インドネシアの水道業界は、地域公企業(PDAM)が各地のサービスを担う一方、整備水準の格差が大きく、民間PPPによるインフラ投資が注目されています。安全な飲料水へのアクセス向上が主要企業・自治体の共通課題となっています。
今回は、そんなインドネシアの水道業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて9社の最新情報をお届けしていきます!
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インドネシアの主要水道企業7選〜ローカル編〜
Perumda PAM Jaya(パム・ジャヤ)
Perumda PAM Jayaは、ジャカルタ首都特別州政府が100%出資する地方公営企業(BUMD)であり、首都の上水道事業を担う中核的な存在である。その起源は1843年のオランダ植民地時代にまで遡り、インドネシア独立後に現在の組織形態へと発展した。
2023年2月、25年間にわたった民営化契約(パルジャおよびアエトラとの協定)が期限を迎え、ジャカルタの水道サービスは政府管理へ完全に移行した。PAM Jayaは現在、民間企業との新たな連携スキームのもとで浄水処理と配水インフラの整備を進めている。
ジャカルタ州政府はPAM Jayaに対し2030年までにサービス普及率100%を達成するよう指示しており、現在65%程度の普及率の引き上げが喫緊の課題となっている。PT Moya Indonesiaとの協定のもと、新たな浄水施設の建設・運営を推進中である。
2026年5月時点において、PAM Jayaはジャカルタの安全な水の確保という社会的使命を果たしながら、インフラ近代化と財務健全化を両立させることが求められており、官民連携の深化が今後の発展を左右する重要な課題となっている。
出典:https://pamjaya.co.id/
PT Tirta Investama / AQUA(ティルタ・インベスタマ)
PT Tirta Investamaは、フランスのダノン(Danone)の子会社として1973年に創業したインドネシア最大のボトルウォーターメーカーであり、「AQUA」ブランドを通じて国内の飲料水市場をリードしている。ダノンが発行済み株式の約74%を保有する。
同社は全国各地に製造拠点を展開し、山岳部の天然水源から採取・精製したボトル水を大量供給している。AQUAブランドはインドネシアにおける「安全な飲料水」の代名詞として定着しており、都市部から農村部まで幅広い流通網を通じて消費者に届けられている。
公共水道インフラの整備が依然として不十分なインドネシアでは、ボトルウォーターが多くの家庭にとって事実上の飲料水インフラとなっており、同社はその最前線に立つ企業として社会的役割を果たしている。2025年も持続可能な水源管理と容器リサイクルの推進に取り組んでいる。
2026年5月時点において、同社はインドネシアのボトルウォーター市場における圧倒的なシェアを維持しており、競合他社との競争が激化するなかでも、ブランド力と全国流通網を武器に首位の地位を保持している。
出典:https://www.aqua.co.id/
PT Nusantara Infrastructure Tbk(ヌサンタラ・インフラストラクチャー)
PT Nusantara Infrastructure Tbk(META)は、メトロ・パシフィック・トールウェイズ・インドネシアを通じてサリムグループが支配するインフラ持株会社であり、道路・電力・水道の各分野で事業を展開している。水道事業は子会社のPT Potum Mundi Infranusantara(ポトゥム)が担い、バンテン州東セラン県の上水道供給コンセッション(2038年まで)などを保有する。
2025年はグループ内の事業再編が進み、一部の水道子会社の持分が売却されるなどポートフォリオの整理が行われた。同社は2024年に自発的上場廃止の意向を表明し、非上場化プロセスが進行中である。
既存の水道コンセッション事業は引き続き安定的に運営されており、バンテン州を中心とした浄水供給機能は維持されている。サリムグループの資本力を背景に、インフラ投資の継続が見込まれる。
2026年5月時点において、PT Nusantara Infrastructure(META)は非上場化へ向けた手続きを進めながらも、地方都市の水道インフラを支える民間コンセッション保有者としての役割を担い続けている。
出典:https://www.nusantarainfrastructure.com/
PDAM Tirta Wening(ティルタ・ウェニング水道公社・バンドン市)
PDAM Tirta Wening(ティルタ・ウェニング)は、西ジャワ州の州都バンドン市が設置・運営する地方公営水道企業(PDAM)であり、人口250万人超を擁するバンドン市における安全な飲料水の供給を主要な使命としている。
バンドン盆地はチタルム川を主要水源とする地域であり、PDAM Tirta Weningはチタルム川流域の浄水場とともに、複数の山岳湧水源からも原水を確保することで安定供給体制を整えている。長年の工業化・都市化に伴う水源汚染と水需要増加への対応が最重要課題となってきた。
近年はBPPSPAM(飲料水供給開発推進局)の評価でも業績改善が認められており、財務健全化と給水普及率の向上が評価されている。老朽化した配水管の更新投資や、エネルギー効率化のためのポンプ設備の改修も進めている。
2026年5月時点において、PDAM Tirta Weningはインドネシア国内最大規模のPDAMのひとつとして、バンドン市の水道インフラを担い続けている。民間資本との連携(PPP)を通じた設備投資促進策の検討も続けられており、水道サービスのさらなる普及拡大が期待されている。
出典:https://www.pambandung.co.id/
PDAM Tirta Pakuan Bogor(ティルタ・パクアン水道公社・ボゴール市)
PDAM Tirta Pakuanは、西ジャワ州ボゴール市が設立・運営する地方公営水道企業(PDAM)であり、インドネシア国内のPDAMの中でも財務健全性とサービス品質において高い評価を受けている優良事業体である。ボゴールはジャカルタの南方約60kmに位置する人口100万超の都市圏で、シリ山麓に豊富な水源を持つ。
世界銀行やBPPSPAMによる評価では「優良(sehat)」に分類されており、収益性・サービス普及率・損失管理の3指標において高水準を維持している。インドネシアの300超のPDAMの中でも上位に格付けされる存在である。
同社はPT Adhya Tirta Batamと並んで、公民連携の枠組みにおける飲料水供給の比較研究対象として国際機関から注目されてきた。ボゴール市の水需要は首都圏からの人口流入により継続的に拡大しており、インフラ拡張投資への期待も高まっている。
2026年5月時点において、PDAM Tirta Pakuanはインドネシアにおける健全な公営水道経営のモデルケースとして評価されており、民間資本導入や広域連携の候補先として注目を集めている。
出典:https://www.pdamtirtapakuan.co.id/
PT Sarana Multi Infrastruktur(サラナ・マルチ・インフラストラクチャー)
PT Sarana Multi Infrastruktur(SMI)は、インドネシア財務省が100%出資する政府系インフラ金融機関であり、道路・電力・水道・港湾など幅広いインフラプロジェクトへの融資・保証・株式投資・PPPアドバイザリーを提供する。2009年の設立以来、インドネシアのインフラ整備において政策金融の要的役割を担ってきた。
水道セクターにおいては、地方政府のPDAMや民間水道会社への長期融資、PPP(官民連携)スキームの組成支援、プロジェクトファイナンスの構造設計支援など、資金調達の川上から関与している。SMIの関与なしには成立しないプロジェクトも多い。
同社はADB・世界銀行・IFC等との協調融資スキームを積極活用し、外貨建て低利資金をインドネシアの水道インフラ案件へ誘導する機能も果たしている。PPP事業の支援実績は多岐にわたり、水道分野での知見は特に深い。
2026年5月時点において、PT SMIはインドネシアの水道インフラ整備における資金調達・政策推進のプラットフォームとして機能し続けており、水道セクター全体の投資促進において欠かせない存在である。
出典:https://www.ptsmi.co.id/
PDAM Tirta Moedal Semarang(ティルタ・モエダル水道公社・スマラン市)
PDAM Tirta Moedal(ティルタ・モエダル)は、中部ジャワ州の州都スマラン市が設置・運営する地方公営水道企業であり、人口約180万人を擁するスマラン市の水道サービスを担う主要インフラ事業者である。スマランはジャワ島の交通・物流の要衝として工業化と人口増加が著しく、水道需要の拡大が続いている。
同水道公社は、ガランバンタン山麓の天然水源や地下水に加えプニャラン川からの表流水を浄水処理して市内に配水している。長年の課題であった北部沿岸部の地盤沈下に起因する配管損傷と非収益水量の削減に向け、インフラ改修投資を継続している。
2025年、PT Moya IndonesiaがPT Air Semarang Baratを傘下に収めたことで、スマランの水道セクターにも民間資本による施設運営の動きが広がった。PDAM Tirta Moedal本体との役割分担のもと、市全体の浄水供給能力の強化が図られている。
2026年5月時点において、PDAM Tirta Moedal Semarangはスマラン市の都市水道の根幹を担いながら、民間との連携拡大と老朽インフラの更新という課題に取り組んでいる。
出典:https://pdamkotasmg.co.id/
インドネシアの主要水道企業2選〜外資編〜
PT Moya Indonesia(モヤ・インドネシア)
PT Moya Indonesiaは、シンガポール上場の水道・環境インフラ企業を親会社とする民間水道オペレーターであり、インドネシア各都市の浄水処理を担う中核事業者の一つである。傘下にはPT Moya Tangerang、PT Moya Bekasi、旧PT Aetra Air Jakartaの機能を承継した事業体が含まれており、ジャカルタ首都圏を中心に広域展開している。
2025年には、PT Air Semarang BaratおよびPT Aetra Air Tangerangの取得を完了するとともに、ブアラン第3浄水場とチコネン浄水場の商業運転を開始し、供給能力を一段と強化した。
ジャカルタ市内では、2023年の民営化契約終了後のPAM Jayaとの新連携協定に基づき、政府が建設した上水道施設(SPAM)の浄水処理業務に特化したオペレーターとして機能している。
2026年5月時点において、PT Moya Indonesiaはインドネシアの民間水道セクターにおける最大手オペレーターとしての地位を確立しており、今後も都市部の水道インフラ整備を担う重要なプレイヤーであり続けると見込まれる。
出典:https://www.moyaindonesia.com/
PT Adhya Tirta Batam(アディヤ・ティルタ・バタム)
PT Adhya Tirta Batam(ATB)は、インドネシア・リアウ諸島州バタム島の上水道サービスを担う民間コンセッション企業である。バタムはシンガポールの南方約20kmに位置する工業都市で人口約137万人を擁するが、独自の大規模な水源を持たず降雨依存型の貯水池に水源を頼る特殊な地域環境にある。
ATBは25万戸超の顧客に対して給水サービスを提供しており、サービス普及率は99.5%に達する。この数値はインドネシア国内の水道オペレーターとして極めて高い水準であり、公民連携による効率的な水道運営モデルとして世界銀行など国際機関からも注目されている。
同社の事業は、原水取水・浄水処理・配水パイプライン管理・顧客料金収受まで一貫して行う完全統合型のコンセッションモデルを採用している。バタム工業団地における製造業の集積が進むなか、工業用水の安定供給も重要な使命となっている。
2026年5月時点において、ATBはバタム島の水道インフラを担う唯一の民間コンセッション事業者として事業を継続しており、水需要拡大への対応とインフラ老朽化への投資が主要な経営課題となっている。
出典:https://www.atb.co.id/
FAQ
インドネシアの主要水道会社の概要と特徴は何ですか?
インドネシアの主要水道会社は、ローカル企業、日系企業、外資系企業に分かれ、それぞれ長い歴史と地域に根ざした事業展開、最新の水処理技術を持ち、地域の水需要に対応しています。
インドネシアの水道事業においてローカル企業が果たす役割は何ですか?
ローカル企業は長い歴史と地域に密着したサービスを提供し、公共水道インフラの維持・管理や新規水源の開発を通じて、地域の水需要を安定的に支えています。
日系企業がインドネシアの水道業界で提供している主なサービスや技術は何ですか?
日系企業は先進的な水処理技術、エンジニアリング、システム設計と建設、効果的なメンテナンス、環境配慮型のソリューションを提供し、持続可能な水供給と廃水処理を実現しています。
外資系企業はインドネシアの水道業界にどのように貢献していますか?
外資系企業はグローバルな水処理技術と経験を持ち込み、大規模な浄水・排水処理プラントの建設や運用で、効率的かつ高品質な水インフラを提供し、環境負荷の軽減に寄与しています。
インドネシアの水道業界で今後期待される課題と展望は何ですか?
今後は人口増加や自然災害に伴う水資源の確保、技術革新、水質の向上、コスト削減、持続可能なインフラの構築が重要な課題となり、これらに対する取り組みと革新的なソリューションの導入が期待されています。

