報ポータル)
出典:https://hc.com.vn/
FAQ
ベトナムの家電量販店業界の主要企業とその特徴は何ですか?
ベトナムの家電量販店業界には、ホームセンターのHC、IT企業のFPT Shop、大手家電小売のNguyen Kim、Cho Lon Electronics、Media Mart、Pico Electronics、Phong Vu、Eco-mart、Thien Hoa Electronics、Thien Phu Electronics、CPN Electronics、Digicityなどがあります。これらの企業は、幅広い製品の取り扱いや戦略的パートナーシップ、全国展開やオンライン販売などでそれぞれの特色を持っています。
日本企業がベトナム市場に参入する際に理解すべき主要な家電販売企業はどこですか?
日本企業がベトナム市場に参入する際には、HC、FPT Shop、Nguyen Kim、Media Mart、MWGなどの主要企業の事業内容や市場での位置付けを理解することが重要です。これらの企業は豊富な品揃えやインフラ、オンラインとオフラインの連携などで成功を収めており、パートナーシップや競争戦略の参考となります。
ベトナムの家電量販店業界で主要なローカル企業の強みは何ですか?
主要なローカル企業の強みには、戦略的なメーカーとの提携、広範な製品ラインナップ、地域密着型の展開やオンラインとオフラインの融合、ブランドの信頼性などがあります。これらにより、顧客の多様なニーズに応え市場での競争力を高めています。
ベトナム市場において、既存の家電量販店と比較して新規参入企業が成功するためには何に注意すべきですか?
新規参入企業は、地域の消費者ニーズや既存企業の強みを理解し、差別化戦略や付加価値サービスの提供、デジタルチャネルの活用、適切なパートナーシップの構築に注力すべきです。また、オンラインとオフラインを効果的に融合させることが成功の鍵となります。
ベトナム家電市場の今後の展望と、日本企業が狙うべきポイントは何ですか?
ベトナム家電市場は経済成長と中産階級の拡大により、成長性が高いと予測されます。日本企業は、現地パートナーとの連携やオンライン販売の強化、製品の高品質化・高付加価値化、地域ニーズへの適応を重視し、市場での競争優位を築くことが重要です。

