タイの酒類業界は、ChangビールのタイビバレッジとSinghaビールのブーンラウドが長年市場を二分してきた、独自の酒文化を持つ市場です。15社の主要企業がクラフトビールの台頭と低アルコール・ノンアルコール需要の増加に対応しながら、国内外の販路を広げています。
今回は、そんなタイの酒類業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて15社の最新情報をお届けしていきます!
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タイの主要酒類企業6選〜ローカル編〜
Thai Beverage PCL(タイビバレッジ)
Thai Beverage PCL(通称ThaiBev)は2003年に創業者チャルン・シリワッタナパクディ氏が設立したタイ最大の酒類・飲料複合企業で、SGXに上場する(ティッカー:Y92)。
スピリッツ部門ではRuang Khao白酒とHong Thong焼酎が国内スピリッツ市場の約87%を占め、ビール部門ではChang Beerが二大ブランドの一角を担う。
FY2025(2024年10月〜2025年9月)の売上高は3,332億THBで前年比2.1%減となったが、スピリッツ1,186億・ビール1,232億THBの規模を維持した。海外売上比率は35%(ベトナムSABECO・ミャンマーGrand Royalなど)。
2025年発表の「PASSION 2030」戦略では2025〜2026年に計210億THBを投資し、デジタル化・物流効率化・プレミアム化を推進する。2024年末発売のタイ産シングルモルトウイスキー「PRAKAAN」はWorld Whiskies Awards 2025カテゴリー賞を受賞した。
2026年5月時点の参照情報に基づく。
出典:https://www.thaibev.com/
Boonrawd Trading Co., Ltd.(ブーンロードトレーディング)
Boon Rawd Brewery(ブーンラウドブルワリー)は1933年にプラヤー・ビロム・パクディー氏がタイ初のビール醸造所として設立した老舗企業である。Boonrawd Trading Co., Ltd.はそのグループ統括・販売会社として機能しており、SinghaとLeoを中核ブランドに据え、U・Snow・Asahi Super Dryの委託生産も行う。
年間生産能力は10億リットルを誇り、Singha Corporationが製造・マーケティング業務を統括する。2024年のビール市場シェアは57〜62%(SinghaとLeo合計)で国内首位を維持。Leo Beerは単体で約50%のシェアを有し、タイビール市場を実質的にリードする。
2025年の国際会議品質大会(ICQ)でダブルゴールド賞を受賞。韓国向けSinghaソーダが前年比2倍と海外炭酸飲料でも拡販が進む。現在は創業家4代目のブーリット・ビロムパクディー氏がグループCEOを務める(2022年9月就任)。
2026年5月時点の参照情報に基づく。
出典:https://www.boonrawd.co.th/
Siam Winery Commercial Co., Ltd.(サイアムワイナリー)
Siam Winery Commercial Co., Ltd.は1986年にバンコクで創業したタイの独立系ワイン製造・飲料販売会社で、「SPY Wine Cooler」はタイ初のRTDワインベース飲料として女性消費者市場を開拓し、RTDセグメントで過半数の市場シェアを維持する。
「Monsoon Valley」(タイ産プレミアムワイン)・「Casa del Mare」(欧州ブレンドワイン)などを自社ブランドに持ち、PB Valley Khao Yai Wineryとも連携したタイ国産ワインを製造している。2025年の年間売上高は約5,320万USD(約75億バーツ相当)で事業継続中である。
タイ全土のモダントレード・小売・ホスピタリティチャネルを通じた流通網を持ち、アジア域内への輸出も展開する。ノンアルコール代替飲料の需要増加にも対応した製品ラインナップを整備している。
2026年5月時点でBritish Chamber of Commerce Thailand会員として事業継続中であることを確認済みである。
出典:https://www.siamwinery.com
Vanichwathana (Bangkok) Co., Ltd.(ワニットワタナバンコク)
Vanichwathana (Bangkok) Co., Ltd.は1970年設立のタイを代表する輸入酒類の専門卸売商社で、バンコク・チャクラワット地区に本社を構える。タイにおける高級ワイン・スピリッツ輸入のパイオニアとして、国内のホテル・高級レストラン・バーへの供給を50年以上にわたって担ってきた。
取扱製品はフランス・イタリア・スペインなど欧州主要産地のワインを中心に、ウイスキー・コニャック・シャンパン等の多彩なプレミアム酒類に及ぶ。輸入代理店・ホールセーラーとしての機能に加え、ワインテイスティングイベントや業界教育にも関与する。
輸入・卸売に特化したビジネスモデルを維持し、Beveragetrade Networkなどに登録された業界参加者として認知されている。外資系大手との差別化を図りながら独立系高級酒類商社としての独自ポジションを維持している。
2026年5月時点で公式サイトを通じて営業継続中であることを確認済みである。
出典:https://www.vanichwathana.com
Full Moon Brewworks Co., Ltd.(フルムーンブリューワークス)
Full Moon Brewworks Co., Ltd.はプーケット島を拠点とするタイのクラフトビール醸造会社で、Boon Rawd Brewery(Singha)の流通を活用して全国の小売・飲食店へ製品を供給する。プーケット旧市街にブリューパブ「Taproom & Grill」を展開する。
Andaman Phuket Dark Ale・Patong Beach IPA・Coconut Wheatなどタイの地域性を反映したラインアップで観光客・外国人居住者・クラフトビール愛好家から支持を得ており、2025年のBangkok Beer Guide「Brewpub Passport」にも掲載されている。
2025年5月のタイ内閣による酒類製造省令改正でクラフトビール規制緩和が進む中、先発者として恩恵を受けやすいポジションにある。Singhaとの流通提携で全国的な認知度を獲得し、タイクラフトビール産業の草分け的企業として重要な位置づけを持つ。
2026年5月時点で事業継続中であることを確認済みである。
出典:https://www.fullmoonbrewwork.com
Mountain Brewer Co., Ltd.(マウンテンブリュワー)
Mountain Brewer Co., Ltd.は2018年にバンコクを拠点として設立されたタイのクラフトビール醸造会社である。タイ語で水牛を意味する「Kwai(ควาย)」を冠した「Kwai Beer Pale Ale」を主力製品に、東南アジア料理に合う飲みやすいペールエールを訴求している。
設立以来、製品品質と流通網の継続的な改善を重ね、BeerAdvocateやUntappdのビールレーティングプラットフォームで評価を獲得している。タイ国内100を超えるクラフトビールブランドの中で独自のポジションを確立し、外国人居住者・観光客層を中心とした顧客基盤を持つ。
2025年5月にタイ内閣が酒類製造規制緩和省令を承認し、小規模醸造業者の参入・流通が容易になる方向性が示された。タイのクラフトビール革命を担う企業として、国内外の飲食店・小売チャネルへの展開拡大が期待される。
創業からの継続的な品質向上と業界コミュニティへの参加を通じ、タイクラフトビール市場の発展に貢献している。
出典:https://untappd.com/Mountain_Brewer
タイの主要酒類企業4選〜日系編〜
Asan Service Co., Ltd.(アサンサービス)
Asan Service Co., Ltd.はパトゥムタニー県ナワナコン工業団地を拠点とする日系の酒類輸入・販売・食品製造会社である。日本から日本酒・焼酎・蒸留酒を輸入しバンコク市内の日系飲食店・和食レストランへ配送するとともに、自社工場では醤油・調味料・豆腐などの日本食材も製造・供給する。
清酒・本格焼酎の適切な温度管理と丁寧な納品サービスで飲食店オーナーから信頼を得ており、高率の関税・消費税・VAT等の複合的な税負担があるにもかかわらず、プレミアム日本酒需要の高まりを背景に事業を継続している。
バンコクの日系飲食店数は2024年時点でASEAN最多規模であり、日本酒・焼酎市場のすそ野拡大はAsan Serviceのような専門輸入商社の事業安定に貢献している。
日本の酒類文化をタイ市場に浸透させる役割を担う日系専門商社として、2026年5月時点で公式サイトおよび拠点の稼働を確認済みである。
出典:http://awul02.xsrv.jp/asan/en/
SCS Trading Co., Ltd.(エスシーエストレーディング)
SCS Trading Co., Ltd.は2003年設立のバンコクを拠点とする日系酒類輸入・販売会社で、日本酒・焼酎・ビール・ジン・梅酒など300種類超の日本産酒類をバンコク都市圏の飲食店・小売店へ流通させる。2008年よりサッポロビールのタイ正規輸入代理店として冷蔵コンテナによる品質管理輸送体制を構築した。
2017年には日本酒専門店「SAKE FOREST」をバンコクにオープンし、定期的なテイスティングイベントを通じて日本酒文化の普及活動も担う。2025年4月には事業拡大に伴い本社を移転し、−5℃冷蔵倉庫を新設した新拠点で本社・物流・倉庫機能を一元化した。
品質管理・コールドチェーン・イベントマーケティングへの継続的投資が評価され、タイの日系飲食産業拡大を支える重要インフラとして機能している。
日本酒類文化の伝道役として、SAKE FORESTを通じた消費者教育とB2B流通の両面からタイ市場を育成している。
出典:https://www.sakeforest.com
Cozy (Thailand) Co., Ltd.(コージータイランド)
Cozy (Thailand) Co., Ltd.は2014年12月にバンコクで設立された日系の飲料・調味料輸入販売会社で、会社名は「麹(コウジ)」から着想を得ている。キリンビールのタイ正規販売代理店として、バンコク都市圏の日系飲食店・居酒屋・和食レストランへのビール卸売を主要業務とする。
代表はCEO石川貴之氏が務め、ビール以外にも日本産調味料・発酵食品の卸売も手がける。バンコク・スクンビット71の拠点から日系飲食店への細やかな配送サービスを提供しており、日系コミュニティへの食品・飲料総合供給業者としての役割を担う。
タイにおけるキリンブランドの認知向上と需要創出を通じ、日系ビールのプレゼンス向上に貢献している。2025年にはキリンホールディングスがマレーシアに東南アジア統括拠点Kirin Brewery Southeast Asiaを設立しており、域内の流通戦略との連携が今後の成長鍵となる。
小規模ながら専門性の高い日系酒類代理店として、タイ日系飲食市場における独自のニッチポジションを維持している。
出典:https://cozythailand.net
BB&B Orihara Co., Ltd.(ビービーアンドビーオリハラ)
Bangkok Beer & Beverages Co., Ltd.(BB&B)は2002年設立のバンコクを拠点とする飲料輸入・卸売専門商社で、世界各国から3,000種類以上のビール・ワイン・スピリッツ・日本酒等を輸入・販売する。BB&B Orihara Co., Ltd.はその関連法人として日系の酒類・飲料輸入に特化する。
タイのフードサービス・ホスピタリティ産業向けに高品質輸入飲料を供給する専門商社として地位を確立し、AMCHAMタイランドの正式会員として外資系ビジネスコミュニティにも参画している。
2025年末には1,000種類以上の輸入飲料を特別価格で提供する「Year End 2025」イベントを開催した。プレミアムクラフトビール・特選ワイン・高級スピリッツへの需要増加に対応した品揃えとテイスティングイベントで消費者開拓を進めている。
タイの外食・小売市場における輸入飲料の重要サプライヤーとして、2026年5月時点で営業継続中を確認済みである。
出典:https://www.bbb.co.th
タイの主要酒類企業5選〜外資編〜
Diageo Moët Hennessy Thailand(ディアジオモエヘネシータイランド)
Diageo Moët Hennessy Thailand Ltd.(DMHT)は英国系Diageo plcとフランス系LVMHグループのMoët Hennessyによる合弁会社として設立されたプレミアム酒類の輸入・マーケティング・流通専門企業である。
Johnnie Walker・Hennessy・Moët & Chandon・Veuve Clicquot・Tanqueray・Smirnoff・Captain Morganなど多彩なブランドを擁し、タイのプレミアム輸入酒市場においてリーダー的ポジションを占める。
タイ証券取引委員会(SEC)への開示情報によると、2023年12月期売上高は約64.9億THBであった。2024年のタイ酒税改正によりスピリッツ消費税が実質ゼロとなり、輸入スピリッツの価格競争力が向上した。
2024年の外国人観光客2,800万人超という回復も追い風となり、観光消費とハイエンドナイトライフでの需要拡大が継続している。EABCタイランドおよびAMCHAMタイランドの法人会員として地元財界との連携も深い。
2026年5月時点の参照情報に基づく。
出典:https://www.diageo.com/en/our-business/where-we-operate/asia-pacific/diageo-moet-hennessy-thailand
Thai Asia Pacific Brewery Co., Ltd.(タイアジアパシフィックブリュワリー)[外資区分]
Thai Asia Pacific Brewery Co., Ltd.(TAPグループ)は1993年9月16日設立、1995年8月にノンタブリー県の最新鋭工場で製造を開始したHeineken傘下のビール製造・販売企業である。
1995年のHeineken醸造開始を皮切りに、2004年にTiger、2005年にCheers(廉価プレミアム帯)を順次ローンチ。2010年にはGuinnessとKilkennyの正規輸入代理店にも就任した。年間製造能力は2億リットル、登記資本10億THBで300名以上を雇用する。
タイビール市場シェアは4〜5%、2023年12月期の年間売上高は約34.8億THBである。Heineken傘下のグローバルブランドを軸にプレミアム市場に注力する。
2024年12月にはエネルギー省から「Energy Beyond Standards 2024」認証を取得。2024年11月に新Sales Directorが就任し、東南アジア市場での拡大戦略を加速中である。
2026年5月時点の参照情報に基づく。
出典:https://www.tapb.co.th/
Thai Alcohol Public Company Limited(タイアルコール)
Thai Alcohol Public Company Limitedは1983年にナコーンパトム県バーンレン郡に設立されたエタノール専業メーカーである。サトウキビ糖蜜・キャッサバを原料としたENA(Extra Neutral Alcohol)95%と99.5%エタノールを製造し、1日生産能力は95%品40万リットル・99.5%品20万リットルを誇る。
2002年にThaiBev前身企業が買収・株式会社化し2003年よりThaiBev傘下で経営されたが、2013年からKristollaグループの管理下に移行した。9.9MWのバイオマス発電設備も保有し環境配慮型の生産体制を構築している。
主要顧客はタイ国内の酒類・製薬・化粧品・食品メーカーで、高純度ENAの安定供給により酒類製造業の上流インフラを担う。燃料用エタノール(E10・E20ガソリン混合向け)の供給も手がけ、エネルギーセクターとの接点も持つ。
タイ酒類産業のエコシステムを下支えするインフラ企業として、2026年5月時点でも事業継続中であることを公式サイトで確認済みである。
出典:http://www.thaialcohol.co.th/
Pernod Ricard (Thailand) Co., Ltd.(ペルノリカールタイランド)
Pernod Ricard (Thailand) Company Limitedは仏系Pernod Ricard S.A.(パリ証券取引所上場、ティッカー:RI)の100%子会社として、タイ国内でプレミアムスピリッツの輸入・マーケティング・販売を手がける企業である。
主力ブランドはBallantine’s・Chivas Regalのスコッチウイスキーで、タイの高級消費層・観光客向けに強固なブランドポジションを確立している。タイ法人の2023年12月期売上高は約25.4億THBである。
グローバルではPernod Ricard FY2025(2025年6月期)の連結売上が前年比約5%減の109.6億ユーロとなったが、Royal SaluteやThe Glenlivetなどの最上位プレステージ帯は底堅さを示した。
2024年1月のタイ酒税改正でスピリッツ税が実質ゼロとなり、輸入スコッチウイスキーの価格競争力が向上した。EABCタイランドおよびAMCHAMタイランドの会員として活動している。
2026年5月時点の参照情報に基づく。
出典:https://www.pernod-ricard.com/
Bacardi (Thailand) Ltd.(バカルディタイランド)
Bacardi (Thailand) Limitedは世界最大の非上場スピリッツ企業Bacardi Limited(バミューダ本社)のタイ現地法人で、BACARDÍ®ラム・GREY GOOSE®ウォッカ・BOMBAY SAPPHIRE®ジン・DEWAR’S®スコッチウイスキー・PATRÓN®テキーラなど200以上のブランドを展開する。
EABCタイランドの正式会員として登録されており、タイの外資系ビジネスコミュニティでの認知が高い。グローバルでは2025年時点でアジア太平洋市場において年率5〜7%の高成長を維持している。
2024年タイ酒税改正でスピリッツへの実質ゼロ税率が適用され輸入プレミアムラム・ジン・ウォッカの価格競争力が向上した。観光産業回復に伴うナイトライフ・ホスピタリティ分野でのスピリッツ消費拡大も追い風となっている。
WishBeer等のオンラインプラットフォームを通じた小売・個人向け販売にも対応しており、デジタルチャネルでの存在感も拡大している。
出典:https://www.bacardilimited.com
FAQ
タイの主要酒類製造メーカーの概要は?
この記事では、タイの主要な酒類製造メーカー13社をローカル・日系・外資系の順に分けて詳しく紹介しています。各企業の事業内容やブランド、売上高についても説明しています。
タイの酒類業界の主要企業はどのような特徴がありますか?
タイの酒類業界の主要企業は国内外のブランドを展開し、ローカル企業と外資系企業の両方が存在します。国内企業は地元市場に根ざしたブランドや独自の製品を持ち、外資系企業は海外ブランドの輸入と販売を行っています。
ローカル企業と外資系企業の違いは何ですか?
ローカル企業は主にタイ国内市場向けに商品を製造・販売し、国産ブランドが中心です。一方、外資系企業は海外ブランドを輸入し、タイ国内で販売しています。それぞれの企業は異なるブランドと事業戦略を持っています。
タイの酒類業界の主要企業の売上状況について教えてください。
主要企業の売上は年度によって異なりますが、例えば、Boonrawd Trading Co., Ltd.は売上高は増減がありますが、2020年度は107,370百万バーツでした。Thai BeverageやThai Asia Pacific Breweryも大きな売上を記録しています。

