ベトナムのアパレル業界は、繊維・縫製大国として輸出産業の柱を担う一方、国内市場ではNha BeやViet TienなどのローカルブランドとZARAやH&Mなどファストファッション外資が競合する構造です。自社ブランドの育成やD2Cへの移行を進める主要企業が増え、消費者の意識変化と合わせた動向が注目されています。
今回は、そんなベトナムのアパレル業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて22社の最新情報をお届けしていきます!
読了時間の目安:5分
ベトナムの主要アパレル企業10選〜ローカル編〜
Nha Be Garment Corporation (ニャーベー・ガーメント)
ニャーベー・ガーメント(NBC)は1973年にホーチミン市で設立されたベトナムを代表する縫製・アパレル製造企業である。創業から50年以上をかけて38以上の関連拠点を擁する大規模グループへと成長し、2万台超の機械設備と2万名規模の人員を有する。
主力製品はスーツ・シャツを中心とした高品質メンズウェアであり、米国(45%)、EU(35%)、日本(10%)への輸出が売上の大部分を占める。アウターウェア・アクティブウェア・ニットウェア・子ども服など品目の多様化も進めている。
品質管理面ではBetterWork、ISO 9001・14001、WRAP、BSCI、SMETAなど複数の国際認証を取得し、グローバルバイヤーからの信頼を確立している。2025年第3四半期には売上が前年同期比16.3%増と報告されており、輸出環境の改善を追い風に業績が拡大している。
近年はサステナビリティへの取り組みを強化するとともに、縫製製造に加えて不動産・サービス分野にも事業領域を広げ、グループとしての収益基盤の多角化を図っている。
出典:https://nhabe.com.vn/
Viet Tien Garment Corporation (ビエットィエン・ガーメント)
ビエットィエン・ガーメント(Viet Tien Garment Corporation)は1976年にホーチミン市で設立されたベトナムを代表する総合縫製企業であり、ホーチミン証券取引所(HOSE)にVGGとして上場している。従業員数は3万名を超え、スーツ・シャツ・カジュアルウェアなどを幅広く手がける。
国内では「Viettien」「Manhattan」などのブランドを展開し、輸出では米国・EU・日本・韓国の大手バイヤーとの長期取引を維持する。2024年年次報告書によれば輸出売上高は7億9,000万ドル超に達した。
2025年の連結売上高はVND1兆8,500億超(前年比+6.8%)と見込まれ、2026〜2030フェーズでは輸出1億ドル達成を長期目標に掲げる。インドネシアへの海外生産拠点設立計画も発表するなど、グローバル展開を積極的に進めている(2025年公開情報による)。
原材料調達から縫製・小売まで川上から川下をカバーするバリューチェーン構築を志向しており、工業用不動産や商業サービス分野への多角化も推進している。
出典:https://www.viettien.com.vn/
Garment 10 Corporation / May 10 (ガーメント10 / マイムオイ)
ガーメント10(Garment 10 Corporation)はハノイを本拠とする国営系大手縫製・アパレル企業であり、「May 10」「GrusZ」「DeTHIA」などの国内向けブランドを保有する。1946年の前身組織発足から約80年の歴史を持ち、製造拠点を北部各省に展開している。
輸出と国内小売の二本柱で事業を構成しており、輸出分野ではスーツ・フォーマルウェアを中心にEU・米国・日本市場向けに高品質製品を供給する。国内ではMay 10ブランドのショップチェーンを通じ、ビジネスウェアを中心とした製品をミドル〜ハイエンドの顧客に提供している。
2024年の売上高は約VND4兆7,000億(計画比+11%超)、税引前利益はVND1,315億(計画比+14%)と収益性が向上した。2025年第1四半期には売上高が前年比+12%増の約VND1兆2,500億に達しており、通年でさらに+7.4%の成長を目標としている(2025年公開情報による)。
サステナビリティへの対応として、環境配慮型素材の採用や生産工程の省エネ化を推進しており、国際的な品質・環境基準への適合を継続している。
出典:https://www.garco10.com.vn/
Canifa (カニファ)
カニファ(Canifa)は2001年にハノイで設立されたベトナム発のファッションブランドであり、メンズ・レディース・キッズを網羅する幅広い製品ラインナップを提供している。天然素材へのこだわりを品質の核とし、国内志向の若年層・ファミリー層を主要顧客に据えたポジショニングを確立している。
店舗網は全国120店舗超に拡大しており、ハノイ・ホーチミン市をはじめ主要都市の主要ショッピングモールに出店している。実店舗と並行してECサイトおよびモバイルアプリを強化しており、CleverTapとのMAツール連携によりアプリ経由のコンバージョン率を前年比+54%改善したと発表している。
2022年売上高はVND1兆400億を記録しており、国産ブランドの中では最大規模クラスの売上規模を誇る。オーガニックコットンやリサイクル素材を活用したグリーンコレクションも展開し、環境意識が高まる国内市場での差別化を図っている。
国際ブランドが次々と参入するベトナム市場において、国産ブランドとしての「品質と手頃な価格のバランス」を訴求しながら着実に顧客基盤を拡大している。
出典:https://www.canifa.com/
Yody Fashion (ヨディ・ファッション)
ヨディ・ファッション(Yody Fashion)は2017年にハイズオン省で設立されたベトナム発のカジュアルファッションブランドである。ミドル〜ローエンド価格帯のTシャツ・ポロシャツ・パンツなどを幅広い年齢層に提供し、急速に全国展開を果たした急成長企業として知られる。
直営店舗網は270店舗超に達し、46省・市をカバーする。ECチャネルも積極整備しており、公式サイトyody.vnおよびShopee・Lazadaを通じた2025年のEC年間売上はUS$3,800万超と推計されている。
TikTokを活用したライブコマースやインフルエンサーマーケティングを主要施策とし、若年層へのリーチを強化している。TikTok For Businessのケーススタディにも採り上げられており、SNS主導の成長モデルとして注目される。
オーガニックコットンやリサイクルPET素材を用いたサステナブルコレクションも展開し、環境志向の消費者層への訴求も強化している。2022年の売上高はVND2,730億、税引後純利益はVND151億と公表されている。
出典:https://yody.vn/
VINATEX / Vietnam National Textile and Garment Group (ビナテックス)
ビナテックス(VINATEX:Vietnam National Textile and Garment Group)は1995年に設立されたベトナム最大の国営繊維・アパレルコングロマリットであり、ハノイ証券取引所にVGTとして上場している。糸・織物・ニット・縫製・染色を網羅する一貫生産体制を整備しており、傘下に50社超の関連・子会社を抱える。
主要な子会社にはViet Tien Garment、Garment 10(May 10)、HANOSIMEX、Nha Be Garmentなどが含まれ、ベトナム繊維アパレル産業の基幹を成す。年間生産能力は糸15.5万トン超・生地1.7億㎡・縫製品3.5億点以上に達し、対米・EU・日本輸出を主軸に売上の約75%以上が輸出向けである。
2025年の連結売上高はVND1兆8,890億(計画達成率103.2%)、連結利益はVND1,350億でグループ創設以来2番目の高水準を記録した。2026年目標として連結売上VND2兆・利益VND1,200〜1,500億を掲げるが、米国関税リスクへの対応と高付加価値品へのシフトが喫緊の課題となっている(2025年公開情報による)。
中長期的にはサプライチェーンのグリーン化・スマートファクトリー化を推進し、グローバルファッションサプライチェーンにおける持続可能なポジションの確立を目指している。
出典:https://vinatex.com.vn/
HANOSIMEX / Hanoi Textile and Garment Joint Stock Corporation (ハノシメックス)
ハノシメックス(HANOSIMEX:Hanoi Textile and Garment Joint Stock Corporation)は1984年に設立されたハノイを本拠地とする国営系大手繊維・アパレル企業であり、VINATEXグループの主要子会社の一つである。ハノイ証券取引所(HNX)にHSMとして上場している。
糸・織物・タオル・縫製品など幅広い製品を手がけ、ハノイのほかバクニン省・フンイェン省・ハナム省・ゲアン省・ハティン省に生産拠点を展開する。従業員は約4,500名で、Marzoli・Toyoda・Schlafhorst・Rieterなどの欧米・日系メーカーの設備を導入し高品質生産を実現している。
主要輸出先は米国・日本・EU・韓国・台湾であり、輸出品目はインナーウェア・タオル・ニット製品など多岐にわたる。2025年の売上高は前年比+9.8%増と堅調に拡大した(2025年公開情報による)。一方、総資産は同期間で4.12%減少しており、収益性の改善と資産効率化を同時に進めている段階にある。
VINATEX傘下での調達コスト低減・原材料共有の恩恵を受けつつ、独立した上場企業としてのガバナンス向上にも取り組んでいる。
出典:http://www.hanosimex.com.vn/
Thanh Cong Textile Garment Investment Trading JSC (タンコン・テキスタイル)
タンコン(Thanh Cong Textile Garment Investment Trading JSC)は1979年設立のホーチミン市を本拠とする大手繊維・アパレル上場企業であり、ホーチミン証券取引所(HOSE)にTCMとして上場している。糸・生地・縫製品の製造から国内小売まで、川上から川下をカバーするバリューチェーンを持つ。
主力製品はインナーウェア・Tシャツ・ポロシャツ・スポーツウェアなどのニット製品で、米国・欧州・日本の主要バイヤーへ輸出している。韓国の大手アパレル企業E-Landがグループの主要株主として参画しており、国内小売チャネルの拡充においてもE-Landとの協業を進めている。
2025年1〜10月の売上高は約US$1億2,010万(前年比−5%)、利益は約US$950万(同−2%)と若干の減収減益となったが、2026年第1四半期は季節需要と米国の対中・対他国高関税による受注増の恩恵で回復傾向にある。2026年の目標はVND4兆3,900億の売上・VND293億の税引後利益であり、利益成長率は約8.1%増を見込んでいる(2025年公開情報による)。
2030年をめどにODM(相手先設計・製造)メーカーへの転換と国内小売拡大、デジタルトランスフォーメーションの推進を骨子とする長期戦略を策定している。2025年には「最優秀年次報告書20社」への選出とホーチミン市グリーン企業賞を受賞した。
出典:https://www.thanhcong.com.vn/
Phuong Dong Garment Joint Stock Company (フォンドン・ガーメント)
フォンドン・ガーメント(Phuong Dong Garment Joint Stock Company)はホーチミン市を拠点とする縫製・アパレル製造企業であり、35年以上の業歴を有する中堅縫製メーカーである。縫製製造を中核事業として、不動産事業も兼営している。
従業員数は約2,300名で、スポーツウェア・アウターウェア・カジュアルウェアを主力製品とし、DecathlonやKmartといったグローバルバイヤーと長期取引関係を構築している。2023〜24年度の総輸出件数は3,254件・輸出総額はUS$2,179万に達している。
BetterWork・ISO 9001・ISO 14001・WRAP・BSCI・SMETA・GRSなどの国際認証を取得しており、品質・環境・社会的責任の面でグローバルスタンダードへの適合を証明している。2023年には売上高が前年比+156%増と大幅に拡大した(2023年公開情報による)。
公式サイト(pdg.com.vn)を通じた情報発信を継続しており、ベトナムBetterWork参加工場としても認定されている。米国関税リスクが高まる中にあっても欧州・オーストラリア向け輸出の多角化を進め、受注基盤の安定化を図っている。
出典:https://pdg.com.vn/
The Blues / Blue Exchange (ザ・ブルーズ / ブルー・エクスチェンジ)
ザ・ブルーズ(The Blues)はBlue Exchange LLC(旧名Basic Green Fashion Company)が運営するベトナム発のファッションブランドであり、「Blue Exchange」と「THE BLUES」の2ブランドを展開する。ベトナム国内における代表的なローカルファッションチェーンの一つである。
2023年3月時点で全国347店舗を展開しており、ベトナムの国内ファッションブランドの中で最多店舗数を誇る。主要ショッピングモールから路面店まで幅広い形態で出店し、ベトナム全土の都市部を中心に店舗網を整備している。
製品ラインはメンズ・レディース・ユニセックスのカジュアルウェアを中心に、Tシャツ・デニム・アウターウェアなどを幅広く展開する。価格帯はミドル〜ローエンドに設定しており、幅広い年齢層・収入層にアプローチするポジショニングをとっている。
ECチャネルの強化にも取り組み、公式サイトおよびShopee・Lazadaを通じたオンライン販売を展開している。ベトナム国内での知名度・店舗数においてトップクラスの地位を維持しており、外資ブランドとの競合が激化する中でもローカルブランドとしての強みを活かした事業展開を継続している(2023〜2025年公開情報による)。
出典:https://theblues.com.vn/
ベトナムの主要アパレル企業5選〜日系編〜
UNIQLO Vietnam (ユニクロ・ベトナム)
ユニクロ・ベトナム(UNIQLO Vietnam)は、ファーストリテイリング(東証プライム:9983)が展開するグローバルアパレルチェーン「UNIQLO」のベトナム法人である。2019年12月にホーチミン市パークソン・サイゴン・ツーリスト・プラザに旗艦店を開設してベトナム市場に参入した。
出店以来、急速な店舗拡大を続け2026年時点で全国30店舗超を展開するまでに成長した。ホーチミン市・ハノイを中心にビンコムセンターやAEONモールへの出店を進め、カントーなど地方都市への展開も続いている。
ファーストリテイリングのFY2025(2025年8月期)連結売上高は¥3兆4,005億(過去最高)を計上し、ユニクロ海外事業全体でも東南アジア・インド・オーストラリア地域で大幅増収を達成している(2025年8月期年次報告による)。
ベトナムでは「LifeWear」の概念のもと機能性素材を使ったベーシックウェアを展開し、縫製委託先としての同国の位置づけと合わせて、製造と消費の両面でベトナムとの関係を深めている。
出典:https://www.uniqlo.com/vn/
MUJI Vietnam (無印良品・ベトナム)
無印良品ベトナム(MUJI Vietnam)は、良品計画(東証プライム:7453)が運営するライフスタイルブランド「MUJI」のベトナム展開事業である。2020年11月にホーチミン市で初出店し、シンプルで機能的な衣料品・雑貨・食品を一体的に提供するコンセプトで現地消費者の支持を獲得してきた。
2025年には同ホーチミン市内で905坪(約2,990㎡)の大型旗艦店を開設する計画を発表した。ベトナム国内最大規模かつ東南アジアでも屈指の床面積を持つ店舗となる予定であり、「天然素材・肌にやさしい・睡眠の質向上」をテーマに全カテゴリーを展示する(良品計画2025年10月発表)。
旗艦店への移行に際してはベトナムの地場生産技術を活かした現地仕様商品の開発も進めており、「ローカライゼーション」を軸とした成長戦略を推進している。良品計画全体では2025年8月末時点で海外757店舗を含む1,474店舗を世界展開している。
アパレル領域においても自然素材を用いた高品質なベーシックアイテムを展開し、ミニマリズムのブランドポジションで国内中間層以上の消費者から支持を集めている。
出典:https://www.muji.com/vn/
ストライプインターナショナル / NEM Vietnam (ストライプインターナショナル / ネム)
ストライプインターナショナル(Stripe International Inc.)は岡山県に本社を置く日系アパレル企業であり、2017年にベトナムのレディースカジュアルブランド大手「NEM」のアパレル事業を買収し、日系アパレル企業として初のベトナム市場への本格参入を果たした。
買収後はストライプベトナム(Stripe Vietnam LLC)を設立し、NEMブランドの運営を継続してきた。2025年9月時点でベトナム全国74店舗を展開しており、ホーチミン市・ハノイを中心に主要ショッピングモールに出店している。また2022年にはカンボジアへの進出も果たしており、ASEAN事業の本格拡大を推進している。
2025年10月にはブランドコンセプトを『Tailor Vietnamese Elegance』へ刷新するリブランディングを実施し、AI活用による商品企画の効率化とサンプル削減も進めた。同時に若年層向けカジュアルライン「NEM PLUS+」を新設し、オン・オフ兼用の幅広い製品を展開している。
2026年3月にはホーチミン市で開催された「TOKYO GIRLS COLLECTION in VIETNAM 2026」に参加し、日越ファッション交流における存在感を高めている(2025〜2026年公開情報による)。earth music&ecologyなど日本国内ブランドとは独立した形でベトナム事業を運営している。
出典:https://www.stripe-intl.com/
Unimax Saigon Co., Ltd. (ユニマックス・サイゴン)
ユニマックス・サイゴン(Unimax Saigon Co., Ltd.)は1996年にホーチミン市で設立された日系アパレル・ユニフォーム製造企業である。伊藤忠商事・ボンマックス(Bonmax)・ユニコ(Unico)の3社出資により設立され、日本式の品質管理と生産管理を強みとする。
主力製品はオフィスユニフォーム・作業服・ユニフォーム用帽子であり、生産品の95%以上を日本市場向けに輸出している。ホーチミン市の本社工場に加え、ロングアン省(Long An Factory Branch)にも生産拠点を有し、規模拡大を続けている。
日本から技術専門家を派遣して労務管理・品質管理を徹底しており、20年以上にわたり蓄積した縫製技術と日本式管理システムによって高品質な均一製品を安定供給している。ベトナム国内向けユニフォーム販売も展開しており、現地企業・外資系工場向けの制服需要にも対応している(公開情報に基づく)。
日系企業の製造拠点としての位置づけを維持しながら、ベトナムの人件費競争力を活かした製造事業を継続的に運営している。
出典:https://unimax.uniform.co.jp/vn/
Sensho Industry Vietnam Co., Ltd. (染装ベトナム / センショウ・インダストリー)
染装ベトナム(Sensho Industry Vietnam Co., Ltd.)は日本の染装産業グループがビンズオン省に設立した日系の染色・繊維素材加工企業である。ビンズオン省ビンホア工業団地(VSIP Thuan An Industrial Park)に生産拠点を構え、染色・仕上げ加工・繊維関連製品の製造・輸出を行っている。
主要製品は染料・繊維素材および染色加工品であり、日本向けを中心とした輸出が事業の主軸をなす。日本式の品質管理・工程管理を徹底しており、業界データベース(Panjiva等)への輸出記録が確認されている。
ベトナム国内では工業団地の集積するビンズオン省において製造活動を継続しており、同省の外資系繊維・アパレル産業エコシステムの一員として機能している。繊維・アパレルサプライチェーンの川上(素材・染色)を担う企業として、縫製メーカー各社の生産活動を支える役割を果たしている(公開情報に基づく)。
日本の染色技術とベトナムの生産コスト優位性を組み合わせたビジネスモデルで事業を展開しており、今後も繊維サプライチェーンの重要な構成要素として継続が見込まれる。
ベトナムの主要アパレル企業7選〜外資編〜
Zara Vietnam / Inditex (ザラ・ベトナム)
ザラ・ベトナム(Zara Vietnam)は、スペインの世界最大手アパレルグループInditex(マドリード証取:ITX)が展開するファストファッションブランド「Zara」のベトナム事業である。ホーチミン市での初出店を皮切りに全国主要都市へ展開し、2025年にはハノイ・ビンコムセンター・バーチューに旗艦店を開設した。
直近の公開データによれば売上高はUS$7,300万超と推計されており、ベトナムに参入した外資アパレルブランドの中でも最大規模の一つに数えられる。同社はライバルのH&Mを上回るペースで成長しており、ベトナムを東南アジア内の重要成長市場と位置づけている。
Inditex全体ではFY2025(2025年1月期)の年間売上高が約400億ユーロ(前年比+3.2%増)に達し、全世界5,460店舗を展開する。ベトナム市場においてもZara Homeを含む複数フォーマットの展開を通じ、収益基盤の厚みを増している。
最新コレクションの迅速な市場投入を可能にするサプライチェーン管理と、高いブランド認知度を背景に、国内の若年ホワイトカラー層や観光客からの需要を安定的に取り込んでいる。
出典:https://www.zara.com/vn/
H&M Vietnam (H&M・ベトナム)
H&Mベトナム(H&M Vietnam)は、スウェーデンの大手アパレルグループH&M Hennes & Mauritz AB(ナスダックOM:HM-B)がベトナムで展開するファッションリテーラーである。2017年にホーチミン市で初出店し、東南アジア4番目の市場としてベトナム展開を開始した。
参入初年度(2017年)の売上はVND2,270億(約860万ドル)にとどまったが、2019年にVND1兆1,000億超え、2022年にはVND1兆4,000億(約5,300万ドル、前年比+66.7%)へと急成長を遂げた。ホーチミン市・ハノイの主要モールへの出店を軸に全土での店舗網拡大を続けている。
H&Mグループは2024年通期年次報告書でもアジア太平洋市場の拡大を優先方針として掲げており、ベトナムではデジタルチャネルの強化と物理店舗の拡充が計画されている。
メンズ・レディース・キッズのラインナップのほか、サステナブルコレクション「Conscious」シリーズを展開し、環境意識の高い若年層への訴求を図っている。
出典:https://www2.hm.com/vn_en/
Levi’s Vietnam (リーバイス・ベトナム)
リーバイス・ベトナム(Levi’s Vietnam)は、米国の大手デニムブランドLevi Strauss & Co.(NYSE:LEVI)がベトナム市場に展開するアパレルリテーラーである。2016年、国内有力ファッションディストリビューターのACFCとの提携を通じて正式に小売事業を開始した。
ACFCによるアグレッシブな店舗展開の結果、2018年末時点で全国31店舗にまで拡大し、主要ショッピングモールおよび商業地区への出店を完了した。デニムパンツを中心とした製品ラインナップは、品質・ブランド認知度ともにベトナムの都市部中間層から高い支持を受けている。
近年ではホーチミン市内に旗艦店(フラッグシップストア)を開設するなど、プレミアムな店舗体験への投資を継続している。東南アジア全体での成長戦略においても、ベトナムは優先市場の一つとして位置づけられている。
Levi Strauss & Co.はベトナムを製品の主要生産拠点の一つとしても活用しており、サプライチェーン上の重要性と消費市場としての重要性を兼ね備えた国として戦略的に関与を深めている。
出典:https://www.levi.com/VN/en_VN/
Mango Vietnam (マンゴ・ベトナム)
マンゴ・ベトナム(Mango Vietnam)は、スペインのアパレル企業Mango(バルセロナ本社)がベトナム市場に展開するファッションブランドである。欧州を中心に世界115か国以上で店舗を展開するグローバルブランドとして知られ、ベトナムではオンラインチャネルを入口に市場開拓を進めている。
公式ECサイト(shop.mango.com/vn)ではレディース・メンズ・キッズにわたる製品を提供しており、2025年にはメンズライン「Mango Man」のベトナム向けオンライン展開も本格始動した。H&M・Zaraとユニクロの中間に位置するミドルプライスゾーンを狙い、都市部の若年ホワイトカラー層を主要ターゲットとしている。
現時点で物理店舗の大規模展開は確認されていないが、東南アジア各国での旗艦店開設方針が示されており、ベトナムへの本格参入に向けた動きが注目される。サステナブルコレクション「Committed」シリーズもベトナム向けに提供されている。
ベトナムの新興中間層拡大とEC市場の急速な成長を背景に、デジタル先行のブランド認知確立からオムニチャネル展開へと移行する戦略が想定される。
出典:https://shop.mango.com/vn/
GAP Vietnam (ギャップ・ベトナム)
ギャップ・ベトナム(GAP Vietnam)は米国の大手アパレルグループGap Inc.(NYSE:GAP)がベトナム市場に展開するファッションリテーラーである。ベトナムではACFC(Advanced Fashion & Cosmetics Corporation)を公認ディストリビューターとして正規展開しており、ホーチミン市・ハノイを中心とした主要ショッピングモールに店舗を構える。
ACFCは現在、GAPのほかOld Navy・Calvin Klein・Tommy Hilfiger・Levi’sなど26ブランドを含む278店舗ネットワークを運営するベトナム最大級のファッションディストリビューターであり、GAPブランドの現地での展開・マーケティング・在庫管理を担っている。
GAP Inc.はグローバルで2025年も32店舗を閉鎖するなど選択と集中を進めているが、ベトナムについてはACFCとの契約を通じた展開を継続している。メンズ・レディース・キッズのカジュアルウェアを主力に、Gap Bodyなどのライン展開も行っており、ベトナム都市部の中間層を主要ターゲットとしている(2025年公開情報による)。
米国ブランドとしての認知度の高さと手頃な価格帯が支持を集めており、ACFCの物流・販売インフラを活用した安定的な店舗運営を続けている。
出典:https://www.gap.com/
Giordano Vietnam (ジョルダーノ・ベトナム)
ジョルダーノ・ベトナム(Giordano Vietnam)は香港に本社を置くアパレルグループGiordano International Limitedがベトナムで展開するファッションリテーラーである。同グループはアジア・中東を中心に40か国以上で展開するグローバルブランドであり、ベトナムはその重点成長市場の一つと位置づけられている。
2026年4月時点でベトナム全国44店舗・カンボジア3店舗を展開し、主要ショッピングモール・商業施設への出店を継続している。ハノイのAEONモール・ロンビエン、ホーチミン市のビボシティなど複数の主要モールに旗艦店・標準店を展開している。
2022年10月にはベトナム初出店となるGiordano Ladiesをホーチミン市のサイゴンセンターにオープンし、ミドル〜プレミアムレンジのレディースウェアの需要取り込みを開始した。ユニセックスのカジュアルベーシックウェアを手頃な価格で提供するコアブランドに加え、上位ラインの「Giordano Ladies」「Giordano Concepts」を展開し、価格帯の幅広い顧客層に対応している(2025〜2026年公開情報による)。
ベトナムの中間層拡大と消費意欲の高まりを追い風に、店舗数のさらなる拡大が見込まれる。
出典:https://www.giordano.com.vn/
Superdry Vietnam (スーパードライ・ベトナム)
スーパードライ・ベトナム(Superdry Vietnam)は英国のファッションブランドSuperdry plcがベトナム市場に展開するアパレルリテーラーである。日本のヴィンテージアメリカンスタイルと英国のデザインを融合させたユニークなブランドポジションを持ち、プレミアム〜ミドルレンジのカジュアルウェア・アウターウェアを主力とする。
2018年4月にハノイのチャンティエンプラザ(Trang Tien Plaza)に初出店し、ベトナム市場に参入した。その後ホーチミン市にも展開を拡大し、現在はビンコムセンター・ランドマーク81など主要商業施設に店舗を構えている。公式FacebookアカウントおよびLazada・Ubuyなどのオンラインプラットフォームでも販売を展開している。
Superdryグループは2026年に英国・欧州で21店舗の新規出店を計画するなどグローバルな拡大路線を維持しており、ベトナムでも現状の店舗運営を継続している。ベトナムは同社の生産拠点(縫製委託工場)としても活用されており、製造と消費の両面でベトナムとの関係を深めている(2025〜2026年公開情報による)。
プレミアムカジュアルウェアとしての認知が確立されており、ベトナムの若年都市部消費者から支持を集めている。
出典:https://www.superdry.com/
FAQ
日系ブランドのベトナム市場での代表例と現状の動向はどうなっていますか?
日系ブランドとしてUNIQLOやMUJI、Stripe International (NEM) 、Unimax Saigon、Sensho Industry Vietnam などが展開しています。UNIQLOはホーチミンを拠点に全国で店舗を拡大、MUJIはホーチミンで旗艦店を計画、NEMはベトナム展開を拡大してブランド刷新を進め、日本企業の染色・素材加工を手掛けるSenshoは日本品質管理を活かしつつ現地生産を支援しています。
外資ブランドはどのような戦略でベトナム市場を開拓していますか?
ZaraやH&M、Levi’s、Mango、GAP、Giordano、Superdryなどの外資ブランドは、都市部の大型モール中心の店舗展開とデジタルチャネルの強化を同時に進めています。Zaraは現地で旗艦店を開設し高いブランド認知を獲得。H&Mはデジタルと店舗拡大を進め、Consciousなどサステナブルラインも展開。Levi’sは現地ディストリビューターと連携して全国展開を拡大しており、デニムを核とした販売を強化しています。
今後の成長戦略や直面する課題として挙げられる要素は何ですか?
成長戦略としてはODM化・デジタルトランスフォーメーションの推進、サプライチェーンのグリーン化、現地生産の拡大、D2Cの強化が要となります。一方の課題としては米国関税リスクへの対応、原材料調達のコスト高、輸出市場の競争激化、ブランドのローカライゼーションと現地適応の両立が挙げられます。

