今回は、タイの主要酒類製造メーカーに焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて13社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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タイの主要酒類製造メーカー7選〜ローカル企業編〜
Boonrawd Trading Co., Ltd. (ブーンロード・トレーディング)
1988年に設立されたコングロマリット企業。飲料分野では2001年よりSingha Corporationを設立し、飲料、酒類の製造・販売を行っている。酒類の主なブランドはビールの「Singha」、「Leo」を中心にプレミアムビールの「Singha Reserve」、「Snowy Weizen」、「Est.33 Copper」などがある。また、世界各国のメーカーと提携し、日本のビール「Asahi Super Dry」、デンマークのビール「Carlsberg」、メキシコのビール「Corona Extra」、韓国の焼酎「Jinro」なども展開している。
2020年度の売上高は前年比5.9%減の107,370百万バーツ、純利益は前年比13%増の2,468百万バーツであった。
出典:https://www.singhacorporation.com/en
Thai Beverage PCL. (タイ・ビバレッジ)
1977年のラム酒製造から創業した飲料メーカー。買収を経て2003年より現在の社名となっている。2006年にシンガポール証券取引所に上場し、子会社にはタイ証券取引所SET上場のSermsuk社およびOishi社を持つ。主な商品として自社ブランドのビール「Chang」、「Archa」、「Federbräu」を中心に、ラム、ウォッカ、ジンなどの蒸留酒、中華風のハーブ酒などを製造している。また、スコッチウイスキー、ミャンマーウイスキー、紹興酒、ベトナムの酒類などの輸出・輸入も行っている。グループ会社のInternational Beverage Holdings Ltd.にて同社製品の国際的なブランディングを行っている。
2020年度の売上高は前年比67%増の40,069百万バーツ、純利益は前年比122%増の27,303百万バーツであった。
出典:https://www.thaibev.com/en08/home.aspx
Thai Asia Pacific Brewery Co., Ltd. (タイ・アジア・パシフィック・ブリュワリー)
1993年にオランダのビール「Heineken」のタイでの製造・販売から創業した酒類メーカー。現在も「Heineken」を中心に、自社ブランドの「Tiger」、「Cheers」、アイルランドのビール「Guinness」、「Kilkenny」、イギリスのアップルサイダー「Strongbow」の製造・販売を行う。「TIger」はアジアのビールで最大の輸出量を持ち、40以上の国際的な賞を受賞している。バンコクに本社および販売拠点が、バンコク北郊ノンタブリにビール醸造所が存在し、計300人以上の従業員を有する。
2020年度の売上高は前年比29%減の3,382百万バーツ、純損益は78百万バーツの赤字であった。
出典:https://www.tapb.co.th/en/home
Siam Winery Commercial Co., Ltd. (サイアム・ワイナリー・コマーシャル)
1986年に創業したローカル系のワインメーカー。ワイン炭酸飲料の「SPY」を中心に、ワインの「Monsoon Valley」、サイダーの「Moose Cider」、アルコール炭酸飲料「Zeltzer Fizz」の製造・販売を行っている。特に「SPY」はワインにあまり馴染みのなかったタイ人が飲みやすいよう炭酸を加えたことにより、今では年間に1億6,000万本以上の売上を記録している。また、ヨーロッパやアメリカ、オーストラリア、南米、南アフリカなどから選りすぐりのワインを輸入し、タイ人の消費者へ届けている。工場をバンコク西郊サムットサコーンに、物流倉庫をバンコク北郊パトゥムタニに構える。
2020年度の売上高は前年比18%減の4,253百万バーツ、純利益は前年比大幅増の47百万バーツであった。
出典:https://www.siamwinery.com/en
Vanichwathana (Bangkok) Co., Ltd. (ワニットワタナ・バンコク)
1975年に創業したローカル系のワインインポーター。タイにおける輸入ワインのパイオニアとして、高級アルコール飲料を輸入し、タイ国内の高級ホテルやレストランに販売している。シャンパンおよび各種ワイン、ウイスキー、ビール、ノンアルコール飲料、スピリッツ類をアメリカ、南米、ヨーロッパ、オーストリア、ニュージーランド、日本など11か国から輸入しタイ国内で流通・販売している。日本製品の取り扱いも多く、焼酎の「いいちこ」、北海道ワインの「十勝ワイン」、「函館ワイン」、山梨ワインの「シャトー勝沼」などがある。
2020年度の売上高は前年比28%減の97百万バーツ、純損益は419千バーツの赤字であった。
出典:https://www.vanichwathana.com/
Full Moon Brewworks Co., Ltd. (フル・ムーン・ブリューワークス)
2007年に創業したクラフトビールメーカー。World Beer Awards、Europian Beer Star、Australian International Beer Awardsなど様々な賞を獲得しているビール「Bussaba Ex-Veisse」を中心に、「Andaman」、「Chatri」、「Chalawan」などのブランドのビールを製造・販売する。商品はタイ国内のセブンイレブンなどのコンビニエンスストアおよびTops、Villa Marketなどのスーパーマーケットで購入することができる。バンコクにセールス拠点、南部のリゾート地プーケットにビール醸造所を持つ。また、プーケットに2か所バーを所有し、同社製品を提供している。(現在は新型コロナウイルスの影響で店舗休止中)
2020年度の売上高は前年比46%減の34百万バーツ、純損益は8.5百万バーツの赤字であった。
出典:https://www.fullmoonbrewwork.com/
Mountain Brewer Co., Ltd. (マウンテン・ブリュワー)
アメリカの大学を卒業したタイ人のグループによって2015年に創業したクラフトビールメーカー。「Red Truck Red Ale」、「Blossom Weizen」、「Ping River Pilsner」の3種類のビールをチェンマイで展開する。「Red Truck Red Ale」は少し苦みのあるアイリッシュレッドエールとして好評であり、2017年のWorld Beer Awards のアンバー部門で”Country’s winner”に選ばれた。「Blossom Weizen」も同賞にBavarian Hefeweiss部門で選ばれており、同社のビールは世界的にも高い評価を得ている。
2020年度の売上高は前年比16%減の6,211千バーツ、純損益は433千バーツの赤字であった。
出典:https://www.beerchiangmai.com/
タイの主要酒類製造メーカー4選〜日系企業編〜
Asan Service Co., Ltd. (アサン・サービス)
日本の食品メーカー、サン・フーズのタイ拠点。タイでは1977年に設立された。醤油をはじめとした調味料、豆腐や焼き鳥などの加工食品、酒類全般の製造・販売を行っている。酒類では、ベトナムのグループ会社の工場で生産している「大陸」「南蛮」の各種焼酎をはじめ、日本酒、九州や沖縄の焼酎、リキュール・梅酒、カクテル、ビールを日本から輸入し販売している。バンコク北郊パトゥムタニに工場を持ち、バンコク、東部シラチャ、北部チェンマイに営業拠点を持つ。商品は卸売、小売ともに行っており、バンコク中心部のスクンビット地区であれば即日配送が可能。
2020年度の売上高は前年比14%減の585百万バーツ、純利益は前年比43%減の28百万バーツであった。
出典:http://www.asanservice.co.th/
SCS Trading Co., Ltd. (エスシーエス・トレーディング)
2003年にタイで設立された酒類卸売業者。日本の有名ブランド、サッポロビールのタイ販売代理店となっている他、40以上の蔵元から300種類以上の日本酒、焼酎、リキュール、ワインなどを輸入し、バンコクおよび近隣エリアのホテルや日本食レストランに提供している。ノンアルコールのジュースや日本酒用のお猪口も取り扱っている。また、卸売および小売を行うグループ会社のe-Shochu Co., Ltd.を持ち、Sake Forestという店名でバンコクに小売店2店舗を展開する。Sake Forestでの日本産酒類に関する情報発信を手掛かりに、タイでも日本の酒文化を普及させることを目的としている。
2020年度の売上高は前年比17%減の63百万バーツ、純損益は28千バーツの赤字であった。
出典:https://www.sakeforest.com/
Cozy (Thailand) Co., Ltd. (コージー・タイランド)
2014年にタイで設立された酒類卸売業者。社名の「Cozy」は麹の発酵に例え、人と人との繋がりが末長く続くようにという創業者の思いが込められている。現在、日本の大手飲料メーカー、キリンが製造する「キリンビール」のタイ国内販売指定代理店であり、同製品の販売に力を入れている。他にも、日本酒、焼酎、ウイスキー、梅酒などを日本から輸入し、タイの日本食レストランに提供している。各店舗から一括で注文を受け、迅速に配送することを売りにしている。また、醤油、みりん、料理酒などの調味料や餃子、とんかつ、牛丼の具といった調理済み加工食品の販売も行う。
2020年度の売上高は前年比8.3%減の38百万バーツ、純損益は648千バーツの赤字であった。
出典:https://cozythailand.net/
BB&B Orihara Co., Ltd. (ビービーアンドビー・オリハラ)
日本の酒類卸売業者、折原のタイ拠点。タイでは2015年に設立された。日本各地で製造された120種類以上の酒類をタイへ輸入し、日本食レストランに提供している。酒類は日本酒、焼酎、生ビール、ハイボールなどの他、酒に合うおつまみや昔ながらの駄菓子類も取り扱っている。商品の品質を保つため、輸送時の温度管理には最新の注意を払っている。また、バンコクにて、自社輸入の酒類を提供する焼き鳥レストラン「白金酉玉(Toritama)」を展開している。2020年度の売上高は前年比23%減の27百万バーツ、純損益は2.2百万バーツの赤字であった。
折原は1923年に東京の池袋で酒屋として創業した。現在は東京をはじめとする関東圏へ酒類を卸売している他、都内の店舗で小売も行っている。タイの他にシンガポールでも酒類卸売および焼き鳥レストランを展開している。
出典:https://orihara-bangkok.com/
タイの主要酒類製造メーカー2選〜外資系企業編〜
Diageo Moët Hennessy (Thailand) Co., Ltd.(ディアジオ・モエ・ヘネシー・タイランド)
イギリスの酒類メーカー、Diageoと、フランスのコングロマリット企業、LVMH Group傘下のMoët Hennessyの合併会社。2004年に発足した。タイでNo.1の酒類輸入業者として、海外ブランドの酒類をタイで提供している。代表的な商品はウイスキーの「Black Label」、コニャックの「Hennessy」、ウォッカの「Smirnoff」、ジン「Tanqueray」など、世界的にも有名な高級アルコールを取り扱う。バンコクに拠点を持ち、従業員は300人以上が在籍している。2020年度の売上高は前年比22%減の4,940百万バーツ、純利益は前年比54%減の174百万バーツであった。
Diageoはイギリスの酒造大手、GuinessとGrand Metropolitanの合併によって1997年に設立された。現在ではビールやスピリッツ類を製造し、世界180か国以上で販売している。従業員は全世界で27,650人にものぼる。
出典: https://www.diageo.com/en/our-business/where-we-operate/asia-pacific/diageo-mo%C3%ABt-hennessy-thailand/
Bacardi (Thailand) Ltd. (バカルディ・タイランド)
イギリス領バミューダ諸島に本社を置く酒類メーカー、Bacardiのタイ拠点。ラム酒「Bacardi」を中心に、ウォッカ「Grey Goose」、スパークリングワインの「Martini」、ジンの「Bombay Sapphire」など同社ブランドの商品を輸入し、タイ国内で販売している。拠点はバンコクにオフィスが一か所存在する。2020年度の売上高は前年比18%減の1,132百万バーツ、純利益は前年比69%減の12百万バーツであった。
Bacardiは1862年にキューバで創業した。200ブランド以上のラム、ウォッカ、ジンなどのスピリッツ類を製造し、現在では世界170か国以上で商品を展開している。
出典: https://www.bacardilimited.com/country-info/thailand/
バンコク在住のタイ人。タイにおける日系企業向け翻訳・通訳を6年間以上行う。経済、ビジネス、IT分野に興味があり、マーケティングや流通を含めた企業調査や、企業調査といった情報収集が得意。