今回は、タイの主要飲料メーカーに焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて16社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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タイの主要飲料メーカー12選〜ローカル編〜
Boonrawd Trading Co., Ltd. (ブーンロード・トレーディング)
1988年に設立されたコングロマリット企業。飲料分野では2001年よりSingha Corporationを設立し、飲料、酒類の製造・販売を行っている。ノンアルコール飲料の主なブランドはミネラルウォーターおよび炭酸水、清涼飲料水の「Singha」、ミネラルウォーターの「Purra」、「Fiji」、ビタミン添加した飲料水「Purra Vitamin Water」などがある。さらに、スナック菓子、韓国海苔の「Masita」、タイの高級香り米「Pun Dee Rice」などの商品も展開している。
2020年度の売上高は前年比5.9%減の107,370百万バーツ、純利益は前年比13%増の2,468百万バーツであった。
出典: https://www.singhacorporation.com/en
Thai Beverage PCL. (タイ・ビバレッジ)
1977年のラム酒製造から創業した飲料メーカー。買収を経て2003年より現在の社名となっている。2006年にシンガポール証券取引所に上場し、子会社にはタイ証券取引所SET上場のSermsuk社およびOishi社を持つ。自社ブランド「Chang」のビールおよびミネラルウォーター、炭酸水、Sermsuk社向けの清涼飲料水「est」や「Play」、Oishi社向けの緑茶といった飲料製品を製造している。商品はタイだけでなく、海外子会社を通じてシンガポール、カンボジア、マレーシア、中国、イギリス、アメリカなどでも流通している。
2020年度の売上高は前年比67%増の40,069百万バーツ、純利益は前年比122%増の27,303百万バーツであった。
出典:https://www.thaibev.com/en08/home.aspx
T.C. Pharmaceutical Industries Co., Ltd. (ティーシー・ファーマシューティカル・インダストリーズ)
1956年に医薬品販売から創業した飲料メーカー。エナジードリンクの「Red Bull」の源流となった商品「Kratingdaeng」を開発した。「Red Bull」は1980年代にオーストリア人の実業家と提携することで世界各地に広まり、今では世界中で最も親しまれているエナジードリンクとなっている。同社は現在も同製品を主力商品として製造・販売している他、「Sponsor」ブランドのスポーツドリンク、「Man Some」ブランドの機能性飲料、お茶やフルーツジュース、スナック菓子などを取り扱う。
2020年度の売上高は前年比5.2%減の28,259百万バーツ、純利益は前年比15%減の5,930百万バーツであった。
出典:https://www.tcp.com/home/
Osotspa PCL. (オーソトサパー)
1891年に創業したドラッグストアを前身とする飲料メーカー。1995年より現在の社名となり、2018年よりタイ証券取引所SETに上場している。主にエナジードリンク「M-150」、スポーツドリンクの「M-Electrolyte」、機能性飲料の「Peptain」といったブランドの飲料の製造・販売を行うほか、日系の製薬メーカー、大正製薬との合弁により「リポビタンD」も取り扱う。また2013年より日系の飲料メーカー、アサヒと合弁で「Calpis」ブランドの飲料を生産していたが、2020年にアサヒが撤退したことにより、現在は同商品の製造・販売ライセンスを取得しタイ国内に展開している。
2020年度の売上高は前年比ほぼ横ばいの26,129百万バーツ、純利益は前年比7.5%増の3,504百万バーツであった。
出典: https://www.osotspa.com/new/en/home/
Carabao Group PCL. (カラバオ・グループ)
2001年に創業した飲料メーカー。2014年よりタイ証券取引所SETに上場している。「Carabao」ブランドのエナジードリンク各種(オレンジ味、グリーンアップル味など)、機能性飲料「Woody C+ Lock」を製造・販売している。現在はタイおよびASEAN諸国、アジア地域だけでなく、ヨーロッパ、アフリカ、南米、北米など世界57か国で商品を展開している。また、イングランドフットボールリーグのスポンサーとしてカラバオ杯(Carabao Cup)を開催するなど、ブランディングに力を入れている。
2020年度の売上高は前年比16%増の17,386百万バーツ、純利益は前年比41%増の3,525百万バーツであった。
出典:https://www.carabaogroup.com/
Oishi Group PCL. (オイシ・グループ)
1999年に日本風のラーメン店オイシ・ラーメンとして創業した食品企業。2003年より飲料製造・販売事業を開始し、2004年にはタイ証券取引所SETに上場した。2008年よりThai Beverage PCL.の傘下となっている。主な商品として「Oishi」ブランドの日本風緑茶飲料、高級路線の緑茶飲料「Oishi Gold」、炭酸緑茶飲料の「Oishi Chakulza」などを取り扱う。商品はタイ国内およびラオス、カンボジア、ミャンマーなどの周辺諸国、オーストラリア、ニュージーランド、さらにはヨーロッパの10か国以上で展開している。
2021年度の売上高は前年比13%減の9,896百万バーツ、純利益は前年比49%減の547百万バーツであった。
出典:https://www.oishigroup.com/
Sermsuk PCL. (サームスック)
1953年に創業した飲料メーカー。1975年にタイ証券取引所SETに上場し、2012年よりThai Beverage PCL.の傘下となっている。主な商品として、清涼飲料水の「Est」や「Play」、ミネラルウォーター「Crystal」、炭酸水の「Rock Mountain」、機能性飲料の「V-Boost」などを取り扱う。「Crystal」はタイ人の消費者から最も信頼されているミネラルウォーターとして知られており、ビジネス誌「Marketeer」によって2018年から3年連続で表彰されている。
2021年度の売上高は前年比14%減の9,761百万バーツ、純利益は前年比51%減の83百万バーツであった。
出典:http://www.sermsukplc.com/en
Haadthip PCL. (ハードティップ)
1969年に創業した飲料メーカー。1988年よりタイ証券取引所SETに上場している。タイ南部地域におけるCoca Cola社のフランチャイズ権を獲得し、同社の炭酸飲料「Coca Cola」、「Fanta」、「Sprite」およびフルーツジュースの「Minute Maid」、ミネラルウォーターの「Namthip」を製造・販売する。商品は自動販売機およびトラディショナルトレード小売店への直販、卸売スーパーMakroなどのディストリビューター、Big Cなどの小売店といったチャンネルによりチュンポン県以南のタイ国内13県へ流通している。
2020年度の売上高は前年比5.1%減の6,444百万バーツ、純利益は前年比29%増の566百万バーツであった。
出典:https://www.haadthip.com/en/home
Ichitan Group PCL. (イチタン・グループ)
2010年に創業した飲料メーカー。2014年よりタイ証券取引所SETに上場している。日本風の緑茶飲料を中心に製造・販売している。主なブランドは「Ichitan」の緑茶、玄米茶、「Yen Yen」の緑茶風清涼飲料水、「Chew Chew」のココナッツ果肉入り飲料、「Birelay’s」のフルーツジュースなどである。商品はタイ国内およびラオス、カンボジア、ミャンマーなどの周辺諸国、オーストラリア、中国、韓国、オランダ、イタリア、アメリカなどの10か国以上で展開している。
2020年度の売上高は前年比4.5%減の5,108百万バーツ、純利益は前年比27%増の516百万バーツであった。
出典:http://www.ichitangroup.com/en/
Malee Group PCL. (マリー・グループ)
1978年に創業した飲料メーカー。1992年よりタイ証券取引所SETに上場している。フルーツジュース、フルーツの缶詰の製造・販売を行う。主な商品は「Malee」ブランドのフルーツジュース、ココナッツジュースの「Malee coco」、高ビタミン・低カロリーの機能性飲料「Malee light」などである。また、「Chokchai Farm」ブランドの各種牛乳飲料や、とうもろこし飲料、ゼリー飲料も取り扱う。商品は小売用および業務用にパッケージ化されたものがある。他社へのOEM供給も行なっている。
2020年度の売上高は前年比22%減の3,912百万バーツ、純損益は201百万バーツの赤字であった。
出典:https://www.malee.co.th/en
Sappe PCL. (サッペ)
1973年に菓子類製造から創業した食品加工会社。2001年より飲料製造を開始し、2014年よりタイ証券取引所SETに上場している。現在は機能性飲料の製造・販売を行う。主なブランドはナタデココ入り飲料の「Mogu Mogu」、女性向けフルーツジュース「Beauti Drink」、ココナッツ飲料「All Coco」、アロエ飲料の「Aloe Vera」、コーヒー飲料の「Preaw」がある。ヨーロッパや香港にも拠点を持ち、現在では世界94か国で商品を取り扱っている。他社との協業も積極的に行い、フランスの食品メーカーDanone、タイのエンターテイメント企業Workpoint Entertainment PCL.などと提携して商品を展開している。
2020年度の売上高は前年比1.4%増の3,324百万バーツ、純利益は前年比5.7%減の380百万バーツであった。
出典:https://www.sappe.com/en/home-en/
Tipco Foods PCL. (ティプコ・フーズ)
1976年に創業した飲料メーカー。1989年よりタイ証券取引所SETに上場している。フルーツジュースを中心に、各種飲料の製造・販売を行う。主な商品は、フルーツジュース、野菜ジュースの「Tipco」、ミネラルウォーターの「Aura」などがある。中部アユタヤに工場を持ち、自社製品に加えOEM製品も製造している。自社製品は小売店での販売の他、パイナップルスタンドのHomsuwan、レストランのAugust、フルーツジュースやアイスクリームを提供するカフェSqueezeを展開し、消費者に訴求している。
2020年度の売上高は前年比30%減の2,576百万バーツ、純利益は前年比132%増の482百万バーツであった。
出典:https://www.tipco.net/en/
タイの主要飲料メーカー2選〜日系編〜
Ajinomoto (Thailand) Co., Ltd. (アジノモト・タイランド)
日系の大手食品メーカー、味の素のタイ拠点。タイでは同社の海外初の拠点として1960年に設立された。同社の主力製品であるうま味調味料や冷凍食品に加え、飲料も製造している。主なブランドは缶コーヒーの「Birdy」、粉末インスタントコーヒーの「Blendy」、機能性スポーツドリンクの「aminoVITAL」がある。自社工場はタイに6か所所有し、従業員は7,000人以上が在籍している。2020年度の売上高は前年比1.3%減の26,053百万バーツ、純利益は前年比23%増の5,105百万バーツであった。
味の素は1909年に創業した。現在は調味料、栄養・加工食品、ソリューション&イングリディエンツ、冷凍食品、ヘルスケアおよび電子材料の6つの事業分野を展開する。世界25か国に120以上の工場を持ち、135か国に商品を展開している。従業員は33,000人以上にのぼる。
出典:https://www.ajinomoto.co.th/th
Yakult (Thailand) Co., Ltd. (ヤクルト・タイランド)
日本の大手飲料メーカー、ヤクルトのタイ拠点。タイでは1970年に設立された。タイでも同社の代表的な製品である乳酸菌飲料「Yakult」および砂糖を減らした「Yakult Light」の製造・販売を行う。中部アユタヤに製造工場を、バンコクに本社および販売拠点を2か所所有している。街中ではバイクや自転車に乗った配達員のヤクルトレディを見かけることができる。2020年度の売上高は前年比5.7%減の2,354百万バーツ、純利益は前年比4.5%増の308百万バーツであった。
ヤクルトは1930年に代田氏が人の健康に役立つ乳酸菌の強化・培養に成功したことから創業した。現在は「ヤクルト」、「ジョア」、「タフマン」などの飲料・食品を中心に、医薬品、化粧品なども取り扱う。海外では主に「ヤクルト」を販売し、同商品はアジア、オセアニア、アメリカ、ヨーロッパの世界40か国以上で毎日4,000万本以上を販売している。
出典:https://www.yakultthailand.com/
タイの主要飲料メーカー2選〜外資系編〜
Coca-Cola (Thailand) Ltd. (コカ・コーラ・タイランド)
アメリカの大手飲料メーカー、コカ・コーラのタイ拠点。タイでは1949年より清涼飲料水コカ・コーラの販売を行っている。Coca-Cola (Thailand) Ltd.は商品開発やマーケティングを行い、製造・販売は提携会社のThainamthip Co., Ltd.およびHaadthip PCL.にて行う。Thainamthip Co., Ltd.はプラチュアプキリカン県以北の63都県に「Coca-Cola」、「Fanta」、「Sprite」を供給する。2020年度の売上高は前年比10%減の1,993百万バーツ、純利益は前年比19%増の85百万バーツであった。
コカ・コーラは1886年にアメリカで創業した。現在は世界一の飲料メーカーとして、コーラを中心にお茶、コーヒー、フルーツジュースなど500種類以上の商品を200以上の国で販売している。
出典: https://en.coca-cola.co.th/
Nestle (Thai) Co., Ltd. (ネスレ・タイ)
スイスの食品メーカー、ネスレのタイ拠点。タイでは1934年より商品の流通を開始した。タイでも飲料および食品の製造・販売を行う。主なブランドはコーヒーの「Nescafe」、チョコレート飲料の「Milo」、牛乳飲料の「Bear Brand」、ミネラルウォーターの「Nestle Purelife」などがある。タイに7か所の工場を持ち、3,300人以上の従業員を擁する。2020年度の売上高は前年比13%減の51,010百万バーツ、純利益は前年比23%増の2,844百万バーツであった。
ネスレは1867年にスイスで創業した。飲料や調味料、機能性食品などを製造・販売している。現在は190か国以上に2,000種類以上の商品を展開し、従業員は30万人以上が在籍している。
出典: https://www.nestle.co.th/en
バンコク在住のタイ人。タイにおける日系企業向け翻訳・通訳を6年間以上行う。経済、ビジネス、IT分野に興味があり、マーケティングや流通を含めた企業調査や、企業調査といった情報収集が得意。