【中国の国潮】中国のZ世代が注目する「国潮」ブームを解説

今や世界第2位の経済大国となった中国のZ世代の若者は、自分たちの出自、中国国家や未来に自信を持っている人が多い傾向にあり、中国の文化的特徴を取り入れた製品に注目が集まっています。また、中国のZ世代は、中国の総人口の約5分の1を占めており消費者として大きな存在感を持ち始めています。

今回はそんな中国のZ世代について「国潮」というトレンドを中心に解説します。

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中国でビジネスをするなら知っておきたい10のこと

中国の国潮とZ世代の消費行動

国潮とは?

国潮とは、中国の文化的特徴を取り入れたファッショントレンドのことである。「国」は国家、中国、「潮」はトレンド、潮流を意味する。

ここ数年、中国国内のアパレルトレンドブランドは、国際的な舞台で何度も「国潮」の文化ファッションを発信し、中国のファッションブランド文化の魅力を世界に示している。

広義では国潮はファッションだけでなく、中国の伝統文化に由来する文学作品、家庭用品等が含まれている。

国潮はおもに中国のZ世代(おおむね25歳以下)を中心にブームになっている。

中国のZ世代に国潮が注目される理由

1980年代から 1990年代にかけて、中国の多くの都市では「海外旅行ブーム」が起きた。海外に憧れを抱き、海外製品やドラマなどに影響を受ける人が多かった。

しかし、現在この傾向は徐々に変化している。「2020年中国帰国者就職・起業調査報告書」によると、2020年に中国に帰国して就職活動を行う留学生は前年比67.3%増加した。この世代は、1995年から2009年に生まれた「Z世代」である。

今や世界第2位の経済大国となった中国のZ世代の若者は、自分たちの出自、中国国家や未来に自信を持っている人が多い。

中国国家統計局によると、中国のZ世代人口は、総人口の約5分の1を占めている。近年この世代が消費者として大きな存在感を持ち始めている。製品のデザイン、機能、サービス、マーケティングなどの面で、さまざまな業界やブランドがZ世代の嗜好に適応し、変化している。

上海消費者保護委員会が発表した「Z世代の飲料消費調査報告書」を引用すると、Z世代の回答者の60%以上が、外国のブランドよりも中国国内ブランドを最初に検討することを示した。

消費市場をけん引する存在であるZ世代が、中国の文化的要素を取り入れた商品、メイドインチャイナを支持している。これが国潮が注目される理由の1つである。

中国の国潮製品の特徴

国潮製品は、デザインにいくつかの特徴がある。

①太字でわかりやすいフォント:中国の朱印を連想させるレトロなスタイル。また伝統的な書道のフォントデザインは、80年代と90年代のスポーツゲームの記憶が呼び起こされる。

②高彩度カラーの組み合わせ:中国の古典的な人気色である赤に、青、緑など彩度の高い色味が組み合わさっている。

③中国の伝統的なモチーフの使用:梅、墨竹、蘭、菊など伝統的な中国の水墨画の要素や、龍(ドラゴン)、白兎、香港風のネオンサインなど、中国に関するモチーフをあしらっている。

中国のスポーツブランド「李寧 Li-Ning」は2018年6月にパリのファッションウィークに参加した。そこで発表された作品は、白地に赤文字、伝統的な書道デザインフォントで「中国李寧」の4文字が描かれたバッグ、Tシャツなどのアイテムで、中国人の消費意欲を高めた。また翌年は、明るい青、赤、オレンジ、緑、黄色で青少年スポーツの色を示し、中国の卓球に敬意を表したデザインの服を発表した。

ファッションブランド「太平鳥 PEACEBIRD」も、ニューヨークファッションウィークで、中国の女子バレーボールチームに敬意を表し、チャンピオンのメダル、バレーボールなどの要素をデザインした服を発表した。

中国の国潮製品の市場規模

国潮製品の市場をけん引しているのは、1990 年代半ば以降に生まれた2億7000 万人の強力な消費者である「Z世代」である。彼らは、中国のどの世代よりも消費支出の伸びが最も速く、化粧品や観光サービス購入者のトップであり、オンラインショッピングに大きな影響を与えている。

投資管理会社であるチャイナ・ルネッサンスによると、中国Z世代の影響力は高まるばかりで、支出は2035年までに4倍の16兆元 (2.4兆ドル) に達する見込みである。

中国ブランドの成熟に伴い、中国文化に誇りを持つ機運も高まっている。韓服(スカートの上にローブを羽織る伝統的服装)の復活はその好例である。当初は2000年代半ばに小規模な流行の兆しがあったが、現在では年間100億元の市場に成長し、投資家の関心を集めている。デザイナーのShisanyuは、2021年4月に中国の投資ファンドLoyal Valley Capitalと中国のコンテンツ企業Bilibiliが主導して、1億元以上を調達した。

衣類だけでなく、自動車も中国ブランドのシェアが伸びている。中国ブランドの乗用車は2022年1月から6月までに合計489.1万台を販売し、総販売台数に占める割合は、47.2%と過去最高に達した。

中国でビジネスをするなら知っておきたい10のこと

中国の国潮ブランド~ファッションブランド~

李寧(Li-Ning)

李寧(Li-Ning)は、中国の大手スポーツメーカーである。2022年3月、同社は2021年の売上高が225.7 億元 (35.5億ドル)、粗利益が119.7 億元であると報告した。

また営業キャッシュフローも、前年比136%増の65億3000万元で、在庫の改善、オフライン小売の成長加速、流通チャネルからの収益の増加が後押した結果となった。中国の実店舗数は5,935カ所となり、2021年1月から23店舗増加した。Li-Ningの成長は、中国の消費者の間で地元のブランドに対する好みが高まっていることに後押しされている。

同社は2018年6月にパリのファッションウィークに参加した。そこで発表された作品は、白地に赤文字、伝統的な書道デザインフォントで「中国李寧」の4文字が描かれたバッグ、Tシャツなどのアイテムで、中国人の消費意欲を高めた。

Li-Ningの成長要因の1つは、スポーツウェアの世界的ブランドが、中国で綿の調達を拒否したことで批判されていることも挙げられる。しかし同社は、新たな課題にも直面している。米国税関は、北朝鮮で強制労働を使用した疑いのある同社の商品を押収した。同社は、主張を否定する声明で押収に対応し、主張は虚偽で誤解を招くものであると説明した。

安達 (Anta Sports)

中国のスポーツファッションメーカーで、アモイに本拠を置くAnta Sports Products Limitedは、2021年の通年売上高が493億元 (77 億ドル) で、前年比38.9%増であると発表した。

8年連続で成長を記録する勢いが続けば、同社はアディダス中国を上回ったのと同じように、売上高でナイキ中国を上回ることができるだろうと述べた。

中国人の文化的アイデンティティの高まりにより、多くの国内消費者がナショナルブランドに目を向けるようになっている。この国潮トレンドの後押しにより、多くの国内スポーツウェアブランドの市場シェアが拡大した。

Anta Groupの2021年の会計報告によると、主力のAntaブランドの収益は前年比 52.5%増の 240.1億元となり、グループ全体の収益の48.7%に貢献している。この比率は、前年の44.3%から上昇している。同社は 9,403カ所の Anta ストアを運営しており、2019 年の 10,516カ所のピークから減少している。

太平鳥(PEACEBIRD)

太平鳥(PEACEBIRD)は、中国のファストファッションブランドである。

寧波に本拠を置く同社の2021年年次業績報告書によると、Peacebirdの営業利益は 2021年12月31日までの12か月で前年比16.3%増加し、109億 2000万元 (17億1000万ドル) に達した。27年近くの同社の歴史の中、100億元を超えたのは初めてである。

成長要因の1つは、eコマースの強化である。2021年のパフォーマンス レポートによると、レポート期間中のオンライン売上高は 20%増加し33億 6000万元 (5億2800 万ドル) となり、グループ全体の売上高の30%以上を占めている。

近年は、中国在住の海外デザイナーとコラボしたり、ハイエンドセグメントへの参入も視野に入れている。2020年、ミラノを拠点とするストリートウェアとスケートウェアのブランド、Coppollelaを買収した。また1,000万元 (157万ドル) を投資して、2017年にメンズウェア ブランド8on8の株式の20%を取得した。

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中国の国潮ブランド~コスメブランド~

完美日記(Perfect Diary)

中国の化粧品ブランド Perfect Diaryを運営する Yatsenは、2020 年11月にニューヨーク証券取引所で新規株式公開を開始した。同社は、米国の株式市場に上場した最初の中国の化粧品ブランドである。

同ブランドは2017年に誕生し、リーズナブルな価格帯と洋風のブランディングが特徴。Z世代をターゲットとするeコマースに重点を置いた D2Cモデルを通じて成長してきた。

米国証券取引委員会 (SEC) に提出されたYatsenのIPO登録声明によると、このブランドは、立ち上げから3年間、中国のすべてのD2Cブランドの中で最も多くのオンライン販売を行った。

2019年の売上高は、前年比363.7%増の35億元 (5億3,980万米ドル) となっている。

花西子(Florasis)

杭州を拠点とする中国の化粧品ブランド Florasis は、伝統と最新のeコマース戦略を組み合わせることで、若い消費者を引き付けている。

Florasisは、国産花のエッセンスと薬用植物の抽出物を化粧品に使用している。またベストセラーの口紅は、2,600年前の中国の牛飼いと織女のラブストーリーからインスピレーションを得ている。

このように「国潮」トレンド、若者の中国の文化遺産への関心を取り入れており、Z世代とミレニアル世代の消費者の間でヒットしている。

同時に、主要なeコマースのショッピングフェスティバルに参加し、インフルエンサーのAustin Li を含むキーオピニオン リーダー(KOL)と協力して、急速に変化する中国の消費者市場に適合するように、顧客からのフィードバックを受けるサイクルを作っている。

百雀羚(Pechoin)

百雀羚(Pechoin)は、1931年に上海で設立された、中国初の国内スキンケアブランドである。2022年の中国のスキンケア市場の収益は 1,100億人民元に達し、年間8%の成長が見込まれている。2019年の調査では、同社が市場の約4.5%を占めていることが明らかになった。

Pechoinは、中国伝統文化の採用、ソーシャルメディアチャネルでの最新のマーケティング、持続可能性の具現化など、中国のスキンケア市場のトレンドを常に把握することで、この地位を維持している。

Pechoinは国潮のトレンドを押さえている。「東洋の美」や「東洋文化」などのスローガンが、高貴なアジアのブランドとして同社を位置付けている。また1931 年のオリジナルのパッケージと同じ配合で、その代表的な保湿バームを今でも販売している。古典的なブリキの箱は、消費者に懐かしさを思い抱かせる。

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中国の国潮ブランド~家電・デジタル製品~

Hisense

Z世代が支持する、国潮を代表する家電メーカーの1つがHisenseだ。同社は、1969年に誕生した中国発の超大型電子情報産業グループである。洗濯機や冷蔵庫など白物家電から、テレビやオーディオなども手掛けている。

中国の調査機関が発表した特別調査報告書「Z世代の消費特性および消費動向調査」によると、テレビを購入する際の選択肢として、Hisenseが18.98%で1位となった。

中国のZ世代の特徴として、インターネットで交流したり、志を同じくする友人や社交サークルを見つけたりなど、社交と娯楽が典型的な特徴となっている。

Hisense社のテレビで人気の Hisense Xシリーズを例にとると、主にソーシャル機能に焦点を当てており、6方向のビデオ通話ができる。このテレビでは、クラウドパーティー、クラウドカラオケ、クラウドゲーム、クラウドフィットネスなどが利用できる。友達とチャットしたり、ドラマを見たり、ゲームをしたりなど、オンライン上でさまざまな活動が実現できる。

Xiaomi

Xiaomi(小米科技)は、中国北京に本社を置く総合家電メーカーである。特にスマホやテレビが有名。

中国の調査機関が発表した特別調査報告書「Z世代の消費特性および消費動向調査」によると、テレビを購入する際の選択肢として、Xiaomiは18.91%と、1位のHisenseと僅差で2位となっている。

実際のXiaomi製テレビの出荷台数は、2022年第5四半期において270万台の世界出荷を記録し、中国市場では第1位であった。統計によると、昨年の出荷台数は 1,200万台に達し、中国で1位、世界で5位、中国本土では 8四半期連続1位でランク付けされている。Xiaomi の製品戦略はハイエンドおよび国際化に移行している。

OPPO

OPPOは2004年に設立され、広東省東莞市に本社を置く、世界第5位のシェアを誇る中国のスマホメーカーである。

中国北京市の紫禁城にある美術館、故宮博物院は、携帯電話ブランドのOPPO と提携して「OPPOウォッチ 故宮博物院」を発売した。博物院の宮殿の壁色である赤を基調としており、展示品をモチーフにした壁紙や文字盤などがデザインされている。

これは、Z世代の若者が中国の文化的遺産や歴史的背景に注目し、古いものから新しいものを生み出している「国潮」ブームに乗ったものである。

その他にも、極彩色に伝統的な花柄や、書道字体のロゴなどをあしらった、国潮をイメージしたデザインのスマホケースなども販売している。

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