今回は、中国の主要自動車メーカーに焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて14社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
読了時間の目安:5分
目次
中国の主要自動車メーカー4選〜ローカル企業編〜
五菱 (WULING)
1985年に中国の広西チワン族自治区柳州に設立された。
2002年に上海汽車集団公司、ゼネラルモーターズ(中国)社、柳州五菱汽車有限公司の3社で上汽通用五菱汽车股份有限公司を設立。2015年からはインドネシアにも製造拠点を設け製造販売を開始している。
五菱にはピックアップトラックモデルの「征途」、小型商用車「荣光」、新型SUV「星辰」、 バン「征程」 などのシリーズがあるが、近年中国国内で大人気なのは「宏光」シリーズの小型電気自動車ブランド「宏光miniEV」である。2021年には中国国内の電気自動車販売ランキング部門で1位にランクインした。
五菱の人気電気自動車シリーズ「宏光miniEV」の魅力の一つに価格の安さが挙げられ、一台3~4万元(日本円で70万円前後)で購入できる。
出典:https://www.wuling.com/
吉利汽车(Geely Auto)
中国浙江省杭州市に本社を置く浙江吉利控股集団の子会社。親会社の浙江吉利控股集団は2010年にフォードからボルボカーズを買収、2020年11月にはダイムラーとハイブリット車用のガソリンエンジンの共同開発を発表している。
1,000以上の国内販売拠点と400以上の海外販売・サービス拠点を持ち、2020年10月末には、世界累計販売台数が1000万台を突破。中国ブランド初の乗用車の生産・販売台数1000万台を達成している。
吉利汽车は、小型セダンの「帝豪」、SUVの「博越」、「缤越」シリーズが人気で、2021年の販売台数は「帝豪」が183491台で中国国内のセダン販売ランキング部門12位、「博越」が224895台で中国国内のSUV販売ランキング部門で3位、「缤越」が144367台で中国国内のSUV販売ランキング部門14位であった。
出典:https://www.geely.com/
长安汽车 (CHANGAN AUTO)
1862年に李鴻章が长安汽车の前身となる上海海上砲術局を設立。1957年に自動車業界に参入し、2005年には江铃汽车と合弁で陆风汽车(Landwind)ブランドを設立し中国自動車メーカー初のヨーロッパ進出を果たした。
現在中国には重慶、北京、河北、合肥に、中国国外にはイタリアのトリノ、日本の横浜、イギリスのバーミンガム、アメリカのデトロイト、ドイツのミュンヘンにグローバル共同開発拠点を構築しており、全世界に8,700以上の販売・サービス拠点があり、約12万人の専門サービス員を擁する。
SUVを中心としたCSシリーズが人気で「CS75」は2021年の販売台数は281862台で中国国内のSUV販売ランキング部門2位であった。
主要輸出地域はロシア、アジア、中東・北アフリカ、中南米である。
出典:https://www.changan.com.cn/
比亚迪 (BYD)
1995年2月に広東省深セン市に設立。現在は香港と深センで上場しており、売上高と時価総額は1000億元を超えている。企業スローガンは「Build Your Dreams」。
リチウム電池製造世界3位、携帯電話用二次電池は世界第1位。
乗用車市場では、燃料車と新エネルギー車、商用車市場では、純電気バス、純電気トラック、純電気フォークリフトに力を入れており、中国以外に、米国、英国、日本、オーストラリア、フランスなど数十の国や地域で展開している。
BYDは8年連続で中国の新エネルギー車販売台数第1位を獲得しており、これまでに99万台以上の新エネルギー車を生産・販売している。
35,000人以上の技術スタッフ、11の研究機関を持ち、2020年の研究開発投資総額は85億元を超えている。また2021年4月までに、全世界で約32,000件の特許を出願し、そのうち約21,000件が成立している。
出典:https://www.byd.com/cn/index.html
中国の主要自動車メーカー4選〜日系企業編〜
日产 (NISSAN)
2003年6月に日産と中国自動車メーカー東風が、合弁会社「东风日产乘用车公司」を設立。その後2004年2月に北京市に日産の100%子会社である日産(中国)投資有限公司を設立。日産自動車本社とともに中国における投資管理、日産の広報、ブランドマネジメント、知的財産権、日産のグローバルオペレーションや競争力のある中国製部品・部材の購入・輸出といった重要な役割を担っている。
中国での日産のスローガンは「技术日产 人·车·生活」。「国際的に優れたヒューマンテクノロジーで、中国の消費者ユーザーのための豊かで彩り豊かなモバイルライフを創造し続ける」といった解釈説明がなされている。
中国では、e-POWER、天籁、轩逸、奇骏、劲客、逍客、途达、楼兰、骐达といったシリーズを販売しており、轩逸は2021年の販売台数493868台となり中国国内の2021年セダン販売ランキング部門1位を獲得した。
出典:https://www.nissan.com.cn/
丰田 (TOYOTA)
1964年のCROWN中国輸出がトヨタの中国ビジネスの始まりである。
1980年には外資系自動車メーカーで中国初のアフターサービスセンター「丰田汽车维修服务中心」を北京に開設。
1995年には天津に「丰田汽车国产化技术支援中心」、「丰津汽车传动部件有限公司」、「天津丰田汽车发动机有限公司」などの部品会社を設立。
2000年には「天津丰田汽车有限公司(现 天津一汽丰田汽车有限公司)」を、2001年には「丰田汽车(中国)投资有限公司」を設立し中国現地生産がスタートした。
2019年は中国の名門大学「清華大学」と清华大学-丰田联合研究院を設立し、電気自動車の普及に向けてトヨタが保有している特許実施権を無償で提供している。また2020年には中国自動車メーカー「BYD」と電気自動車の研究合弁会社「比亚迪丰田电动车科技有限公司」を設立した。
出典:http://www.toyota.com.cn/
本田 (HONDA)
ホンダは1981年から中国へ二輪車の技術提供を始めており、1992年08月に「五羊-本田摩托 (广州) 有限公司」設立で中国進出が始まった。
1994年12月に「东风本田汽车零部件有限公司」を設立し、中国での自動車部品の現地化率が急速に上昇。1998年07月に「广汽本田汽车有限公司」2003年07月に「东风本田汽车有限公司」を設立し現地生産現地販売の礎を築き、2003年5月に広州市にホンダの輸出車生産拠点を設置。
2021年4月から中国の自動運転開発スタートアップ企業「AutoX」と提携し、AutoXの開発した「AutoX Generation5自動運転システム」を搭載したホンダアコードとインスパイアの自動運転試験を開始している。
2021年「中国における外資系・香港・マカオ・台湾企業トップ100」において第10位にランクインした。
出典:https://www.honda.com.cn/
马自达 (MAZDA)
2005年9月に長安汽車有限公司50%、マツダ株式会社25%、フォード社25%出資で合弁会社「长安福特马自达汽车有限公司」を設立。2019年1月にフォード社の保有する「长安福特马自达汽车有限公司」の全株式をマツダが取得し「长安马自达汽车有限公司」に社名を変更した。
2007年に中国でマツダ車搭載用エンジンの量産を開始し、2013年には「SKYACTIV技術」エンジンの量産と、「CX-5」の現地生産及び販売を開始。2017年には中国国内市場での累計顧客数100万人を達成した。
2021年8月にマツダの中国での主要な合弁会社「长安马自达汽车有限公司」と「一汽马自达汽车销售有限公司」を統合した。
近年中国でマツダの人気車種は「MAZDA3」、「CX-5」、「CX-30」となっている。「MAZDA3」は中国国内の2021年セダン販売ランキング部門35位にランクインしている。また2022年1-2月の販売台数は「MAZDA3」が16292台、「CX-5」が4610台、「CX-30」が2715台となっている。
出典:https://www.mazda.com.cn/
中国の主要自動車メーカー6選〜外資系企業編〜
大众 (Volkswagen)
1984年10月、北京の人民大会堂で中独合弁契約の盛大な調印式が行われ、上海大众汽车有限公司を設立し、2015年に上汽大众汽车有限公司に社名変更。1991年には吉林省に一汽大众汽车有限公司を設立している。
2021年9月に中国合肥市に初のバッテリーシステム生産工場建設開始を発表。新工場の敷地面積は4万5000㎡を超え、大众汽车(安徽)有限公司に隣接している。また2025年までに新工場と設備に1億4000万ユーロを投資し、2023年後半からの生産開始を目指している。
2021 年に中国本土と香港で合計約 242 万 8 千台(前年比 14.8% 減)を販売した。また2021年中国国内のセダン販売ランキング部門で3位を獲得している。
2021年12月にID.4が「中国カー・オブ・ザ・イヤー」において2022年中国環境カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞している。
出典: https://www.vw.com.cn/
特斯拉 (Tesla)
中国政府が乗用車組み立て関連の外国資本出資規制の段階解除に踏み切ったのを機に、2018年5月上海に外資系自動車メーカーとして初めて100%出資の特斯拉(上海)有限公司を設立。20億ドルを投資し上海に工場を建設した。
2020年1月から上海工場で生産した「Model 3」の欧州輸出を開始し、2021年には「Model Y」の生産が始まっている。
2021年中国でのEV販売台数は312163台となり、2021年中国国内のEV販売ランキング部門では中国ローカルブランド五菱、比亚迪に次ぐ3位を獲得した。
2022年の「北京市政府活動報告重点任務リスト」によると、北京市内にデザインの拠点設置を計画していることが明らかとなっている。
中国国内を走るテスラ車の地図サービスはGoogleマップではなく、中国大手IT企業「百度」の「百度地図」となっている。
出典: https://www.tesla.cn/
别克 (Buick)
中国でのビュイックのスローガンは「心静 思远 智行千里」。
ビュイックは、ゼネラルモーターズが1997年に初中国進出した際の上海ゼネラルモーターズの最初のブランドである。1999年4月から中国でのビュイックセダンの量産を開始し、2001年10月からはビュイックGL10のフィリピン輸出開始。2015年にはアンクレイブの米国、カナダ、メキシコ向け正式輸出が始まった。
2018年9月には、ビュイックブランドの中国市場における累計販売台数が1,000万台を突破。
中国では中国で製造販売しているビュイックの小型セダンの「英朗(Excelle)」シリーズが人気である。2003年4月から中国で製造が開始されており、2021年のは売台数は263017台で中国国内のセダン販売ランキング部門で6位を獲得した。
出典: https://www.buick.com.cn/
宝马 (BMW)
2003年5月に遼寧省瀋陽に合弁会社「华晨宝马汽车有限公司」を設立し、2004年から3シリーズ、5シリーズの生産を開始。現在約2万人を雇用し中国におけるBMWブランド車の生産、販売、アフターサービスを行っている。またBMWの中国におけるディーラーのサービス拠点は2020年末時点で666カ所となっている。
瀋陽の生産拠点は、BMWのグローバル生産ネットワークの中で最大の生産拠点で現在、スポーツ・セダンのBMW 1シリーズ、BMW 3シリーズ、BMW 5シリーズLi、BMW X1ロング・ホイールベース、BMW X2、BMW X3、および中国のBMWが初めて世界に輸出を始めたBMW iX3などを生産している。
2022年、BMWの「华晨宝马汽车有限公司」への出資比率を75%まで引き上げた。また合弁契約も2040年まで延長した。
出典: https://www.bmw.com.cn/zh/index.html
奥迪 (August Horch)
1988年5月17日、第一汽車とアウディが「第一汽車におけるアウディ生産のための技術移転ライセンス契約」を締結し、アウディ100モデルの組立生産を開始した。
1995年に一汽大众汽车有限公司とアウディが技術移転契約を締結し、アウディシリーズが一汽大众汽车有限公司に正式受託生産に組み込まれることになった。アウディは製品ライン全体のレイアウトを率先して行い、製品ライン全体のローカライズとフルカバレッジの実現に努めた。
2006年1月、一汽大众奥迪販売部門が正式設立され、新たな合弁事業体制がスタートした。 さらに、従来は中国国内フォルクスワーゲンと混在していた中国国内のアウディのアフターサービス事業が、一汽大众奥迪販売部門が単独で運営するようになった。またこの事業部では、輸入ブランドと中国現地生産ブランドの販売チャネルを統合した。
2017年、中国第一汽車集団公司とアウディは、「第一汽車とアウディの10年事業計画」を正式に締結。
出典: https://www.audi.cn/
现代 (Hyundai)
2002年10月に中国の北京市に北京現代自動車を設立。中国のWTO加盟後に承認された自動車生産分野における初の中外合弁プロジェクトであった。
2010年10月には現代自動車は中国四川省最大の商用車会社である四川南軍汽車集団公司と成都で協力協定を締結。 これにより現代は中国の商用車市場に正式参入。トラック、バス、エンジンの生産、研究開発、サービスなど商用車全般において互いの強みを補完し、多角的・多面的に深い協力関係を築いている。
2021年1月に現代自動車(中国)投資有限公司は、現代自動車グループが広州開発区に100%出資で水素燃料電池システム会社を設立し、水素燃料電池システムを製造・販売することを発表した。2022年後半に量産を開始する。
出典: https://www.beijing-hyundai.com.cn/