今回は、タイの主要バイクメーカーに焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて12社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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タイの主要バイクメーカー2選〜ローカル企業編〜
GP Motor (Thailand) Co., Ltd.(ジーピー・モーター・タイランド)
2007年に設立されたローカル系バイクメーカー。ATバイク「Drone」、ファミリーバイク「POPz」、スポーツバイク「Demon」、クラシックバイク「Legend」といったモデルを中心に大小様々なバイクを製造・販売している。本社はバンコクにあり、サービスセンターが東郊サムットプラカーンに、工場が東部チャチュンサオに存在する。ディーラーは国内に310か所ある他、製品はマレーシアやベトナム、日本、香港などのアジア7か国に輸出している。2021年のバイク販売台数は3.0万台と、市場シェアは約1.9%で第4位であった。海外勢が中心となっている内燃エンジンバイクメーカーとしては唯一のタイローカル系だが、徐々に存在感を高めてきている。
2019年の売上高は前年比18%減の1,436百万バーツ、純利益は前年比60%減の36百万バーツであった。(最新の実績は不明)
出典: https://www.gpxthailand.com/
Deco Green Energy Co., Ltd. (デコ・グリーン・エナジー)
2018に設立されたローカル系バイクメーカー。台湾の電動バイクメーカー、LAIKE Co., Ltd.と提携し、タイでの電動バイク生産や、リチウムイオンバッテリーおよび太陽光発電セルの開発を進めている。現在は電動バイク、電動三輪車、電動自転車を製造・販売しており、2022年には30万台規模の生産台数を目標としている。また、タイから他国への輸出も計画されている。本社および工場はバンコク西郊ナコンパトムにある他、ディーラーはタイ全国各地に存在している。近年、世界的に自動車、バイクの電動化が進められている中、自動車・バイク生産の多いタイでも電動化は注目度の高い話題であり、今後も発展が期待される。
2020年の売上高は前年比2.5倍の93百万バーツ、純利益は前年比3.1倍の17百万バーツであった。
出典:https://decogreenenergy.com/index.php/en
タイの主要バイクメーカー4選〜日系企業編〜
A.P. Honda Co., Ltd. (エーピー・ホンダ)
日系の自動車・バイクメーカー、ホンダのタイ拠点。タイでは1986年に設立された。2021年にバイク製造を行うThai Honda Manufacturing Co., Ltd.と販売を手掛けるA.P. Honda Co., Ltd.が合併し現在の体制になった。
小型のファミリーバイクからATバイク、スポーツバイク、大型バイク、レジャーバイクなど、様々な種類のバイクを製造・販売している。2021年のバイク販売台数は123.6万台と、販売市場全体の76.7%で第1位のシェアを獲得した。ホンダは30年以上に渡りタイで圧倒的なシェアをキープしている。
本社および工場がバンコク東部のラートクラバン工業団地に、販売・サービス拠点がバンコク東郊サムットプラカーンに存在する。生産能力は年産176万台で、従業員は9,700人以上。また、認定代理店は国内に185店舗ある。
2020年の売上高は前年比5.4%減の73,549百万バーツ、純利益は前年比22%増の6,126百万バーツであった。
出典:https://www.aphonda.co.th/honda
Thai Yamaha Motor Co., Ltd. (タイ・ヤマハ・モーター)
日系のバイクメーカー、ヤマハ発動機のタイ拠点。タイでのバイク需要の高まりに応える形で1964年にSiam Yamaha Co., Ltd.として設立され、半世紀以上にわたりタイのバイク市場の成長に寄与してきた。2000年にヤマハ発動機本社が株式シェアを拡大したことにより現在の体制となった。ヤマハブランドの小型のファミリーバイクからATバイク、スポーツバイク、大型バイクなど、様々な種類のバイクを製造・販売している。
2021年のバイク販売台数は26.6万台と、販売市場全体の16.5%で第2位のシェアを獲得した。また、バイク以外にも水上バイクや船外機などのマリン製品、ゴルフ用カートなども製造・販売している。
本社および工場がバンコク東郊サムットプラカーンにある他、部品製造はグループ会社のYamaha Motor Parts Manufacturing (Thailand) Co., Ltd.にて行う。
2020年の売上高は前年比9.5%減の22,859百万バーツ、純利益は前年比0.5%増の1,645百万バーツであった。
出典:https://www.yamaha-motor.co.th/
Thai Suzuki Motor Co., Ltd. (タイ・スズキ・モーター)
日系の自動車・バイクメーカー、スズキのタイ拠点。タイでは1967年に設立された。スズキブランドの小型のファミリーバイクからATバイク、スポーツバイク、大型バイクを製造・販売している。また、船外機のラインナップも充実している。2020年のバイク販売台数は1.2万台と、市場シェアは0.8%の第6位であった(2021年のデータなし)。本社および工場はバンコク北郊パトゥムタニに存在する。タイにおけるバイク製品の輸入・販売およびマーケティング、アフターサービスなどはグループ会社のSuzuki Motosales Corporation (Thailand) Co., Ltd.にて行う。2020年の売上高は前年比38%減の4,457百万バーツ、純利益は前年比大幅増の115百万バーツであった。
スズキは1920年に創業した。自動車と同様、アジアでのバイク販売に力を入れており、2020年度には全世界で153万台以上の売り上げを記録した。
出典:https://www.suzukimotosales.co.th/en/motorcycle/
Kawasaki Motors Enterprise (Thailand) Co., Ltd.(カワサキ・モータース・エンタープライズ・タイランド)
日系のバイクメーカー、カワサキモータースのタイ拠点。タイでは1997年に設立された。「Ninja」や「Z」、「Versys」といったモデルの大型バイクの製造・販売を行う。また、水上バイク、電動マウンテンバイクやロードバイクなどの自転車も取り扱っている。2020年の販売台数は1.2万台と、市場シェアは0.8%の第5位であった(2021年のデータなし)。本社はバンコクに、工場は東部ラヨーンに存在する。正規ディーラーは全国に50店舗以上。2020年の売上高は前年比1.9%減の18,964百万バーツ、純利益は前年比28%減の512百万バーツであった。
カワサキモータースは日系の大手重工業メーカー、川崎重工業のグループとして1953年からバイクを製造している。川崎重工業が持つ、ガスタービンや航空機エンジンの技術を応用した力強い走行性能で好評を得ている。2020年度には全世界で37万台以上の売り上げを記録した。
出典:http://www.kawasaki.co.th/
タイの主要バイクメーカー6選〜外資系企業編〜
Vespiario (Thailand) Co., Ltd. (べスピアリオ・タイランド)
イタリア系バイクメーカー、Piaggioのタイ拠点。タイでは2009年に設立された。VespaブランドのファミリーバイクやATバイクなど、小型車を中心に製造・販売している。本社およびサービスセンターがバンコクに位置する他、提携ディーラーが全国各地に存在している。2021年のバイク販売台数は3.3万台と、販売市場全体の2.0%で第3位のシェアを獲得した。2020年度の売上高は前年比23%増の3,396百万バーツ、純利益は29%増の216百万バーツであった。
Piaggioは1882年からの歴史を持つ老舗バイクメーカー。現在はPiaggioブランドをはじめ、Vespa、aprilia、Moto Guzziなどの小型から大型の様々な種類のバイクを取り扱っている。2021年の全世界の販売台数は40万台以上。
出典: https://vespa.co.th/
Triumph Motorcycles (Thailand) Ltd. (トライアンフ・モーターサイクルズ・タイランド)
イギリス系バイクメーカー、Triumphのタイ拠点。タイでは2001年に設立された。同社ブランドの大型バイク「Tiger」「Sppe Triple」「Trident」などのモデルを販売する。本社はバンコクに存在し、東部チョンブリに工場を所有している。また、正規ディーラーはバンコクおよび北部チェンマイ、東北部コンケン、南部プーケットなど各地方都市を合わせて計13か所が存在する。2020年の売上高は前年比2.4%増の11,969百万バーツ、純利益は前年比47%減の385百万バーツであった。
Triumphは1902年に自転車製造から創業した。これまでの120年の歴史の中で100万台以上のスーパーバイクを生産してきた。現在では世界57か国で700以上のディーラーを展開し、2021年には全世界で7万5,000台以上のバイクを販売した。
出典: https://www.triumphmotorcycles.co.th/
BMW Company Manufacturing (Thailand) Co., Ltd. (ビーエムダブリュー・カンパニー・マニュファクチャリング・タイランド)
ドイツ系自動車・バイクメーカー、BMWのタイ拠点。タイでは1998年に設立された。東部ラヨーンに工場を所有し、BMWブランドのバイクの組み立てを行っている。スポーツバイク、オフロードバイク、ツーリングバイクなどの大型バイクを中心に、街乗り用のバイクも取り扱っている。正規ディーラーはバンコク6か所と各地方都市に8か所の計14か所が存在する。2020年度の売上高は前年比0.7%増の38,054百万バーツ、純利益は前年比2.1倍の3,086百万バーツであった。
BMWは1923年からバイク製造を行っている。大型バイク、高級バイクのセグメントで人気を集めている。2021年には全世界で自動車を250万台以上を販売した一方で、バイクも19万台以上の販売実績を残した。
出典: https://www.bmw-motorrad.co.th/en/home.html
Ducati Motor (Thailand) Co., Ltd. (ドゥカティ・モーター・タイランド)
イタリア系バイクメーカー、Ducatiのタイ拠点。タイでは2010年に設立された。同社ブランドの大型バイクやスポーツバイクの「Monster」「Hypermotard」「Panigale」などを製造・販売している。拠点はバンコクに本社、東部ラヨーンに工場が存在している他、全国に正規ディーラーも展開している。2020年度の売上高は前年比5.5%増の3,337百万バーツ、純利益は前年比11%減の252百万バーツであった。
Ducatiは1926年に創業し、2012年よりドイツの自動車大手フォルクスワーゲン傘下Audiのグループとなった。2021年にはロードレース世界選手権(Moto GP)で2年連続のMotoGPコンストラクターズ・タイトルを獲得した。また全世界で約59,447台のバイクを売り上げ、過去最高を記録した。
出典: https://www.ducati.com/th/th/home
Harley–Davidson (Thailand) Co., Ltd. (ハーレーダビッドソン・タイランド)
アメリカ系バイクメーカー、Harley–Davidsonのタイ拠点。タイでは2015年に設立された。同社ブランドのスポーツバイク、ツーリングバイク、オフロードバイクなど大型バイクを販売している。タイではバイク製造はしていないが、販売代理店を通じて流通しており、バイク好きのタイ人からは根強い人気がある。2020年度の売上高は前年比26%減の1,196百万バーツ、純利益は56%減の51百万バーツであった。
Harley–Davidsonは1903年にアメリカで創業した。現在は大型バイクのメーカーとして世界中で知られており、2020年には世界で18万台以上のバイクを販売した。アメリカではLiveWireというブランドで電動バイクも取り扱っている。
出典: https://www.harley-davidson.com/th/th/index.html
Scomadi (Thailand) Co., Ltd. (スコマディ・タイランド)
イギリス系バイクメーカー、Scomadiのタイ拠点。タイでは2015年に設立された。同社ブランドの排気量200cc以下の小型バイク(スクーター)を販売している。本社はバンコクに位置するほか、東部チョンブリに工場を所有する。さらに、タイのMarin Engineering Co.との合弁で東郊サムットプラカーンにも組み立て工場を持ち、提携ディーラーは全国に約50か所が存在する。2020年度の売上高は前年比46%減の64百万バーツ、純損益は24百万バーツの赤字であった。
Scomadiは2005年に創業した比較的新しいバイクメーカーである。小型バイク(スクーター)をヨーロッパ、インド、マレーシア、タイ、オーストラリアなどで販売している。
出典: https://www.scomadithailand.com/
バンコク在住のタイ人。タイにおける日系企業向け翻訳・通訳を6年間以上行う。経済、ビジネス、IT分野に興味があり、マーケティングや流通を含めた企業調査や、企業調査といった情報収集が得意。